LMS(学習管理システム)とは?基本機能や導入メリットを解説

2024.09.12 更新 2022.09.26 公開

社員研修や自己啓発の一環として、よく活用されるのがeラーニングです。社員が効果的にeラーニングに取り組むためには、人事などの管理者が学習コンテンツをしっかりと管理し、適宜受講する社員のフォローを行うことが重要です。この記事では、学習コンテンツ管理やフォローに欠かせないLMS(学習管理システム)について、そのメリットや導入により実現できることをご紹介します。

LMS(学習管理システム)とは

LMSとは「Learning Management System(学習管理システム)」の略です。eラーニングなどの研修・学習を提供する際に活用されるシステムで、受講者がログインして学習を行う「学習機能」と、管理者が受講履歴や進捗管理などを行う「管理機能」を備えています。

またLMSはeラーニングだけでなく、対面の集合研修やオンライン研修など社内のあらゆる研修や学習を一元管理できるプラットフォームとしても活用できます。さらに、必修研修や手上げ式の公募研修、自己啓発学習など、受講形式を問わずに管理できるLMSもあります。

LMSは社員に学習コンテンツを提供することに加えて、研修を管理する側の業務効率化や、社員一人ひとりの学習進捗や理解度の可視化などを実現できるため、管理する人事にとっても学習する社員にとってもメリットがあります。LMSは、学習効果の最大化をサポートするシステムであるともいえるでしょう。

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LMS(学習管理システム)が注目される背景

LMSが注目される背景として、「VUCA時代による研修体系の変化」「コロナ禍の影響による研修の提供方法の変化」「人的資本開示の影響による育成対象者の変化」などといった人材育成を取り巻く環境の変化が挙げられます。

VUCA時代によって、求められる知識やスキルは目まぐるしく変化しています。そのため、人事による計画的育成では手遅れとなり、現場の社員が自律的に学ぶことが重要となってきています。また、業務過多によって、人事オペレーション業務のひっ迫が課題となっている企業も少なくありません。

コロナ禍の影響によって、対面での研修や紙媒体を用いた学習からオンラインを前提とした研修・学習に変化したことも理由の一つです。オンラインによって学習の簡便さが増した一方で、学習そのものの質が低下しやすいという課題があります。そのため、オンライン化における学習活性化が求められているのです。

さらに、人的資本開示の影響によって、育成対象選定の判断が必要になりました。誰にどんな育成を行うかを戦略的に企画することが重要となっている一方で、人事データの活用に着手するハードルが高いという課題もあります。このことから、学習データの収集や可視化を効率的に行うための取り組みが重要視されているのです。

こうした背景から、戦略人事への進化の必要性がより一層増しており、研修業務の効率化や学習環境の整備、データの一元化が可能なLMSの注目度が高まっているといえるでしょう。

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LMS(学習管理システム)でできること

LMSはさまざまな機能を搭載しています。ここでは、LMSでできる基本的な機能をご紹介します。

LMSはさまざまな企業からサービスが提供されていますが、一般的には「学習に関する機能」「管理に関する機能」の2つに分けられ、それぞれ以下のような機能があります。

LMSでできること

1. 学習に関する機能

学習コンテンツ配信機能

テキストや図などの静的な学習コンテンツはもちろん、動画やライブ配信などの動的な学習コンテンツを配信することができます。

課題提出・アンケート機能

受講する社員が作成した事前・事後課題などのファイルを回収したり、アンケートを配信しその回答を回収・集計したりすることができます。

マルチデバイス対応

パソコンだけでなく、タブレットやスマートフォンなどさまざまなデバイスで視聴することが可能です。これにより、いつでもどこでも学習が可能なeラーニングのメリットを最大限に活かすことができます。

セキュリティ機能

機密情報が含まれる学習コンテンツに対し、視聴できるデバイスや環境を制限する機能です。機密情報が含まれるコンテンツは社内のパソコンのみで視聴可能とし、それ以外のコンテンツはモバイル端末でも視聴可能というように使い分けが可能です。

テスト作成機能

学習内容の理解度を測るテストを作成できます。単一選択や複数選択など設問形式を選択できるほか、設問や解説への画像の挿入、合格基準の設定も可能です。また、自動採点も可能なので、受講者は回答提出後すぐに結果を確認できます。

2. 管理に関する機能

ユーザー管理機能

ユーザーの氏名や年齢、所属部署、役職などの基本情報を管理する機能です。ここで登録したユーザーに、学習の進捗状況や成績、視聴したコンテンツなどを紐づけして管理することができます。

学習進捗管理機能

社員一人ひとりの学習進捗状況を管理することができます。これにより学習がどこまで進んでいるかを可視化できます。

成績管理機能

テストを実施した際に一人ひとりの成績を管理し、理解度を可視化することができます。

学習履歴管理機能

社員の学習状況を管理する機能です。これまで学習してきた内容や、今後どのようなコンテンツを受講するべきかを管理することができます。

自動メール配信機能

受講開始の案内メールやテスト・課題提出の締切が近づいた際のリマインドメールを自動で配信できる機能です。これにより、受講漏れや提出遅延を防止できます。

関連記事「LMSの主な機能一覧を紹介!選び方のポイントを押さえよう」

LMS(学習管理システム)導入のメリット

LMSを導入することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか?LMS導入は、管理者・受講者・受講者の上司にとって、それぞれ以下のようなメリットがあります。

1. 管理者のメリット

社員の学習効果を高められる

LMSはeラーニングに加えて社内のあらゆる研修や学習を一元管理できるプラットフォームでもあり、学習進捗状況の把握や教材管理のほか、複数の研修を体系的・計画的に管理することができます。そのためLMSを活用することで、集合研修やオンライン研修においても、研修当日だけでなくその前後の学習体験を設計することができ、より学習効果を高められます。また、社員が受講したくなるような研修・学習をLMS上で紹介することで、スキルアップや自律学習を促進する仕組みを構築することも可能です。

社員の学習データを可視化できる

LMSは受講者が受講するべきコンテンツやその進捗状況、テストやアンケートの結果などのデータを蓄積できます。そのため、学習がどこまで進んでいるか、どの程度理解できているかといった学習状況を、受講者ごとにいつでも確認することが可能です。さらに、LMSを全社で導入すれば、全社の研修や学習データを集約できるため、人的資本開示に向けたデータ活用ができることもメリットの一つです。

常に最新の教材を提供できる

LMSは学習コンテンツを簡単に追加・修正できます。動画ファイルやPDF、ワード、エクセルなどさまざまなファイル形式に対応しているので、自社で作成した学習コンテンツもスムーズにアップロート可能です。社内体制や業務内容の変更、法改正による制度の変更が生じた際などにも、最新の情報を反映したコンテンツを速やかに提供でき、社員もすぐに知識をアップデートできるようになります。

社員の学習状況に合わせたフォローができる

社員の習熟度を可視化できることによって、個別のフォローがしやすくなります。たとえば、テストの結果があまり良くなかった社員に対しては、学習コンテンツの提供やフォロー研修の実施によって学習のサポートが可能になります。テストの結果が良い社員には、より高度で専門的な学習をすすめることにより、さらなるスキルアップを促せるでしょう。一人ひとりの状況に合わせたフォローを行うことで、学習効率をさらに高められます

研修管理業務の効率化ができる

社内の必修研修や公募研修など、研修管理の一部を自動化できるため、業務の効率化にもつながります。たとえば、受講者リストの作成やリマインドメールの送信、進捗管理やアンケート集計などの作業は、LMSによって自動化することが可能です。研修管理にかかる時間を削減できれば、人事戦略の検討などの本来時間を使うべき業務に集中することができます。

2. 受講者のメリット

いつでもどこでも学習できる

パソコンやスマートフォン、タブレットなどから簡単にアクセスできるため、時間や場所を問わずに学習が可能となります。フリーアドレスやテレワークなど多様なワークスタイルにも対応しやすいでしょう。

学習状況を可視化でき、モチベーションにつながる

受講者の学習状況を可視化できるため、「いつまでに・何を・どうすべきか」が明確になります。具体的な学習プランに沿って効率的に学習できるので、モチベーションや達成感につながります。

学習進捗や成績を確認でき、目標や計画を立てやすい

学習進捗やテスト結果などの成績を受講者側で確認でき、得意分野・苦手分野の把握が可能になります。そのため、自分の得意・不得意や習熟度に合わせて努力目標や学習計画を立てやすく、自律的な学習向上やスキルアップにつなげられるでしょう。

3. 受講者の上司のメリット

育成対象者の学習進捗や成績を一覧で確認できる

LMSは学習状況を一元管理できるため、各社員の習熟度や研修内容の理解度を把握することが可能になります。社員一人ひとりのテストやアンケートの結果、事前事後の提出レポートなども個別で確認できるので、それぞれに合った個別フォローがしやすくなります。

育成対象者が学んでいる内容をもとに、育成目標の立案をサポートできる

育成対象者の学習状況や学習内容をもとに、一人ひとりに合わせて育成目標の立案をサポートできます。社員と密接に連携しながら、習熟度向上やスキルアップに必要な学習コンテンツの提供や学習アドバイスの提示がしやすくなるため、効率的に社員育成ができるとともに、社員のモチベーション低下も防止できるでしょう。

LMS(学習管理システム)を導入する際の注意点

LMSを導入することでさまざまなメリットを得られますが、LMSの導入にはコストがかかるため、注意が必要です。くわえて、LMSは機能が充実しているものの操作方法の習得には時間がかかります。

また、すでに運用している自社の研修のオペレーション業務をLMSに移行するには、研修運営・管理オペレーションを再設計する必要があります。さらに受講する社員への周知や受講者の上長への説明など、LMS活用の社内浸透に向けた活動も欠かせません。

このように、LMSは費用面だけでなく時間的・人的なコストが発生します。そのため、LMSを導入することで得られる費用対効果と比較して、慎重に検討するようにしましょう。

LMS(学習管理システム)を検討・導入する際のポイント

LMSはさまざまな企業からサービスが提供されているため、自社に合ったLMSを選定することが大切です。ここでは、LMSを検討・導入する際の4つのポイントをご紹介します。

LMSを検討・導入する際の4つのポイント

1. 導入の目的を明確にする

LMSの導入を検討する際は、はじめに導入の目的を明確にしましょう。目的の例としては、「社員の自律学習の促進」「人事の研修管理業務の効率化」「研修コストの削減」などが挙げられます。自社の現状や課題を把握して、自社のニーズに合ったLMSを選ぶことが大切です。

2. 自社に必要なLMSの要件を整理する

導入の目的を明確にできたら、その目的を達成するために必要な要件は何かを整理しましょう。「権限を細かく設定できる」「アンケートやディスカッションができる」「ライブ授業ができる」などの機能面の要件も重要ですが、「社員が自ら学びたくなる」「管理する人事の手間がかからない」など、選定の軸になる要件も併せて考えておくと良いでしょう。機能面は運用でカバーできることもあるため、まずはどんなLMSならば目的を達成できるか?といったことから考えていきましょう。

3. ベンダーの情報収集を行う

自社に必要なLMSを導入するためには、ベンダーの情報収集と自社に合ったベンダー選定が欠かせません。情報収集は、インターネットでの検索やベンダー主催のセミナーへの参加、付き合いのある業者に紹介してもらうなどの方法が挙げられます。

比較する際は、LMSの特徴や機能性、費用面だけでなく、導入事例や操作性、導入後にどのようなサポートがあるのかをあわせて確認することも重要です。気になることがあれば、ベンダーに直接確認すると良いでしょう。

4. 人事・受講する社員が実際に使えるかどうかを確認する

どんなに機能性が高く、自社の目的に合ったLMSを導入しても、操作性が低く使いにくければ、そもそもLMSを活用することができません。LMS導入前に、デモ環境やトライアルなどを通じて、人事や受講する社員が直接LMSを触って操作性を確認することをおすすめします。実際の管理業務や研修受講でスムーズに使えるかどうか、複数のLMSを触って比較してみましょう。

LMSの比較検討のポイントを詳しく知りたい方は、以下のお役立ち資料をご参照ください。
参考資料「LMSの比較検討・意思決定のポイント」
関連記事「LMSベンダー選定のポイント|手順や選び方のポイントを解説」

eラーニングにおけるLMS(学習管理システム)活用

最後によくあるLMSの使われ方として、eラーニングにおける活用を紹介します。

eラーニングは、講師と受講者が同じ場所に集まる集合研修とは異なり、インターネット上で学びを完結できる学習手法です。

受講する社員はパソコンやモバイル端末のブラウザを開き、表示されるコンテンツに従って学習を進めていきます。学習コンテンツやテスト、アンケートなどはインターネット経由で配信され、重いテキストを持ち運ぶことなく、自分の都合に合わせてどこでも学習を進めることができます。

一方、管理側は社員一人ひとりの進捗やテスト結果などを、まとめて分析することができます。どこまで学習が進んでいるのかを確認するだけでなく、受講者が学習内容をしっかりと理解できるか、また学習コンテンツをどのように改善すればより良い学びにつなげることができるのかを、データを通して検討することが可能です。

こうしたeラーニングの利便性を支えてくれるためのシステムが、LMSです。LMSは学習コンテンツの作成や管理、社員の学習進捗状況や理解度などを管理する機能が備わっています。LMSを活用することで管理者にとっては管理業務の効率化に、社員にとっては自律的な学習の促進につながります。

関連記事「eラーニングとは?メリット・デメリットと導入に必要なものを解説」

まとめ:LMSは社員の自律学習を促進できるツール

eラーニングや研修などの学習効果を最大化するためには、ただプログラムを受けてもらうだけでは不十分であり、管理者側の学習体験の設計やきめ細かなフォローが重要です。これらを効果的・効率的にするのがLMS導入のメリットでもあり、LMSは社員一人ひとりの学習を促進し、自律学習を実現するツールであるとも言えます。

LMSを導入する際にはコストや機能だけでなく、運用面にもフォーカスすることをおすすめします。多くの導入メリットがあるLMSでも、実際に学習管理を行う人事、受講する社員が使いこなせなければ意味がありません。

「GLOPLA LMS」は学習管理に必要な機能を厳選することで、操作に迷わないシンプルなUI/UXを実現したLMSです。やりたいことを迷わず実現でき、学習効果を高めるとともにスムーズな学習管理を可能にします。LMSの導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご連絡ください。

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