海外赴任をグローバル人材育成に活用するには

2019.08.20

「グローバル人材が必要だ」。長いこと言われてきたフレーズです。皆さんの会社では、どのようにグローバル人材を育成しているでしょうか? 多くの企業が導入しているグローバル人材育成の手法の一つに、海外赴任があります。しかし、海外に送り込むだけでは人材は成長しません。本コラムでは、海外赴任が人を成長させる仕組みを紐解きながら、適切なグローバル人材育成のステップをご紹介します。

海外赴任者を成長させる4つのGAP

多くの大手企業のトップが、「リーダーシップに目覚めたのは、海外赴任がきっかけだった」と振り返ります。なぜ海外赴任をきっかけとして、リーダーシップに目覚めるのでしょうか。それは赴任前と赴任後で、業務役割に大きな違い=GAPが生じるからです。そのGAPは以下の4つにまとめられます。

1:事業ステージのGAP

先進国の日本では多くのビジネスが成熟期です。しかし同じビジネスであっても、赴任先によっては導入期・成長期の可能性があります。事業ステージが異なれば、当然のことながら競争軸や求められる戦略も変わります。

1:事業ステージのGAP

 

2:ビジネス領域のGAP

日本ではビジネス規模が大きいため、機能別組織の中で専門性を深めることを求められます。一方、海外赴任地では従業員が少ないため、任されるビジネス領域(責任範囲)が複数にまたがります。例えばマーケティング部門にいた人が、海外赴任先で製造・マーケティング・販売の領域を担当するようなケースです。場合によっては拠点長として海外子会社の全責任を負うこともあります。自分の得意なビジネス領域を超えた業務で成果を求められるのです。

2:ビジネス領域のGAP

 

3:組織役割のGAP

赴任先での役職は日本より上位になることが多く、部下の人数も増えるかもしれません。その部下は現地のスタッフであり、言語や文化の壁が生じます。

3:組織役割のGAP

 

4:文化のGAP

海外赴任者と現地スタッフでは持っている前提が異なるため、文化のGAPは当然生じます。日本の常識は世界の非常識であり、日々の些細なことに戸惑うことも珍しくありません。

4:文化のGAP

 

これらのGAPが作り出す様々な問題は、多くの修羅場を生み出します。その修羅場体験を乗り越えることで、赴任者は一皮剥け大きく成長します。一方、GAPによる精神的負担に耐えられず、心身不調に陥る方も多数います。GAPを乗り越えてキャリアアップに繋げる人の比率を上げるには、3つの方法があります。

  1. 1. 人選の段階で資質を見極め、適切な人員を派遣する
  2. 2. 赴任前に研修などを通じて、適切なスキル・マインドを習得してもらう
  3. 3. 赴任中に適切なフォローを行う

今回は、赴任前の研修と赴任中のフォローについて見ていきましょう。

 

海外赴任前に必要な研修とは

海外赴任前の研修にありがちな課題として、英会話トレーニングだけ用意するというものがあります。

もちろん、英語ができるに越したことはありません。しかし、海外だから英語を学ばせればよいという処方箋は、問題の本質を捉えておらず、表層的な対応になってしまいます。4つのGAPを見れば明らかなように、英語を上手に話すより、仕事を上手く回す方が大事です。

仕事ができる駐在員は多少英語が不得手でも、現地スタッフの尊敬を集めます。一方、英語も仕事も中途半端な駐在員は、現地スタッフに馬鹿にされます。すると、以下のような問題が生じ、自社の国際競争力の低下を招いてしまいます。

  • ・日本本社へのロイヤルティー低下
  • ・海外赴任者・現地スタッフの離職率向上
  • ・優秀な現地社員の採用難

この問題を解決するには、海外赴任前は英会話研修という凝り固まった発想を打破しなければなりません。すなわち、海外赴任者のありたい姿(=海外の現場で活躍している姿)と現状の能力を照らし合わせ、その差を埋めるために必要なマネジメント研修を提供する必要があるのです。

 

海外赴任中に適切なフォローを行うには

我々がお客様からよく聞く課題の一つに「次期経営幹部を海外に送り込んだものの、適切なフォローの仕方が分からない」というものがあります。しかし、5G到来が間近な現代において、海外赴任者の状況確認やフォローはオンラインで手軽に行えるようになりました。

まず行うべきは海外赴任者との定期的な情報共有でしょう。メールやオンラインストレージによる日報・週報の共有、定期的なテレビ会議による現状共有などが考えられます。その際、海外赴任者から発せられたSOSを見逃さず、必要に応じたフォローを提供する必要があります。

SOSの大半は、4つのGAPから生じるものであり、海外赴任者のスキル・能力不足が原因です。そのため、有効なフォローとしてオンライン研修の提供があります。海外赴任中は自身の足りないスキル・能力が良く分かるため、研修ニーズの把握が容易です。また、直近で解決しなければならない課題が山積みのため、研修に対する意欲が高く、オンライン研修の効果も高まります。

 

変化の激しい現代、一つ一つの機会を最大限に生かし切る会社だけが生き残ることができます。その為には、

  • ・海外赴任を次期経営幹部育成のチャンスとして捉える
  • ・赴任者にマネジメント研修を施し、赴任地で直面する4つのGAPに備えさせる
  • ・オンライン研修という選択肢も考える

ことが、人材育成担当者に必要とされています。

 

(参考:グロービスのオンライン研修)

グロービスでは、日本の大学院/集合研修で受けられるクラスと同様の内容を、オンラインで受講していただけます。オンライン研修の実績は2018年度で40社を越え、その数字は伸び続けています。オンライン研修のメリットは、3つ。

  1. 1:主催者にとって、研修開催に関わる費用(交通費・宿泊費など)を大幅に削減できる
  2. 2:参加者にとって、集合研修に必要な移動時間がかからない
  3. 3:削減した移動時間は、そのまま業務に回せる(機会費用も掛からない)

オンライン研修導入のメリット

 

グロービスでは赴任前の駐在予備軍研修も、赴任後のオンライン研修も、日本語・英語両方で対応可能です。また、英語研修に関しては、参加者の英語スキルレベルに合わせ、場合によっては日本語も織り交ぜながら対応可能です。なぜなら、赴任者に必要なのは、英語力ではなく、仕事を回す力だからです。

ご興味のある方は、下記お問い合わせフォームからご連絡ください。

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URL https://gce.globis.co.jp/seminar/tokyo/20191029
執筆者プロフィール
池田 新 | Arata Ikeda
池田 新

東京大学法学部卒。エール大学スクール・オブ・マネジメントMBA(経営戦略・マーケティング専攻)。P&Gマーケティング部を経て、グロービスにコンサルタントとして入社。
その後、クライアントだった(株)アシックスにスカウトされ、マーケティング担当執行役員、豪州販社社長、アパレル事業部執行役員を歴任した。後、米系スポーツ自転車メーカー、キャノンデール・ジャパン社長を務める。
現在グロービスにて、講師・教材開発に従事し、企業向けグローバル人材育成部門にて事業開発および、マーケティングリーダーを務めている。


※文中の所属・役職名は原稿作成当時のものです。


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