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2024年10月18日(金)無料
【人材育成ご担当者さま向け】
グロービス受講体験セミナー~クリティカル・シンキング編~ スピーカー:戸塚 絵里
グロービス・エグゼクティブ・スクールへの経営幹部層の派遣を5年間にわたり継続している三菱地所リアルエステートサービス株式会社様。その内容について、同社の人事部 次長 能力開発課長 兼務 原栄市様と、受講者だったコーポレートスタッフ 執行役員 総務部長 吉田恭彦様にお話を伺いました(部署・役職はインタビュー当時)。
※本記事のインタビューはオンライン会議システムを通じて行いました。集合写真は密閉空間を避け撮影し、インタビュー写真はソーシャルディスタンスを取り撮影しております。
原さん:
弊社は、従業員600名程度の規模の割に縦割り意識が強く、全社視点や全体最適に立った連携の意識、ならびに意思決定した事項の浸透に関する課題感が長らくありました。不動産仲介をサービスの軸とする営業会社であることから、成果主義とマネジメントの折り合いに苦慮する状態も続いていました。
2014年度に現在の人事制度へ改定した際、人材育成は上位層にも行うべきとの考えから、経営幹部層への研修を模索し、執行役員のエグゼクティブ・マネジメント・プログラム(以下、EMP)への派遣が始まったのです。
原さん:
派遣の目的は、経営目線に基づく全社視点・全体最適の発想を持つことと、経営者としてのリーダーシップを養ってもらうことです。営業会社ですから、数字を追う営業主義は当然大切です。その上で経営幹部に期待していたことは、部門や事業の枠を超えた横断的で高い視座を持ち、課題解決に向けて率先して行動することでした。
吉田さん:
私は2019年の7月期(7月~9月受講)、EMPへ通学しました。このタイミングで学べたことはラッキーだったと思っています。
昭和63年の入社以来30年間、営業の最前線で不動産売買の仲介に携わってきました。営業職ですので、成果が出れば役職も上がりますし、発言も自由にさせてもらえました。
キャリアの転機は総務部長に任命された時です。異動したからには何らかのことを身につけないと自分の居場所はありません。経営についての知見を得なければならないと考えていた異動2年目、執行役員を委任された年にEMPへ通うことができました。まさに絶好のタイミングでした。
原さん:
導入前は、正直なところ期待と不安が入り混じっていました。多くの経験を積んだ経営幹部層の価値観へ刺激を与えられるのか? 企業風土の変革へつながるのか? 多くのことが未知数でした。
結果として、受講した役員層からはおおむねポジティブな感想が寄せられており、一安心しています。
別の観点として、2020年は新型コロナの影響で、通学クラスに派遣する予定だったところを急遽一部オンラインクラスに変更しました。経営幹部育成は待ったなしという危機感がありましたので、派遣を中止する選択肢はありませんでした。ただやはり、慣れないオンラインクラスへの役員層派遣には不安がありました。
ですが岸さん(グロービス担当者)に、オンラインで学ぶ効果を丁寧に説明いただけたので、最終的には安心感が持てました。オンラインクラスのサンプル動画も見せていただき、弊社の経営幹部層を派遣しても問題ない、というイメージができていたのは大変助かりました。
原さん:
こだわった点は企業内研修ではなく、他流試合の形式を選択したことです。変化の激しい時代ですので、弊社の持続的成長に必要な要素を、社外の視点も含めて考えてほしいと思いました。そのためにタフなカリキュラムを備えたスクールへの派遣で他社の経営幹部と交わる他流試合が最適と判断しました。外部から得た視点・知見を影響力の大きい経営幹部から発信し、社内により良い文化を醸成したかったのです。
吉田さん:
受講を終えて、弊社人事の目論見通り、他流試合を経験できて本当に良かったと思っています。自社と社外の価値観の違い、共通の課題などを体感できましたし、クラスメイトとのネットワーキングによる学びがとても大きかったのです。
クラスの仲間には私どものオフィスに見学に来ていただいたり、ある会社さんのプラントを拝見しに行ったり。今年度は不幸にして活動が制約を受けているものの、お互いに近況を報告し合う交流が今も続いています。
コロナ禍で、仲間の会社が厳しい状況にあるという話を聞けば、励ましのメッセージなどがSNS上で飛び交っています。それぞれ会社も役割も違いますが、抱えている問題意識は似ていて、お互いにそれを共有できることは心強いものです。
ただ一つ注意があるとすれば、真剣に研修に参加しなければ、ネットワークを築くことは難しいかもしれません。自分がネットワークの中心に飛び込んで研修を盛り上げていく、という気持ちがあれば、かけがえのないメンバーが得られるはずです。
原さん:
EMPへの派遣を始めてから5年が経ち、25名ほどが受講しました。役員クラスは一通り受講し終え、経営戦略を検討する議論の質が上がったとの感想も聞いています。
吉田さん:
確かに経営幹部層の間で、ビジネスを進めるうえでの共通認識が醸成されたと感じています。
今までであれば、数字をざっとグラフで見て「この数字は営業の誰が活躍した。今年は誰々の案件がこの程度見込める。」といった類の話で終わっていたと思います。ですが今年の経営戦略検討会議では、過去の振り返りや内部・外部環境分析、当社の強み弱み、マーケットにおけるポジショニングなどといった議題を皆が深く理解し、目指すべき姿の議論ができていたと思います。
自社が変わらねばならない状況において、経営の共通言語を持って議論できるようになったことは、組織の大きな進歩です。
これから我々が考えるべきは、三菱地所グループの一員として親会社との関係性を生かしながらも、親会社に依存するのではなく、我々の手で自社を指揮するための舵取りです。「我々が社会に期待されていることは何か。」を自分たちで考え抜く。この感覚を持ち実践できる経営幹部層が何人出てくるかによって、本当に変われるかが決まると思います。
弊社の取締役の大半は親会社からの出向者です。プロパーの最高峰は営業本部長のような位置付けであり、実質的な経営に参画することは難しい、という考え方が少なからず根付いてしまっている。これを変えなければなりません。
このようなことをおぼろげながら考えていたタイミングでの受講だったので、会社の将来を経営目線で考える方法とさまざまな示唆をEMPで受け取れたことは幸運でした。
原さん:
役員層はEMPを受講し終えましたが、まだ道半ばだと思っています。今年度から受講対象者を新たに部長層へも広げました。
役員層は指名選抜での受講でしたが、部長層は指名公募制にしています。2020年度は6名の派遣枠がすべて埋まりました。次世代リーダーとして期待される立場での意欲を尊重し、当面は部長層への公募を続けていきます。部長層の派遣を通じて、部署単位で経営の目線に立った議論・方針づくりができる風土を目指しています。
吉田さん:
部長層は会社ではかなり経営に近いポジションです。これから学ぶ部長層には、視座を上げて、自分が経営者だったらこの会社をどうするのか、そのために「今、自分は何を為すべきか」の答えを見つけてもらいたいです。皆さんが参加するのはエグゼクティブ・マネジメント・プログラム。トップに立ったつもりでの経営感覚を養うカリキュラムなのですから。
加えて「足らざるをいかに補うか」という、自分を見つめ直す機会にもしてほしいですね。EMPでは自分に足りない視座・視点・スキル・思いが、残酷なまでに浮き彫りになります。私は恥をうんとかきました。部長層にも大いに恥をかいて学んでもらいたいと思っています。
原さん:
全社トピックとして、来年度から新たな「長期経営戦略」がスタートします。その柱の一つが人事戦略です。「共通言語化」「可視化」「体系化」という3つの進化を掲げ、感覚や経験に依存しがちでバラつきがあった人財育成の変革にチャレンジしていきたいと考えています。
プランニングに際しては岸さんのタイムリーなアドバイスが非常に役に立っていますし、社内提案資料にいくつもメソッドを加えさせていただいています。
学ぶ場に関しては、これからはリアルとオンラインのハイブリッドでいくべきだと考えています。オンライン学習を今後取り入れるにあたり、GLOBIS 学び放題(定額制動画学習サービス)を先日体験しました。
知見を深めるためには想像以上に有益だと感じましたね。当社に必要な基本スキルを整理してGLOBIS 学び放題のカリキュラムと紐づける提案を、岸さんから頂戴しているところです。
今後は、学びたい時に手軽に学べる動画学習をベーススキルの向上に使い、オンラインだけでは難しいアウトプットの訓練はリアルの場を設定していけたらいいと考えています。
グロービスが三菱地所リアルエステートサービス様の人財育成のお手伝いをはじめて5年。原様からは、研修に留まらないパートナーとして期待を寄せていただけていると感じます。
最近では2021年度より始まる「長期経営戦略」の中の人事戦略について、ご相談を受けております。配置/評価などの各種人事施策と育成をどう連動させていくのか、どう運用していくべきか、社員の皆さまのご納得をいかに得るか、といった論点まで密にお話をさせていただいています。
グロービスだからこそ作り出せる質の高い学習の場を、三菱地所リアルエステートサービス様に寄り添いながら、今後も提案していきたいですね。今回ご提案した「エグゼクティブ・スクールをオンライン上で学習ができる場」は、経営大学院オンライン校も持つグロービスならでは。三菱地所リアルエステートサービス様の新たな価値創造に向けて、今後も尽力いたします。
また吉田様にお話しいただいた「全社員が自社の経営戦略を我が事として捉え、一致団結して仕事に向かっていくためにも、プロパーから経営幹部をもっと輩出しなければならない」という危機感は、他社様からも伺うことがあります。とはいえ、「自分たちで経営するのだ」とマインドを転換し、実現していくことは一朝一夕にできることではありません。今後も引き続き、人財育成の面からサポートさせていただきたいと考えております。