研修の内製化とは、自社で研修を企画・作成・実施することです。これまで社員研修を外部に委託してきた企業の場合、どのように内製化を進めれば良いか分からないというケースもあるでしょう。本記事では、研修の内製化を成功させるコツやメリット・デメリット、内製化・外部委託に最適なテーマについて解説します。
目次
研修を自社で企画・作成・実施することにより、さまざまなメリットを得られます。研修を内製化するメリットは、主に以下の3つです。
研修を内製化することで、研修や教育に対するノウハウを蓄積できるようになります。
内製化する場合、自社で企画を立て、教材を作成し、社員が講師を担当して研修を行います。研修を効果的かつ円滑に進めるには、「社員を育成するためにどのような研修を行うべきか」だけでなく、社員の学習意欲を維持させる方法や教材の管理方法などについても企画・作成段階から検討していくことが求められるでしょう。
そのため、社内で研修を実施することによって研修や教育に関するノウハウが蓄積され、将来的な組織や人材育成の文化が醸成されます。
研修を行う講師には、研修内容をただ話すだけでなく、相手に分かりやすく説明するとともに理解してもらうためのスキルが求められます。
外部委託する場合はスキルを持ったプロの講師に依頼できますが、内製化する場合は社内から講師となる人材を選出しなければなりません。講師となった社員には、研修内容を見直して自身の知識をアップデートしたり、教え方の工夫を凝らしたりしながら、分かりやすい研修を目指してもらう必要があります。
内製化すると講師側の社員にも成長機会が与えられるため、研修を通して講師と受講者それぞれのスキルアップが期待できるでしょう。
外部委託とは異なり、内製化すれば自由に研修をカスタイマイズできるため、自社に合った柔軟な研修の実施が可能になります。
たとえば、自社の業務を理解した人材が研修に関わることで、業務に必要なスキルや知識が身につく研修をピックアップして実施できるでしょう。業務に直結する研修を行えれば、研修で学んだことをすぐに実践しやすく、受講者の理解度の促進につながります。
研修プログラムの内容を変更・修正する際にも、社内ですぐに完結できます。また、スケジュール調整や効果測定も行いやすく、社内の状況に合わせて柔軟な対応が可能です。
研修を内製化することでさまざまなメリットを得られますが、同時にデメリットがある点にも注意が必要です。以下の2つのデメリットも理解しておきましょう。
研修を内製化する場合、社内リソースだけで企画の立ち上げや研修プログラムの作成、研修の実施、教材や学習状況の管理、効果測定などを行うことになります。外部委託よりも費用を抑えられるケースが一般的ですが、人的コストや時間的なコストは増えるでしょう。
特に社内にノウハウが蓄積されていない状態では、研修の企画立案、研修プログラムの構築、講師の育成には多大な労力や時間がかかります。また、通常業務を行いながら研修業務も並行して対応する必要があるため、社員の負担増加にもつながりかねません。
内製化を進める際は、さまざまなコストや手間が発生するリスクを踏まえたうえで、自社に見合うメリットがあるかを確認することが大切です。
内製化の場合は社内の人材が講師を担当するため、講師の育成が必要になります。通常業務を行いながら講師を育成し、必要なスキルを身につけてもらうのは簡単ではありません。講師を一定レベルまで育成できなければ、適切な研修が行えず、高い学習効果は期待できないでしょう。
また、社員によって話し方やスキルの程度などは異なるため、講師の質にバラつきが生じる可能性もあります。講師の交代や引き継ぎが必要になった場合、最低限の質を確保できるように複数の講師を育成することも必要です。研修の質の確保が難しいのは内製化のデメリットといえるでしょう。
研修を内製化する場合、すべての研修テーマを内製化すれば良いというものでもありません。内製化と外部委託それぞれに得意な領域があるため、テーマによって使い分けることが大切です。内製化・外部委託に適した研修テーマについて、それぞれ見ていきましょう。
内製化に適している研修テーマとして、以下のようなものが挙げられます。
自社で働くうえで必要となる知識やスキル、ノウハウの共有、社内規則の浸透などを目的とする研修は、内製化のほうが適しています。自社の経営理念や企業ビジョン、社内ルール、業務内容といった自社に関わる内容は、外部の講師よりも社内の人材のほうが具体的かつ分かりやすく説明できるので、受講者もより理解度を深められるでしょう。
外部委託に適している研修テーマとして、以下のようなものが挙げられます。
新入社員向けのビジネスマナー研修や管理者向けのマネジメント研修といった階層別の研修は汎用的なスキルについて学ぶことが多く、教えることに慣れているプロの講師に依頼するほうが質の高い研修を実施できます。また、業界の専門知識や最新情報などについて学ぶ研修を行う場合、社内のリソースだけで実施するには限界があるため、知見のある外部講師に依頼するほうが良いでしょう。
研修の内製化は外部委託に比べて質の確保が難しく、適していない研修テーマもあるため、コツを理解して内製化を進めることが大切です。研修の内製化を成功させるコツは、以下の4つです。
コンピテンシーとは、社内で業績をあげる優秀な社員に共通する行動特性を指します。優秀な社員を育成するには何が必要かを理解し、理想となるコンピテンシーを作成することで、研修の目的や行うべき教育の内容が明確になるでしょう。
たとえば、管理職向けのリーダー研修を行う際に「理想となるリーダー像」が明確になっていないと目標が曖昧になり、研修内容に必要な情報を反映できません。コンピテンシーを明確にすることで目標に沿って研修が行えるようになるため、研修効果の向上が期待できます。
先述したように、研修は内製化に適しているテーマと外部委託に適しているテーマに分かれています。そのため、すべて研修を内製化するのではなく、社内状況や研修目的に応じて外部委託と組み合わせると良いでしょう。
たとえば、新入社員研修を実施するのであれば、経営理念や自社ルールなどを共有する研修は内製化し、ビジネスマナー研修は外部委託するといった使い分けが効果的です。また、コスト面や講師の育成度合いなどを考慮して、内製化できるところから徐々に進めていくことで、通常の業務を圧迫せずに研修業務に対応しやすくなります。
研修の内製化は、研修の管理者や講師を担当する社員だけで成功させられるものではありません。そのため、経営陣や現場の教育担当者なども含め、社内全体でサポートを行う必要があります。
たとえば、講師を担当する社員が研修に集中できるように通常業務を他の社員がフォローしたり、研修会場の運営を他の社員が手伝ったりなど、円滑に研修を行えるようにサポートできることは多いでしょう。また、研修内容が定着するように受講者のフォローアップを行うことも大切です。
研修は一度作成して終わりではありません。研修を実施したら、受講者にアンケートやヒアリングを行い、必要に応じて改善していくことが大切です。改善を繰り返すことで、質の高い研修を実施できるようになります。
また、時代や法改正、社内状況の変化などによって必要とされる知識やスキルは異なります。研修内容は定期的に見直して、ブラッシュアップしていくようにしましょう。
研修を内製化することで、社内に人材育成のノウハウを蓄積でき、社員のスキルアップをはかれるようになります。ただし、研修の内製化には人的コストや時間的なコストがかかるため、複数の研修を実施・管理することは難しいでしょう。内製で複数の研修を実施・運用していく際には、管理業務効率ができて受講体験をデザインできる学習管理システム(LMS)の導入がおすすめです。
「GLOPLA LMS」は、複数の研修だけでなく社員の学習状況も一元管理できる学習管理システムです。操作性と導入サポートにより、社内へのツール定着と質の高い研修の提供をお手伝いします。研修の内製化で管理業務効率できるツールの導入を検討する際は、ぜひお気軽にご連絡ください。