株式会社大京
公募型研修の手挙げ率が8年間で4倍に。大京が取り組む「自ら学び成長する文化」の醸成
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既存の枠組みを超え、創造的思考を用いて事業の変革をけん引できる人財の育成を目指す株式会社大京様。社員の自発的な成長を促す公募型のビジネススキルアップ研修と、次世代の経営層を育成するためのグロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)派遣という2つの取り組みを中心に、自社およびその子会社での人財育成を実施しています。その取り組みについてお話を伺いました。(部署・役職はインタビュー当時)
【株式会社大京様】
写真中右:人事部 部長 田中 香名子様
写真中:人事部 人財開発室 研修課課長 押尾 真聡様
写真中左:人事部 人財開発室 研修課担当課長 山下 千華様
【グロービス担当者】
写真左:吉田 亮太
写真右:盛合 紗央里
- 導入前の課題
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- 決められた業務を着実に進めることに長けている一方、新たな価値を生み出す創造的思考が不足していた
- 人事制度の改定によって昇進スピードが上がったため、育成においても自ら学び成長できる環境を提供する必要性が高まった
- 将来の経営を担う次世代リーダー層においてはこれまでの経験や環境から社内視点で考える傾向が強く、自社を客観的に捉える視点が弱い状況にあった
- 研修内容
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- 非管理職がキャリアの早い段階から能力開発を習慣化するため、公募型のビジネススキルアップ研修を実施した
- 次世代リーダー育成においてはグロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)派遣を行い、社外のリーダーと議論しながら経営目線を養うことを目指した
- 成果・効果
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- ビジネススキルアップ研修は対象者の約38%が受講経験済み、延べ受講者数は約4,200名
- 受講満足度が高く、上司や同僚からのポジティブな口コミが広がり、受講者は年々増えている
- GES受講者の約半数が昇進昇格し、各部署で活躍中
背景と課題
自ら学ぶ機会を提供し、新しい発想を生み出す組織への転換を目指す
田中さん:
我々が直面していた人財面の課題は、「創造的思考の不足」でした。不動産を扱う我々のビジネスの中でも、管理や工事といった分野では労働集約型の側面が強く、決められたことを着実に繰り返し遂行する能力に長けた社員が多いという特徴があります。その強みがある一方で、事業を今後さらに発展させ、企業として成長し続けるためには、既存の枠組みを超えて新しい価値を生み出す思考を身に付け、変革をけん引できる人財を育成しなければならないという危機感がありました。
管理職層も労働集約型ビジネスの経験を長く積んできているため、部下に対して創造的思考を用いた問題解決を指導することが難しく、組織的な育成が十分にできていない状態でした。アセスメントを実施しても、問題解決能力や目標設定力が不足しているというフィードバックを受けることが多くありました。

山下さん:
非管理職層の育成において取り組みが加速したのは、2021年の人事制度改定がきっかけです。成果を出している優秀な社員がよりスピーディーに昇格できるようになったため、育成面でも、社員が自ら学ぶ機会を積極的に提供し、成長を後押しする必要があると考えました。そこで、希望者が手を挙げて参加する公募型のビジネススキルアップ研修を拡充することにしたのです。
社外のリーダーたちと議論しながら経営目線を養う場が必要
田中さん:
次世代リーダー層に対しては、創造的思考の不足だけでなく、「内向きの思考」という課題意識もありました。従来は社内で幹部向けの研修を行っていましたが、社員だけで議論をすると自社の常識やこれまでの経験の範囲内に留まってしまう傾向があり、学ぶ場づくりとして今までのやり方では不十分だと感じていたのです。将来の経営を担う人財には、多様な企業のリーダーたちが集まる社外の環境に身を置き、自社と異なる視点を獲得しながら経営目線を身に付けてほしいと考えていました。
検討プロセスと実施内容
社員一人ひとりに合わせた多様な学びの場を用意
山下さん:
ビジネススキルアップ研修および次世代リーダー育成において、グロービスをパートナーに選んだ理由には、プログラムの質の高さがあります。事前課題と集合セッションの負荷のバランスがちょうど良く、ディスカッション形式で学ぶからこそ成長につながると感じました。また、研修を企画した当時はライブ型のオンライン研修を提供している企業はほとんどありませんでした。その中でグロービスは、研修前後の仕組みも含めてオンラインでディスカッションしながら学ぶ環境が既に整っており、時代の先端を進んでいる印象があったのです。
さらに、科目やスケジュールのバリエーションが豊富で、受講者にとっては選択の幅が広がる点も魅力的でした。自分の課題感や興味に応じて学ぶ内容を選べますし、大京とその子会社には様々な職種があり勤務時間も多様なので、より多くの社員に学ぶ機会を提供できるメリットがあると考えました。

階層ごとに必要なスキルを獲得し、組織全体で「学ぶ文化」を醸成したい
田中さん:
社員が自ら手を挙げ、創造的思考を養う場として実施するビジネススキルアップ研修は、主に非管理職層の社員を対象にしています。この研修のゴールは、キャリアの早い段階から能力開発を習慣化し、管理職になるまでに必要なビジネススキルを一通り身に付けることです。
組織全体としては、「学ぶ文化」を定着させることを目指しました。「学びが当たり前」という空気をつくるために、ビジネススキルアップ研修では、受講することが選択肢として自然に受け入れられるよう、環境の整備と運用の改善を重ねています。
次世代リーダー育成では、先ほど挙げた課題感をふまえ、選抜型でグロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)へ派遣する取り組みを行うことにしました。将来的に役員や部長職を担い、会社の成長を自ら考えて切り拓いていける、経営目線を持ったリーダー育成を目的にしています。
社内マーケティングに注力し、自らの成長のために学ぶ社員を増やす
山下さん:
ビジネススキルアップ研修は、昇格要件などの強制力を持たせない手挙げ制にしています。より多くの社員に学んでもらうために注力したのは、社内マーケティングです。
公募型で行う研修の参加者を増やすためには、研修の認知度を高めるだけでなく、内容に興味を持ってもらい、手を挙げやすくすることが重要だと考えました。そこで、まずはグロービスと協力して「科目チェックツール表」を作成し、社内のイントラネットに掲載しました。このツールは、等級別や課題別に推奨科目を一覧にし、基礎から応用へのステップアップを可視化したものです。社員にとっては、「今の自分には、どのような学びが必要か」を理解できるとともに、どの順番で受講すると良いかも考えやすくなったと思います。
さらに、社内広報にも力を入れました。大京の人事部長からのメッセージだけでなく、当社の子会社各社の人事部長からも直接発信を行ってもらったのです。子会社各社の人事担当者向け説明会もグロービスと一緒に実施し、公募施策の認知・理解を深めるとともに、受講対象となる社員やその上司への働きかけを各社人事部に依頼することで、各社においても学びを後押しする協力体制を築いています。
田中さん:
当社はチームプレーで価値を生み出していく業種なので、全社で成長していこうとする気運が高まれば、「自分も学ぼう」と行動を起こす社員が多いのだろうと考えています。この点において、社内マーケティングは公募型のビジネススキルアップ研修を軌道に乗せるために欠かせない取り組みです。
GES派遣では、受講者が研修の目的や内容に納得感を持ってから学ぶことが重要だと考えています。そのため、選抜した理由と期待を人事から伝える個別面談を実施し、マインドの醸成に取り組みました。また、対象となる管理職層は業務が忙しいので、学ぶ環境を整えるため、可能な範囲で業務負荷を調整してもらうことも現場の部署へお願いしています。人事がどれだけ期待しても、社員を送り出す現場の理解がなければ本人は安心して学べません。何年にもわたって人事と現場の各部署が協力し続ける中で、双方の信頼関係も強固になっています。

成果と今後の展望
ビジネススキルアップ研修の受講率は8年間で4倍に成長、延べ受講者数は約4,200名に
山下さん:
ビジネススキルアップ研修は、導入から7年目を迎えました。受講人数は着実に増加しており、初年度の受講者は年間約400名でしたが、現在では年間約800名の規模にまで成長しています。対象層のうち一度でも研修を受講したことがある社員の割合は約38%に到達し、延べ受講者数は約4,200名になりました。研修開始当初の受講率は9%でしたから、4倍以上に増加しており、驚異的な伸び率です。満足度も高く、研修受講後に大京がビジネススキルアップ研修の受講生を対象として実施したアンケートでは、受講者の95%以上が「来年も受講したい」と回答しています。
グロービスが提供する幅広いコンテンツのラインアップにより、研修科目は14科目に及んでおり、年間36クラスを開催するまでに拡大しました。当初は参加者が集まるか心配していましたが、今では、大京とその子会社にとって年1回の待ち望まれる恒例イベントのような存在になりました。
その背景には、社内でのポジティブな口コミの広がりがあると捉えています。自主性を重視する手挙げ制ではあるものの、受講のきっかけは上司からの勧めだったという社員も少なくありません。ただ、研修内容が充実しているので結果として満足度が高く、次回は自ら進んで受講したり、周囲にも参加を促したりするという好循環が生まれています。
そして、講師の方々からは「論理的思考の基本が身に付いてきている」というフィードバックをいただくようになりました。組織全体が一気にレベルアップするのは難しいものの、何年にもわたり継続して研修を行うことで、社員のスキルとして定着してきていることを感じています。
グロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)受講者のうち約半数が昇進昇格
田中さん:
GESへの派遣でも、着実な成果が出ています。これまでの受講者のうち、大京とその子会社の役員や部長、次長へと昇格した社員は約半数にのぼっています(2026年1月時点)。
このような実績が出ている背景には、受講者の満足度の高さがあると思います。GESの受講対象者に対して大京が実施した受講後アンケートでは、「自分が持っていなかったスキルを身に付けられた」「他業界のマネジメント層がどのようなことを考えているのかを学べた」といったコメントが多く寄せられています。
かつては「忙しいから社員を研修に出せない」という声もありましたが、今では「みんなで学ぼう」というチームプレーのカルチャーが良い方向に作用し、組織全体で学ぶ土壌が整いつつあります。
山下さん:
大京およびその子会社は、約5年前から段階的にMVVやブランド再定義を進めており、これらの全社プロジェクトにも、複数のGES受講者が関わっています。我々が中長期的にどの方向を目指すべきかの問題提起を行い、メンバーを巻き込みながら実行を推進する役割を担ってくれています。
ここまでの成果を出しているのは、吉田さん、盛合さん(いずれもグロービス担当者)の協力あってのものです。当社を深く理解したうえで常に寄り添った提案をいただき、社内マーケティング施策の実行まで伴走してくださっています。また、毎年の研修終了後には手厚く振り返りをしていただいていることにも感謝しています。

受講対象者を広げてより多くの社員が学び、実践する組織へ
山下さん:
ビジネススキルアップ研修については、今後さらなる拡大を図りたいと思っています。人事制度の改定によって昇格スピードが上がっているため、新たに管理職に昇格した社員においても、体系的なスキルアップの機会の必要性が高まっています。この状況をふまえ、2024年度よりビジネススキルアップ研修に管理職層向けのクラスを新設しており、今後もコンテンツを拡大する方針です。今年度に増設したクラスは、募集枠がすぐに埋まり、管理職からの関心度に手応えを得ました。管理職とメンバーが同じ学びを得て共通言語を持ち、組織として相乗効果を生み出していくことを期待したいです。
田中さん:
学ぶ分野の観点では、世の中の変化に合わせて、AIをはじめとする最先端技術のスキル習得も取り入れていきたいと考えています。社内では業務にAIツールを活用する環境が整ったものの、これらを使いこなして価値を発揮するためには、全社のスキルの底上げが必要です。
また、当社は65歳が定年であり、50代以上の社員も多いため、リスキリングの機会もしっかり提供して、第一線で長く活躍し続けてもらいたいと考えています。

田中さん:
経営目線を持ったリーダーを育成するためには、GES派遣における学びを実践する場をさらに設ける必要もあります。人事部ではグループ内の他社への出向など、成長を促すための人財配置の機会を増やしていますが、他部署とも協力しながら、さらに新たなチャレンジができる事業環境をつくりたいですね。
変化が激しい時代においては、当社の人財育成のあり方もブラッシュアップし続けなければならないと考えています。グロービスにはこれからも、世の中の潮流をふまえて新しい提案をしてもらえるとありがたいです。

グロービス担当者の声

吉田:
私は大京様が人事制度改定から公募型のビジネススキルアップ研修を拡充していくというタイミングから担当としてご一緒させていただきました。
こういった公募型の育成施策は、一般的にそもそも手が挙がりづらかったり、初年度は多く手が挙がったとしても、翌年以降は参加者の募集に苦戦するケースも多い中、大京様では毎年何百名もの社員の方が自主的に参加され、かつ着実に受講人数が増えていっています。
この成功の鍵は、学ぶ文化作りのための仕組みと働きかけ、そしてそれらを前年度よりさらに強化すべく、地道に実行し続けてきたことだと思います。特にご担当の山下様とは二人三脚で本件に取り組ませていただき、非常にお世話になりました。
本事例が、公募型の育成の取り組みに悩む担当者様や企業様に少しでも参考になれば幸いです。

盛合:
私は、大京様を前任者から引き継ぐ形で担当させていただきました。これまで大京様がグループ(※大京およびその子会社)横断で非管理職層や次世代リーダー層に学びの機会を広げてこられた背景や、事務局の皆様が各社と丁寧に対話を重ねながら施策を浸透させてこられた経緯を伺い、その継続的な取り組みの積み重ねが現在の成果につながっているのだと感じています。
不動産開発・管理・仲介といった幅広い事業を展開される中で、社会や顧客ニーズの変化に対応し続けるためには、既存の枠組みにとらわれない発想や創造的思考を育むことが重要であるという問題意識のもと、本施策は設計・推進されてきました。特定の階層に閉じるのではなく、将来を担う層に早期から投資を行い、学びの機会を継続的に提供されている点は、本取り組みの大きな特徴だと捉えています。
子会社も含めて横断で育成施策を設計し、実際に機能させていくことは容易ではありませんが、事務局の皆様が意図や目的を発信し続けてこられたことが、着実な参加拡大や学習文化の醸成につながっていると感じています。
今後も、大京様が社内マーケティングをさらに発展させていかれる取り組みを支援しながら、AI活用など時代の変化を踏まえたテーマも含め、人財育成のパートナーとして伴走してまいります。
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