テレワーク時代の能力開発とは。オンライン研修体験セミナー
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グロービス コーポレート エデュケーション
2020年1月22日、テレワーク時代に求められる能力開発をテーマに、企業の人事・育成担当者を集め、「オンラインクラス体験セッション&事例紹介セミナー」を開催しました。
東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、政府は期間中の都市混雑緩和を図ろうと、企業のテレワーク導入を積極的に推進しています。今後、企業で本格的にテレワーク導入が進むと予想される中、人事の皆様は社員の能力開発にいかに取り組めばよいでしょうか。一つの施策として、グロービスが提供する「オンライン研修」とその導入事例を学ぶセミナーの内容をレポートします。
テレワーク時代に求められる能力と開発手法
冒頭、グロービス コーポレート・エデュケーション部門 マネージャーの中野翔太より、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、政府が「テレワーク・デイズ」の実施などを通じてテレワークを積極的に推進していることに触れ、テレワーク時代に求められる能力の変化についてご説明しました。
「テレワークの時代が進むと、これまで日常的に行われていた朝礼や社内ミーティングなどはオンラインの会議に置き換わっていきます。また業務の報告や些細な相談などのコミュニケーションに、メールやチャットツールを利用する場面が増えてくるでしょう。そこで求められるのは、現場のメンバーでは各種ツールを駆使するITリテラシー、そして自身の考えを整理し相手に伝わるように言語化できる論理思考力です。リーダー層ではこれらに加えて、対面機会にある“場の雰囲気”が掴みにくい中でも会議の目的を達成するファシリテーション・スキル、メンバーとの直接的なコミュニケーションがなくとも支援・育成を行えるマネジメント・スタイルです」
ではこれらの能力は、どのように開発すればよいのでしょうか。一例として、中野はテクノロジーを活用した手法を挙げています。
「テレワークの前提は、働く場所も時間も多様であるということです。場所や時間を選ばない能力開発手法でいえば、オンラインで教材を学ぶeラーニングや動画学習の受講が一般的です。ただこれらは知識の習得(インプット)に偏りがちという側面があります。ビジネスの知識が実務で活かせるレベルに達するためには、知識を元に考えて発信すること(アウトプット)が重要です。そこで近年、オンライン会議システムを用いて、講師と受講者がリアルタイムにディスカッションを行う能力開発手法が注目されています」
グロービスが約100社の人事担当者に実施した調査では、テクノロジーを活用した新たな能力開発手法として、「オンラインの会議システムを用いた企業内集合研修」をすでに導入、今後導入したいと回答した企業は7割以上に上りました。
またグロービスが提供するオンライン企業内研修は、実施回数が過去3年で4倍になるなど急激に拡大しており、今後もテレワークの普及に伴い、オンライン研修を実施する企業は増加すると見込んでいます。
テレワーク時代の研修の在り方を、2社の事例から読み解く
続いて、オンライン研修を導入している企業として、株式会社大京様と株式会社日立アカデミー様から事例を紹介いただきました。1社目は株式会社大京 グループ人事部 課長 並木賢太郎様より、オンライン研修の導入に至った課題意識と経緯を語っていただきました。
「これまで対象者全員を招集する階層別研修を実施していましたが、受講者の反応から、対象者の選定、研修の中身や方法論を見なおすべき必要性を感じていました。また予算も限られるものとなり、実施内容とコストの面から新たな研修を模索したのです。その中でオンライン研修の存在を知り、研修体系の刷新に合わせて導入を決定しました」
大京様では階層別研修の対象者を、全員から希望者のみに切り替えました。研修の内容は、従来の役割認識を促すものから、等級に応じてリーダーシップやマーケティングなど具体的なスキル習得を目指すものに変更しています。またオンラインの研修実施により、受講者の移動に掛かる交通費や宿泊費など、間接コストを大幅に削減できたそうです。
2社目は株式会社日立アカデミー 経営研修本部 ビジネススキルグループ 部長代理 花松甲貴様より、同社が取り組む働き方改革やテレワークの実施状況を紹介いただきました。
「日立では、ビジネスの生産性向上やグローバル成長を実現する雇用システムの確立を目指し、多様な人材の多様な働き方に整合する仕組み作りを進めてきました。時間や場所に捉われない働き方、タイム&ロケーションフリーワークができるよう、在宅勤務やサテライトオフィス勤務の運用を柔軟化、働き方に応じたITツール提供の拡充など施策全体をシフトしています。テレワーク・デイズ2019では、延べ15,000人以上がテレワークを実施しました」
一方、働き方改革・テレワークを進める中、社員の育成においては、勤務地・勤務形態に制約されず、あらゆる従業員にいかに平等に学びの機会を提供するかが課題だったそうです。そこで、地方や海外拠点勤務者、顧客先に常駐する社員、また時短勤務や育児休暇中の社員なども参加できる研修を実現するため、これまで集合研修で実施していたコースのデジタル化を決意。「タイム&ロケーションフリーラーニング」を目指し、グロービスのオンライン研修を導入するに至ったとお話しいただきました。
オンラインで発言、チャットで学びを深める
2社の事例紹介に続き、オンライン研修の体験セッションが行われました。参加者は各自、用意されたPCとヘッドセットを使用し、クリティカル・シンキング(論理思考)を学ぶ模擬クラスに臨みました。PC画面上では、講義のスライドとともに、講師と参加者の顔が写し出され、リアルタイムで講義が進行していきます。講師はグロービスで人材育成・組織開発のコンサルタントに従事し、現在はコンテンツ開発に携わる伊藤周作が務めました。
受講中の画面と操作の説明の後、模擬クラスが開始。参加者は、クリティカル・シンキングの基本として、物事を考える際に陥りがちな意識や、論点を押さえて思考することのポイントなどを学びました。講義では演習も行われ、講師からの「資材調達をどこの会社から行うべきかを考えたい。そこで押さえるべきポイントは?」という問い掛けに対し、参加者は「挙手ボタン」を押して自身の考えを発言、チャットで意見を表明するなど、アウトプットを通じて学びを深めるスタイルの講義を体験しました。
オンラインと対面の研修、特徴と課題
オンライン研修の体験セッションを終えた後、セミナーのクロージング・セッションとして、参加者と登壇者との質疑応答が行われました。参加者から、オンライン研修はどのような目的の研修に適しているかという質問が寄せられ、中野から以下のようにお答えしました。
「論理思考力を高めるなど能力開発に特化した研修が向いていると考えます。たとえば階層別研修では受講者間のつながりを強めることを目的としている場合もあり、そうした場面では熱や温度感がより伝わる対面の研修が適していることもあるでしょう」
オンラインと対面、それぞれの特徴と課題を押さえた上で、効果的かつ効率的な育成体系の設計を行うことが重要です。オンラインと対面の特徴と課題を、以下の通りまとめました。
特徴 | 課題 | |
オンライン |
・受講者が特定の場所に集合することなくどこからでも受講できる ・チャットなどの機能を用いて複数の受講者が同時にアウトプットできる | (対面との比較において)
・講師や受講者間の熱や温度感を伝えにくい ・受講者同士の交流は少ない |
対面 |
・受講者が幼少期から慣れ親しんだ受講スタイルで臨める ・受講者同士の関係深化やネットワーク形成が図りやすい |
・物理的に同じ空間に集まる必要がある ・移動(場合により宿泊)を伴い受講者の拘束時間が長くなる |
セミナー終了後、参加者からは「他社の人材育成の仕組みや取り組みを知り、刺激をもらえた」「オンライン研修の体験では、想像以上に研修にのめり込める感覚を覚えた」「オンライン研修の体験と他の参加者との振り返りから、技術面や運用面の課題に気づけた」などの感想をいただきました。
企業の働き方改革の進展や、今夏の東京オリンピック・パラリンピック開催を機に、テレワークは今後急速に浸透していくでしょう。その中で、テクノロジーを活用したオンラインの研修は、企業の人事が担う育成・能力開発の有用な手法として、果敢に採り入れていただきたいと考えています。
※文中の所属・役職名は原稿作成当時のものです。
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