幹部候補研修とは? 5つの学習テーマと階層別の人材要件を解説
- リーダーシップ
- 人材育成
- 研修企画
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南 和宏
グロービス経営大学院 教員 / BtoBマーケティング部門 マネジング・ディレクター
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川端 茉穂
BtoBマーケティング部門 グロービスHRコラム 編集者

幹部候補研修とは、将来の部長・事業責任者・執行役員といった重要ポストを担う人材に対し、経営戦略の実行に必要なスキルを育成するプログラムです。その成功のカギは、自社の経営戦略に基づき「誰を、どのポストの候補として、どう引き上げるのか」という目的を明確にすることです。
しかし実際の現場では、目的が曖昧なままプログラムの選定に着手してしまうケースが少なくありません。また「経営戦略と現場をつなぎ、実行しきる力」をどう育てるかに頭を悩ませる人事担当者様も多いのではないでしょうか。
グロービスでは、単なるコンテンツ提供に留まらず、経営戦略から逆算して「必要な人材要件や育成ゴール」を整理したうえで研修を設計します。
4つの中核テーマ(経営の定石・考える力・人を巻き込む力・志)と、基盤テーマ(組織運営力)の組み合わせが特長です。この独自のアプローチにより、曖昧な目的を明確な育成像へ落とし込み、確かな「実行しきる力」を養います。
本記事では、研修の目的設定から、必要な人材要件や学習テーマの考え方をわかりやすく解説します。さらに学習手法や育成計画のステップも、現場で陥りがちな落とし穴と合わせて紹介していきます。
貴社の将来を担う幹部候補育成を成功させるためにも、ぜひ本記事をご一読ください。
この記事でわかること
- 幹部候補研修の目的は、部長・事業責任者・執行役員などの重要ポスト候補を見極め、早期に育成すること
- 幹部候補研修の内容は、「経営の定石/考える力/人を巻き込む力/志」と、これを支える「組織運営力」の5テーマをもとに考える
- 幹部候補研修の効果的な学習手法には、「ケースメソッド」「異業種交流・他流試合」「アクションラーニング」がある
- 幹部候補育成は、経営戦略からの人材要件の定義・計画・実行・評価・登用の5ステップで進める
1. 幹部候補の研修が重要な理由
将来幹部として期待する候補社員に対しての研修は、早期からの実施がおすすめです。
早期から研修を実施すべき最大の理由は、経営環境の変化や欠員に左右されない「事業継続と成長の基盤」を構築するためです。自社の経営戦略を実行に移す際、推進役となる幹部の不在が最大のボトルネックになってしまうのは避けたいですよね。
「幹部に昇格してから研修を行えば十分ではないか」という声を聞くこともあるかもしれません。しかし、現場の業務の延長線上で成果を上げてきた人材が、経営層に立った途端に高視座な意思決定を下すことは困難です。
以下のような場面を思い浮かべると、候補段階からの育成の必要性が見えてきます。
- 新規事業の立ち上げやビジネスモデル変革を求められた際、任せられる人材がいない
- 過去の成功体験に依存してきた既存幹部だけでは、急激な市場変化に対応できない
- キーパーソンの急な退職により、組織の意思決定が一時的に停止してしまう
こうした経営リスクを回避し、持続的な成長を目指すうえで、候補段階からの計画的な育成には2つの価値があります。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
1-1. 将来の経営課題に早期から向き合い、プレイヤーから経営者への視座の引き上げを図れる
早期育成がもたらす第一の価値は、現職の延長線上にはない「経営者視点」へ、早期に思考をシフトさせられる点にあります。
現在の役割への適応を目的とする階層別研修とは異なり、幹部候補研修では日常の業務から視点を一度離し、「将来会社が直面する経営課題」そのものをテーマとして扱うからです。
幹部候補研修で求められるのは、単に与えられた中期経営計画の目標を追う作業ではありません。経営方針やビジョンを自部門の戦略に落とし込む中で生じる、以下のような「正解のない経営上の問い」に自ら答えていくプロセスです。
- 限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を、既存事業の維持と新規事業の開拓のどちらに重点配分すべきか
- 短期の業績達成と中長期の構造改革が対立した際、何を軸に優先順位を判断するのか
- 5年後・10年後の市場変化を見据え、自部門・事業のあるべき姿をどう描くのか
階層別研修が「現役職で求められるスキル・マインドの習得」であるのに対し、幹部候補研修は「一段上のポストで求められる、正解のない経営判断に向き合う」ものです。扱うテーマの深さと視座の違いが、両者の違いです。
高度な問いに早期から向き合うことで、候補者の視座は登用前に高まります。これにより、自身に足りない能力に自ら気づき、実務や学習を通じて求められる人材像へと成長していく動機付けとなります。
1-2. 早期の育成で、幹部就任後の立ち上がりを早められる
第二の価値は、候補段階から計画的に育成することで、就任直後から即戦力として機能する経営人材の層を厚くできる点です。
近年、就任前からの育成に着手する企業が増えています。その背景には、幹部人材の当事者である役員自身が抱える深刻な「準備不足」の実態があります。グロービスが役員290名を対象に実施した調査では、以下の実態が明らかになりました。
- 役員就任時に体系的な準備機会が「十分だった」と答えた人は14.1%に留まり、約86%が準備不足のまま経営の当事者となっている
- 最も難易度が高い経営課題として「次世代リーダーの育成と組織文化の変革」を挙げた役員のうち76.3%が、自分自身もその育て方の知見を必要としている

この調査結果は役員本人の実感ですが、執行役員や部長といった幹部候補にとっても他人事ではありません。着任してから経営に必要な知見を手探りで身に付けるか、候補段階のうちに計画的に備えるかで、その後のスタートダッシュには大きな差が生まれるためです。
候補段階から計画的に育てる仕組みの有無が、激しく変化する環境下で経営戦略を実行できるかどうかを左右します。
こうした準備不足は個人レベルに留まらず、経営全体のパフォーマンスにも直接影響します。
同調査では、社外取締役経験者の87%が「役員間のスキルや視座の格差が、取締役会における議論の質や意思決定のスピードに悪影響を与えている」と回答しました。
役員候補の育成は人事施策だけでなく取締役会の実効性にも直結する経営課題であり、コーポレートガバナンスの観点からも先送りできないテーマだといえます。
※参考:グロービス『役員育成に関する実態調査』より
2. 【階層別】幹部候補の人材要件・設計の3ステップ
幹部候補の人材要件は、「対象者が将来担うべき経営上のポストと役割」から逆算して定義することが重要です。同じ幹部候補でも、配置される階層によって直面する課題や求められる意思決定の性質が大きく異なるためです。
自社で過去に策定した人材要件は、現在の経営戦略や不確実な市場環境とかみ合っているでしょうか。既存の成功体験に基づいた要件のままでは、非連続な変化をけん引する幹部候補の育成にはつながりません。
単なるスキルの羅列や過去の延長線上で終わらせないためには、以下の3つのステップで設計するのがおすすめです。
- 自社が将来直面する環境変化や経営課題を特定する
- その課題に対し、該当するポストが担うべき役割・行動を定める
- 役割を担うために必要な能力・スキルへと落とし込む

本記事では、幹部人材(=経営と現場をつなぎ、戦略を実行する人材)を主な対象としています。その中でも、特に重要な3つの階層(執行役員候補・部長および事業責任者候補・課長候補)における役割と必要スキルの違いを以下に整理しました。
【階層ごとの役割と必要スキルの違い】
| 階層 | 視座・責任の範囲 | 意思決定の性質 | 求められるスキルの例 |
|---|---|---|---|
| 執行役員 | 全社最適・戦略の実行 | 全社最適の視点で、戦略の実行をどう進めるかを決める | ・全社戦略への落とし込み ・財務を踏まえた意思決定 ・合意形成 |
| 部長・事業責任者 | 部門・事業部間の横断 | 正解のない問いに対し、軸を持って事業の方向性を決める | ・経営の定石を活用した戦略立案 ・間接マネジメントと組織変革 |
| 課長 | チーム・現場業務 | 設定された枠組みの中で、最大成果を出すための最適な打ち手を選ぶ | ・目標管理 ・ピープルマネジメント ・論理的思考力、問題解決力 |
課長層と部長以上の役割の違いは、意思決定の性質にあります。
課長層の主な役割は、与えられたフレームワークや選択肢の中から最適な打ち手を選ぶことです。一方で、部長や事業責任者以上になると、選択肢そのものを自ら創出する側に立ち、何に取り組み何を捨てるかというトレードオフの判断を迫られます。
この違いを意識すると、各層に何を期待し、どこを伸ばすべきかが見えやすくなります。
以下より、それぞれの階層における具体的な役割と求められるスキル例を詳しく解説します。
2-1. 執行役員候補の人材要件
執行役員候補に期待される役割は、経営と現場を双方向につなぎ、全社最適の視点で事業推進を完遂することです。経営が描いた方針を、現場が迷わず動ける実行施策へ翻訳し、成果に結び付ける役割です。
具体的な行動としては、以下が求められます。
- 経営トップのビジョンや戦略を、現場の実行計画に翻訳し、確実に実行する
- 現場の課題や市場の変化を構造化し、経営陣へ適切なフィードバックを行う
- 自部門の利害に留まらず、全社最適の視点で意思決定を下す
- 次世代の経営人材を輩出することを見据え、組織マネジメントを行う
これらを支える代表的な能力・スキルは、以下のとおりです。
- 全社戦略を、自部門の行動計画へ落とし込み展開する力
- 部門最適を脱し、全社最適で考える視座転換力
- 財務インパクトや経営インパクトを見極めた意思決定力
- 経営トップと対等に議論し、建設的な合意形成へ導く交渉力
なお、執行役員の役割を考える際は、「取締役」と混同しないよう、注意してください。
取締役が「事業の撤退や新規投資といった中長期的な最終意思決定」に責任を負うのに対し、執行役員は「決定された戦略をいかに実行しきるか」に重点を置くためです。
※本記事で扱う幹部人材とは、この戦略実行を担う執行役員層までを指します。
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執行役員研修
2-2. 部長・事業責任者候補の人材要件
部長・事業責任者候補に期待される役割は、部門間の垣根を越えた横断的な視点を持ち、正解のない局面において独自の判断軸で方向性を提示することです。
具体的な行動としては、以下が求められます。
- 全社戦略を踏まえ、管轄部門における中長期のビジョンと戦略を描く
- 他部門との衝突(コンフリクト)を解消し、会社全体の最適化を考慮して自部門の意思決定を行う
- プレイヤー思考を脱し、仕組みや組織文化を活用して大規模組織を間接的にけん引する
- 前例のない課題に対して自らの意志で軸を持ち、責任を伴う判断を下す
これらを支える能力は、大きく以下の3つの領域に集約されます。
- 経営の定石:ヒト・モノ・カネの経営資源(戦略、マーケティング、財務など)を統合的に扱う力
- 間接マネジメントと組織変革:仕組み、評価制度、文化を通じて組織全体を動かす力
- 高度な意思決定と判断軸:トレードオフが生じる問題において、独自の基準で決断を下す力
なかでも多くの部長・事業責任者が壁にぶつかるのが、間接マネジメントへの移行です。自ら手を動かして直属の部下を直接指揮してきた課長時代と、マネジメントの方法が根本的に異なるからです。
部門長や事業責任者には適切な人員配置や評価運用、文化醸成といった仕組みを通じて、組織全体を同じ方向へ自走させる能力が求められます。
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上級管理職研修(経営幹部・部長研修)
2-3. 課長候補の人材要件
課長候補に期待される役割は、上位組織の方針をチームの目線に落とし込み、現場のオペレーション確立とメンバー育成を通じてチームの成果を出すことです。
具体的な行動としては、以下が求められます。
- 現場の業務運営とピープルマネジメントを軸に、チーム目標の達成をけん引する
- 部門の戦略を具体化し、単年度の業績や数値目標の進捗に責任を持つ
- 提示された選択肢の中から最も実現性の高い打ち手を選び、自部署の成果を最大化させる
求められる代表的なスキルは以下のとおりです。
- 全社や部門の戦略を解釈し、チームの目標へ落とし込む目標設計力
- メンバーの強みを引き出し、動機づけるピープルマネジメント力
- 現場の問題を論理的に構造化し、解決に導く論理的思考力
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中間管理職研修(課長研修)
このように幹部候補といっても、目指すポストによって求められる役割や能力は大きく変わります。そのため、研修で扱う「学習テーマ」も、対象ポストに合わせて密に設計していくことが大切です。
次章で詳しく見ていきましょう。
3. 幹部候補研修における5つの学習テーマ
幹部候補研修で扱う内容は、5つの学習テーマに整理できます。抽象的な経営戦略を現場で実行しきるには、互いに連動する能力を体系的に身に付ける必要があるためです。
前章で階層別に整理をした能力・スキルも、この5つに対応します。

これら5つのテーマは単体で独立しているのではなく、相互に補完し合う関係にあります。
幹部人材は「経営の定石」によって全社の構造を客観的に捉え、「考える力」によって優先して解くべき課題を定め、「人を巻き込む力」によって組織を動かすことが求められます。
また、このプロセスを揺るぎない「志」が判断の拠りどころとして支え、健全な「組織運営」の知識がガバナンスの土台として持続性を担保します。
ただし、5つをどう学ぶべきかは、対象者一人ひとりの状況によって異なります。まずは自社が必要とする幹部像と、候補者の現状とのギャップを見極め、どのテーマをどの程度引き上げるべきかを定めることから始めましょう。
部長や課長といった管理職全般を対象とする研修の人材要件策定や、具体的な講義テーマの選定方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
実務的なカリキュラム設計を進める際は、ぜひ合わせてご参照ください。
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成果に繋がる管理職研修のテーマ30選と自社に最適な選び方
3-1. 経営の定石
「経営の定石」とは、経営に関する問題を解決するために必要な、再現性の高い思考・分析の枠組み(ヒト・モノ・カネの分野)や考え方を指します。
自社の幹部は、フレームワークの枠を埋める作業ではなく、経営戦略の意図を読み解く思考を持っているでしょうか。定石を単なる知識として覚えるだけでは足りず、実際の意思決定に活用できる状態まで引き上げることが重要です。
再現性の高い定石を体系的に理解して初めて、個人の経験則や過去の成功パターンに依存した思考から脱却できます。
このテーマを学ぶことで、幹部候補は自社の現状を客観的に把握し、部門を越えて全社最適の議論を行うための共通言語を構築する能力が身に付きます。
具体的なテーマは以下のとおりです。
- 自社のビジョン・戦略の理解/戦略策定/新規事業創造
- マーケティング
- 人材マネジメント
- アカウンティング・ファイナンス
- テクノロジー・イノベーション(DX・AI)
全社共通の思考基盤を持つからこそ、背景の異なる各部門の幹部同士が同一の視座で議論を交わし、会社全体の成長に資する意思決定を下せるようになります。
【経営の定石を理解し、身に付けるプログラム例】
グロービスでは、例として経営戦略領域で次のようなプログラムをご用意しています。
特に幹部人材研修でおすすめのプログラムは以下になります。

3-2. 考える力
「考える力」とは、正解のない課題の本質を捉えて最適な解決策を見極め、自らの軸で意思決定する力を指します。
このテーマを学ぶことで、幹部候補は前例のない状況下においてもトレードオフを引き受け、自らの意思決定を説得力を持って周囲に伝える能力が身に付きます。
扱うテーマは以下のとおりです。
- 論理思考
- 定量分析
- ネゴシエーション・ファシリテーション
- プレゼンテーション
急激にビジネス環境が変化する中で、幹部が向き合う問いの最適解を導き出すには、過去の延長線上の思考ではたどり着けません。
特に幹部候補は「短期の利益創出と中長期の構造改革」「既存事業の維持と新規事業への投資」といった相反する状況に直面します。
何を課題として設定し、何を捨て、なぜその決断をしたのかを論理的に構想し、自分の言葉で説明できる思考力が問われます。
【考える力を身に付けるプログラム例】
グロービスでは、変化の激しい時代に対応する思考力を養うためのプログラムをご用意しています。
特に幹部人材研修でおすすめのプログラムは以下になります。

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論理思考の強化
3-3. 人を巻き込む力
「人を巻き込む力」とは利害や立場の異なるステークホルダーと信頼関係を構築し、組織を動かして成果を出す能力を指します。
このテーマを学ぶことで、幹部候補は経営の方針やメッセージを現場の言葉に解釈し直し、組織の具体的なアクションへ落とし込む力が身に付きます。経営の意図を現場の日常業務へ接続できて初めて、戦略は実行され成果につながります。
扱うテーマは以下のとおりです。
- リーダーシップ
- 目標設定・管理
- 組織変革
- エンゲージメント向上
なお、組織に対する働きかけの方法はポストによって異なります。
部長や事業責任者候補には、仕組みや評価制度、企業文化を通じて組織を自走させる間接マネジメントが求められます。
一方で執行役員候補には、全社最適の視点から部門間の利害対立を解消し、高度な合意形成を導く力が求められます。
【人を巻き込む力を身に付けるプログラム例】
グロービスでは、戦略を理解し、組織を変革へと導く力を育成するプログラムをご用意しています。
特に幹部人材研修でおすすめのプログラムは以下になります。

3-4. 志
「志」とは、不確実な状況下において自らの価値観や使命感に基づき、意思決定を引き受けるための判断軸を指します。
このテーマを学ぶことで幹部候補は、前例のない困難な経営課題に直面した際にもブレない軸を持ち、自らの意思決定をやり遂げる精神的基盤を構築できます。
扱うテーマは以下のとおりです。
- 役割認識・使命感の醸成
- キャリアデザイン
幹部へ昇格すると、過去のデータや他社の成功事例が通用しない、重い判断を迫られる場面が増えていきます。葛藤を伴う選択において必要なのは、「自分はこの事業で何を成し遂げたいのか」という、自らの意思で責任を引き受ける使命感や倫理観です。研修ではこれまでのキャリアの内省や役割の再認識を通じて、この判断軸を磨きます。
このように、思考の深さと志の強さがそろって初めて、幹部は現場の変革を成し遂げられます。
【志を養うプログラム例】
グロービスでは、幹部人材としての使命感を育むプログラムやeラーニングのコンテンツをご用意しています。
特に幹部人材研修でおすすめのプログラムは以下になります。
3-5. 組織運営力
「組織運営力」とは、コンプライアンスや労務管理など、事業活動を健全かつ持続的に維持するための基盤的な能力を指します。
このテーマを学ぶことで幹部候補は、組織のコンプライアンスリスクや人的リスクを未然に防ぎ、成果創出のための安全な土台を構築する能力が身に付きます。
扱うテーマは以下のとおりです。
- コンプライアンス
- ハラスメント
- メンタルヘルス
- 労務管理
- チームビルディング
組織運営力は、成果創出をけん引する4つの中核テーマ(経営の定石、考える力、人を巻き込む力、志)が健全に機能するための基盤テーマです。
どれほど優れた戦略を描いても、土台となる組織運営を疎かにしては、事業を健全に続けることはできません。この土台があって初めて、4つの能力は存分に発揮されるのです。
【組織運営力を学べるプログラム例】
グロービスでは、組織運営に関するeラーニングのコンテンツをご用意しています。
たとえば以下のようなコースがあります。

具体的な学習コンテンツは、GLOBIS 学び放題をご参照ください。
4. 幹部候補研修でおすすめの3つの学習手法
幹部候補研修の成果を最大化するためには、何を学ぶかというテーマの選定だけでなく、学びを現場の実務へつなげる学習手法を吟味することも重要です。
幹部は経営戦略を現場で実行しきる役割を担うため、知識をインプットするだけでなく実務で使える形まで落とし込む必要があります。早期育成のメリットである「就任後すぐに活躍できる人材の層を厚くする」ことも、学びを実践レベルまで引き上げてこそ実現します。
着任直後から活躍できる幹部候補を育てるには、以下の3つの学習手法を効果的に組み込むことがおすすめです。
- ケースメソッド
- 実在の経営課題を通じ、意思決定のプロセスを疑似体験する学習法
- 異業種交流・他流試合
- 他社との議論・交流を通じ、自社の固定観念や前提を問い直す学習法
- アクションラーニング
- 自社のリアルな経営課題を題材に、解決策を立案する学習法
以下より、各手法の特長と導入効果について詳しく解説します。
4-1. ケースメソッド
ケースメソッドとは、実在の企業が直面した経営課題を教材に、受講者自身が意思決定の当事者として疑似体験する学習法です。
この学習法を活用する最大の価値は、学んだ知識を実践的な判断力へ高められる点にあります。
一般的なケーススタディは、過去の成功例や当時の正解を分析・理解することに重点を置きます。一方でケースメソッドは、事例の根本にある考え方を引き出し、自社の現場で応用できる思考の軸を養うことを目指します。
ケースメソッドの学びが実務に直結しやすいのは、以下の2つの特徴があるためです。
- 具体的な事例を通じて、当事者として意思決定を疑似体験できる
- 事例の背景にある論理を読み解き、他の場面でも使える原則として身に付けられる
グロービスの集合研修ではケースメソッドを採用し、学びを実践に落とし込むためのプログラムを設計しています。
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グロービスの学習手法(ケースメソッド)
4-2. 異業種交流・他流試合
異業種交流・他流試合とは、社外の多様なビジネスパーソンと議論することで、社内で無意識にできあがった前提や過去の成功体験を客観的に問い直す学習法です。
他流試合を通じ、幹部候補は以下のような気づきを得ます。
- 業種や企業規模が異なれば、経営において優先すべき判断の基準も変わる
- 自社で当たり前とされている前提が、一歩外へ出れば必ずしも通用しない
自社のやり方を唯一の正解と思い込む固定観念から抜け出すことで、幹部候補は変化の激しい市場環境において「何を変革すべきか」を自発的に問い直せるようになります。
この視点こそが、企業が5年、10年と生き残り成長し続けるための思考のスタートラインとなります。
他流試合の有効性は、グロービスが役員290名を対象に実施した調査データからも読み取れます。自身の成長に役立った学習形態として「他流試合」を挙げた役員は58.3%で、最も多い回答となりました。
また、着任後の業務に対する不安が目立つ「就任3年以内」のタイミングで特に効果が高いという結果が出ています。
これらのことから、就任初期から迷いなくリーダーシップを発揮できる幹部を育てるうえで、他流試合は有効なアプローチといえます。

4-3. アクションラーニング
アクションラーニングとは、自社が実際に抱える戦略課題や経営課題を題材に、受講者自身が解決策を立案する学習法です。
現実の課題を題材にすることで、自社の戦略を「頭では理解している」状態から「現場で実行できる」状態へ近づけられます。
具体的には、以下のようなテーマを設定して取り組みます。
- 自社の10年後の成長戦略を構想し、経営陣へ直接提言する
- 不確実な環境下において目指すべき自社や自部門の姿を描き出す
こうしたテーマでは、既存業務の延長ではない新しい視点と深い分析が求められます。個人の経験や勘だけで納得感のある提案は難しいため、経営の定石で学んだ知識体系が、思考を整理する強力な武器となります。
幹部候補の中でも特に、体系的な知識という土台が備わっている執行役員候補にとって、アクションラーニングは経営者視点を鍛える良い機会となります。
5. 幹部候補を育成する5つのステップ
幹部候補の育成は、人材要件の定義から配置・登用までの5つのステップで進めるのがおすすめです。単発の研修施策で終わらせず、選抜・育成・評価・登用までを経営戦略と連動させた一気通貫のプロセスとして設計することが、成功のカギとなります。
実は、ここまで見てきた学習テーマ・学習手法についても、このステップを踏んで初めて中長期的な育成として機能します。
それでは一つずつ見ていきましょう。
5-1. ステップ1:自社の戦略から重要ポストの人材要件を明確にする
最初のステップは、自社の戦略から逆算して、重要ポストの人材要件を定めることです。2章「【階層別】幹部候補の人材要件・設計の3ステップ」で整理したように、対象ポストの人材要件を定め、「誰を何のために育成するのか」を言語化しましょう。
人材要件を考える出発点は、自社のビジョンや経営戦略を読み解くことです。
その際、次のような観点で整理すると進めやすくなります。
- 5〜10年先を見据えたビジョンや中長期戦略を確認する
- 経営理念を把握する
- 自社の強みを分析する
- 組織や企業文化について、どこを維持し、どこを変革すべきかを検討する
そのうえで、これらの戦略を実現するために不可欠な重要ポストと、そこに求める人材像を描いていきます。
合わせて、他の要件を満たしていても候補から外す基準(ノックアウトファクター)を決めておくと、選抜の納得感が高まります。
5-2. ステップ2:現状の人材を把握し、候補を見極める
次のステップは、候補者の現在の能力・スキルや状況を客観的に把握することです。ありたい姿や人材要件が明確でも、現在地がわからなければ、埋めるべきギャップがどこにあるのかが見えません。
候補者の見極めにはアセスメント・テストを活用するのが効果的ですが、役職のレベルによって測定の力点を変える必要があります。上位の役職になるほど、経営知識は知っていて当然という前提になり、本人の持つ素養が事業成果に与える影響が大きくなるためです。
- 部長層・課長層:論理思考力や経営知識など、スキル領域を測るテストが中心
- 執行役員層:知識以上に、個人の資質を測る適性検査の比重が増す
グロービスでも、周囲からの多面的な評価で行動特性を可視化する「GMAP360」などを活用し、現在地の正確な把握と育成方針の検討を支援しています。

5-3. ステップ3:育成計画を策定し、研修などを実行する
ステップ3では、把握した現在地をもとに具体的な幹部育成計画を立て、実行に移します。
ここで押さえるべきポイントは2つあります。
- 学習テーマ(経営の定石、考える力、人を巻き込む力、志、組織運営力)と学習手法(ケースメソッド、他流試合、アクションラーニング)を組み合わせる
- 全員共通の必須課題と、個人の課題に応じた個別課題を分けて設計する
また、育成は研修だけで完結するものではありません。
幹部候補の成長は現場での実務体験から生まれる部分が大きいため、以下の2つを両輪で回す設計が重要です。
- OJT:部署異動や重要プロジェクトへのアサインを通じ、実務の中で力を鍛える
- Off-JT:現場だけでは補えない経営知識や広い視野を、研修やコーチングで養う
合わせて、経営陣や部門責任者を巻き込み、優秀な人材が特定部署に囲い込まれない仕組みをつくっておくことが、計画倒れを防ぐ大きなポイントです。
5-4. ステップ4:育成を評価し、施策を見直す
幹部候補育成の成果を定着させるためには、計画の実行に留まらず、成長度合いや適性を客観的かつ定期的に評価し続けることも必要です。
評価が曖昧なままだと、候補者の納得感が薄れ、育成そのものが形骸化してしまうからです。
評価の客観性を高めるには、複数の手段を組み合わせることが有効です。
- 行動観察
- 360度フィードバック
- 面談
- 思考力の測定や資質の適性検査
これらの結果を検証し、必要に応じて選抜基準や育成内容を柔軟に見直すことも重要です。検証結果によっては、候補者を再選抜する決断も必要になるでしょう。
特に役職が上がるほど、アクションラーニングでの議論の様子のように行動観察でしか測れない要素の見極めが重要になります。
5-5. ステップ5:対象のポストに配置・登用する
最後のステップでは、実際にポストへ配置し、結果責任を負う経験を通じて幹部人材としての力を仕上げていきます。
このフェーズでは、あえて難度の高い役割を与えるタフアサインメントが有効です。
また幹部就任後も放置せず、丁寧な引き継ぎや定期的なメンタリングを行うなど、定着までの伴走を怠らないことが大切です。
人材要件に対して適性が不足している場合や環境が変化した際には、登用を見送ることも検討しましょう。焦らず最適な時期を見極める姿勢こそが、育成施策全体の実効性を担保します。
以下の記事でも詳しく解説しています。
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6. 幹部候補育成における落とし穴と対策
幹部候補育成でつまずく原因の多くは、研修プログラムの中身よりも、研修を経営や現場実務の中でどう位置づけ、誰に届けるかという設計にあります。特に陥りがちな落とし穴は「研修だけで育成を終える」「全員に一律のプログラムを当てはめる」の2つです。
本章では、この2つの落とし穴と、具体的な対策を説明します。
| 落とし穴 | 具体的な対策 |
|---|---|
| 研修だけで幹部候補の育成を終わらせてしまう | 配置や実務経験と組み合わせる |
| 全員に一律のプログラムを当てはめてしまう | 階層に応じた個別最適を図る |
6-1. 落とし穴1:研修だけで育成を終わらせてしまう
幹部候補育成における第1の落とし穴は、研修だけで人材を育てようとしてしまう点にあります。複数分野を横断する現場経験が不足したまま幹部が登用されると、過去の狭い領域の視点でしか経営判断ができなくなりがちです。
もちろん、幹部候補の育成には、研修のような意図的な機会設計が欠かせません。現在の役職で成果を出す力と、次の階層で求められる経営能力は別物であり、昇格後に役割の変化に適応できず実力を発揮できなくなることがあるからです。
ただし、研修だけで幹部が育つわけでもありません。研修で積み上げられるのは意思決定の疑似体験に留まり、自らの判断で本当の結果責任を負う覚悟は、実際の現場でしか養えないためです。
自社の育成施策は、研修と実務経験がどちらか一方に偏ってはいないでしょうか。
全社最適の意思決定を下せる幹部を育てるには、以下のように研修と実務の役割を分けた設計が求められます。
- 研修(Off-JT):結果責任を意識した意思決定を疑似体験し、思考や判断の軸を養う場
- 実務(OJT・配置):重要なプロジェクトや異動を通じて、実際に結果責任を負う場
6-2. 落とし穴2:全員に一律のプログラムを当てはめてしまう
幹部候補育成における第2の落とし穴は、全候補者に同じプログラムを一律に当てはめてしまう点にあります。
一律のプログラムは、共通したスキルの底上げや、幹部候補同士の共通言語の醸成には有効です。一方で、個人ごとの課題や経験の差に対応しきれず、受講者の中で「この研修は自分にとってどういう位置づけなのか」が曖昧になりがちです。
この曖昧さは、受講目的の理解度やモチベーションの低下につながります。
そのため、以下の2つを組み合わせて設計することが大切です。
- 共通必修:全候補者が同じ内容を学び、幹部としての共通言語をそろえる部分
- 個別課題:アセスメント結果に基づき、受講科目・自社課題・コーチング・配置を個別に変える
さらに、階層によって個別最適の焦点も変わります。
- 部長・課長候補
- アセスメントで知識やスキルを測定し、一人ひとりの弱点を明らかにして補う個別最適が中心となる
- 執行役員候補
- 知識やスキルといった測れる領域は減り、自社の経営課題にどう向き合い、幹部として何を成し遂げたいのかといった、志を言語化するテーマが増える
このように、焦点は「弱点の補強」から「志の言語化」へと移っていきます。共通の基盤をそろえつつ、階層ごとの課題に応じた個別最適を設計することが、幹部候補育成のポイントです。
7. 【階層別】幹部候補の研修事例3選
本章では、グロービスが支援した幹部候補育成の事例を、役員候補・部長候補・課長候補の階層別に3社ご紹介します。
いずれも、目指す階層ごとに求められる役割や育成の目的を定義し、仕組みとして設計した取り組みです。自社の研修を具体化する際のヒントとしてお役立てください。
- 役員候補:
- 部長候補:
- 課長候補:
7-1. 明治安田生命保険相互会社様:次期役員候補の視座を高める全社視点の経営塾

半年にわたる経営塾を通じて、部門の枠を越えた全社視点と経営者としての覚悟を養った事例です。10年の継続により、現在の経営陣の大半が本プログラムの受講者となっています。
4-3. アクションラーニングで述べたとおり、体系的な知識という土台を備えた役員候補にとって、アクションラーニングが経営者視点を鍛える機会として機能した事例といえます。
- 導入前の課題
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- 環境変化や経営戦略の転換に伴い、経営幹部人材のあるべき姿と育成の在り方を見直す必要があった
- 次期役員候補者は専門分野での経験に偏り、経営者に必要な高い視座と広い視野が不足していた
- 研修内容
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- 次期役員候補者10名程度を対象に、約6か月のエグゼクティブコースを実施
- 様々な経営哲学に触れ、受講者同士で徹底的に議論を交わす構成とした
- 最終課題として社長就任を仮定した就任演説を実施し、会長や社長が同席して厳しい質疑応答を行う真剣勝負の場(アクションラーニング)を設定
- 成果・効果
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- 半年間の深い葛藤とプレゼンテーションを通じ、経営を担う当事者意識と覚悟が醸成された
- 取り組みを10年間継続した結果、現在の経営陣の大半が本研修の受講者となった
▼インタビュー本文はこちら
明治安田生命保険相互会社-現経営陣の大半が受講者。次期役員候補者向けプログラムで「見える世界が変わった」
7-2. パーソルテンプスタッフ株式会社様:部長候補の視座を引き上げ組織変革を担う幹部の育成

事業規模の拡大に伴い、現場マネージャーの延長ではなく組織全体をけん引する部長候補を育成した事例です。経営視点の共通言語を学び、組織変革を自ら推進するリーダー像を確立しています。
- 導入前の課題
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- 部長・本部長の候補者が少なく、若手からの意図的・計画的な育成が急務だった
- 若手のうちは、経営に必要な経験を通常業務では得にくいという課題があった
- 研修内容
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- 課長層および部長候補層を対象に、3つの階層に分けた選抜研修(ラーニングジャーニー)を構築
- 単なる知識のインプットに留まらず、業界をけん引するリーダーとしての志や主体的意志を育むプロセスを重視した
- 同社の将来を担う経営チームを強固にしていくことを見据え、ネットワーク形成も重視
- 成果・効果
-
- 施策を開始した3年間で、受講者のうち10名が課長から部長へ昇進
- 各受講者が自組織の枠を越えた視座で経営を捉えられるようになり、将来の事業構想や部門間連携の議論が日常的に行われるようになった
▼インタビュー本文はこちら
パーソルテンプスタッフ株式会社-3年間で10名の受講者が部長へ昇進。幹部層に多様性を持たせ、経営力を上げるための次世代経営者育成
7-3. 三菱重工業株式会社様:課長候補の早期選抜育成を実務と合わせて仕組み化

非管理職クラスからの早期選抜と、研修と実務(タフアサインメント)の連動を仕組み化した事例です。
将来の経営幹部候補となる人材の層を早期から厚くするため、課長層・主任層を対象とした育成体系を確立しています。
- 導入前の課題
-
- 環境変化が激しさを増す中で、経営の舵取りを担う将来の経営幹部を育てる取り組みが最重要課題となっていた
- 将来の幹部候補となる人材の層を厚くするうえで、非管理職クラスからの早期育成が不十分であった
- 研修内容
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- 中長期の幹部育成計画(サクセッションプラン)のもと、課長層・主任層に3種類の育成プログラムを実施
- 課長層向けは「先を見る、外を見る」をテーマに、経営の知識に加え幹部としての覚悟や志に向き合う内容を設定
- 研修での学びと、現場でのタフアサインメントによる経営者経験を連動させた
- 成果・効果
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- 次世代幹部の候補者層(人材プール)が拡がり、育成後にタフなジョブアサインメントを行う体制を整備した
- 6年以上継続した結果、初年度の受講者から役員を輩出している
▼インタビュー本文はこちら
三菱重工業株式会社-受講者から役員を輩出。ジョブアサイン連動型タレントマネジメントで「未来を起動する」次世代リーダーを早期育成
8. 幹部候補の研修についてよくある質問
本章では、幹部候補研修の企画・運用に関して、人事ご担当者様からよく寄せられる質問にお答えします。
- 幹部人材と経営人材の違いは何ですか?
- 幹部候補と次世代リーダーの違いは何ですか?
- 幹部候補研修は、対象者ごとにどのように個別化するべきですか?
- 幹部候補が共通して求められるスキル・学ぶべき内容はありますか?
8-1. 幹部人材と経営人材の違いは何ですか?
幹部人材と経営人材の違いは、果たすべき役割にあります。
- 幹部人材:経営戦略を正しく理解し、それを現場で確実に実行する役割(実行に軸足がある)
- 経営人材:企業全体の将来像を描き、中長期の意思決定を下す役割(構想と決定に軸足がある)
役職の上下ではなく、現場での実行を担うのか、全社の構想と最終決定を担うのかという役割の違いとして捉えると、整理しやすくなります。
8-2. 幹部候補と次世代リーダーの違いは何ですか?
幹部候補と次世代リーダーの違いは、特定のポストと結び付けて選抜しているかどうかにあります。
- 幹部候補
- 部長や事業責任者、役員などの重要ポストを担う人材として、企業が意図的に見極めて選抜育成する、限定された層のこと
- 次世代リーダー
- 将来的に組織をけん引することが期待される人材を広く指す言葉で、具体的なポストや正式な選抜を必ずしも前提としないもの
幹部候補のほうが、特定のポストと結び付いた絞り込まれた概念だといえます。
8-3. 幹部候補研修は、対象者ごとにどのように個別化するべきですか?
個別化は、次の3つの手順で進めると整理しやすくなります。
- 対象ポストの人材要件を、知識・スキルだけでなく、期待される行動まで具体化する
- アセスメント・上司評価・360度評価・過去の実績などから、候補者の現在地を把握する
- その2つのギャップに応じて、学習テーマ・自社課題などの学習手法・タフアサインメントを変える
なお、役職が上がるほど個別化の焦点は変わります。
部長・課長候補では「知識・スキルの弱点の補強」が中心ですが、執行役員候補では「自らの志や使命の言語化」の比重が高まります。詳細は6-2「落とし穴2:全員に一律のプログラムを当てはめてしまう」で解説しています。
8-4. 幹部候補が共通して求められるスキル・学ぶべき内容はありますか?
すべての幹部候補に共通して求められる領域はあります。具体的には、経営の定石、考える力、人を巻き込む力、志と、それらを支える基盤テーマである組織運営力の5つです。
ただし、対象とするポストによって求められる深さや優先順位は異なります。そのため、共通の基礎知識を一律で提供する共通必修の部分と、個々の課題に応じた個別課題の部分を分けて設計することが重要になります。
5つのテーマの詳細は3章「幹部候補研修における5つの学習テーマ」、共通必修と個別課題の設計は6-2「落とし穴2:全員に一律のプログラムを当てはめてしまう」で解説しています。
9. 幹部候補研修はグロービスにご相談ください
幹部候補研修で成果を出すカギは、研修という手段から入るのではなく、その上流にある育成目的の整理と人材要件の明確化にあります。
一方でこの上流の設計は、多くの企業の人事担当者様が頭を悩ませる難易度の高いプロセスでもあります。
グロービスでは3,600社以上(2026年4月現在)の人材育成をご支援してきました。様々な業界での幹部人材育成を通じて、独自の知見を蓄積しています。経営戦略に基づいた育成の目的・ゴールの整理から、研修内容の設計・実行まで、MBAホルダーのコンサルタントが一貫して伴走します。
【グロービスの幹部候補研修の特長】
- 経営課題の特定や育成のゴール設定といった上流の工程から、お客様と共に検討を進める
- 対象ポストの人材要件に合わせて、共通必修と個別課題を設計する
- ケースメソッドやアクションラーニングなど、実践的な学習手法で研修を成果につなげる
「どこから着手すればよいかわからない」「上流の設計だけでも相談したい」といった段階でのご相談でも構いません。
将来の貴社の幹部育成に向けて、ぜひお気軽にお問い合わせください。
▼階層別の研修内容についてはこちらから
10. まとめ
最後に、本記事でお伝えしたポイントは以下のとおりです。
- 幹部候補研修を成功させるカギは、自社の経営戦略に基づき「誰を、どのポストの候補として、どのような状態へ引き上げるのか」という目的を明確にすることである
- 幹部候補研修が重要である理由は、将来の経営課題に早期から向き合い、プレイヤーから経営者へ視座を引き上げられることや、幹部就任後の立ち上がりを早められるからである
- 人材要件は「自社の経営課題(Why)」→「ポストのあるべき役割(What)」→「必要な能力(How)」の3ステップで決める
- 幹部候補研修における5つの学習テーマ
- 経営の定石
- 考える力
- 人を巻き込む力
- 志
- 組織運営力(4つのテーマを支える基盤テーマ)
- 幹部候補研修でおすすめの学習手法
- ケースメソッド:実在の経営課題を通じ、意思決定のプロセスを疑似体験する学習法
- 異業種交流・他流試合:他社との議論・交流を通じ、自社の固定観念や前提を問い直す学習法
- アクションラーニング:自社のリアルな経営課題を題材に、解決策を立案する学習法
- 幹部候補を育成するステップ
- ステップ1:自社の戦略から、重要ポストの人材要件を明確にする
- ステップ2:現状の人材を把握し、候補を見極める
- ステップ3:育成計画を策定し、研修などを実行する
- ステップ4:育成を評価し、施策を見直す
- ステップ5:対象のポストに配置・登用する
- 幹部候補育成におけるポイントは、研修だけで育成を終わらせず、配置や実務経験と組み合わせることや、全員に一律のプログラムを当てはめず、階層に応じた個別最適を図ることである
幹部候補研修の効果的な設計・運用方法について、具体的なイメージをお持ちいただけたでしょうか。
幹部人材の育成でお悩みがある場合は、ぜひグロービスにお気軽にご相談ください。

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