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中間管理職に求められるスキルとは? 役割や向いている人、育成のポイントを解説

中間管理職に求められるスキルとは? 役割や向いている人、育成のポイントを解説

中間管理職は、経営と現場をつなぎ、組織が成果を出し続けるための「要」です。 多くの場合、プレイヤーとしての高い実績を評価されて登用されます。

しかし、個人で成果を出す力と、組織を動かす力は本質的に異なります。「自分でやったほうが早い」といったプレイヤー時代の思考から脱却できないままでは、いくら新しい知識を学んでも、現場での行動は変わりません。その結果、本人も組織も本来の力を発揮できず、停滞してしまうリスクがあります。

本記事では、年間3,400社以上を支援するグロービスの知見に基づき、中間管理職に求められる役割やスキルを体系的に整理します。そのうえで、成果につながる具体的な育成のポイントについて、事例を交えながら詳しく解説します。

ぜひ皆様の会社におきましても、中間管理職研修の企画・設計や、見直しのヒントにしていただけたらと思います。

1.中間管理職とは?

中間管理職とは、経営と現場の間に立ち、担当組織の成果に責任を負うポジションのことです。「ミドルマネジメント」とも呼ばれ、一般的には課長クラスを指します。

最大の役割は、抽象度の高い経営方針を、現場が実行可能な具体的な行動へと翻訳して届けることです。そのため、経営の高い視座と現場のリアリティ、この双方を行き来しながら組織を動かす推進力が求められます。

多くの中間管理職は、プレイヤーとして高い実績を評価され、そのポストに就きます。しかし、名プレイヤーが必ずしも名管理職になれるとは限りません。求められるのは、自分がどう動くかという個人の視点から、組織をどう動かすかという組織の視点への転換です。

また、このポジションは短期の数値目標と中長期の人材育成、あるいは自部門の利益と全社の最適といった、相反する要素の板挟みになりがちです。 こうした葛藤の中で安易に妥協せず、組織としての最適解を選び続ける点にこそ、中間管理職特有の難しさと価値があると言えます。

ここからは、中間管理職に求められる具体的な役割やスキル、適性について詳しく解説していきます。

2.中間管理職に求められる役割

中間管理職の本質的な役割は、経営と現場の間に立ち、組織を動かす中核(エンジン)として機能することです。そのため、自ら動いて成果を出す「個人軸」から、人や仕組みを通じて成果を出す「組織軸」への視座への切り替えが、全ての役割の出発点となります。

中間管理職に期待されている、以下4つの主要な役割について解説します。

中間管理職に求められる4つの役割
部門方針を策定して成果を創出する

部下を育成して組織の能力を高める

ハブとして経営戦略と現場をつなぐ

働きやすい組織文化と環境をつくる

2-1.部門方針を策定して成果を創出する

中間管理職は、市場環境や全社の経営方針を踏まえ、自部門が進むべき方向を定める役割を担います。具体的には、上位方針を自部門の目標やKPIに落とし込み、損益(P/L)を意識したリソース配分を行います。これにより、”絵に描いた餅”になりがちな戦略を「実行可能な計画」へと変換し、成果創出を目指すことができるのです。

この際、個人の経験や勘に頼るのではなく、ヒト・モノ・カネといった「経営の定石」を踏まえ、複数の選択肢から最適解を導き出す判断力が求められます。

2-2.部下を育成して組織の能力を高める

中間管理職の成果は、個人の働きぶりではなく、組織としてどれだけ力を発揮できたかで測られます。そのため、部下の育成は業務の一端としてではなく、最優先事項の一つとなります。

単に業務を教えるだけでなく、本人の能力を少し超えるような適切な業務アサイン(ストレッチ目標)や、日々のフィードバックを通じて、部下の潜在能力を引き出します。
部下が自ら考えて行動できるように支援することで、組織全体のパフォーマンスを持続的に高めることが求められます。

2-3.ハブとして経営戦略と現場をつなぐ

中間管理職は、抽象度の高い経営理念や全社戦略を深く理解し、現場が納得して動ける具体的な言葉や行動に「翻訳」して伝える役割も担います。
単なる方針の伝達で終わらず、「なぜ今、この方針なのか」「自分たちの日々の業務にどうつながるのか」を、背景情報と共に自分の言葉で語ることで、部下の腹落ち感を高めます。
同時に、現場で起きている事実や課題を経営層へ正確にフィードバックし、双方の視点を踏まえて組織のベクトルを合わせる「結節点」としての機能も期待されています。

2-4.働きやすい組織文化と環境をつくる

中間管理職には、成果が生まれやすい組織文化や、部下が安心して力を発揮できる環境を整える役割もあります。
職場の雰囲気やコミュニケーションの質は、リーダーである管理職の言動に大きく左右されます。心理的安全性を確保し、失敗を恐れず挑戦できる風土を醸成することは、イノベーションの創出やエンゲージメント向上に直結します。

そのため、自部門の中だけでなく、部門を越えた協力体制や情報共有の機会を積極的につくり、組織の縦割りを解消していく視点も欠かせません。

これら中間管理職の役割を育成施策へ落とし込む具体的なイメージを持ちたい方は、以下の支援事例もご覧ください。

中間管理職育成に関する支援事例一覧

中間管理職育成について、「何から考えるべきか整理したい」「自社に合う進め方を相談したい」という段階の人事ご担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

3.中間管理職に必要なスキル

中間管理職には、個別の業務処理能力だけでなく、組織として成果を生み出し続けるための複合的なスキルが求められます。

グロービスでは、リーダーが成果を出すための4つの要素として以下を提唱しています。

  1. 経営の定石(ヒト・モノ・カネの知識・理論)
  2. 考える力(論理思考・問題解決力)
  3. 人を巻き込む力(リーダーシップ・コミュニケーション)
  4. 志(使命感・価値観)

重要なのは、これらの要素が単独で機能するものではなく、相互に作用し合ってはじめて高い成果につながるという点です。例えば、正しい戦略(経営の定石×考える力)があっても、周囲を動かす力(人を巻き込む力)がなければ実行されません。また、困難に直面した際にチームを支えるのは、リーダー自身の強い想い(志)です。

ここでは、これら4要素の相互作用を基盤とした、中間管理職に欠かせない5つの実践的スキルを解説します。自身の得意・不得意にかかわらず、求められる役割から逆算し、状況に応じてこれらのスキルを使い分けることが重要です。

中間管理職に必要なスキル
部下を育成するスキル

ビジョンや方針を現場メンバーに浸透させて成果を創出するスキル

プレイヤーと管理職の二律背反を克服するスキル

全社視点をもち全体最適で判断するスキル

論理的に考えて人を巻き込むスキル

3-1.部下を育成するスキル

部下の能力・やる気・経験・適性を正しく把握し、個々に合わせた育成プロセスを計画・実行する力です。 中間管理職には、画一的な指導ではなく、「今の部下の課題はどこにあるのか」「どのようなサポートが必要なのか」を見極め、成長を支援する関わりが求められます。

具体的には、1on1や面談を通じて部下の現状を把握し、本人の能力を少し超えるようなストレッチ目標(適切な業務アサイン)を設定します。単に進捗を管理するのではなく、部下が自ら考えて行動できるように支援し、結果に対して適切なフィードバックを行うサイクルを回すことが重要です。
この積み重ねが、組織全体のパフォーマンス向上と、学び続ける組織風土をつくる基盤となります。

3-2.ビジョンや方針を現場メンバーに浸透させて成果を創出するスキル

経営層のビジョンや全社戦略を深く理解し、現場が納得して動ける具体的な行動計画に翻訳する力です。
中間管理職は、経営と現場の結節点としての役割を担います。上層部の言葉をそのまま右から左へ流すのではなく、外部環境や競合の状況といった背景情報とセットにし、自分の言葉で語ることが重要です。

戦略の背景や意図をストーリーとして語ることで、部下の納得感を高め、主体的な行動を引き出します。これにより、日々の業務は「やらされ仕事」から「自分たちのミッション」へと変わり、組織の実行力が高まります。

3-3.プレイヤーと管理職の二律背反を克服するスキル

「自分でやったほうが早い」というプレイヤー視点の思考を手放し、組織で成果を出す視座へ転換する力です。
多くの中間管理職はプレイングマネージャーであり、プレイヤーとしての優秀さが評価されて昇進しています。そのため、無意識のうちに自分で抱え込むスタイルに陥りがちです。しかし、管理職の役割は個人の成果ではなく、組織としての成果を最大化することにあります。

過去の成功体験に固執せず、部下に仕事を任せて支援する立場へと役割を再構築することは、痛みを伴う難しいプロセスかもしれません。しかし、この視座の転換こそが、管理職として成長するための必須条件となります。

3-4.全社視点をもち全体最適で判断するスキル

自部門の都合だけでなく、会社全体の利益(全体最適)を見据えて判断する力です。 これには、市場や顧客、競合他社といった外部環境と、自社の組織体制や人材といった内部環境を多面的に捉える視点が求められます。

例えば中期経営計画の策定や全社横断プロジェクトへの参画などは、自部門の枠を越えて会社全体を俯瞰するトレーニングとして有効です。
「自ら成果を出すにはどうするか」という自分軸の問いを、「組織が成果を出すには何が必要か」という組織軸の問いへと、常に変換し続けることが重要です。

3-5.論理的に考えて人を巻き込むスキル

経営の定石と論理思考を基盤とし、周囲の納得と協力を得ながら物事を推進する力です。 ヒト・モノ・カネといった経営資源の動きを理解し、論理的思考(クリティカル・シンキング)を用いて課題の本質を見抜くことで、再現性のある意思決定が可能になります。

さらに、その決定を関係者にわかりやすく説明し、鼓舞しながら巻き込んでいくリーダーシップが不可欠です。論理的な正しさだけでなく、相手の立場や感情を理解したコミュニケーションを行うことで、組織を動かす推進力が生まれます。

中間管理職に求められるスキルは多岐にわたり、個人が日々の業務経験だけで体系的に身に付けることは容易ではありません。だからこそ、経営の定石やリーダーシップの考え方を身に付け、実務に結びつける学習機会を意図的に設けることが重要です。
日常業務から離れた研修の場が、中間管理職の力を基礎力を高め、組織全体の成長につながります。

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4.中間管理職に向いている人の特徴

適性とは、生まれ持った固定的な性格だけで決まるものではなく、日々の思考姿勢やスタンスに表れるものです。 ここでは、中間管理職として成果を出しやすい人に共通する特徴について解説します。

中間管理職に向いている人の特徴
組織全体の視点で物事を考えられる人

組織としての目標達成意欲が高く、部下やチームの成長を原動力にできる人

立場の異なる意見を受け止めて冷静に判断できる人

周囲を巻き込み、変化を前向きに推進できる人

これらの特徴は、現時点で備わっていなくても、育成や経験によって伸ばしていくべき重要なポイントでもあります。それでは一つずつ見ていきましょう。

4-1.組織全体の視点で物事を考えられる人

中間管理職に向いているのは、自分の担当業務や自部門の事情といった「部分最適」にとらわれず、経営視点をもって「全体最適」で判断できる人です。
自分の部署の利益だけを優先する部分最適の思考は、組織間の連携を阻害し、会社全体の機会損失を招く要因になります。「自分が成果を出す」という視点から、「組織として成果を最大化するには何が必要か」という問いへ切り替えられる姿勢が、管理職の大前提として求められます。

4-2.組織としての目標達成意欲が高く、部下やチームの成長を原動力にできる人

中間管理職は、プレイヤーとしての「個人の成果」へのこだわりから、チーム全体の「組織の成果」や「部下の成長」へと、やりがいの源泉を移行できる人が向いています。育成や1on1にかける時間を、業務を圧迫するコスト(負担)ではなく、組織を強くするための投資と捉えられるかが分かれ目になります。多忙な中でも意識的に時間を確保し、自らの行動で前向きな組織文化や雰囲気を作り出せる姿勢が求められます。

4-3.立場の異なる意見を受け止めて冷静に判断できる人

中間管理職は、経営と現場、上司と部下といった異なる立場の間に立ち、利害の対立や矛盾に直面することも少なくありません。そうした状況でも感情的にならず、多角的な視点から「客観的」に事実を捉え、冷静に判断できる人が向いています。

自身の過去の経験や固定観念(バイアス)に固執せず、環境や前提条件の変化に応じて柔軟に考えをアップデートできる姿勢が、組織を停滞させないために不可欠だからです。

4-4.周囲を巻き込み、変化を前向きに推進できる人

中間管理職には、部門の方針や経営の意図をそのまま伝えるだけでなく、現場の部下が納得できる形に翻訳して伝える役割があります。そのため、方針の背景や目的を自分の言葉で語り、「なぜ今、これに取り組むべきなのか」を部下に腹落ちさせられる人が、この役職に向いています。

また、部署内外の関係者と信頼関係を築き、利害を調整しながら組織を動かしていく力も不可欠です。こうした働きかけを通じて、周囲を巻き込みながら組織の変化を前向きに推進できる点が、中間管理職として活躍するための重要な資質といえます。

5.中間管理職のスキルを育成するためのポイント

中間管理職に登用される人材の多くは、これまでプレイヤーとして高い成果を上げてきた方々です。しかし、プレイヤーと管理職では求められる役割や判断の質が非連続的に変化します。個人の成果を最大化することの延長線上に、組織として成果を出し続ける未来はありません。

この役割転換を整理しないまま育成を進めると、知識やスキルを学んでも行動が変わらない、あるいは現場での実践につながらないといった課題が生じやすくなります。実際の現場では、知識を身に付ければ解決できる「技術的な問題」と、人の意識や行動の変化(マインドセットの変容)が伴わなければ前に進まない「適応課題」とが混在しているためです。
したがって、中間管理職のスキル育成においては、プレイヤーからの脱却と視座の転換を前提とし、「誰に(対象層)」「何を(テーマ)」「どのように(手法)」提供するのか、戦略的に設計することが重要です。

中間管理職のスキルを育成するためのポイント
事業ステージ・組織課題に合わせて育成テーマを設計する

経営視点やビジネスの定石を体系的に学ぶ場を用意する

他流試合や越境機会を通じて視野を広げる

現場での実践と振り返りをセットで行い、行動変容を促す

階層別・役割別に一貫性のある研修体系を設計する

5-1.事業ステージ・組織課題に合わせて育成テーマを設計する

中間管理職の育成には、「これさえ実施すれば良い」という万能な正解は存在しません。企業の置かれている事業ステージや経営戦略によって、ミドルマネジメントに求められる役割や「あるべき姿」は変化するためです。そのため、前例踏襲や流行のテーマに飛びつくのではなく、まず自社の戦略と現状の課題を直視したテーマ設計が不可欠です。

例えば、事業の拡大期では、業務プロセスの構築や迅速な意思決定が優先されます。一方、「成熟期」や「変革期」では、過去の成功体験や固定観念を手放し、組織文化を変革していくリーダーシップが求められます。

また、テーマ設計においては、直面している課題が「知識やスキルの習得で解決できる問題(技術的課題)」なのか、「当事者の意識や行動様式の変容を伴わなければ解決しない問題(適応課題)」なのかを見極めることが重要です。
前者の場合は体系的なインプットが有効ですが、後者の場合、座学だけでなく、現場での実践と振り返りをセットにした長期的・継続的なアプローチが欠かせません。

一律の階層別研修に終始せず、「今、組織に必要な変化は何か」という問いから逆算してテーマを設計することが、中間管理職育成の効果を高めるポイントです。

他社が実際にどのようなテーマ・設計で中間管理職育成に取り組んでいるかについては、以下の事例集を参考にしてください。

管理職研修の事例集をダウンロードする

管理職研修資料

5-2.経営視点やビジネスの定石を体系的に学ぶ場を用意する

プレイヤー時代は個人の経験や勘で乗り切れた場面でも、組織を率いる中間管理職には、論理的かつ客観的な「経営の定石」に基づいた判断が求められます。
経営戦略、マーケティング、アカウンティング(財務)といったビジネスの基礎知識は、経営層の意図を正しく理解し、他部署と連携するための共通言語となります。

これらの知識は、日常業務(OJT)の中だけでは体系的に身につきにくいため、研修(Off-JT)として学ぶ機会を意図的に用意することが不可欠です。

【事例紹介】「経営の定石」を共通言語に、経営会議での議論が噛み合うようになった

ウォンテッドリー株式会社

新規事業の責任者として経営会議に参加する中で、自分の意思が十分に伝わらず、本質的な議論ができないことに課題を感じていました。それまでは感覚的な分析や我流の論理に頼っていたため、経営層と目線が合わず、説得力に欠けていたのです。

そこで、グロービスのミドル・マネジメント・プログラムに参加。断片的だった知識を体系的に整理し、「経営の定石」を学び直しました。 その結果、客観的な根拠と定石に基づいて論理的に説明できるようになったことで、経営陣とも対等に渡り合えるようになりました。また、他部門のリーダーとも「共通言語」で会話ができるようになり、組織全体で整合性の取れた戦略推進が可能になっています。

ウォンテッドリー株式会社 Engagement事業部 事業部長 橋屋 優理様(部署・役職はインタビュー当時)

※インタビュー全文はこちらから: 新規事業のグロースに向け新戦略立案・実行に邁進。そのために必要な「経営の全体像」をMMPで学んだ

5-3.他流試合や越境機会を通じて視野を広げる

中間管理職の育成においては、自社内だけの学びに留まらず、他流試合や越境の機会を通じて、自社の常識や判断軸を客観視する経験が不可欠です。
同じ会社に長く勤めていると、どうしても思考や視野が「内向き」になりがちです。自社とは異なる業界や企業のマネージャーと真剣に議論することで、これまで当たり前だと思っていた自社の論理が相対化され、新たな視点や気付きを得ることができます。
こうした越境体験を単なる刺激で終わらせず、過去の成功体験や固定観念を問い直し、自身の判断軸を磨き直す場として位置づけることで、中間管理職としての視座を一段引き上げることが可能になります。

このような社外との交流を通じた学びを実践的に採り入れるには、体系化された研修プログラムの活用が有効です。例えば、グロービスの「ミドル・マネジメント・プログラム」は、課長層を主な対象としたスクール型研修として、他社マネージャーとの対話を通じて視野と視座を高める機会を提供します。

なお、越境の機会は社外への派遣だけではありません。中期経営計画の策定や全社横断プロジェクトへの参画など、社内においても意図的に「部門の壁」を越える経験を積ませることで、全体最適の視点や意思決定力を養うことができます。

【事例紹介】他流試合で「自社の常識」に気づき、経営会議での発言が変わった

東京海上日動あんしん生命保険株式会社

執行役員として経営会議に参加する中で、自分の意見がこれまでの「経験則」の域を出ないことに課題を感じていました。保険業界一筋でキャリアを歩んできたため、無意識のうちに業界特有の価値観や「自社の色」に染まってしまっていたのです。

そこで、他社のリーダーたちと学ぶグロービスのスクール型研修「ミドル・マネジメント・プログラム」に参加しました。全く異なる業界の参加者と議論を交わす中で、同じ問いに対しても「利益を最優先する人」「理念を重視する人」など多様な視点があることを痛感しました。この「他流試合」を通じて、自分の中にあった無意識のバイアスや、足りていなかった価値基準に気づくことができました。

こうした気づきを得たことで、経営会議においても経験則だけに頼らない、客観的で多角的な視点からの議論ができるようになったと手応えを感じています。

東京海上日動あんしん生命保険株式会社 執行役員 関東営業部長 原田 政人様(部署・役職はインタビュー当時)

※インタビュー全文はこちらから:環境が激変する生命保険業界において自社が末長く発展するために、先陣を切って学びの場にチャレンジ

5-4.現場での実践と振り返りをセットで行い、行動変容を促す

研修で学んだフレームワークやスキルは、実際に現場で試し、その結果を振り返るプロセスを経てはじめて定着します。
そのためには、演習やケースメソッドといった研修内での疑似体験に加え、実際の業務課題の解決に取り組むアクションラーニングを意図的に組み込むことも有効です。学びを日常業務に直結させることで、知識を実務で使える知恵へと昇華させることができます。

また、実践の質を高めるには周囲のサポートが欠かせません。上司との面談や1on1を通じて、学びと実践のギャップを言語化し、改善のサイクル(PDCA)を回せるような伴走体制を整えることも重要です。

5-5.階層別・役割別に一貫性のある研修体系を設計する

中間管理職(課長層)の育成を成功させる鍵は、上級管理職(部長層)との役割の違いを明確にし、その「結節点」としての機能を強化することにあります。

例えば部長層には戦略構想や、組織全体に働きかける間接的なマネジメントが求められます。これに対し、中間管理職である課長層に求められるのは、上位方針を噛み砕き、現場の具体的な行動に落とし込む戦略実行と、部下への直接的なマネジメントです。

この違いを無視して、管理職全般として一括りにした研修を行っても、現場の実行力は高まりません。中間管理職研修の設計においては、以下の点を重視する必要があります。

  • 「戦略の翻訳者」としての視点を養う
    • 抽象度の高い経営戦略や部長の方針を、現場が納得して動ける「具体的な行動計画」に変換(翻訳)するスキルを重点的に強化
  • 「プレイング」と「マネジメント」のバランスを最適化する
    • 現場業務に埋没することなく、あくまで組織として成果を出すための直接的な部下指導や支援に軸足を置くよう、役割認識の転換を促進

このように、中間管理職特有の上と下をつなぎ、戦略を実行させるという役割にフォーカスしたプログラムを設計することで、組織全体の駆動力が高まります

階層別・役割別に一貫性のある研修体系を設計するにあたり、「自社の課長層は具体的に何を強化すべきか」「部長層との接続をどのように設計すべきか」といった検討が必要な場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

6.まとめ

本記事では、中間管理職(課長層)の役割や求められるスキル、育成のポイントについて解説しました。

中間管理職は、経営と現場をつなぎ、組織が成果を出し続けるための「要」です。
その役割は、経営戦略を現場の行動へ落とし込む翻訳から部下育成まで多岐にわたり、プレイヤー時代とは異なる高度なスキルと、個人軸から組織軸への視座転換が求められます。

<本記事のポイント>

  • 役割の再定義
    • 過去の成功体験に固執せず、組織で成果を出すための役割認識へと思考や行動を根本から切り替えることが出発点となる
  • 必須スキル
    • 成果を出し続けるためには【経営の定石・考える力・人を巻き込む力・志】の4要素をバランスよく磨くことが欠かせない
  • 育成の鍵
    • 現場任せのOJTだけに頼らず、研修などのOff-JTで体系的な知識と他流試合の機会を提供し、現場での実践と振り返りを繰り返す仕組みをつくる

変化の激しい時代において、自ら学び、変わり続ける中間管理職の存在は、企業の競争力そのものです。 前例踏襲や流行で一律の研修を実施して終わりにするのではなく、自社の事業ステージや課題に合わせた戦略的な育成プログラムを設計し、組織全体の成長へとつなげることが重要です。

グロービスでは、年間3,400社以上の人材育成支援の実績をもとに、各社の課題に合わせた最適な中間管理職研修をご提案します。自社の課長層には具体的に何が必要か、効果的な育成体系をどのように作るかなど、お悩みの方はお気軽にご相談ください。

中間管理職育成の進め方や優先順位に悩まれている方は、目的や状況に応じて以下をご活用ください。

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