株式会社イズミ
部長級以上の52%が卒業生に。経営人材を計画的に輩出する企業内大学
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中国・四国・九州エリアを中心にスーパーマーケットやショッピングセンターを展開する株式会社イズミ様。同社は、将来の経営人材を社内から計画的に育成・輩出することを目的として、2年間の研修プログラムからなる企業内大学「イズミ大学」を創設。これまでに100名以上の経営人材候補を輩出してきました。その取り組みについてお話を伺いました。(部署・役職はインタビュー当時)
【株式会社イズミ様】
写真中右:執行役員 人事部長 宮次 太功様(イズミ大学 事務局長 1期生)
写真中:執行役員 グループコーポレート統括部長 戸町 奈緒子様(イズミ大学 2期生)
写真右:財務経理部 部長 向井 貴志様(イズミ大学 2期生)
写真中左:グループコーポレート統括課 課長 木田 恭子様(イズミ大学 4期生)
【グロービス担当者】
写真左:荒木 貴之
- 導入前の課題
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- 単年度の経営方針を着実に実行する力に長けている一方、組織の縦割り意識を排し、中長期視点で全社を俯瞰しながら、自ら考え変革していける経営人材の育成ができていなかった
- 経営人材を組織的に育てる仕組みの検討が不十分で、リーダー育成が個人の資質や努力に委ねられていた
- 研修内容
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- 2年間で経営の基礎スキル習得からアクションラーニングまでを行う企業内大学「イズミ大学」を創設した
- 社内セッションや他流試合、動画学習などを組み合わせ、多角的な視点と学ぶ習慣を醸成した
- 経営陣が次世代リーダー育成にコミットし、1on1や最終発表に関わる伴走体制を構築した
- 成果・効果
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- 卒業生が100名を超え、「5年間で経営人材候補100名輩出」という目標を前倒しで達成した
- 部長級以上の52%を企業内大学の卒業生が占め、副社長や執行役員などの経営層も輩出している
- 経営視点が養われ、顧客視点での思考や発言が現場に浸透しつつある
背景と課題
大変革期をリードする次世代経営人材の育成が急務に
戸町さん:
当社は「2035年長期ビジョン」として、最も地域に寄り添い、地域のお客様に頼りにされる「地域の総合生活産業」を目指しています。ビジョン実現に向けた指標として、営業収益1兆円以上という大きな目標を掲げています。その達成には、スーパーマーケット事業の規模拡大や多角的な事業展開など、非連続な成長が欠かせません。
社内に目を向けると、この大変革期をけん引するリーダーを育成できていないことに課題感がありました。当社は小売業として、店長を育成するための階層別教育には注力してきましたが、店長職に就いた後の成長は本人の適性や努力に委ねられており、組織的に経営人材を育てる仕組みがなかったのです。
背景として、当社は創業オーナーによる強力なリーダーシップのもとで成長を遂げてきた歴史があります。それゆえ、社員は会社の経営方針に沿って着実に実行する能力に長けている一方で、自ら考え提案し、組織を変革していくという風土は今後さらに育んでいく必要がありました。

宮次さん:
次世代経営人材の育成を検討していた当時は、創業者が90代後半に差し掛かっており、サクセッション(経営継承)への対応は待ったなしの状態でした。いよいよ次のトップや取締役を社内で育成し、計画的に輩出していくフェーズが来たという危機感のもと、イズミ大学を立ち上げる決断に至りました。
中長期視点で全社を俯瞰し、組織を変える経営人材を輩出する
戸町さん:
イズミ大学を創設するにあたり、我々がまず取り組んだのは、人材要件を根本から変えることでした。業務知識が豊富で遂行能力が高いことに加えて、大きな変革期を乗り切るためには別の力も必要だと考えました。固定観念や過去の成功体験に縛られず、未来に成果を出せるポテンシャルを持った人材にフォーカスし、経営者の視点を磨く必要があると考えました。
次世代経営人材を育成するために、イズミ大学では2つのゴールを設定しました。ひとつは、部門横断で連携し、シナジーを生み出せること。そして、短期業績のみならず中長期視点で会社を俯瞰して自ら考え、組織を変えていく経営者意識を持つことです。
プログラムの設計にあたっては、グロービスに全面的に協力いただきました。当時の能力開発部長が広島県内の他企業における導入事例を伺い、「このパートナーとなら、我々が目指す企業内大学を実現できるのではないか」と思って相談を持ちかけたのが始まりです。最終的な決め手は、当社の課題を深く理解したうえでの高いカスタマイズ力や豊富なソリューション、そして荒木さん(グロービス担当者)の高いコミットメントでした。
検討プロセスと実施内容
他流試合や自社課題など、多様な学びを組み合わせた「修羅場」の設計
宮次さん:
イズミ大学のカリキュラムは、2年間という長期間にわたるハードな内容です。1年目は経営の基礎を徹底的にインプットし、2年目は他流試合としてグロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)で学ぶとともに、自社のリアルな経営課題に対して提言をするアクションラーニングを行います。高い負荷の学びをやり遂げる仕組みが構築されており、受講者は成長のためにいわゆる「修羅場」体験に身を置くことになるのです。
特にこだわったのが、他流試合です。社外のビジネスパーソンと議論することで、視野を大きく広げてもらいたいと考えました。業種が違えば、ビジネスのさまざまな場面で重視するポイントも異なるはずです。特に当社はオーナー企業で独自の経営スタイルがあるので、外の世界に触れ、多様な考え方があることを肌で感じ取ってもらいたいと思いました。

戸町さん:
「グロービス学び放題」も取り入れています。ただ動画を視聴するだけでなく、受講者が集まる場を定期的に設け、動画学習を通しての気づきを共有し合うなど、全員で学ぶ学習環境を提供してきました。事務局が率先して動画を視聴したり、受講者の動画視聴数をアナウンスしたりするなど、お互いに刺激を受けながら学べる場づくりをしています。
経営陣が次世代経営人材育成に対し、高いコミットメントを持っていることも特徴です。アクションラーニングの最終発表には部長以上の幹部全員が出席します。さらに、受講者はイズミ大学の校長である専務との1on1を行います。心理的安全性が高い環境で、学びの振り返りやその中で感じていること、新たな気づきなどを対話しているのです。

戸町さん:
グロービスには、立ち上げから5年間にわたって伴走いただいています。毎年、受講者一人ひとりを細やかに見ていただき、それぞれの理解度や特徴をもとに翌年以降のプログラムをブラッシュアップできていることに感謝しています。
宮次さん:
荒木さんには、過去の受講者向けの「卒業生カレッジ」の提案など、学びを止めないための先を見据えたサポートもいただいています。講師の方々も、ビジネスの最前線でさまざまな経験を積んでいるので話に説得力がありますし、受講者が発言しやすいように議論を円滑に進行してくださるのが心強いです。
新しい世界に触れ、学びへの意欲がさらに高まった
木田さん:
私はイズミ大学で学びました。現在育児のため時短勤務をしており、最後まで学びきれるだろうかという不安な気持ちでスタートしました。ところがいざ始まってみると、1年目に基礎を固めてから2年目の実践に臨むというステップがあったおかげで、前向きに取り組むことができ、学びが深く定着したと感じています。
社内のことしか知らなかった私が新しい世界に次々と触れ、学習意欲が高まっていきました。1on1では、当時のイズミ大学校長だった副社長と対話しました。数千名規模の組織なので、マネージャーである私にとっては遠い存在ですが、「自分のことをよく見てくださっている」と感じる言葉をいただき、経営陣に見守られている中で学べるありがたさを覚えました。

向井さん:
私も木田さんと同じく、イズミ大学の卒業生です。各部門から集まった受講者同士でディスカッションし、当社がいかに縦割り組織であるかを感じる場面がよくありました。社内の問題点について話をすると、他部門のメンバーも同じことを考えていたというのです。小さな改善点でさえ、同僚と話をすることがなかったのだと痛感した経験でした。
成果と今後の展望
部長級以上の52%をイズミ大学から輩出。副社長や執行役員も誕生
戸町さん:
イズミ大学は4期目まで終了し、これまでに103名が受講しました。当初の目標であった「5年間で経営人材候補を100名輩出」を前倒しで達成したことになります。
この103名のうち、28名が昇格しました。2025年10月時点で、部長級以上の52%をイズミ大学の卒業生が占めています。特に女性管理職(部長級以上)については、在任者が全員イズミ大学の卒業生です。多くの卒業生が学びを活かせるポジションで活躍していることは、周囲の社員にも大きな刺激になっていると思います。
宮次さん:
イズミ大学の卒業生であることを昇格要件にしているわけではありません。適材適所で人選した結果、イズミ大学で2年間学び抜いた人材が重要なポストに抜擢されているのです。配置転換も積極的に行っていますし、卒業生から副社長や執行役員も生まれており、イズミ大学での学びがその後のジョブアサインや昇格に連動する体制が整ってきました。

最後は「志」が決めるというリーダーとしての覚悟
向井さん:
私は経営企画に在籍していた際にイズミ大学で学び、卒業後、財務経理部へ異動しました。以前は「自分の専門分野を極めていれば十分だろう」という思いがどこかにありました。しかし、受講を通して戦略やマーケティング、財務といったそれぞれの機能が一体化しなければ経営は成り立たないことを痛感しました。
イズミ大学を受講する中で感じた社内の変化のひとつに、言葉遣いの変化があります。以前は自分たちの視点や都合で「これを売りたい」という発言が目立っていましたが、今では「お客様は何を望んでいるのだろう」という声が多く聞かれるようになりました。「お客様」という言葉が自然に出る人が増えてきたことは、小さな変化かもしれません。しかし、顧客視点で物事を捉えるリーダーへと、皆が着実にシフトしつつあることを実感しています。

戸町さん:
私自身もイズミ大学の卒業生です。物事の判断に迷ったとき、最終的には「志」に立ち返ることの大切さを意識するようになりました。何のためにそれを行うのか、なぜ必要なのか、そして自分はどうしたいのか。体系的な学びを基盤としつつ、経営陣に説明するための論点や材料を整理することで、迷いながらも自分なりに意思決定と向き合えるようになってきたと感じています。これからもAIなど時代の変化に対応しながら学び続けたい、という前向きな気持ちで仕事に向き合えています。
イズミ大学を、経営人材の登竜門として進化させていきたい
宮次さん:
イズミ大学は、4期目まで受講者を指名していました。100名を超える卒業生の活躍を見て「自分もチャンスを掴みたい」と思う社員にも機会を与えるために、5期目は公募制を導入しています。また、アクションラーニングで経営課題に対する提言をして終わりにせず、その後の扱い方を役員会で各部署のトップから回答する仕組みも整えました。
そして、イズミ大学は卒業して終わりではありません。学びを止めないための仕組みとして、継続的に読書会や講演セッションを行う「卒業生カレッジ」をスタートさせています。また、1期生や2期生は経営に参画しているメンバーもいますし、昇格者がこれからも出てくることをふまえ、もう一段ハイレベルなプログラムを設けることも検討中です。
今後、イズミ大学を経営人材の登竜門としてさらに進化させたいです。当社の創業者の言葉に、「地道に 愚直に 徹底的に」というものがあります。今も受け継がれているこの姿勢を学びにも活かし、自ら未来を変えていけるリーダーをこれからも輩出し続けたいと思います。

グロービス担当コンサルタントの声

荒木:
イズミ様では、経営陣の皆さまが次世代経営人材の育成に継続的に関与してくださっています。イズミ大学の受講者一人ひとりに高い関心を寄せ、何が強みなのか、研修修了後のアサインをどうすべきか、といったことを頻繁に議論されているのです。経営陣の皆さまが次世代リーダーの活躍を心から願い、将来の経営を担うための修羅場体験を与える、そして受講者の皆さまが期待に対して全力で応えるという双方のコミットメントがある点が、イズミ様の強みであると考えています。
受講者の皆さまは実務でタフアサインメントに向き合いながら、2年間のハードなプログラムの中で積極的に学び続けています。「グロービス学び放題」の動画視聴数も、他の事例と比べても高い水準です。イズミ様の「やり切る」組織風土と、学びへの圧倒的な熱量は、2030年のビジョン達成に向けた大きな追い風になるだろうと感じています。イズミ様の持続的な成長のために、これからも経営人材育成のご支援を続けたいと思いますし、私自身も良い刺激をご提供できるよう、挑戦し続けてまいります。
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