次世代リーダー育成研修(管理職)

次世代リーダー育成で成果を出すには? 7つのステップと事例を徹底解説

日経225企業
取引実績

88 %
2024年4月グロービス調べ

企業内研修
有益度

4.6 5段階
評価
2024年3月「テーラーメイド型プログラム」を除く平均値

導入
企業数

3,300 社/年

受講
者数

43.8 万名/年

次世代リーダー育成とは、将来有望な人材を早期に選抜し、中長期的かつ段階的に育成・支援する取り組みのことです。

この記事を開いていただいた方は、次世代リーダー育成について検討されている人事や育成担当、あるいは経営者の方々かと思います。
おそらくあなたは、以下3点のすべて、もしくはいずれかについてお悩みではないでしょうか。

<グロービスに寄せられる次世代リーダー育成へのお悩み トップ3>

  • そもそもどんなテーマをどの階層で取り組むべきか、よくわからない。選抜基準を決めるのも難しい。
  • トップからやれと言われたものの、研修には非協力的な人も多く企画がなかなか進まない
  • 足元の人材課題への対処をするのが精いっぱいで、中長期目線での取り組みにはなっていない

たしかに、次世代リーダーといっても各社で対象とする階層や課題はまちまちであり、取り組みのスタートとゴールを決めるのが難しいと思われるかもしれません。また他の研修と比べて足が長い企画となる分、巻き込まなければいけない関係者も多く、各所との調整のハードルが高くて失敗しやすいという認識もあるでしょう。

しかし、私たちグロービスの認識は違います。
私たちの認識は、「細かな方法論から決めようとするとうまくいかないが、取り組みの優先度を上げる工夫と全体設計から始めれば、中長期目線での次世代リーダー育成は必ず出来る」です。

これからお話する内容は、机上の空論ではなく、筆者が見てきた社会人教育の現場におけるリアルな難所と、延べ80時間超を投じた実態調査に基づく成功するための具体的な方法論です。

手元にブックマークしていただき、これ一つを教科書として何度も見返していただけるよう、次世代リーダー育成の成果を出すためのステップ・コツをすべて紹介していきます。
多くの企業でお悩みの「次世代リーダーの人材要件定義」の方法も紹介しますので、本記事通りに検討・実施いただければ『貴社にとっての最適な次世代リーダー育成』が必ず出来るようになります。

ぜひ最後までお読みいただき、貴社の未来をけん引する「次世代リーダー」を輩出していきましょう。

次世代リーダー育成とは

次世代リーダー育成とは、将来有望な人材を早期に選抜し、中長期的かつ段階的に育成・支援する取り組みのことです。

1-1 次世代リーダー育成の目的は、未来の会社を牽引する担い手を輩出すること

早速ですが、他の代表的な研修との比較表を用意しました。この中で特に押さえていただきたいポイントは、「目的」と「タイミング」の違いです。

次世代リーダー育成階層別育成選抜研修役員研修
目的■未来のタレントプール作成■組織としてのベースアップ
■育成の標準化、メッセージの浸透
■優秀人材の引き上げ■取締役・執行役員のマインドセット、判断軸の確立
主体人材開発委員会
(人事部+経営陣+事業トップ)
人事部人事部人事部
対象者経営リーダーとしてのハイポテンシャル人材特定階層の全員特定階層の優秀人材特定階層の全員
タイミング着任・就任の2~3階層手前(の場合が多い)着任・就任直後(の場合が多い)着任・就任の1階層手前着任・就任後(の場合が多い)
重要論点■中長期的な経営リーダー像は
■いつまでにどのポジションで何人必要か、その為に必要な人材プールは
■人選の基準は
■研修と経験のデザインをどうするか どのように評価するか
■昇格における期待役割変化は
■つくりたい土台・共通言語は
■起こしたい相互作用は
■人選の基準は
■何を学ばせるか
■どのように評価するか
■自身の足りない領域を認識させるには
■起こしたい行動変容は
■どのように評価するか

次世代リーダー育成は、未来の会社を牽引する担い手を輩出するためのもの、すなわち現在の人材課題解消のためではなく、会社のより良い未来を目指すための営みであることが大きな特徴となっています。
(この特徴から、「経営人材育成」と呼ばれることもあります。)

持続的な事業成長を目指すうえで、安定的な経営人材の輩出が必要であることは、誰しも納得のところかと思います。
一方で、経験・スキル・マインドのすべてに長けている人でないと経営人材とは呼べません。当然のことながら、一朝一夕にすべての能力を高めることは難しいため、ある程度時間をかけた段階的な育成施策=次世代リーダー育成が必要だ、となるのです。

そのため、他の研修の多くが「新たなポジションに着任してから」もしくは「着任の1階層手前」という限定的なタイミングで実施されるのに対し、次世代リーダー育成は「着任の2~3階層手前」から始めるケースが多く、“時間軸が長い”という特徴も挙げられます。

1-2 課長クラスから部門長への引き上げを目指すケースが7割超を占める

HR総研が発表している、次世代リーダー育成に関するアンケート調査報告によると

  • 次世代リーダー育成のターゲットポジション:「部門長」が最多で74%
  • 次世代リーダー育成対象者の現在の役職:「課長クラス」が最多で78%

となっています。

▼次世代リーダー育成のターゲットにしているポジション

▼次世代リーダー育成対象者の現在のポジション

これらの結果から、部門長や事業責任者を育成ターゲットとし、その2~3階層下にあたる課長クラスから育成に取り組む会社が多いことが読み取れます。
ただし、この育成パターンが必ずしも正解というわけではありません。どの階層を育成すべきかについては、各社の置かれた状況によって異なるからです。この点について、詳しくは4章7章で解説します。

※引用:次世代リーダー育成に関するアンケート 結果報告、HR総研、2023年10月に内容確認

次世代リーダー育成の成功事例

次世代リーダー育成についてグロービスにご相談いただき、研修成果を出された企業様事例を2つご紹介します。
いずれの事例も、目の前の業務課題解決のためではなく、“今後の事業成長の担い手である”という育成対象者の自覚を促す内容となっています。
また、マインド面だけでなく、新たな事業企画を実際に形にするための経営理論の習得や、組織としての共通言語づくりにも注力されていることで、現場での成果があがっています。

※部署・役職・取り組み内容等の記載事項はインタビュー当時のものです。

※今回ご紹介の事例は公募選抜が中心ですが、指名/選抜型で取り組む企業も多くいらっしゃいます。

2-1 経営課題に真正面から向き合う“変革の立役者”を輩出するアサヒビール株式会社様

導入事例:アサヒビール株式会社
経営課題に真正面から向き合う次世代リーダー育成を通して、事業変革の立役者を輩出する

①背景と課題

  • 「国内酒類事業の変革」という経営課題に対し、全社を引っ張る人材育成が急務だった
  • 自己研鑽や資格を取得する社員の割合も低く、ビジネススキルを高める機会が不足していた
  • 主力事業が縮小し続けている環境を踏まえ、これまでよりも早い段階からの育成の必要性を感じていた

②研修内容

  • 一般層/プロデューサー(管理職)の2階層に向けた、2つのプログラムを作成
  • 一般層向けプログラム:
    • 健全な危機感を持ってもらうため、他社との議論(他流試合型研修)を通じて自身のビジネスレベルを知る機会を設けた。
    • 他流試合・企業内研修・動画学習を組み合わせてビジネススキルを学び、自部署でのアクションプランを企画し、実践した。
  • 管理職層向けプログラム:
    • 初回に役員講話と社史セッションを設け、研修に臨むマインドセットを丁寧に行った。
    • ビジネススキルを学びながら、全社視点で自社課題を捉え、議論。共有言語づくりや深い関係性の構築を図った。
    • 最終成果物として5チームに分かれての事業提案を実施した(※23年度は経営課題提言に変更)

③取り組みによって得られた成果

  • 経営変革室・担当役員への事業提案の結果、具体的成果としてテストマーケティングをスタートする事例を創出している。
  • 土台となる思考力・経営フレームワークを学んだうえで、自社の戦略提言を作成。支店を巻き込みながら、率先して重要な財務指標をきちんと追う取り組みを実践している。
  • 本プログラム卒業生が各現場で活躍している様子が周囲に伝わり、次のプログラムへの応募者が生まれるという好循環ができている。

④プログラム概要(※取り組みの一部を抜粋)

越野 綾のプロフィール
越野 綾

本事例の特徴は、研修プログラムのネーミング(「Asahi Change Agent Program」)へのこだわりと、役員講話等を通じて受講者のマインドセットを丁寧に行われている点です。会社からの本気度と受講者への期待をあらゆる角度から伝えることで、この研修に参加すること自体が誇りとなるような工夫がされています。成果として、全社公募では定員の2倍を超える応募があり、受講者の活躍がさらに次の候補者を呼び込むという好循環が生まれています。

筆者コメント

*インタビュー記事の全文はこちらからご確認いただけます(※部署・役職等の記載事項はインタビュー当時のものです)

2-2 長期経営計画の課題に対するPDCAを加速させた国分グループ様

導入事例:国分グループ
次世代のリーダーへ火をつける。全社を巻き込んだ自社課題プログラムへの取り組み

①背景と課題

  • 優秀であるがゆえに日々の業務に忙殺されがちな20代・30代の若手社員。視座を上げ視野を広げるための施策を講じることで、エンゲージメントを高めたかった。
  • 江戸時代から続く300年の歴史がある同社だが、この先も存続できる保証はない。そのため、自ら手を挙げ、自身の成長にコミットする機会を社員に提供し、変化に即応できる人材を輩出したいと考えた。
  • 優秀な社員が自分自身を表現し、経営陣へアピールするための場が不足していた。

②研修内容

  • オリエンテーションにて「次期経営人材としてのリーダーシップに期待している」という会社からのメッセージを伝達した。
  • 前半は思考・モノ・カネ・ヒトという経営領域の全般を、他流試合型研修・企業内研修で学ぶ。後半は学んだ知識を総動員する自社課題(※実際の現場で起こっている経営課題に対する、解決案の提言と実行)への取り組みを実施した。
  • 自社課題においては各カンパニー・部門を巻き込み、「共に解決に望んでください」というメッセージを伝えた。研修と現場を接続することで、受講生にとってビジネスを動かす総合力訓練となる場を用意した。

③取り組みによって得られた成果

  • 受講者/各カンパニー・部門/経営陣の3者が、一つの大きな組織体として取り組むことで研修と実践が繋がり、チャレンジして学ぶ風土が社内に醸成されてきた。
  • プログラムが進むたびに参加者の表情が自信に満ちていき、自ら高い目標を設定し試行錯誤しながら成長している様子が見て取れる。
  • 経営スキルの学びを通じて、アイティアを形にし、人に伝えて動かすためのプロセスや表現が理解できるようになり、経営陣への事業企画提言に役立っている。結果として、長期経営計画の課題に対するPDCAが加速している。

④プログラム概要

越野 綾のプロフィール
越野 綾

本事例の特徴は、自社課題(※実際の現場で起こっている経営課題に対する、解決案の提言と実行)の進め方です。序盤に、ビジネスアイディアを形にするうえで必要となる“経営の定石”をしっかりインプット。その後の提言が実行フェーズまで着実に進むように、各カンパニー・部門/経営陣を巻き込むことに注力されています。受講者/各カンパニー・部門/経営陣の3者が、一つの大きな組織体として取り組むことで研修と実践が繋がり、結果として”チャレンジして学ぶ風土”が社内に醸成されています。

筆者コメント

*インタビュー記事の全文はこちらからご確認いただけます(※部署・役職等の記載事項はインタビュー当時のものです)

2社の事例から学ぶ、普遍的な成功ポイント

本章では、先ほどの事例から抽出した普遍的な成功ポイントを3つご紹介します。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

3-1 次世代リーダー輩出に対する会社の本気度、受講生への期待を十分に示すことが、取り組みの好循環を生む

会社の未来のために非常に重要な取り組みであり、その研修への参加が誇りになる状態を作ることが大切です。

次世代リーダー育成で取り組むべきOJTや研修テーマは幅広く、対象者にも一定の時間と負荷がかかります。それでも「自分こそが未来の会社を担っていくリーダーになる」と決意し、自ら手を挙げてもらうことが必要です。そのような人こそ、「率先して新たな試みに挑戦し、周囲を巻き込んで動かしていける次世代リーダー」と呼べるからです。

先の事例のアサヒビール様でも、主力事業低迷という危機の中、「国内酒類事業を盛り上げ、変革していく立役者になるのはこれからを担う経営者である」という重要な位置付けのもと、育成プログラムをスタートされました。
また、受講生が誇りを感じられるような研修プログラムのネーミング(「Asahi Change Agent Program」)をしたり、オリエンテーションや社長講話を通じて受講者のマインドセットを丁寧に行ったりと、会社からの本気度・受講者への期待をあらゆる角度から伝えていく工夫をされています。
結果として、全社公募では定員の2倍を超える応募があり、受講者の活躍がさらに次の候補者を呼び込むという好循環が生まれました。

グロービスのワンポイントアドバイス

経営陣からの講話を設ける、人事部だけでなく事業部も巻き込んだ研修にする、取り組みの一部を中期経営計画とリンクさせる等、「会社にとって優先度が非常に高い取り組みであり、参加者のリーダーシップに大いに期待している」ということをしっかりアピールすることが肝要です。
経営陣・人事部(事務局)・受講生のすべてが相互に熱量を高めていけると、優秀なメンバーから多数手が挙がり、熱心に取り組んでもらう結果として成果が上がり、次の候補者も次々現れるといった好循環が生まれていきます。

3-2 自社課題への取り組みは、経営の定石を学んでからの方が成果を出しやすい


戦略を考えるにも、戦略実行に導くにも、「経営の定石」は必須の武器です。

「自社をけん引するリーダー育成なので、はじめから自社課題を扱いたい」というご要望をいただくことがありますが、結論としてはベストな方法とは言えません。経営判断を行うための武器の習得が不十分なまま、実業務に近しい内容を扱ってしまうと、学びの幅や奥行きが狭くなり、今の業務にしか活きない非常に短期的な学びになってしまうという懸念があるからです。

先の事例の国分グループ様においても、研修前には「ジャストアイディアは沢山思い浮かぶものの、アイディアを人に伝えて動かすためのプロセスや表現を知らない」という課題感を伺っていました。そのため、まずは思考力のトレーニングからスタートし、経営戦略、アカウンティング・・・と経営知識を習得するところから取り組みをスタートされました。
経営スキルを学び進めていくにつれて、たとえば「経営戦略で学んだケースの考え方をここで当てはめたら、とても分かりやすく伝えられる!」といった嬉しい変化があったそうです。
自社課題への取り組みは後半に用意し、各カンパニー・部門を巻き込みながら、前半に学んだビジネススキルを総動員する実践の場として研修効果を最大化させています。

グロービスのワンポイントアドバイス

一見遠回りのようではありますが、まずは土台となる思考力をはじめ、環境分析力や組織行動学といった、経営の定石をしっかり習得することをお勧めします。
定石というのは、先人の経営者が行ってきた数々の成功や失敗を通じて導き出された、再現性の高い普遍的な知見だからです。
シチュエーションが変わっても転用できる知見を身に着けることで、のちに自社の課題を考える際、そもそもの設定課題が筋の良いものとなりますし、その後のソリューション検討と実践フェーズにおいても大きな効果が期待できます。

参考:次世代リーダー研修の組み合わせパターン(※6-2にて詳細を解説します)

3-3 自社/自分自身を俯瞰的に把握するために、他流試合型研修は非常に有効


組織をけん引するリーダーには、自社/自分自身を俯瞰的に見つめ、強み・弱みや課題をしっかりと把握する力が必要です。

しかしながら、長い間慣れ親しんだ関係性・環境の中に居続けると、似た価値観・同じ前提の間柄での関わり合いに閉じてしまうため、新たな視点や気付きの獲得は期待できず、この力を伸ばすことは困難です。そのため、異なる価値観を持つ他者との議論の場を、意図的に設けることが大切なのです。

先の事例のアサヒビール様でも、Basicプログラムの対象者(一般社員)は現場の第一線で活躍していて高い専門性やスキルを持っているものの、ビジネススキルを自発的に学ぶ意欲の不足を課題視されていました。
健全な危機感を持ってもらうため、グロービス・マネジメント・スクールへの通学をプログラム内に盛り込み、他社との議論を通じて自身のビジネスレベルを知ったうえで、スキルを高めていけるように工夫されています。

グロービスのワンポイントアドバイス

他流試合型研修へ参加してもらうことで、彼我の差から自分を客観視できるようになります。他者の異質な価値観・意見に触れることで、いい意味での“違和感”を覚え、自組織の論理に囚われていないか内省するきっかけとなるからです。
前提の異なる他者に自分の意見を論理的かつ効果的に伝えようと努力することにより、「ここは譲れない」という自分の判断軸が明確になった、という話もよく耳にします。困難な状況に直面した際、自分の判断軸・信念は最後の拠り所となります。
これらのことから、VUCA時代に組織をけん引するリーダーにとって、他流試合型研修は非常に有効な取り組みと言えるでしょう。

他流試合の効果についてご関心のある方は、以下も併せてご覧ください。
【関連コラム】他流試合型研修を人材育成体系に取り入れるポイント

失敗しやすい3つのポイントと乗り越え方

前章から少し視点を変えて、ここからは次世代リーダー育成の検討プロセスにおいて、失敗しやすいポイントについて説明していきます。
本記事の冒頭で、「次世代リーダー育成の重要性は認識しているものの検討が進まない」企業様が多いことをお話しましたが、その要因となるポイントは、検討フェーズごとに3つ存在します。

次世代リーダー育成で失敗しやすい3つのポイント

失敗しないためのポイントと合わせて詳しく見ていきましょう。

4-1 【検討開始時】 関係者の巻き込みが不十分なまま取り組みを始めてしまう

関係者、とりわけ事業部や対象者の上長の巻き込みが不十分なまま取り組みを始めた場合、研修をはじめとする育成施策への協力を得られず、「これといった成果が出ないまま、結局やめてしまった」という事態に陥りがちです。
最優先課題として取り組むべき重要性が理解されなければ、目先の業績への影響が優先され、優秀な部下を現場から離したくないといった “事業部/上司による抱え込み” 等がどうしても起きやすくなるからです。

失敗しないためのポイント

人事部内での検討に留まらず、経営層や対象層の上長等、様々なステークホルダーを巻き込みながら計画策定してください。

次世代リーダーとして習得すべきスキル・マインドは多岐に渡り(※5章にて詳述)、時間をかけた複数施策が必要だからです。企画の早期段階から関係各所のキーマンを巻き込み、「会社の未来を共に考え、創っていく仲間」という意識を醸成することが理想です。
*ステークホルダーの例:
 経営トップ、経営陣、事業部門、人事部門、対象者の上長

まずは経営層からの強力な旗振りとバックアップを得ながら、優先度の高い取り組みとしていち早く社内で認知されるようにし、直接的に関係する事業部や対象者の上長からの理解・協力を得られる体制をつくっていきましょう。

4-2【プログラム企画時】 重要ポストの見極めと、“あるべき人材像“の定義が曖昧なまま進めてしまう

自社の戦略実現にとって重要なポストはどこか、そのポストに就くリーダーにはどんな活躍が求められるのかが曖昧なまま企画を進めた場合、「流行りのテーマや前年踏襲で取り組んだものの成果は上がらなかった」「一般的な研修との違いがなくなってしまった」という事態に陥りがちです。

失敗しないためのポイント

プログラムの企画・選定にあたっては 「自社にとって」 という視点を大切にしましょう。

次世代リーダー育成は “他でもない自社の未来の、戦略実行をけん引するリーダーの育成“ だからです。

研修テーマや手法といった方法論から検討するのではなく、

  • 自社にとっての重要ポストはどこか
  • そのポストでどんな活躍をしてほしいのか

を関係者全員で議論し、合意形成しておくことで、そもそもの目的に叶った納得度の高い企画として進めることができます。
(※“あるべき人材像”の定義方法については、7-3で詳しく解説します)

人材要件の見直し方法についてお悩みの方は、以下の関連資料をご活用ください
「研修体系を見直す際のプロセスと事例」

4-3【取り組み開始後】 環境変化に応じて見直し可能な体制が築けていない

取り組み開始後、定期的に育成企画の見直しを行う体制が築けていない場合、「環境変化と共に、求められる人物像も変わってきているのに、研修内容だけは同じまま。これといった成果が見えなくなった」という事態に陥りがちです。

失敗しないためのポイント

取り組みの前提として、「外部環境や会社の状況変化に応じて、適時適切に見直しを行うべきものである」という意識を、関係者全員が持ってください。

未来のことを完璧に予想することは不可能に近いですが、変化は必ず起こる時代です。そのような中、一度作り上げた企画がいつまでも自社にとっての正解とは言えないからです。また、育成対象者自身のキャリア観やコンディションも変化することも忘れてはいけません。

変化への対応が遅れ、「どうも研修内容が合わなくなってきた…」と感じ始めてからの再検討では遅すぎます。
直近の状況をきちんと計画に反映していくために、取り組みを開始する前から

  • どれくらいの周期で取り組みの報告会/評価を実施するか
  • 受講者からの感想や所感をどのように収集するのか
  • どのような会議体で見直しを行うか

など、スムーズな見直しを行うために必要な取り決めについても、合意形成しておきましょう。

研修内容の見直しの際、気を付けるべきポイントをご紹介します。
【関連コラム】アンケート結果だけでは分からない、管理職研修の見直し方

次世代リーダー育成で育む“3つの能力”と“志”

前章までのところで、次世代リーダー育成の目的や、取り組みに際して意識したいことについてお伝えしてきました。
ここからは“どんな力や要素を育成したらよいか”を、分解して説明していきます。

先の1章・2章で、次世代リーダーは「未来の会社をけん引するリーダー」だとお伝えしました。
会社をけん引するということは、周囲を巻き込みながら経営の意思決定をするということです。そのために必要な能力・要素について、グロービスでは下図の4つに整理しています。これら4つを、次世代リーダー育成によって、バランスよく育むことが大切です。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

5-1【能力その1】 経営の定石

「経営の定石」とは、経営に関する問題を解決するのに
必要な知識・フレームワーク(理論)のことです

本来、定石とは、先人の経営者たちが長い歴史の中で成功するパターンから共通項を見出し、「こうすればうまく行く」という最善の型をまとめて伝承されてきたものを指します。そのため、定石を学ばずして試行錯誤の実践だけを重ねるよりも、定石を学んだうえで実践と組み合わせていく方が、学習速度が速く効率的な学びになります。

経営の定石として有名な戦略立案のフレームワークには、経営を成立させる要素としての
「ヒト(人材マネジメント・組織行動学)」
「モノ(経営戦略・マーケティング戦略)」
「カネ(アカウンティング・ファイナンス)」
の基本概念、外部環境分析のフレームワーク(SWOT、5F、3C )などがあります。

これらを一通り理解することで、経験や勘に頼ることなく、重要なポイントの見落としを防ぎながら、効率よく課題に対する分析や解決策の立案を行うことが可能になります。

5-2【能力その2】考える力

「考える力」とは、複雑な問題の本質と原因を把握し、最善の解決策を導き出す力のことを指します

ビジネスモデルが変化し、過去の成功パターンが通用しなくなっている今、企業が価値を創出していくためには

  • 「経営を取り巻く現状を正しく認識する力」
  • 「問題を発見する力」
  • 「発見した課題を解決するためのアイディアやプロセスを考案する力」
  • 「相手の意見や考えを正確に理解する力」
  • 「自分の意見や考えを正確に理解してもらう力」

が必須となります。

ビジネスの現場では、課題について様々な角度からの検証が必要なだけでなく、見出した最適解を相手に理解してもらい、動いてもらうところまで必要となります。
一方、人には誰しも「思考の癖」があり、無意識のうちに、過去の体験や経験則に当てはめて曖昧な判断を下しがちです。また、自分と相手の前提が異なることに気付けないままコミュニケーションしてしまい、後になって認識の齟齬(そご)が起きることも少なくないのではないでしょうか。

長い時間の中で染み付いた自分の「思考の癖」に気付き、軌道修正することは独学だと非常に難しいため、複数人でのロープレなどの演習を通じて、繰り返しトレーニングを行うことが重要です。
「考える力」を身につけることは、問題解決能力・コミュニケーション力の向上に繋がります。

考える力の必要性・効用について、さらに詳しく知りたい方は、以下も併せてご覧ください。
【関連コラム】論理思考力がますます必要になっている ~曖昧に仕事を進めると致命傷を負う時代~

5-3【能力その3】人を巻き込む力

「人を巻き込む力」とは、関係する人々に対して分かりやすく説明をし、周囲を鼓舞し、リーダーシップを発揮して巻き込んでいく力の総称です

全てのビジネスは一人で完遂することはできず、社内外の様々な関係者と一緒に進めていく必要があります。また、人には誰しも得意・不得意があり、それは経営リーダーであっても同じことです。そのため、多くの関係者と協力し、協創していく力を身に着けることは不可欠だと言えます。メンバーが力をうまく引き出すことができれば、想像以上のプラスのシナジーを生み出しながら戦略を実行し、大きな成果に繋がるからです。

一方、人を巻き込む力を十分発揮するためには、組織・リーダーシップに関する理論の理解だけだと不十分です。
それぞれの組織文化に根ざした適切な根回しや信頼の獲得の仕方などを理解していなければ、意思決定した戦略を分かりやすく効果的に伝えることはできないのです。
そのため、前項の「考える力」とセットで伸ばしていくことが肝要です。

5-4【志】(自らの使命感に則り、自分が実現したい大きな絵姿)

志とは、自身が何を大事にし、何を達成しようとしているかを明確にしたものです

経営学者の野田一夫氏は、志について、「人生をかけて『成し遂げる』ことを、事前に意思決定すること」だと言及されています。「できたらいいな」は夢でしかなく、「必ず成し遂げる」と心に誓うことから始まるものこそ志と呼べるのです。
経営リーダーの重大な役割の一つは「実現したい大きな絵姿を指し示す」ことです。先が見えない中でも、組織全体が迷わず同じ方向に付き進むためには、経営リーダー自らがスピード感を持って仮説を立て、その実行と検証を繰り返しながら、ひたすら前に進めるよう引っ張っていくリーダーシップが不可欠だからです。

では、実現したい絵姿を描くためには何が必要でしょうか? それは、「自分はどうしたいのか?」という明確な意志だと筆者は考えます。そのため、何を成し遂げ、社会にどう貢献したいのかを考え続け、自分の進むべき道=すなわち「志」を導き出すという営みに、しっかり向き合ってもらうことが極めて重要となります。

志をしっかり持つことは、経営リーダー自身にとっても大事な拠り所となり、大きな困難を乗り越えるための原動力になります。また、志の実現に向けて何をすべきかを常に探し求めるようになり、浮かんだアイディアをもとに将来的なプロセスを描き切る構想力が鍛えられます。
すると、描き上げた絵姿について明確に言語化し、周囲に対して「こういうことをやりたいのだ」と伝える力も自ずと付いてくるはずです。これもまた、多くのステークホルダーを巻き込みながら引っ張っていくべき存在の経営リーダーには必須の力だと言えるでしょう。

グロービスのワンポイントアドバイス

“3つの能力”と“志”は、相互に発揮されてこそ効果を発揮する

今までお伝えしてきた能力・要素の関係性について整理すると、以下のようになります。

  • 「志」によって、実現したい大きい絵姿を描き、
  • 「経営の定石」と「考える力」によって、最適な戦略を選択し、
  • 「人を巻き込む力」によって、戦略の実行を高め、成果を最大化する

4つそれぞれが密接に関連し合っており、相互に発揮されてこそ大きな成果に繋がることがお分かりいただけたと思います。
そのため、グロービスではこれら4つの能力・要素を伸ばすことが、次世代リーダー育成において重要だとお伝えしています。

※参考:堀義人、“創造と変革の志士たちへ”、PHP研究所、2017年、P24~95、
※引用:次世代リーダー、「他流試合」で育成 部長クラスの40~50代、先頭に立ち「道」を示す秘策とは?、日経ビジネス電子版SPECIAL、2023年10月に内容確認

次世代リーダー育成を実施する方法

5章でお伝えした、次世代リーダーに必要な“3つの能力”と“志”について、どのように育成したら良いでしょうか。

OJTでの取り組み例と、OFF-JTとして代表的な5つの研修パターンについて、筆者の経験をもとに紹介していきます。

▼次世代リーダー育成を実施する方法

6-1 OJTでの育成方法

6-1-1 事業部門を超えた戦略的ローテーションを行う

育成対象者に必要な(不足している)経験を補うため、異なる部門やプロジェクトへ一定期間のローテーションを提供することを指します。ローテーション中は、育成対象者にはメンターまたはコーチが付けられ、経験したことのフィードバックや、学びを実践につなげるための支援が行われるのが一般的です。

異なる環境下で新たな課題に直面することも多いため、以下の効果が期待できます。

6-1-2 タフアサインメントを行う

育成対象者にとって、難易度の高い、挑戦的な業務やプロジェクトへのアサインを指します。
具体的な例を4つご紹介します。

  • 危機管理: 重要な問題や危機的な状況に対処する責任を与える
  • 組織変革プロジェクト: 組織の大規模な変革や再構築プロジェクトに参加させる
  • インターナショナルアサインメント: 国際的な拠点での業務経験を提供し、異なる文化やビジネス環境でのリーダーシップを発揮させる
  • マルチディシプリンプロジェクト: 複数の部門や機能と連携し、さまざまな業務領域をカバーするプロジェクトに関与させる

これらの取り組みにより、以下の効果が期待できます。

6-2 OFF-JT(研修)での育成方法

代表的なものとして、5つのパターンをご紹介します。育成対象者の現在階層やこれまでの経験値、今後身に着けてほしいスキル・マインドに応じて使い分ける必要があるため、それぞれの内容や特徴・効果について理解しておくことが必要です。
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

6-2-1 社内のトップによる講話を行う

経営者や役員、人事部長など、会社の舵取りを行う責任者から、取り組みに対する会社の本気度・育成対象者への期待を直接伝える場を設けることです。

先の3-1.にてアサヒビール様の事例を交えてお伝えしましたが、足が長い取り組みとなる次世代リーダー育成においては、対象者自身のリーダーとしての自覚と覚悟を促すことがとても重要です。
そのため、会社が置かれている状況や、未来の会社を変革している立役者として期待していることを経営者自身の言葉で伝え、これから始まる取り組みに対する熱量を相互に高めていけるとよいでしょう。

社内のトップからの講話を行うことで、以下の効果が期待できます。

6-2-2「経営の定石」をインプットする

経営(ヒト・モノ・カネ)に関する問題解決のために必要な知識・フレームワーク(理論)を学び、理解することです。
※「経営の定石」について、詳しくは5-1をご覧ください。

自習ツールとしては、書籍の購読、研修会社が出しているeラーニングを活用した動画学習などがあります。自習ツールは、学ぶ時間や場所の自由がきくという利点があるものの、一方通行のインプットのため実践への接続が難しいという弱点があります。
そのため、最近の傾向では、実際の企業事例(ケース)を題材にしたディスカッション形式で学びを深めていく「ケースメソッド」を活用する企業が増えています。

ケースメソッドでは、企業事例に描かれている場面において、「あなたがその時の当事者であればどのように意思決定するのか」を何度も問われることになります。当事者の立場になりきって、リアリティを持って考え抜く必要があるため、”意思決定力を身に着けて欲しい次世代リーダー育成にはとてもお勧めの育成手法です。

※ケースメソッドについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

経営の定石をインプットすることで、以下の効果が期待できます。

6-2-3 自社課題の取り組み(アクションラーニング)を課す

自社課題(アクションラーニング)とは、実際の経営課題を題材として、少人数のグループで解決策を立案・実践する研修スタイルのことです。
受講者が現在の役割よりも数段高い役割視点に立って自社の課題を見出し、アウトプットとして経営陣に対し解決策の提案を行うことで、経営の視点とスキルを体得していくものになります。

こうした「自社の経営陣に戦略提言を作成するタイプ」のプログラムでは、多くの場合、新規性の高い提案が求められますが、既存ビジネスの枠や経験則に捕らわれたままイノベーティブな提案をまとめることは難しいものです。そのため、思考を広げる武器となる「6-2-2.経営の定石」を理解したうえで取り組んでほしい研修スタイルになります。
(具体的には、自社の置かれている環境を適切に分析し、自組織の人・風土を理解しながら、聞き手の前提に合わせたコミュニケーションを図る力が必要です)

自社課題(アクションラーニング)に取り組むことで、以下の効果が期待できます。

(参考)関連コラム:企業イノベーションのためにアクションラーニングで常識を疑え

6-2-4 コーチを付けたコーチングを行う

一定期間、プロのコーチが育成対象者と一対一で向き合い、明確な目標を設定し、リーダーとしての更なる成長を支援することです。

主なコーチングの方法として2つご紹介します。

  • 自組織により良い影響力を発揮するための自らの行動目標を設定させ、定期的にコーチングのなかで振り返る方法(行動変化による影響力の変化について、アセスメントによる測定を行うこともある)
  • 自社課題(アクションラーニング)の内容について、コーチが定期的にフィードバックする方法

いずれの場合も、教えたり指示したりするのではなく、コーチと育成対象者とのコミュニケーションにおいて気付きを促し、自発的な行動を起こすためのサポート役に徹することがポイントになります。

コーチングを行うことで、以下の効果が期待できます。

6-2-5 外部の他流試合型研修に派遣する

外部スクールなどへ通い、バックグラウンドの異なる社外の人と学ぶ研修のことです。
学ぶ内容は、将来経営に携わる人間として必要な「ヒト・モノ・カネ」の3領域が主流です。

多くの企業から受講者が集まり、決められたテーマでの学習となるため、下図のようにオープンスクールへの通学前後に集合セッションを組み合わせることで、研修の全体感を損なわない工夫をされる企業もあります。

他流試合と集合セッションの組み合わせ例

他流試合の特徴は、多様性に富んだ受講生同士が、議論を通じて切磋琢磨できることです。
異業種の相手と議論するには、相手に伝わるように説明しなければなりません。そのためには相手の前提と自分自身の隠れた前提を認識し、論理的かつ効果的に話すスキルが求められます。

このように、社内では得られない緊張と刺激の中で学ぶことにより、以下の効果が期待できます。

【他流試合型研修の事例】
三菱地所リアルエステートサービス株式会社「役員層はエグゼクティブ・スクールへ通学。上位層からの組織変革に本気で取り組む」
株式会社バンダイナムコアミューズメント「新たな価値を創出できるイノベーター人材を育成。リーダーとしての自覚が芽生え、事業アイデアも創出」

参考:研修の組み合わせ事例

冒頭にトップ講話を行ったあと、経営の定石をおさえ、自社の経営課題解決に取り組むパターンです。先の2章でご紹介した2社の事例は、こちらのパターンに該当します。

次世代リーダー研修の組み合わせパターン ※3-2の再掲

6-2-1に該当        6-2-2(場合により6-2-5)に該当       6-2-4に該当
  • マインドセットのパートで、経営陣などによる講話を通じて研修に臨む姿勢をつくり、リーダーとしての自覚を促す
  • インプットのパートで、「ヒト・モノ・カネ」3領域についての「経営の定石」を学ぶ
  • アウトプットのパートで、既存事業の変革、新規事業の計画立案、ビジョン策定などをテーマにした「自社の経営課題」に取り組む

これら3つのパートを1サイクルとして【およそ1年間、月1回程度の頻度】で集合セッションが行われることが多いです。

この組み合わせは、育成対象者に自覚を持ってもらう段階から対応可能ですので、まさにこれから次世代リーダー育成に着手しようとしている、という状況でも十分お勧めできる、オーソドックスな方法です。

とはいえ、インプット・アウトプットで扱うテーマの幅やレベルについては、育成対象者に合わせてチューニングする必要があるため、何をどの程度やったらよいか判断に迷われる際は、是非グロービスにご相談ください。
他社事例の紹介を交えながら、貴社にとって最適なプランニングをいたします。

OJT、OFF-JT、あわせて7つのパターンをご紹介してきました。
大事なことは、4-2でもお伝えした通り、研修テーマや手法といった方法論から検討するのではなく、

  • 自社にとっての重要ポストはどこか
  • そのポストに就く人に、どんな活躍をしてほしいのか

といった、“そもそもの目的”を関係者全員で議論し、合意形成してから取り組みをスタートすることです。

目的に応じた適切な育成手法を選択することで、関係者全員が納得して進められる企画になるでしょう。

自社にフィットする次世代リーダー育成を進める7ステップ

ここからは、関係各所からの合意・協力を仰ぎながら持続可能な育成計画にするために、お勧めしたい7ステップをお伝えします。

繰り返しになりますが、次世代リーダー育成は一朝一夕に為せるものではなく、一定期間をかけて取り組むべき営みです。
そして“会社の未来を担う人材の育成”という重大さから、多くの関係者を効果的に巻き込みながら進めることが必要です。
この7ステップを使って、関係者のみならず、育成対象者からも納得の得られる育成計画を策定していきましょう。

7-1 人材プールの確認

具体的な育成計画に入る前の準備として、「どの階層に・どのような人材が・何名所属しているか」を可視化しましょう。
この後のステップで「いつまでに、どの層を何人確保することが必要なのか」を導いた際、現時点でどこの人材が足りないのか(あるいは足りなくなるのか)が一目瞭然となり、優先的に育成すべき階層やテーマが自ずと見えてくるからです。

人材プールの例

7-2 運営体制(メンバー、分担)・進め方の決定

次世代リーダー育成は、中長期的に多くの関係者からの協力を得ながら進める必要があります。いざ取り組みスタートという段階になってから「そんなことは聞いていない」「今は他の優先事項があり手が回らない」など言われてしまわないよう、「いつまでに・誰が・何を行うのか(関与するか)」を十分検討し、洗い出しておきましょう。

~各プレイヤーと求められる役割(例)~

どの部門までを関係者と見做すべきか判断が難しい場合は、グロービスにご相談ください。
貴社のこれまでの育成経緯や組織体制をヒアリングさせていただいたうえで、第三者の視点からアドバイスさせていただきます。

企画の進め方について第三者の視点からアドバイス
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7-3 育成する階層の決定と、あるべき人材像の定義

ここからは、いよいよ育成する対象を具体化していきます。

本記事の冒頭で、『次世代リーダー育成とは、将来有望な人材を早期に選抜し、中長期的かつ段階的に育成・支援する取り組み』だとお伝えしました。時間をかけた段階的な取り組みとして、以下の2段階で決めていく必要があります。

  1. 【育成目標(目指す階層)】【育成対象(現在の階層)】を決める(7-3-1
  2. 【育成目標】の“あるべき人材像”を描く(7-3-2

ひとつずつ見ていきましょう。

7-3-1【育成目標】と【育成対象】となる階層を決める

7-1で洗い出した人材プールの情報も参照しながら、自社の戦略を実行するうえで 「どこが優先度の高いキーポジションなのか」「何人必要なのか(=理想的な人材プール)」を明らかにしてください。そこが【育成目標(目指す階層)】となります。

  1. 【育成目標】よりも下のポジションにおいて高い適性を持っている(もしくは今後に期待が出来る)人材を幅広く見つけ、【育成対象(現在の階層)】とします。
  2. 【育成目標】までに必要な段階と、階層毎のリーダー像を具体的に描きます。(7-3-2

イメージは以下の通りです。


【育成対象】選定におけるポイント

【育成対象】として定める階層は、必ずしも一つに決める必要はありません。

実際に筆者が過去に支援させていただいた企業の多くも、複数階層を対象とされていました。目標に向かってそれぞれ数年をかけて段階的に設計していけば良いのです。

また、繰り返しになりますが次世代リーダー育成の本来の目的は、「未来の会社にとって必要な人材の育成」です。
となると、焦点にすべきは「今、必要な人材」ではなく「未来の人材ニーズ」であるはずです。
そのため特定の階層のハイパフォーマーだけに着目するのではなく、あらゆる階層のハイパフォーマーを幅広く対象とすることをお勧めしています。

7-3-2【育成目標】となる階層の“あるべき人材像”を描く

人材像を定義する方法として、グロービスでは以下3点の言語化をお勧めしています。

  • 【育成目標】となる階層に、どんな役割を期待するか
  • 役割を果たすうえで、どのような行動を起こす必要があるか
  • 行動を起こすために必要なスキル・マインドはなにか

このなかで特に重視していただきたいのは、2点目の「求められる行動」の言語化です。
“行動プロセス”による定義は、抽象的な“要素”で定義するよりも具体性が高く、実際に出来ているかどうかの評価がしやすいからです。
なお、ここで定義する行動が、自社の理念・事業戦略に沿う内容になっているかを必ずチェックするようにしてください。

ゼロから書き起こすのが難しい場合には、以下の資料にて汎用的な人材要件策定例をご用意しています。

サンプル付きの付属のワークシートを使って自社に合った表現にアレンジしていくと、効率よく「自社に適した人材要件定義」が完成します。ぜひダウンロードしてお使いください。

資料のダウンロードはこちら
研修体系の考え方(ワークシート付)

▼資料より抜粋:階層別人材要件定義の策定(例)

人材要件定義についてお悩みの方へ
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7-4 育成対象者の選抜

前項までのところで、戦略を実行するうえで理想的な【人材プール】【人材像】と、それを【議論する会議体】まで決めることが出来たかと思います。
ここからは更に具体的に、「誰を・どのように選ぶか」について例を挙げながら説明していきます。

7-4-1 選抜手法の例

関係者および育成対象者からの納得を得るためには、複数の視点で客観性を高めることが重要です。
そのため、それぞれの手法の特徴と留意点を押さえたうえで、バランスよく組み合わせて使うことをお勧めします。また、時間的猶予がある場合には、実践において課題を与え、実際に成果を出せるかどうかの結果も加味すると良いでしょう。

7-4-2 選抜基準の例

多くの方にとって、一番イメージしやすく重視しがちなのが「現時点での実績」だと思います。
それももちろん重要ですが、同等かそれ以上に重視してほしいポイントは、将来のポテンシャルを測る意味合いでの「基礎能力」や「意識・意欲」です。VUCAと言われて久しい中、次世代リーダーには不確実かつ複雑な状況での判断能力が未だかつてなく求められているからです。

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、上記のような広範な評価項目すべてをバランスよく満たす人材というのは極めて希少です。そのため、それぞれの項目のなかで、特に重視するポイントとそうでないものを区別する必要があります。

例えば、以下のような条件別に整理しておくのがお勧めです。

  • ノックアウト条件(他の条件が揃っていても、その要件がなければアウトという性質のもの)
  • 必要条件(周囲からの納得度を高めるために必要な条件)
  • 理想条件(その要素があれば尚良しという性質のもの)

上記条件は、各社の価値観と照らし合わせて判断いただければと思いますが、関係者間の合意形成をするために客観的な視点が必要ということでしたら、お気軽にグロービスにお声がけください。
貴社の状況と業界特性を踏まえながら、選抜手法・評価基準の設定について伴走させていただきます。

7-5 育成施策の設計・実施

7-3でお伝えした【育成目標】の“あるべき人材像”に照らして、目標レベルに到達するための育成施策を設計し、実施します。
目標の置き方と段階的な育成のイメージは以下の通りです。

※OJT/OFF-JT ともに、具体的な育成手法については第6章をご確認ください。

7-6 育成対象者の評価、絞り込み・入れ替え

育成施策がスタートしたら終わりではなく、そこからの定期的な評価やフォローがとても大切です。
研修での様子や課題に対するアウトプット、タフアサインメントに対する反応や成果をモニタリングし、その後の配置や昇格、育成施策に繋げていかなければなりません。(場合によっては、育成対象者の絞り込みや入れ替えを行います)

次世代リーダー育成は、たった一度の施策で終わらせるものでなく、一定期間続けるものです。そのため、見極めだけを目的に評価するのではなく、個人の成長や育成課題を見出すという目的意識も持ちながら取り組んでいただけると良いでしょう。

7-7 次ポストへの登用~登用後のサポート・評価

育成や見極めが進み、ひとつ上のポストに登用した後も、育成目標での活躍が見られるまでは評価・フォローを続けてください。特に上位階層に進むほど、複雑な状況での判断を求められることが増え、強いストレッサーに囲まれた状況に置かれるのは必然ですので、孤立無援にならないよう人事からも定期的なコンタクトを取りましょう。

一方で、環境変化に合わせてきちんと期待役割を発揮できているかについては、冷静に判断する必要があります。
以下に、評価方法の例をご紹介します。選抜方法と同様1つの評価方法に依存せず、複数を組み合わせて総合的に判断するようにしてください。

  • 本人との人事面談
  • 適正テスト(能力、資質、性格)
  • 360度評価(上司・同僚・部下からのリファレンスチェック)
  • 従業員の意識調査(部署ごとに集計した結果から、マネジメント能力を把握)

次世代リーダー育成の企画~実施において大事なこと

ここまでお伝えしてきたことを踏まえ、次世代リーダー育成の企画~実施で大事にしていただきたいポイントは以下3点です。

企画~実施において大事な3つのポイント

8-1 社内ステークホルダーを巻き込み、育成施策と実践を結びつけること

先の事例の国分グループ様のように、育成施策と実践の接続ポイントを多数設けることをお勧めします。

具体的には、育成対象者の所属部署、上長、関連部署のメンバーなど、広範な社内ステークホルダーを巻き込み、「課題について一緒に考えてください」というメッセージを伝えることです。

次世代リーダー育成は単発の取り組みではなく中長期的な時間軸で行うものです。そのため、短期間での成果が見えづらく、周囲から「何のために時間を使っているのか」といった懐疑的な目を向けられることも往々にして起こり、育成対象者自身のモチベーション低下も招きかねません。

そうならないためには、会社としてどのような取り組みを実施しているのか、育成対象者たちがどのような課題と向き合っているのかを広く周知すべきです。会社をあげて取り組むべき重要な営みであることが理解されると、施策に対する協力を得やすくなるだけでなく、さらに将来の候補となる方々の関心や希望を集めることにも繋がっていきます。

8-2 自社の事業・組織・人材を深く理解し、未来を見据えた企画にすること

未来の会社のために必要な人材を育成するためには、現在の状況ではなく、「自社の事業・組織・人材はどのようになっていくべきか」という未来を見据えた企画にしなければいけません。

そのため、企画担当者は「我が社にとってどうなのか」という個別性の視点を持ち、以下の5つの問いについて自分の言葉で語れるようになるまで考え抜くことが大切です。

したがって企画担当者には、マクロ環境の変化、自社の理念・事業・組織・人材について深く理解し、実現したい未来に対して自らも意志をもつことが求められます。
こうした能力・マインドを身につけるために、上層部を巻き込んで意見をもらったり、積極的に外に出て情報を集めたり、ビジネススクールに通ったりしている方もいます。

8-3 すべてを自社でやろうとせず、造詣の深い外部パートナーに頼るという選択肢を持つこと

8-2.でお伝えした問いは、経営を考える際の問いと同じです。

つまり次世代リーダー育成について考えるということは、経営を考えることと等しく、育成担当者にはかなりの力量が求められます。そのため社内で十分な答えが出せない場合には、専門的な知識を持つ社外のパートナーに相談するのも有効な手段です。

ただし、次世代リーダー育成に関するコンサルティングや研修を提供する会社は数多く存在するため、「確かなノウハウを持ったパートナーを選ぶこと」が取り組みを成功させる上でとても大事になってきます。
ノウハウのない支援会社へ間違って依頼してしまうと、金額・期間ともに大きな損失を被ることになります。なぜなら次世代リーダー育成は一般的に時間や費用のかかる施策だからです。特に成果を感じられるようになるのは半年先~数年先が一般的です。
つまり、成果が出なかった後になって、間違った支援会社に依頼していたことに気付いた場合、とてつもない損失が生まれていることになってしまうのです。

そうならないためにも、外部パートナー選びの際、必ずチェックいただきたいポイントを次章でお伝えします。

自社に合った、次世代リーダー育成の
外部パートナーを見つけるためのチェックリスト

皆様にすぐに使っていただける、外部パートナー選びのチェックリストをご用意しました。

次世代リーダー育成の特徴である、以下の2点を考慮して作成しています。

  • 通常の研修と比べて長期に渡る取り組みになること
  • 各社の状況によって、育成対象・施策内容を変える必要があること

明日からすぐ使えるように、印刷用のPDFも用意してあります。
ぜひダウンロードしてご活用いただき、貴社に合った外部パートナーを見つけてください。

9-1 自社の課題感に沿った適切な提案をしている

  • 経営課題の分析から人材育成課題の特定まで一緒に考えてくれて、その内容も適切である
  • 人材育成課題と紐づけた、適切な研修プログラムが提案されている
  • 担当者のスキル・熱意が高く、長期間の研修運営を共に完遂できそうな信頼感がある

9-2 自社に必要な品質が担保できる

  • 講師のファシリテーション能力が高く、受講者自身に考えさせる仕掛けを施してくれる
  • 育成対象者のレベル・課題感に合わせた教材を用意できる

9-3 適切な料金である

  • 費用対効果の面で、納得感のある見積もりが提示されている

9-4 研修のデリバリー能力が高い

  • 変化していく育成ニーズに、都度対応できる研修のバリエーション(企業内研修、公開講座、eラーニング等)を持っている
  • 自社の拠点や対象人数を鑑み、適切なロケーション/規模の研修体制を構築できる
  • 希望の研修タイミングに対し、柔軟に対応してくれる(もしくは日程の選択肢が多数ある)

9-5 研修フォロー体制が整っている

  • 研修開始後も適切にフォローし、柔軟に変更・対応してくれる
  • 研修後の振り返りと今後の課題特定まで対応。事後フォローまでパートナーとして伴走してくれる

9-6 十分な実績がある

  • 過去に、次世代リーダー育成をテーマにした研修を企画・開催しており、HPに具体的事例が掲載されている
  • 案件担当者が過去に複数の次世代リーダー研修を提案・実施した実績を持っている

次世代リーダー育成にグロービスをお勧めする5つの理由

もし外部パートナーへの依頼を検討されるようでしたら、是非グロービスも選択肢のひとつに入れてください。理由は5つあります。

  • 次世代リーダー育成の支援について十分な実績があるから
  • 各社の経営課題に沿った適切な研修プログラムの提案ができるから
  • 次世代リーダー育成に資する研修プログラムのバリエーションが豊富だから
  • 研修プログラムの品質が担保できるから(グロービス独自の品質保証制度)
  • 研修後のフォローまでパートナーとして伴走できるから

それぞれについて詳しく解説します。

10-1 次世代リーダー育成の支援について十分な実績があるから

グロービスは累計6,700社、230万人もの受講者へ教育サービスを提供しています(2023年時点)。

▼ご利用実績に関するニュースリリース
グロービス、経産省「DX銘柄」選定企業の人材育成サービス導入が97%を突破! 日経平均銘柄企業に選ばれた上場企業225社の86%が利用 企業DX、デジタル人材の育成が加速

多様なテーマについてお問い合わせをいただく中でも、次世代リーダー育成に関するご相談は非常に高い割合を占めています。
特筆すべきは“経営幹部養成プログラム”として提供しているグロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)の受講者数の増加です。年度には年間およそ3,700名のエグゼクティブ層から選ばれており、2023年度はさらに増加傾向となっています。
(※プログラムの詳細につきましては、10-2-2でご紹介します)

■グロービス・エグゼクティブ・スクール(GES) 受講生数推移

10-2 各社の経営課題に沿った適切な研修プログラムの提案が出来るから

10-2-1 皆様の会社の経営課題を特定できる

グロービスにお任せいただければ、皆様の会社の課題に沿ったプログラムの設計・提案をいたします。なぜならグロービスの担当者はほぼ全員MBA(経営学修士)を取得しており、外部環境の変化にもとづき企業が直面する経営課題を特定するところから議論出来るからです。この点が、他の研修会社との大きな違いです。

本記事で繰り返しお伝えしてきた通り、次世代リーダー育成の企画には、経営課題の把握が不可欠です。その分析・特定の段階からグロービスの担当者がお役に立てますので、研修事務局の皆様と連携はもちろん、経営陣の皆様の課題を確認・すり合わせながら、皆様の期待に沿うプログラムをご提案します。

10-2-2 特定した経営課題を、研修プログラムに落とし込める

グロービスでは、経営課題を特定した担当者がそのまま、研修プログラムの設計~デリバリーまで伴走します。そのため、特定した経営課題の解決に繋がる研修プログラムを設計し、実施することが可能になっています。

ありがちな失敗談としてよく伺うのは、経営課題の特定はコンサルタント会社に依頼し、研修プログラムは研修会社へ依頼するというケースです。この場合、両者をつなぐのは主に人事部の方となりますが、伝言ゲームとなってしまうため、論点やニュアンスが微妙にずれてしまうことが往々にしてあるそうです。
そうならないために、課題特定から研修の設計~デリバリーまで一気通貫でお受けできるグロービスがお勧めです。

10-3 次世代リーダー育成に資する研修プログラムの種類が豊富だから

次世代リーダー育成では、多くの場合「複数階層に対して、それぞれに適した方法」での育成が求められます。グロービスは研修形態/内容の種類が豊富なため、様々な研修ニーズへの対応が可能です。
以下に6つの研修プログラムを紹介します。

10-3-1 企業内研修

グロービスでは、貴社の経営課題に合わせて、最適な次世代リーダー向けの企業内研修プログラムをご提供可能です。
研修実施上の制約(時間・コストなど)に沿えるよう、定型・テーラーメイド型いずれのプログラムを、リアル/オンライン双方でご提供しております。

定型プログラムテーラーメイド型プログラム
プログラム概要人・組織に関する 共通性の高い課題を解決するために、体系化されたプログラムを個社ごとに組み合わせて提供人・組織に関する個社ごとの課題に対し、テーラーメイドで設計したプログラムを提供
提供方法リアル/オンライン
定員1クラス8名~25名
研修時間1日7時間(リアル)
1日3時間×2回(オンライン)
1日3.5時間~(リアル/オンライン)

弊社へお問い合わせいただきましたら、専任担当から皆様へご連絡させていただき、次世代リーダー育成のプロジェクトを最初から最後まで一貫でサポートいたします。

10-3-2 他流試合型研修 「グロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)」

グロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)は、企業の中核を担うマネジメント層向けに開発された“経営幹部養成プログラム”です。
激しい環境変化を踏まえ、企業を変革に導くことが出来る次世代リーダーを育成することが可能です。

育成目的やキャリアにあわせ、組織・個人双方にとって最適な育成ができるよう全6プログラムの中からご選択いただけます。

本記事で繰り返しお伝えしてきたとおり、社内では得られない緊張と刺激の中で学ぶ他流試合型研修は、視野を広げ、固定化した考えを解きほぐしながらリーダーとしての自覚や持論のアップデートを促します。

貴社の育成対象者にとってどのプログラムが最適か迷われる際は、お気軽に弊社までお問い合わせください。専任担当が貴社の課題についてヒアリング・議論させていただきながら、お役に立てるプログラムの詳細をご案内いたします。

グロービス・エグゼクティブ・スクール

10-3-3 各種eラーニング

通学型ビジネススクール、企業内研修、書籍等で培った知見を活かし、グロービスが独自開発している良質なデジタル教育サービスです。時間や場所を選ばす、効率的かつ効果的な能力開発が可能です。
定額制動画学習サービス「GLOBIS 学び放題」「GLOBIS Unlimited」や、アウトプットを重視した動画学習サービス「eMBA」などをご用意しています。

10-3-4 アセスメント・テスト「GMAP」

「GMAP」とは、ビジネスパーソンの能力を客観的に測定するテストです。
経営知識の理解度・実践での活用度を測定し、日本のビジネスリーダー層との相対的な比較が可能です。

測定領域としては、

  • 考える力・論理思考(クリティカル・シンキング)
  • 経営の定石(ビジネス・フレームワーク)

研修後の効果測定に使われる場合もありますが、GMAPの結果から育成課題を特定し、必要な育成手法についてご提案することも可能です。
活用方法は様々ですので、能力測定にご関心のある方はお気軽にお問い合わせください。

10-3-5 組織開発/事業開発

グロービスの組織開発/事業開発の提供価値は、HRBP(HRに関する外部のビジネスパートナー)と同じ「事業開発ができる組織/人をつくる」ことです。単なる研修の枠を越え、人・組織を変えることで経営者の課題解決にまで踏み込むことが可能です。

組織開発

グロービスの組織開発支援サービスでは、企業の中核人材である、次世代リーダーの意識・行動を変え、組織への働きかけが変わることをサポートします。その結果、良い組織づくりへ繋げます。良い組織とは“目標達成機能”と“集団維持機能”を兼ね備えた組織であり、これらを両立して高めることを目指します。

事業開発

グロービスの新規事業開発支援サービスでは、貴社の事業開発におけるアウトプットの創出を力強く後押しします。
ビジネスアイディアの探索・検証(アイディエーション)から事業モデルの検討(アクセラレーション)といった事業開発の序盤は、行きつ戻りつの連続であり、迷走がつきものです。
そのような場において、グロービスが経営教育で培った知見ならびに合意形成・意思決定を後押しするファシリテーション力は、非常に有効です。新規事業開発にアサインされた次世代リーダーに、健全な試行錯誤の機会を提供します。

10-3-6 グローバル人材育成プログラム(企業内研修)

グロービスは日本、中国(上海)、シンガポール に拠点を構え、グローバル人材として力を発揮するための育成プログラムを、英語・中国語・日本語の3言語にて幅広く提供しています。
北米・南米、欧州、アジアなど、受講生の所属する国・地域の時間帯を踏まえたプログラムの設計、マルチタイムゾーンでの研修にも対応可能です。

またグローバルネットワークを活かし、海外の一流ビジネススクール(ISB、CEIBS)との提携も実現し、イマージョン・プログラム(海外の現場に飛び込み実体験するプログラム)も実施しています。確かな品質と利便性の高さから、海外15ヶ国以上での研修実績(リアル/オンライン)があります。

10-4 研修プログラムの品質が担保できるから(グロービス独自の品質保証制度)

10-4-1 専門性だけでなくファシリテーション力の高い講師をアサインできる

「何が課題なのか?自分ならどうするのか?」といったビジネスの意思決定を疑似体験することで、実際のビジネスでも応用できる普遍的かつ実践的な視点が身に付きます。この考えのもと、グロービスでは経営の専門性のみならず、高いファシリテーション力を有する講師をアサインしています。

特に、主体性を持った意思決定力が求められる次世代リーダーの育成においては、「教える」要素を極力排除したプログラムにする必要があります。そのため、各セッションのテーマに対して講師からの“意見”は伝えるものの、“自分であればどう考えるのか”を徹底的に考えていただくスタンスを貫き、「唯一絶対の正解はない」という前提でセッションを進めることが大切なのです。

闊達な議論を促しながらも、絶対に押さえて欲しい経営の定石をきちんと理解させることの両立はとても難しいものです。そのため、グロービス講師陣は独自の研究開発グループと共に、継続的にファシリテーションスキルの向上に努めています。

10-4-2 クオリティ・ギャランティ制度(品質保証制度)がある

グロービスが提供するスクールプログラムや法人向けテーラーメイド研修サービスにご満足いただけないところがあった場合には、研修委託報酬の一部あるいは全額をお返しする『クオリティ・ギャランティ制度』を導入しています。
教育サービスにおいて全額返金をするサービスは世界的に見ても稀有なものですが、それほどにグロービスでは提供するサービスの品質に拘りぬく運営をしています。

10-5 研修後のフォローまでパートナーとして伴走できるから

グロービスの担当者は、研修をやって終わりではなく、振り返りや今後の課題特定といった研修後のフォローまで伴走させていただきます。皆様の会社にとって最も大切なことは、次世代リーダー育成研修後の受講者が、実務で更に活躍することだと考えるからです。

例えば以下のようなサポートが可能です。

  • 企業内研修を実施後、講師からのコメントや受講者アンケートの結果を参照しながら、ゴールへの到達度合いの振り返りと改善点の洗い出しを行う
  • 研修から一定期間経過後に、研修受講者の実務における変容をヒアリングしながら改めて課題を特定し、今後取り組むべきテーマについて議論する
  • 会社の環境や状況の変化に合わせ、育成対象者の見直しの検討に役立つ情報提供やアドバイスを、客観的視点で行う

以上、5つのお勧め理由についてお伝えしました。
次世代リーダー育成を外部パートナーに依頼する際は、ぜひグロービスへもお問い合わせください。
上記5つの理由から、決して他社に劣らないご提案をし、企画から事後フォローまで一気通貫でサポートさせていただきます。

まとめ

最後に、本記事でお伝えしたポイントは以下のとおりです。

  • 次世代リーダー育成の目的は、未来の会社をけん引する担い手を輩出することである。
  • 次世代リーダー育成の優先度を上げ、育成施策と実践を結び付けていくためには、取り組みの最初から社内のステークホルダーをしっかりと巻き込むことが重要である。
  • 研修テーマや手法といった方法論から検討するのではなく、「自社にとって何が必要なのか」という視点を大切にする。
  • 次世代リーダーの”あるべき人材像”を考える際は、定義した内容が自社の理念・事業戦略に沿う内容になっているかを必ずチェックする。
  • 施策検討の際は、現在の状況ではなく「自社の事業・組織・人材はどのようになっていくべきか」という未来を見据える必要がある。そのため、企画担当者にはマクロ環境の変化、自社の理念・事業・組織・人材について深く理解し、実現したい未来に対して自らも意志をもつことが求められる。
  • 次世代リーダー育成を成功させるには、外部パートナーに頼るという選択肢も持っておく。検討の際には9章に記載したチェックリストを活用することで、自社に合った外部パートナーを選定できる。

次世代リーダー育成は、どの会社にとっても今後の事業成長を左右する重要なテーマです。 上記ポイントを押さえ、貴社の明るい未来を切り拓く「次世代リーダー」を輩出していきましょう。

※文中の所属・役職名は原稿作成当時のものです。

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