国分グループ
次世代のリーダーへ火をつける。全社を巻き込んだ自社課題プログラムへの取り組み
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30代を対象とした次世代リーダー育成プログラム(名称:国分ビジネスリーダー育成カレッジ、実施形態:公募型/推薦型の選抜研修)を3年間にわたり継続している国分グループ様。その内容について、お話を伺いました(部署・役職はインタビュー当時)。
(写真左から)
・弊社担当者 石原 優希
・人事総務部 人材開発課 グループ長 中島 秀典様
・マーケティング統括部 マーケティング企画部 推進課 マーケティング担当 グループ長 高田 佳子様
・国分首都圏株式会社の物流・システム部 物流営業課 栗田 亮様
・取締役執行役員 経営統括本部 副本部長 兼 人事総務部長 小木曽 泰治様
・人事総務部 人材開発課長 梅澤 篤様
- 導入前の課題
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- 将来を担う優秀な若手社員に、視座を上げ視野を広げさせるための施策が必要だった
- 優秀な社員が自ら手を上げ成長にコミットする機会と、自分自身を表現する場が不足していた
- 研修内容
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- オリエンテーションにて「次期経営人材としてのリーダーシップに期待している」という会社からのメッセージを伝達した
- 前半は思考・モノ・カネ・ヒトという経営領域の全般を学び、後半は学んだ知識を総動員する自社課題(※実際の現場で起こっている経営課題に対する、解決案の提言と実行)への取り組みを実施した
- カレッジ受講者と各カンパニー/部門が、共に課題解決に臨めるよう工夫した
- 成果・効果
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- チャレンジして学ぶ風土が社内に醸成された
- プログラムが進むたびに参加者の表情が自信に満ちていき、自ら高い目標を設定し試行錯誤しながら成長している様子が見て取れた
- 長期経営計画の課題に対するPDCAが加速している
背景と課題
将来を担う優秀な若手社員の、視座を上げ視野を広げさせるための施策が必要だった
梅澤さん:
当時抱えていた課題感は、3つあります。
1つ目は、20代・30代の若手社員の視座が、若干下がり気味だったことです。特に優秀な社員は業務量も多く、目の前の仕事に没頭してしまう傾向にありました。
高田さん(1期生):
我々は卸売業ですので、メーカーや小売業との折衝が多く、日々の仕事に追われがちです。大局的に物事を捉えられているだろうかと、不安を感じることもありました。
小木曽さん:
力のある社員は30代ごろから責任が重くなり、さまざまな現実に直面します。すると目の前の仕事に忙殺され、少しずつ視野が狭まり、視座も下がります。新入社員の頃に持っていた夢も忘れてしまい、ともすると挫折感を味わう社員も出てきます。
当社の将来を担う優秀な若手社員にもう一度、視座を上げ視野を広げさせる。まだ熱いうちに火を入れるための施策が必要だ、と考えていました。
優秀な社員が自ら手を上げ成長にコミットする機会と、自分自身を表現する場が不足していた
梅澤さん:
課題の2つ目は、公募型の選抜研修を行っていなかったことです。自ら手を上げて自身の成長にコミットする機会を、社員に提供する必要があるのでは、と感じていました。
課題の3つ目は、優秀な社員が自分自身を表現する場が無かったこと。特に経営陣へアピールするための場が必要だ、と考えていました。
小木曽さん:
以前は考えを発表する場として、ジュニアボード(若手・中堅社員が具体的な提言まで行う疑似役員会)がありましたが、現在は休止しています。せっかく作成した提言を実行まで移せていない、というジレンマがあったためです。
ですがジュニアボードは、視野を拡げ視座を高めるための刺激が大いにありました。意欲のある社員がさまざまな部署から集まり、自ら課題を整理し、テーマを決めて提言するのですから、とても良い学びの場でした。
ジュニアボードの思想を受け継いだ学びの場を、ジレンマを解消したうえで復活させたい。そのように考えていたのです。
世の中が大きな変化を続ける中で、変化に即応できる人材を育てたい
小木曽さん:
大きな変化に即応できる人材を育てることが、国分ビジネスリーダー育成カレッジに期待していることです。
当社は江戸時代から続く300年の歴史がある会社ですが、この先も存続できる保証はありません。環境変化に即応する「革新の連続」を、今後も続けていかねばなりません。それを担うのは、ヒト・モノ・カネのヒトです。当社は卸売業なので、経営における人材の重要性は、非常に高いのです。
今も世の中は大きな変化を続けています。その変化に即応できる人材を育てる必要があるでしょう。
本カレッジを通じて、次期経営人材としてのリーダーシップ発揮の後押しがしたかった
梅澤さん:
本カレッジを通じて、次世代を担う経営人材として期待している、というメッセージが参加者に伝わることも期待していました。
本カレッジの対象は30代。入社してから約10年経ち、会社全体を取り巻く環境への理解は進んでいます。次のステップとして期待していることは、次期経営人材としてのリーダーシップ。本カレッジからのメッセージが、リーダーシップを発揮する後押しになると考えていました。
検討プロセスと実施内容
公募で手が挙がるか、自社課題のテーマが有益なものになるか不安だったが、杞憂だった
梅澤さん:
公募型の選抜研修が初めてだったこともあり、不安はいくつかありました。たとえば手は何人挙がるだろうか、どのような人が手を挙げてくれるだろうか、といった点は気がかりでした。カレッジの場をより良いものにするには、営業・物流・経理など、多用な職種からメンバーが集うことが不可欠です。
もう1つの不安は、プログラム後半で行う自社課題(実際の現場で起こっている経営課題に対する、解決案の提言と実行)です。本カレッジで扱う自社課題のテーマは、各カンパニーや部門から実際の現場で悩んでいることを提案してもらうため、どのようなテーマが提案されるか未知数でした。
第1期の結果として、優秀なメンバーに手を挙げてもらうことができましたし、自社課題のテーマもバランスの良い課題(難易度が高いものの実現不可能ではない課題)が集まり、安心したことを覚えています。
こだわったのは自社課題の進め方
梅澤さん:
やはりこだわったのは、自社課題の進め方です。さきほど小木曽からジュニアボードの話があった通り、提言の実行まで踏み込んだ設計を行う必要がありました。特に意識したことは、各カンパニーや部門を巻き込むことです。
たとえば自社課題として取り組むテーマは、各カンパニー/部門が実際に悩んでいる課題を挙げてもらいます。30個ほど挙がってきたテーマから、我々が難易度や緊急度、現場の意気込みなどを読み取りながら選定しています。
また経営陣への提案も、カレッジ受講者と各カンパニー/部門との共同提案という形にしました。各カンパニー/部門が一緒に練り上げて経営陣に提案することで、カレッジ終了後も自然と実行フェーズを引き継いでくれています。
中島さん:
各カンパニー/部門が提案してくる課題も、期を重ねるごとに変化しています。具体的には、あるべき姿を見据えた上でその姿に近づけるよう、カレッジの受講者と共に解決していく、という課題が増えています。
カレッジ受講者と各カンパニー/部門が、共に課題解決に臨めるよう工夫した
小木曽さん:
カレッジ受講者と各カンパニー/部門が共に進めることが重要です。各カンパニー/部門も忙しいので、「課題は教えたからやっといてよ」「ここから考えるのはあなたたちね。勉強したでしょ」といった雰囲気になってしまう恐れがありました。
そこで事務局から各カンパニー/部門へ働きかけ、「自部署の課題として、共に解決に臨んでください」というメッセージを伝えるように努めたのです。
梅澤さん:
各カンパニー/部門との合意形成に関しては、受講者自身も苦労しながら、工夫している点です。
合意形成やリーダーシップというプログラムをカレッジ内に入れていますが、学んだ知識を当てはめれば成果が出る、ということは現実的にはあり得ません。同じ社内でも前提が違いますし、見えている景色も異なります。そのような人たちを動かすには、ビジネスを動かす総合力が必要です。
たとえば実際の課題をより深堀/整理整頓して、さまざまなアイディアを提案し、相手と折衝する必要があるでしょう。そういった実践において、受講者たちは知恵を絞りながら邁進する。それが良い学びにつながっていると感じています。
中島さん:
総合力を高めるという点で、グロービスの担当の方々とは議論を重ねました。当社の目指したいゴールに合わせ、最適なプログラムを提案いただけています。
プログラムの中身も、非常に質が高いと感じています。特にアウトプット中心かつ高レベルな講師がそろっていることが良いですね。グロービスの研修を見学した後に他社の研修を見ると、「あれ?」と思うこともあるぐらいです。
受講者が挫折しやすい科目、たとえばアカウンティングは導入部分が工夫されていて、没入しやすい構成になっていました。学びやすさも大切なポイントですね。
成果と今後の展望
長期経営計画に沿った課題解決に向け、PDCAが確実に回っている
小木曽さん:
各カンパニーや部門が提案する課題は、エリアや部門によって若干内容の違いはあるものの、長期経営計画に沿った内容です。その課題から選定し、本カレッジで解決に向けて取り組んでいるため、PDCAが確実に回っています。
具体的には、四国エリアのマーケット活性化やマーチャンダイジング改革など、難易度の高いテーマが実行されています。
本カレッジで提言された案を推進するという社長の言葉に、会社としての本気度が伝わった
高田さん(1期生):
改革の実行という点でいうと、私は社長のビデオ講話が記憶に残っています。本カレッジの1期目が終わった翌年、社長から「カレッジで提言された案を推進する」と。会社としての本気度が伝わってきました。
小木曽さん:
本カレッジはプランニングから社長に相談していたこともあり、大きな期待・関心が寄せられています。社長は自社課題のテーマ設定から、「このようなテーマがあるのでは」と熱心に議論に参加しています。参加するメンバーや発表内容も、とても気にかけてくれていますね。
本取り組みの継続が、チャレンジして学ぶ風土を醸成している
受講者・各カンパニー/部門・経営陣の3者が、1つの大きな組織体として3期活動したことで、本カレッジは大きなうねりになってきていると感じています。まだまだブラッシュアップすべきことはありますが、当社にとって非常にポジティブな場です。
また本カレッジを3期続けたことで、チャレンジして学ぶ風土が社内に醸成されてきました。特に1期生・2期生が後輩へ背中を見せていることが大きいです。
栗田さん(2期生):
私が本カレッジへ手を挙げた理由も、深い学びを得られたという評判を、仲の良い先輩から聞いたからです。これまで若手として目の前の仕事に没頭してきましたが、より目的を持って主体的に動きたいと考えていたのも、良いタイミングでした。視座を高められる環境に自分の身を置くために、参加させていただきました。
過去受講者からの口コミが、主体的に学ぶという良い流れを作っている
梅澤さん:
本カレッジ以外の研修への参加も増えています。特にロジカルシンキングやプレゼンテーション強化など、手挙げ式で参加できる研修に、若手社員が多く参加するようになりました。
おそらく先輩たちが、「グロービスの研修、良かったよ」「こういう学びが必要だよ」というのを、現場で伝えてくれているのでしょう。主体的に学ぶという良い流れが、できつつあると感じています。
学ぶ風土醸成に加え、受講者自身も本カレッジを通じて大きく成長しています。たとえばアウトプットである報告の質も、中間報告と最終日で全くレベルが異なります。
またプログラムが進むたびに、非常に自信に満ちた顔になっていくことも印象的です。本カレッジに対して非常に高い目標を設定し、思考錯誤しながら成長している様子が伺えます。
本カレッジでの学びを即実践することで、理解が深まっていった
高田さん(1期生):
私は今年からマーケティング企画部に異動し、新しい戦略の構築やスタートアップとの協働を模索しています。まさに、本カレッジで学んだ経営戦略の考え方が活きています。
正直に言うと学んだ内容は、受講時はあまりピンと来ていなかったところもありました。ですが実務で手を動かしてみると、とても腹落ちするのです。
たとえば本カレッジに行く前は、ジャストアイディアは沢山思い浮かぶのですが、アイディアを人に伝えて動かすためのプロセスや表現を知りませんでした。それが最近では、「経営戦略クラスで学んだケースの考え方をここで当てはめたら、とても分かりやすく伝えられる!」といった具合ですね。顧客特性と業界特性から業界KSFを抽出する、というステップでとても役に立っています。
栗田さん(2期生):
私はクリティカル・シンキングで学んだ「思考力」という言葉が印象に残っています。「思考体力」「思考意欲」「思考スキル」の3つが合わさって初めて、「思考力」だということです。
たしかに思考スキルも大事ですが、経営課題を解決するには考え続ける思考体力がより重要です。本カレッジでは、皆で粘り強く考えることを継続できたことで、良い学びにつながったと感じています。
今後の取り組み
学びの継続でイノベーションのベースを作り、イノベーションが起こりやすい会社へと成長を遂げたい
梅澤さん:
学びの場を継続することの大切さを感じています。1年で輩出できるメンバーは15名程度なので、10年継続することで150名を輩出できます。同じ学びを経験したメンバーが成長し、各分野で専門性高く業務を推進し、いつか交わることによって、イノベーションが生まれてくるでしょう。
イノベーションという言葉はよく使われますが、実際にイノベーションを起こすのは「人」です。今はイノベーションのベースを作り、5年後10年後、イノベーションが起こりやすい会社に成長していく必要があると考えています。
中島さん:
グロービスの名物プログラムでもあるクリティカル・シンキングがポイントになると、私は考えています。クリティカル・シンキングの考え方ができる従業員が、10年後150人いるとなると、当社が更に成長するためのチャンスを生み出せると考えています。
梅澤さん:
また40代のメンバーに対する教育も、今後検討する余地があると感じています。経営リテラシーや経営者としての人格などの学びを、モチベーションのある人材に身に付けてもらえるような場を検討していきたいですね。
グロービス担当者の声
私が本カレッジのオリエンテーションで抱いた第一印象は、「このカレッジには、受講生・人事・経営陣の皆様それぞれに並々ならぬ想いがある。」という事でした。
カレッジの門を叩いた受講生の、企業と自らの成長に向けた熱意は勿論。企画段階から「何を伝えるべきか?」を徹底して考え、提言した施策の実現まで見据えて現場に関わる人事部の皆様のこだわり。そして、本当の経営のイシューに取り組んでもらおうと、テーマ設定に関わるという経営陣の皆様の本気度。
こうした三位一体とならなければ実現できない研修プログラムの一端を担わせて頂いているという事実に、身が引き締まった想いがしたことをよく覚えています。
本カレッジは長期経営計画の一部にも関与しており、国分グループ様にとっても重要な施策です。10年続く取り組みを目指して、これからも人事部の皆さまとの対話を通じながら、「食のマーケティングカンパニー」を目指す国分グループ様の取り組みを、引き続きサポートしていければと考えています。
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