急速なグローバル化や市場の変化が激しい現代社会に対応するには、常に学び続けることが求められます。しかし、社員の教育施策について課題を抱えている企業も少なくないでしょう。そこで近年注目されているのがLXPという学習ツールです。本記事では、LXPで実現できることや必要とされる背景、LMSとの違いなどについて解説します。
目次
LXPとは、Learning Experience Platformの略で、「学習体験プラットフォーム」という意味を持つツールです。学習者それぞれの課題や関心に応じて、パーソナライズされた最適な学習プログラムを提供できるという特徴を持っています。
LXPは、AIやIT技術を用いて学習者のニーズに合った学習内容を最適化します。LXPを活用すれば効率的に学習を進められるようになり、社員の主体的な成長を促進できるでしょう。
LXPと似たツールに「LMS」があります。LMSはLearning Management Systemの略で、「学習管理システム」のことです。一般的に、LMSは研修業務の効率化が主な目的であり、管理者目線で社員の学習全般の管理を行います。新入社員研修をはじめとした必修研修の運用に適しているツールです。
一方、LXPは社員の学習体験に重きを置いたツールで、学習の活性化を主な目的としています。学習者目線で自らが学ぶ学習コンテンツを選定し、主体的な学習を促進する環境を整備します。そのため、公募研修や自己啓発学習の運用に適しているといえるでしょう。
なお、LMSはシステム上で学習・管理がすべて完結しますが、LXPはSNSやインターネット検索サイトなどの外部コンテンツにも自由にアクセスできるという違いがあります。
LXPが必要とされる背景には、グローバル化やIT技術の進化などに伴うジョブ型人事マネジメントへの転換や、VUCA時代における急速な環境の変化などが挙げられます。
これまでは企業が社員の特性に合ったキャリアを提供することが主流でしたが、急速な社会の変化に対応するために今後は社員一人ひとりが自らのキャリアを考えていくことが求められるでしょう。自分自身のキャリアを形成するうえで必要なスキルを得るには、常に学び続けることが重要です。
また、移り変わりが激しい現代において、ビジネス環境の不確実性は高く、将来を予測しながら何を学ぶべきかを計画するのは非常に難しくなっています。ただ受け身でいるのではなく、社員自身が自主的に考えて学び、自らをアップデートする必要があるのです。
同時に、企業には社員一人ひとりが自律的に学び続けられる環境を整備することが求められることから、ボトムアップ型の仕組みであるLXPは大いに役立つでしょう。
LXPは、社員の学習活性化や組織における学習文化の醸成など、学びを促進することが主な目的です。そのために必要な機能が備えられており、LXPを活用すれば社員が学びやすい環境を提供できるようになるでしょう。LXPで実現できることとして、主に以下の3つが挙げられます。
LXPを導入すれば、パーソナライズされた学習プログラムを提供できるようになります。
社員によって知識レベルや必要とするスキル、目指すキャリアなどはそれぞれ異なります。企業側が社員のニーズを正しく把握しきれていない場合、従来のLMSだけでは社員一人ひとりに合った学習を提供するのは難しいでしょう。
LXPはAIやIT技術を活用しながら、社員一人ひとりの課題やニーズに合った学習プログラムをレコメンドする機能を備えています。業務内容やポジションといった社員データ、過去の学習履歴などから最適な学習を提案してくれるため、学習者はその提案に沿って効率的に学習を進められるようになります。
また、学習者自身が「目標のキャリアを築くために何を学ぶべきか」「どのようなスキルを習得すべきか」などを考え、自分で目的を設定し、学習内容を選択できるのもLXPの特徴です。
社員一人ひとりのキャリア形成に対応した学習の提供が可能なので、組織的なスキルの底上げが期待できるでしょう。
LXPは学習者の関心や意欲にマッチした学習の提供が可能なだけでなく、学習者が自分で学ぶべき学習コンテンツを選択できます。自身のレベルに応じて、弱みを克服する学習や強みを強化する学習などを選べるため、高いモチベーションで学習に取り組めるでしょう。
上司や企業に学習を促されるのではなく、自らが必要性を感じて学習に取り組める環境は、学ぶ動機付けにもなります。
また、数分程度の短い学習コンテンツを搭載することで、通勤中や休憩時間などのスキマ時間を使って学習を進められます。効率的にスキルアップをはかれるため、学習者のモチベーションアップも期待できるでしょう。
LXPは外部コンテンツの追加や他のシステムとの連携が可能であるため、新しい学習体験を提供できるようになります。
たとえば、AIと組み合わせることで効率的な学習プロセスを実現できるでしょう。翻訳ツールと組み合わせれば、さまざまな言語の学習コンテンツを使って学習を進められるようになります。
また、eラーニングをはじめ、他社の学習コンテンツなどとも連携できるため、自社で用意しきれない学習コンテンツの提供も可能になり、学びの幅を広げられるようになります。
外部コンテンツや他のシステムと組み合わせることで、LMSでは対応していない領域についての学習も可能になるでしょう。LXPを導入すれば、幅広い領域でのスキルアップが期待できます。
LXPは学習活性化を目的としたツールですが、ただ導入するだけでは効果を発揮できない可能性があります。学習効果を高めるには、ポイントを理解して運用することが大切です。LXPの効果を高めるためのポイントは、以下の2つです。
フルタイムで働きながら、学習や自己啓発に充てるためのまとまった時間を捻出することは簡単ではありません。そのため、通勤時間や休憩時間などを有効活用して学習に取り組む人は少なくないでしょう。
スキマ時間を使って学習できるように、LXP内の学習コンテンツはマイクロ化するのがポイントです。現代人の集中力が持続する時間は非常に短く、15分が限界といわれています。高い集中力を維持しながら学習を終えるには、1つのコンテンツの受講時間を4~5分程度に設定するのが効果的です。
短いコンテンツであれば学習者も気軽に受講しやすく、持続的な学習を促進できるでしょう。
インプットも大切ですが、それと同じくアウトプットも非常に重要です。学んだ知識やスキルは、実践の場で活かせなければ意味がありません。活用することで初めて価値を発揮し、知識やスキルの定着につながります。そのため、学習後はできるだけ実務とつなげるようにしましょう。
学んだ内容を実際の業務に活かすには、業務で関わる上司や同僚などに学習内容を共有しておくことが必要です。社員には自ら学べる環境を提供するとともに、社員の学びを職場全体で認識し、組織的に支援することが求められます。
また、いきなり実務に活かすのが難しい場合は、ディスカッション形式で学習の振り返りを行うのも有効です。LXPによる学習効果を高めるために、学習後は実践の場を提供するようにしましょう。
LXPは社員一人ひとりの課題やニーズに合わせてパーソナライズされた学習を提供するツールです。最適化された学習を提案してくれるため、効率的に学習を進められるようになります。多様なキャリア形成にも対応しているので、組織の底上げにもつながるでしょう。
「GLOPLA LMS」は、管理者の業務効率化はもちろん、学習者の体験にもこだわっています。社員にとって学びやすい受講画面を備えているので、高い学習意欲を維持しながら学習に取り組めるでしょう。学習体験をより良いものにしたいとお考えの方は、ぜひお気軽にご連絡ください。