非連続の時代を生き抜くために管理職がビジネススキルを磨き、経営視点をもつリーダーになる
導入事例:株式会社コロワイド

非連続の時代を生き抜くために管理職がビジネススキルを磨き、経営視点をもつリーダーになる

まとめ
業種
  • サービス業
研修の対象層
  • 役員
  • 部長層
ご利用サービス
  • スクール型研修
  • eラーニング
研修の言語
  • 日本語

株式会社コロワイド様は管理職がビジネススキルを磨き、経営に携わるリーダーとしての能力を高める育成施策に取り組んでいます。その取り組みについて、コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様からお話を伺いました。(部署・役職はインタビュー当時)

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背景と課題 研修前に抱えていた課題感

松原さん:

当社では、管理職の育成に課題感がありました。労働力人口が減少し続ける中、当社を永続的に発展させていくためには、人材を確保し、競争力のある強い組織をつくることが必要です。幸いなことに当社は規模が拡大し、知名度も向上しており、新卒採用において多くの優秀な学生が入社するようになりました。若手社員の彼ら・彼女らが求めているものは自らの成長です。社員にやりがいを感じてもらうためには、上司となる管理職が組織の旗振り役となり、メンバーの成長意欲を高める存在でいなければならないと思っていました。

しかし飲食業界では、店舗の店長として売上を上げ、実績を挙げた社員が管理職に昇進するケースが多くあります。現場で身に付く能力は調理やオペレーション、接客のスキルが中心のため、戦略を考えたり、組織を率いたりするビジネスマネージャーとしてのスキルは不足している側面があります。現場の経験則でキャリアを築くのが慣例となっている業界特有の構造にも課題を感じており、飲食業の人材育成のあるべき姿を模索していました。

そのような折、新型コロナウイルス感染症の流行によって飲食業は大打撃を受けました。これまでの業界の慣習だけに閉じていては生き残っていけない、という強烈な危機感が全社に生じたのです。VUCAの時代においては、トップダウンだけの経営戦略の立案や意思決定は十分ではありません。

管理職がビジネススキルを向上させ、経営視点をもつための育成施策を検討することにしました。

コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様

コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様

研修前に考えていたゴール(受講者の目標像)

松原さん:

今回の施策のゴールは、管理職が世の中で起きている変化を認識し、自社がどのように変化すべきか考える視点を確立することです。今回のコロナ禍では飲食店という業態そのものの存続が危ぶまれ、内食や中食など、飲食店の枠を越えて物事を考える必要に迫られました。次に訪れる危機に備えて外の世界に触れる機会をつくり、多面的な物事の見方を知ってほしかったのです。

育成施策の検討にあたっては、当社は全国に社員がおり、シフト制で働いていることを考慮しました。一斉に集合して研修を行うのは負荷が大きいため、どの社員にも等しく学習機会を提供できるよう、動画で学習できるGLOBIS 学び放題を採用しました。
導入の決め手は、良質なコンテンツが集まっていること、アカデミックに寄りすぎておらず実践性があること、そして基本知識から最新の潮流まで幅広く学べることでした。

GLOBIS 学び放題の受講者は、公募制にしました。学びに対して自らの意思を持ってほしかったのです。
当社ではジョブ型の人事制度を採用し、異動希望も年2回募るなど、社員が希望するキャリアを目指せる仕組みにしています。これまでの研修は参加必須のものが多く、受講者にモチベーションがないと学んだことが身に付きにくいケースもあったと思います。今回は人事制度と紐づけることで、自発的に学ぶ社員が増えることを期待しました。

コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様

コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様

検討プロセスと実施内容

研修プログラム導入にあたり、感じていた心配ごと・懸念点

松原さん:

一つ目の懸念点は、管理職にビジネスを学ぶ重要性をどこまで認識してもらえるか、ということでした。飲食業界は職人気質の社員が多く、自分の背中を見せて部下へ成長を促す文化があります。そのため、管理職の価値観から変える必要があると考えていました。

二つ目は、忙しくても学びたいと思う社員は果たしてどのくらいいるのだろうか、という心配がありました。これまでは業務の忙しさゆえに学びを避ける傾向があったことも事実だからです。

さらに、現状の育成施策に対する葛藤もありました。
管理職と現場の社員では求められるスキル・役割が異なるにもかかわらず、当時の人材育成は、現場社員が調理や接客スキルを磨くためのOJTやオペレーション研修が中心でした。現場スキルの向上という点において、当社には手厚い研修制度が整っています。しかし現場で培われたスキルだけでは、異なる役割が求められる管理職としては不十分だということが見えてきたのです。現場と管理職の求められるスキルのギャップが大きいため、管理職になった途端、これまでの店舗運営の経験・スキルだけでは通用しなくなってしまうという状況を歯がゆく思っていました。

そうした個人的な不安や葛藤を抱えていましたが、運用を始めてみると、管理職の約半数がGLOBIS 学び放題の受講を希望してくれました。

そのうちの3分の2は、他社を含む全受講者の平均視聴時間を上回る視聴時間で学習していたのです。学びに飢えていた社員がこんなにもいたのですね。

多くの管理職が、一人のビジネスパーソンとしてこれからもやっていけるのかと課題感を抱いていたのだと知りました。自分への危機感がある一方で、何から学べば良いのかがわからなかったのかもしれません。
GLOBIS 学び放題を導入して間もない時期は、おすすめの動画や管理職として知っておくべき動画を選定して、私から受講者へ頻繁にメール発信をしていました。「まず学ぶべきことは、ここに揃っている」と示したことが、自発的な学びへとつながることになり良かったと思っています。

コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様

コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様

研修を始めてから見えた課題感と改善

松原さん:

私自身もGLOBIS 学び放題で学習したのですが、初級編でさえ知らないことが多くて愕然としました。こうした知識の不足感があることを伝えながら、上長へ次の人事育成計画を提案したところ、まず企画者である私自身がグロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)へ通学することを勧められたのです。

GESを受講するとさらに危機感を覚え、井の中の蛙のままではいけないと痛烈に感じました。受講者同士の議論を通して、「同じ部門長なのにここまで視座が違うのか」と気付かされましたし、飲食業界の受講者が私だけだったこともショックでしたね。自身が身をもって彼我との差を体験したことにより、「自社のビジネスパーソンの育成を、何としてでも進めなければならない」という覚悟を強く抱きました。

私自身のGES受講後、社長に改めて人事戦略を提案したところ、選抜研修の施策を全面的に任せてもらえることになりました。早速、今年からグロービス・エグゼクティブ・スクール(GES)への派遣とアクションラーニングを実施する次世代リーダープログラムをスタートさせたところです。初回のGES公募では、予想よりも多くの社員が「課題の負荷が大きくても、キャリアアップしていきたい」と意欲的に手を挙げてくれました。

以前の当社の風土であれば、自発的にスキルアップをしていくためのプログラムに手上げする社員は少なかったでしょう。GLOBIS 学び放題で学習したことで、学ぶ楽しさを感じたり、自分はもっとやれるかもしれないという自信が芽生えたりした結果、自律的に学ぶ風土づくりができたのだと思います。

成果と今後の展望

研修後の受講者の変化

松原さん:

GLOBIS 学び放題の導入から2年近くが経ちました。受講者のレポートの質が、半年ごとにどんどん上がっていると感じています。
最初のころは学んだ感想が中心でしたが、最近では専門スキルに関する記載や、新たな分野の学びの記載内容が見られるようになってきたのです。

自分の仕事とは異なる領域の知識・スキルが身に付くと、他部門の業務への理解が深まります。本部長、部長クラスが他部門の理解を深めて全社視点を持てるようになったことで、部門間で協力し合うようになりましたし、会議での会話の質も変わってきました。

グロービスには、ビジネスリーダーを育成する教育機関としての圧倒的な信頼を寄せています。そして吉田さん(グロービス担当者)には、私のぼんやりとした課題感をクリアにするための壁打ち相手になっていただきました。
GLOBIS 学び放題の導入後も、受講状況を細やかに伝えてくださったので、全社へのメール発信に役立てられました。DX関連の新たに追加される動画についても、社員にタイムリーに告知できましたね。当社に必要な情報を、臨機応変に伝えていただいたことに感謝しています。

コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様

コーポレートサービス本部 採用教育部 部長 松原茜様

今後の取り組み

松原さん:

現在のGLOBIS 学び放題の対象は課長職以上の希望者ですが、今後はその対象を広げていきたいと考えています。ある子会社トップからも、管理職のみならず若手社員にも学ばせたいという要望がありました。実は、初めて部下をもつような若手のマネージャー層が特に熱心に学習しているんです。動画コンテンツを通じて、部下へのマネジメント方法を学び、実践しているのだと思います。若い層への学習機会を広げていきたいですね。

この育成施策は、一般職を含む全社員へ発信していたので、新たにマネージャーに昇格した社員から「私も、今回から受講対象ですよね」と人事に問い合わせがありました。上司の学ぶ姿を見て成長意欲が湧いているようです。
学ぶことは当たり前という風土を少しずつ醸成していって、今は学びが進んでいない管理職も意欲的になってくれることを期待しています。

一人ひとりが環境分析や顧客分析をもとに経営層に提案するような組織になると、当社はより強くなっていくだろうと思うのです。例えば、店舗運営は本社の方針に沿うだけではなく、現場の店長が店舗の戦略を考え、アイデアを出してもいいですよね。全店長がビジネススキルと経営する視座を得られたら、当社はより競争力のある店舗の集合体になれると考えています。

飲食業は入社直後から大きな責任を持ち、自己成長を促される業界です。現場での豊富な経験に加えてビジネスの定石を身に付けられたら、起業できる力をもったビジネスパーソンになれる、と可能性を感じています。

この育成施策を続けることで、社員にコロワイドという会社をもっと好きになってもらいたいですし、これから社会に出る若者たちにも飲食業界へチャレンジしてもらいたいと思います。

グロービス担当者の声

吉田 亮太
吉田 亮太

飲食業界では「ビジネススキルを学ぶ」ということに対して特有の難しさがある中で、施策の企画・実行については松原様と様々な議論を重ねました。
松原様の育成に対する熱意やコロワイド様の社員の方々の学びの意欲もあり、結果GLOBIS 学び放題を通じて「社員の方々の学びに対する姿勢」や「自律的学びの組織風土」に大きな変化が生まれ始めていることを大変うれしく思います。今後も引き続きコロワイド様の更なる成長・変革に貢献できればと考えております。

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