日本企業における人材育成の課題とは? ~GLOPLA LMSが実現するラーニング・エクスペリエンス~

企業の継続的な成長に欠かせないのが、人材育成です。経営資源はヒト・モノ・カネ・情報の4つで構成されていますが、モノ・カネ・情報を動かすのは「ヒト」であり、ヒトの成長すなわち「人材育成」は企業にとって必要不可欠です。 しかし日本企業における人材育成には、いくつかの課題が見られます。本記事では、人材育成の課題を乗り越えるためのアプローチと、それをサポートする学習管理システム「GLOPLA LMS」をご紹介します。

人材育成の重要性が、経営層に理解されにくい

企業の成長に欠かせない人材育成ですが、日本企業においては「経営層に人材育成の重要性を理解されにくい」のが現状です。

重要性が理解されないことで、人材育成が経営上のイシュー(重要課題)になりにくく、適切な予算・リソースの投資がなされません。結果、ますます人が育ちにくい負のループに陥ってしまいます。人材育成担当者の皆さまも、「時間や予算が足りず十分な育成施策を考えられない」といったお悩みは多いのではないでしょうか。

経営における人材育成の重要度の低さは、以下の事象からも読み取れます。

(1)経営における人事のポジションが低い

日本企業では、人事・人材育成部門の責任者が経営に深く入る機会が少なく、経営の意思決定権限も渡されていないことがほとんどです。

アメリカなどの海外では、経営の意思決定権限を持つCxOと呼ばれる役割に、人事・人材育成領域の責任者を配置することが浸透してきています。しかし日本企業では、以下のようなポジションを設置している企業はまだ少ないのが現状です。

  • CHRO(Chief Human Resource Officer:最高人事責任者)
  • CLO(Chief Learning Officer:最高人材・組織開発責任者)
  • HRBP(HRビジネスパートナー)

HRBPを例に挙げると、日本企業での設置率は11.3%とおよそ1割程度にとどまっています。
※参照:パーソル総合研究所調べ 「人事部大研究」

人材育成をはじめとした人事業務の重要度が高まらない限り、経営に近いこれらのポジションの設置は進みません。

その結果、いくら人材育成担当者が「人材育成から組織・経営を変える必要性」を提言しても、発言権が強くないため、企業経営へのインパクトを残すことは難しいでしょう。

(2)HRテックなど人材育成への投資が少ない

経営における人事業務の重要度が低い結果、人事業務改革に寄与するHRテックへの投資も海外ほど進んでいません。国内のHRテック導入率は17.3%と、2割にも満たないとの結果が出ています。導入しているHRテックの種類で最も多いのは人材管理(73.9%)、次いで労務管理(71.0%)、勤怠管理(69.6%)、求人・採用管理(62.3%)です。学習管理の導入割合は29.0%と低く、人材育成のHRテックに投資する企業はさらに少ないことがわかります。

※参照:マンパワーグループ調べ 「HR Tech導入と運用状況の調査」

このように、日本企業の人材育成担当者の前には、「人材育成が経営上のイシューになりきれていない」という大きな壁が立ちふさがっているのです。

関連記事「HRテックとは?導入メリットや組織マネジメントへの活用方法を解説」

なぜ日本企業では人材育成が重要視されにくいのか?

本来重要であるはずの人材育成ですが、なぜ経営層に重要性が理解されにくいのでしょうか。

この背景の一つには、人材育成の効果を測定できず、経営層に投資対効果を伝えられないことがあります。経営上、定量的な効果が見えないものには投資の判断が難しいのです。

しかし、人材育成の効果測定は難しいのが現状です。日本企業の多くが明確なスキル要件を定めていないため、そもそも育成で目指すゴールが曖昧です。さらには、現状のスキルレベルを正しく認識することも難しいため、「育成施策の前がどのような状態なのか」「育成施策の後でどのように変わったのか」の前後の変化を定量的に示すことができません。

では、なぜスキル要件を定めていない企業が多いのでしょうか。その理由は、日本企業の多くがジョブ型雇用ではなくメンバーシップ型雇用を採用していることにあります。

ジョブ型雇用とは、業務内容・責任範囲・必要スキルなどが明確化された「ジョブディスクリプション(職務記述書)」をもとに、契約を結ぶ雇用形態です。先に「仕事」があり、その仕事の遂行に適した人材を雇用します。

一方、日本企業で一般的なメンバーシップ型雇用は、業務内容やポジションを明確に定めず、人柄やポテンシャルを重視して採用を行います。先に「人」がいて、その人に合った仕事を見極めて振り分けます。どんな業務をやって欲しいのか、どんな人材になって欲しいのかなどの要件は、人によって変化します。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、どちらかが優れているというわけではありません。しかしメンバーシップ型雇用はその性質上、スキル要件が明確になりにくいのです。

これらのスキル要件が明確でないことが人材育成の効果測定を困難にしており、経営における人材育成の重要度が下がる一因になっていると考えます。

人が育つ環境づくりに必要な学習体験(ラーニング・エクスペリエンス)

上記のような人材育成の重要度が低い状況が続くと、時間・金銭面で適切な投資が行われず、人材が育ちにくい環境になってしまいます。結果、企業の競争力も衰えてしまうことでしょう。

しかし、育成効果を測るためにジョブ型雇用に移行するのも、容易ではありません。一部の企業ではジョブ型雇用への移行も進んでいますが、浸透するにはまだまだ時間がかかります。

そのため日本企業は、現状のメンバーシップ型雇用を前提にして、人材育成を促進していく必要があります。さらに、求められるスキルが日々変化していく昨今においては、社員が自律的に学び続ける環境づくりが必要です。

では、学び続ける環境をつくるためには何が必要なのでしょうか。それは、学びそのものだけでなく学びの前後も踏まえた学習体験を設計することです。この一連の学習体験のことを、ラーニング・エクスペリエンスと呼びます。

これまでの社会人教育の課題として、形式上の研修を行うだけで「なぜ学ぶべきか?」「学んだ内容をどう実務に活かすか?」までをフォローできていない実態があります。まずはここを変えていくことが、学び続ける環境をつくる第一歩であると考えます。

これらの学習前後のフォローが重要であることは、多くの人材育成担当者の皆さまが認識されているかと思います。しかし、なかなか実現できていない方も多いのではないでしょうか。

経営層に人材育成の重要性を喚起することが難しい状況の中、人材育成に向き合っていくためには、社員自身が自ら学んでいけるような学習体験を向上していかなければなりません。

しかしそれを実現するには、以下の3つの課題があります。

  • 人事が考える時間を確保できない
  • 人事が活用できるデータがない
  • 社員が何を学べばいいかわからない

グロービスの「GLOPLA」が考えるアプローチ

これらを解決するべく、グロービスは人材育成プラットフォーム「GLOPLA シリーズ」を立ち上げました。シリーズの第一弾として、学習管理システム「GLOPLA LMS」の提供を開始。前述した3つの人材育成における課題の解決をサポートします。

  • 人事のルーチン業務の効率化を図る
  • 全社の育成関連データを可視化する
  • 社員に必要な学びを届ける

(1)人事のルーチン業務の効率化を図る

まず、どんな育成施策を実施するべきかを考えるためには、調査や企画にかける「時間」が必要です。

しかし研修を実施するだけでも膨大なルーチン業務があり、これらをこなすだけで1日が終わってしまいます。そのため、とりあえず前年踏襲の研修を実施するなど、本来は人材育成の手段であるはずの研修が、実施すること自体が目的になってしまうケースもあります。

GLOPLA LMS では、研修の募集開始〜研修実施〜研修完了報告までの一連の流れを全て管理でき、ルーチン業務を効率化します。これによって、育成施策を考える時間も確保できます。

(2)全社の育成関連データを可視化する

2つ目の課題は、育成に関する「データ」が取れず、可視化できないことです。

「誰がどんな研修を受けているのか?」「どの研修の受講率・満足度が高いのか?」など、実施した研修に対する結果を可視化できなければ、次の育成施策に活かすことができません。

GLOPLA LMS では、社員一人ひとりの研修受講率、研修ごとのアンケート・テスト結果などのデータを一元的に集約できるため、効果的な次の打ち手を考えることができます。また、人材育成の投資対効果の可視化にも役立ちます。

(3)社員に必要な学びを届ける

メンバーシップ型雇用が多い日本企業では、身につけるべきスキルが明確化されておらず、社員自身が何を学べば良いかが分からないといった課題があります。自分が学ぶべき内容が分からなければ、人事が実施する必修研修にも納得感がなく、学習前の適切な動機付けができません。

これらを解決して社員に必要な学びを届けるためには、「適切な研修設計」と「レコメンデーション」が必要です。

GLOPLA LMS では、グロービスが培ってきた研修設計の知見をもとに、社員が学びたくなる質の高い研修作りをカスタマーサクセスチームが支援します。また構想段階ではありますが、個人のカリキュラムマップに沿ったレコメンデーション機能の開発や、システムだけでなく社員同士が推薦し合う仕組みの構築などを今後予定しています。

GLOPLA LMS は、人材育成の効果を高め、社員が自律的に学ぶ環境づくりを目指します。学習管理システムとしてのプロダクトはもちろん、研修設計をサポートするカスタマーサクセスの両軸で支援させていただきます。

そして、日本の人材育成をより良くすることで学びを進化させ、「人の可能性を解放し、イキイキ働く人を増やすというミッションを実現します。日本企業における人材育成のあり方を変革し、より良い社会をつくることが私たちの挑戦です。

GLOPLA LMSにご興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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