ハラスメント研修とは?必要性、内容、実施メリットを解説

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  • 組織風土改革

「ハラスメントに関するニュースや話題をよく見かける。トラブルになる前に自社でもハラスメントに関する知識を深めたほうがいいかもしれない」
「社内でハラスメントに関する事案が起きたと耳にした。早急にハラスメントの防止策を講じなければならない」

ハラスメント関連の法制化が進み、益々注目度が増している企業のハラスメント対策。

ハラスメントに関する意識が低いままではいけないと思いつつも、「そもそもハラスメント研修とはどのような研修なのか」「ハラスメント研修をするべきか」悩んでいる担当者の方は多いのではないでしょうか。

ハラスメント研修とは、職場で起こり得るハラスメント行為を理解して予防や対策に取り組むための研修です。

職場でのハラスメント行為は、必ずしも表面化するとは限りません。
ハラスメント行為が横行してしまうと、被害者が心身の不調をきたす可能性があるのはもちろん、従業員全体のモチベーションが下がり生産性の低下を招いてしまうこともありえます。

それだけでなく、ハラスメントが表面化したときには訴訟問題や企業ブランドの価値低下を招く危険性があるのです。

つまり、現時点でハラスメント事案が起きていなくても、企業の危機管理体制の一環として取り組む必要があります。

職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、80%以上の企業がパワーハラスメント・セクシャルハラスメントに関する研修を実施しており、ハラスメント研修は当たり前に実施するべき研修になりつつあります。

※従業員が対象の研修

企業がハラスメントを許さない姿勢を示し、適正な危機管理を行うためにも、ハラスメント研修を実施する基盤を整えましょう。

この記事では、ハラスメント研修の必要性や実施するメリット、具体的なカリキュラム例などをまとめて解説していきます。

最後まで読めばハラスメント研修の必要性が理解でき、あなたの企業の課題や目的に応じたハラスメント研修を企画できるようになります。

ハラスメントは、起きてしまうと大きな問題に発展する可能性があります。
ハラスメントが起きる前に適切な対策をするためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1.ハラスメント研修とは

ハラスメント研修とは、職場で起こり得るハラスメント行為を理解して予防や対策に取り組むための研修です。

ハラスメント研修
概要職場で起こり得るハラスメント行為を理解して予防や対策に取り組む
目的・ハラスメント行為に関する共通認識を持つ
・ハラスメント行為を予防して働きやすい職場を目指す
対象者基本的には全従業員
カリキュラム例・ハラスメントの種類
・ハラスメントに関する法律
・ハラスメントのケーススタディ
・ハラスメントを防止する対策法など
ポイント・ハラスメントの基礎から職場で起こり得る事例までを学び共通認識を持つ
・職場でのシーンに落とし込み何がハラスメントに該当するのか判断できるようにする

ハラスメントとは、行為者本人の意識にかかわらず相手を不快にさせる行為、相手に「尊厳を傷つけられた」と感じさせる行為を指します。

職場で多く発生するのは、下記の3つのハラスメントです。

ハラスメントの種類概要
セクシャルハラスメント職場での性的な発言で不快な思いをさせたり不利益を被ったりさせること
例:食事やデートへの執拗な誘い・結婚や出産についてしつこく尋ねる・性別で区別するなど
パワーハラスメント業務の適正な範囲を超えて身体的・精神的な苦痛を与えること
例:大勢の前で叱責する・十分な指導をしないで放置する・遂行できない量の仕事を任せるなど
マタニティハラスメント妊娠や出産、育児を理由に身体的・精神的な苦痛を与える不当な扱いを行うこと
例:産休取得時に嫌味を言う・産休や育休を理由にプロジェクトから外す・本人の申し出がないのに非正規労働者に降格するなど

ハラスメントは大勢の前で叱責するなど誰が見てもハラスメントだと分かるケースもあれば、正しい知識がないと判断できないケースもあります。

その結果、企業側で認識していない部分でハラスメントが横行し、訴訟問題や生産性の低下など大きなトラブルに発展する可能性があるのです。

そこで、全従業員がハラスメントに対して共通認識を持ち意識的に防ぐために、ハラスメント研修を実施します。

ハラスメント研修は、ハラスメントに該当するケース例や法律を学ぶことで、従業員一人ひとりの意識を高め、ハラスメントを起こさない職場環境を整えることを目的として実施します。

【ハラスメント研修のカリキュラム例】

  • ハラスメントとはどのような行為なのか基礎知識を身に付ける
  • コミュニケーションを取るうえで気をつけることを学ぶ
  • ハラスメントの判例を見て同じことが起きないようにする

詳しくは「3.ハラスメント研修のカリキュラム例」で解説しています。

ハラスメント研修は他人事ではなく、安定した企業運営をするための危機管理の一環として実施するべき研修だと言えるでしょう。

2.ハラスメント研修の必要性

職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、ハラスメントに関する研修をしている企業が増えています。

ハラスメント研修は企業が健全な経営をしていくうえで、必要な取り組みだと認識されています。

ハラスメント研修の領域役員向け研修の実施等従業員向け研修等
セクシャルハラスメント54.7%82.9%
パワーハラスメント55.7%82.6%
妊娠・出産・育児休業・介護休業等
に関するハラスメント
50.8%79.5%
参考:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」

ではなぜ、ハラスメント研修は必要だと認識されているのでしょうか?
ハラスメント研修が必要とされる理由を2つご紹介します。

2-1.ハラスメントの法制化が進み企業の責任が問われるようになった

日本ではハラスメントの法制化が進み、各ハラスメントに対する企業の責任が問われるようになりました。
職場で起こり得るハラスメントは、下記のような防止措置を講じることが定められています。

ハラスメントの種類適応法律概要
セクシャルハラスメント男女雇用機会均等法第11条職場の性的な言動で労働者が労働条件について不利益を受けるなど、労働者の就業環境が害されないよう防止措置を講じること
パワーハラスメント労働施策総合推進法第30条の2職場の優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されないよう防止措置を講じること
妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント男女雇用機会均等法第11条の3
育児・介護休業法第25条
・職場での女性労働者の妊娠・出産により就業環境が害されないよう防止措置を講じること
・労働者が育児、介護休業などを利用するときに労働者の就業環境が害されないよう防止措置を講じること
参考:厚生労働省「職場におけるハラスメント対策(事業主向け研修)」

これらの法制化では、事業主に相談窓口の設置やハラスメントを防止する取り組みを求めています。

【法制化により事業主に求められる措置・取り組み例】

  • 相談窓口を設置する
  • 責任者、外部責任者を設置する
  • ハラスメントに関する就労規約、ルールを整備する
  • 各ハラスメントが起こらないよう方針を明確にして労働者に周知・啓発する
  • 各ハラスメントが起きたときのケアや再発防止など

各ハラスメントの防止措置をしなかった場合には行政より指導や助言が入る可能性があり、最悪の場合は事業者名が公開されるかもしれません。

実際に、過去には女性からマタハラの相談を受けて行政が勧告をしたものの、改善が見られず事業者名が公開された事例があります。

ハラスメントにおいて適切な対策ができていないと、企業イメージの低下につながるリスクがあるのです。

そこで、企業としてハラスメントの防止に取り組む姿勢を示し、「ハラスメントを起こさない」と啓発していくために、ハラスメント研修が注目されるようになりました。

【ハラスメント研修の実施は義務ではない】

ハラスメント研修は法律で定められた義務ではなく、ハラスメントを起こさないための防止策の一環です。

必ず実施しなければならない決まりはありませんが、ハラスメントの防止のための望ましい取り組みに該当します。 就業規則の整備や相談窓口の設置などとあわせてハラスメント研修にも取り組むことで、ハラスメントを許さない企業の姿勢を示すことができるでしょう。

2-2.どの職場でも起こり得る問題だからこそ対策が欠かせない

「私の職場はハラスメントとは無縁だ」と思っている方がいるかもしれませんが、実はハラスメントは身近な問題です。

「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、2022~24年の3年間にハラスメント判定した事例のある企業の割合は意外と多く、パワーハラスメントで70%、セクシャルハラスメントで80%を超えています。

参考:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」

つまり、約2社に1社は何らかのハラスメント判定事例があることになるのです。
あなたの職場でもハラスメントが起こらないとは言い切れず、他人事ではないことが分かるでしょう。

実際にハラスメントが起きると、従業員のモチベーション低下や優秀な人材の流出、生産性の低下など様々な悪影響を及ぼします。

昨今ではSNSなどでハラスメント被害を告発して、社外にまで拡散されてしまうケースも出てきています。

それだけでなく民事訴訟に発展して、違法性が認められているケースも多々あります。

【ハラスメントの違法性が認められた例】

・他の従業員の前で「バカヤロウ」と繰り返し罵った→違法性が認められた

・「何で分からない?お前はバカか」などの発言でうつ病になり休職を申し出た結果、申し出を阻害する言動があった→違法性が認められた

このように、ハラスメントはどの企業でも起こり得ることであり、かつ起きたときには様々な悪影響を及ぼします。
「ハラスメントは起こしてはいけないものだ」という強い認識を持つためにも、ハラスメント研修に取り組む企業が増えているのです。

3.ハラスメント研修のカリキュラム例

ハラスメント研修で取り組むべきカリキュラムは、業種や企業規模、現状の課題などによっても異なりますが、汎用的なパターンとして下記をご紹介します。

カリキュラム例概要
ハラスメントの概要そもそもハラスメントとはどのような行為を指すのか概要を学ぶ
ハラスメントの種類ハラスメントの種類とそれぞれの特徴、起こり得る場面などを学ぶ
(パワーハラスメント・セクシャルハラスメントの特徴など)
ハラスメントに関する法律ハラスメントに関する法律を理解してハラスメント対策の必要性を学ぶ
ハラスメントの影響ハラスメントが起きると企業、従業員にどのような影響を及ぼすのか学ぶ
ハラスメントのケーススタディ実際に起きているハラスメントの事例、判例から日頃の行動を見直す
ハラスメント対策自社でできるハラスメント対策を学ぶ
(部下への指導法、職場での会話の注意点など)
ハラスメントに関する規則自社でのハラスメントに関する規則、ルールを学ぶ
ハラスメントにあったときの相談窓口・対応ハラスメントを目撃した、自らハラスメントにあったときにどのように対応すればいいのか学ぶ

こういった一般的なカリキュラムについては、「GLOBIS 学び放題」のような動画学習サービスを活用することで、効率よくインプットを行うことも可能です。自社にあったハラスメント研修を企画してみましょう。

4.ハラスメント研修を実施する4つのメリット

ハラスメント研修の必要性が理解できたところで、企業がハラスメント研修に取り組むメリットをご紹介します。

ハラスメント研修はハラスメントに対する共通認識を持ち、ハラスメントを起こさない職場を目指すなど様々なメリットがあるので、参考にしてみてください。

4-1.ハラスメントに関する共通認識を持つことで、職場の風通しがよくなる

1つ目は、ハラスメントに関する共通認識を持つことで、職場の風通しがよくなることです。

ハラスメントの定義は時代とともに、変化しています。

年齢を重ねた従業員にとっては「昔は当たり前だった」と感じることが、今の時代ではハラスメントに該当することも少なくありません。

全従業員がハラスメントに関する正しい認識を持っていないと、下記のようなことが起こります。

【ハラスメントの認識が統一できていないケース例】

  • 無意識のうちに他の従業員を傷つける言動をとってしまう
  • ハラスメントかどうか分からず耐える
  • ハラスメントか分からず注意できない

ハラスメントの倫理観や価値観をアップデートしないで日常業務を進めていくと、いつかハラスメント問題として表面化するリスクがあります。

ハラスメント研修を通じて、時代に応じた考え方や法律に沿ったハラスメントの定義などを学び、行動や言動の共通認識を身に付けることが重要です。これによって、「無意識のうちにハラスメント行為をする」「ハラスメントに耐える」といった行為がなくなり、「ハラスメントを許さない」風土の構築につながるでしょう。

4-2.休職者や離職者が減り人材の定着率が向上する

2つ目は、休職者や離職者が減り人材の定着率が向上することです。

想像してみてください。
ハラスメントが横行している職場やハラスメントが起きている職場で、継続して働きたいと思えるでしょうか?

多くの従業員はハラスメントが起きた、もしくは起こる組織では働きたくないと考えるため、離職者が増えてしまいます。

もちろん、ハラスメントの被害者も、離職や休職に追い込まれることがあります。

【ハラスメントの判例】

上司は被害者に対して、感情的な大声で怒鳴りつける、高圧的な強い口調で叱責するなどのパワーハラスメントをしていました。 その結果、被害者は適応障害を発症して休職に至りました。

参考:厚生労働省「上司のパワーハラスメントが原因で休職したものとして地位の確認と損害賠償を請求した事件」

ハラスメントを告発せず離職していく従業員もいるので、放置していると人材不足に陥る可能性は高いでしょう。

ハラスメント研修を実施することで、従業員が安心して働ける環境を整えることができます。

【ハラスメント研修が離職・休職を防ぐ理由】

  • ハラスメント被害による離職・休職が減る
  • ハラスメントが起こらない安心感があり従業員が働きやすくなる
  • ハラスメントを許さない企業側の姿勢に従業員が信頼感を抱く

実際に「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、ハラスメントを予防・解決する取り組みの副次効果として、メンタルヘルス不調者や離職者、休職者が減る結果が出ています。

ハラスメントの予防・解決のための取り組みの効果
会社への信頼感が高まる35.5%
休職者・離職者が減少した24.4%
メンタルヘルス不調者が減少した22.5%
参考:厚生労働省「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」

企業側がハラスメントを許さない姿勢を示すことで従業員との信頼関係が築きやすくなり、定着率の向上を目指せるでしょう。

少子高齢化が加速し人材確保が難しくなっていく時代において、従業員が継続して働ける環境づくりは非常に重要です。

ハラスメント研修は従業員の働きやすい環境づくりにも一役買ってくれると言えるでしょう。

【就活ハラスメントも注目されている! ハラスメント研修の実施が人材確保につながる】

昨今は就職活動中やインターンシップの学生を対象とした「就活ハラスメント」も注目されています。

求職者も「ハラスメントに遭いたくない」と警戒している側面があり、ハラスメント研修を実施して一定の知識、認識があることがアピールできると安心感を与えられるでしょう。

ハラスメント研修は人材確保の側面でも、重要な取り組みです。

参考:厚生労働省「今すぐ始めるべき就活ハラスメント対策!」

4-3.管理職の意識が変わり働きやすい風土になる

3つ目は、管理職の意識が変わり働きやすい風土になることです。

ハラスメントは、上司と部下との関係で起こりやすい傾向があります。

「自分は関係ない」「これくらいならハラスメントではないだろう」「何がハラスメントに該当するのか分からない」といった、管理職やマネージャーなどの上層部の認識の甘さが、知らず知らずのうちにハラスメントにつながっているケースは多くあります。

無意識のうちにハラスメントの加害者になってしまわないためにも、上層部がハラスメントへの理解を深め、自身の言動を見直すための適切な研修を行うことも必要です。

その結果、風通しがよく、働きやすい風土が醸成されることでしょう。

また、上層部のハラスメントを許さない姿勢、考えが根付くことで、組織全体がハラスメントを見逃さない風土に変わっていくでしょう。

その結果、心理的安全性が確保でき、ハラスメントに敏感になることなく、従業員が働きやすい環境を整えられます。

4-4.企業価値の向上につながる

4つ目は、企業価値の向上につながることです。

昨今、ハラスメントは社会問題として注視されており、企業がハラスメント関連のトラブルを起こしてしまった場合、様々なリスクが想定されます。

一方で、ハラスメント対策をしっかり行っている企業であれば、投資家や求職者といった各ステークホルダーへの信頼度の向上にもつながります。

【ハラスメント研修がステークホルダーへの信頼度向上につながる理由】

  • 労働環境を整えるための投資をしているため
  • 自社の従業員を大切にする取り組みをしているため
  • 社会問題の解決に積極的に取り組んでいるため

例えば、自社のホームページなどで、人的資本に関する情報としてハラスメント研修の取り組みを開示することで、信頼度の向上に貢献できるでしょう。

社会的に関心度の高い領域だからこそ、企業としてしっかり取り組んでいる姿勢を示すことで社外へのアピールにつながります。

5.ハラスメント研修の注意点

ハラスメント研修を効果的に実施するには、どのような点に注意するべきでしょうか?

ここでは、ハラスメント研修を実施するうえでの注意点をご紹介します。

5-1.階層によって研修内容に工夫が必要

ハラスメントの概念は、全従業員が共通認識しておくべき内容ですが、階層によって内容に工夫が必要な部分もあります。

一例として、管理職と新入社員では、下記のように注意するべきポイントが異なるため、対象者にあったカリキュラムを用意することが必要です。

対象者カリキュラム例
全従業員が理解するべきカリキュラム・ハラスメントの概要
・ハラスメントの必要性
・ハラスメントの種類
・ハラスメントの事例
・自社のハラスメントに関するルール
・ハラスメントに遭ったときの対応
管理職が理解するべきカリキュラム・ハラスメントに関する法律
・部下との関わり方でのケーススタディ
・管理職が注意するべきポイント
新入社員が理解するべきカリキュラム・上司・同僚との関わり方でのケーススタディ
・ハラスメントだと思ったときの対処法

そのため、全従業員が知っておくべき基礎知識に加えて、階層ごとに必要となる知識をどう身に付けてもらうかも重要な検討ポイントになってきます。

【階層ごとに必要なハラスメントに関する知識を身に付ける工夫】

  • すでに実施している階層別研修内で、ハラスメントのケーススタディを共有する場を設ける
  • 管理職向け、新入社員向けなど階層ごとにハラスメント研修を実施する

5-2.具体的なシーンに落とし込む

ハラスメント研修は知識の習得ではなく、組織内でのハラスメントを防ぐことが目的です。

身に付けた知識をもとに、一人ひとりが現場でのコミュニケーションで活用するためには、具体的なシーンに落とし込めるようになる必要があります。

上のスライドは、「GLOBIS 学び放題」のコース「【パワハラ防止法】事例から学ぶ!パワハラにならない叱り方」の中でご紹介しているものです。

上司が部下に失敗を指摘するシーンでは、「どのようなケースがハラスメントに該当するのか」を解説しています。こういった具体例を用いて学ぶことで、より日常に活かすことが可能になります。

【管理職層の場合はコミュニケーション活性化の方法を学ぶことも大切】

管理職層を対象としたハラスメント研修では、コミュニケーション活性化の方法を学ぶことも大切です。

特にパワーハラスメントは、双方のコミュニケーション不足が引き金となり起こることも多いからです。また、「自分は大丈夫だから、相手も大丈夫だろう」という安易な思い込みがハラスメントを引き起こすケースは意外と多いものです。 ハラスメントになる行動、言動をしないことはもちろんですが、ハラスメントを引き寄せないためにも部下とコミュニケーションを取る方法を学ぶことも欠かせません。

5-3.研修以外の施策も検討する

ハラスメント研修は職場でのハラスメント対策の一環であり、ハラスメント相談窓口やハラスメント相談体制、社内のルール構築など他の施策との連携が必要です。

例えば、ハラスメント研修を実施したものの、いざハラスメントが起きたときの窓口を設置し周知していなければ、組織内でのハラスメントの取り組みが不十分で終わってしまいます。

下記のように、相談窓口の設置や経営層からのメッセージの発信を行ったうえで研修を実施し、コミュニケーションを取っていくようにするとよいでしょう。

ハラスメント研修とハラスメントを起こさない体制の双方を整えることで、よりハラスメントを予防できるようになります。

6.ハラスメント研修の企画方法

ここまでお読みいただき、自社でもハラスメント研修を実施すべきではと感じた方も多くいらっしゃることでしょう。
企業でハラスメント研修を実施するときは、自社の課題や現状に応じて企画をすることが重要です。

どのような手順でハラスメント研修を企画するといいか、参考にしてみてください。

6-1.研修の目的、ゴールを明確化する

ハラスメント研修は、単なる義務ではなく、職場環境の改善やリスク管理に直結します。
まずは研修の目的とゴールを明確にしましょう。例えば、下記のような点が考えられます。

  • なぜ研修を実施するのか?
    • 法令遵守のため(パワハラ防止法、男女雇用機会均等法 など)
    • 企業文化の浸透・改善のため
    • 具体的なハラスメント事案が発生したため…等
  • 研修のゴールは何か?
    • ハラスメントの定義を理解し、リスクを減らす
    • 管理職の対応力を強化する
    • 社内相談窓口の活用を促進する…等

6-2.研修対象者と取り組む内容を決める

研修の目的とゴールを明確化したところで、研修の対象者と取り組む内容を決めていきます。例えば、下記のようなパターンが考えられます。

対象者カリキュラム例
全従業員向けカリキュラム・ハラスメントの概要
・ハラスメントの必要性
・ハラスメントの種類
・ハラスメントの事例
・ハラスメントに遭ったときの対応
・相談窓口や対応フローの説明
管理職向けカリキュラム・ハラスメントに関する法律
・部下との関わり方でのケーススタディ
・相談を受けた際の対応方法
・組織としての未然防止策
人事・総務向けカリキュラム・企業の法的責任
・相談を受けた際の対応方法
・再発防止策の策定方法

6-3.研修の実施形式を決める

ハラスメント研修の対象者や取り組む内容が決まったらどのような形式で実施するかを検討します。

それぞれの実施形式でのメリットとデメリットを整理しました。対象者や実施内容に応じて、適切な形式を選びましょう。

メリットデメリット
対面研修・ディスカッションや意見交換ができる
・自社特有の内容を盛り込むことができる
・時間やコストがかかる
オンライン研修
(eラーニング)
・比較的低コストで実施できる
・同一の内容を多くの社員に展開できる
・受講時間の確保、調整がしやすい
・インプット中心になりがち
・ディスカッションや意見交換が難しい

上に記載したように、対面研修にもオンライン研修にも、メリットとデメリットがあります。

それぞれの特徴を活かし、eラーニングで基礎知識のインプットを行った後、対面研修でディスカッションを行うといった、ハイブリッド型での実施も効果的に研修を行う手法の一つです。

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8.まとめ

この記事では、ハラスメント研修の必要性や実施するメリット、研修のカリキュラム例や企画方法をまとめて解説しました。

最後にこの記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

【ハラスメント研修とは、職場で起こり得るハラスメント行為を理解して予防や対策に取り組むための研修】

● ハラスメント研修の必要性は次の2つ
 ・ハラスメントの法制化が進み企業の責任が問われるようになった
 ・どの職場でも起こり得る問題だからこそ対策が欠かせない

● ハラスメント研修を実施するメリットは次の4つ
 ・ハラスメントに関する共通認識が持てて風通しがよくなる
 ・休職者や離職者が減り人材の定着率が向上する
 ・管理職の意識が変わり働きやすい風土になる
 ・企業価値の向上につながる

● ハラスメント研修を実施するときの注意点は次の3つ
 ・階層によって研修内容に工夫が必要
 ・具体的なシーンに落とし込む
 ・ハラスメント研修と他の施策との連携を検討する

ハラスメント研修は、誰もが働きやすい職場を実現するために欠かせない研修です。
ハラスメント研修の実施方法に悩んだ場合は、ぜひ「GLOBIS 学び放題」をご活用ください。

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