【ニトリ】個人学習データを活用したタレントマネジメント構想
- 次世代リーダー育成
-
CLO会議事務局
本記事は、第9回CLO会議パネルディスカッション「HRテクノロジー活用による人材・組織開発」において、ニトリ組織開発室室長 永島寛之氏にお話いただいた内容を書き起こしたものです。
CLO会議HP:https://gce.globis.co.jp/clo/index.html
【セミナー概要】
■開催日時:2019年9月10日(火)10:00~20:00
■登壇者:
上野 勇 氏 株式会社セプテーニ・ホールディングス 代表取締役 グループ上席執行役員
永島 寛之 氏 株式会社ニトリホールディングス 組織開発室 室長
■モデレーター:
井上 陽介 株式会社グロービス マネジング・ディレクター
売上高3兆円を目標に「世界の暮らし提案企業」へ
ニトリはおかげさまで売上6,000億円、経常利益も1,000億円を超えたのが昨年の状況です。時価総額は今日現在で1兆7,000億円ぐらいです。このマーケットからの評価は弊社の現在価値というより、未来価値を見ていただいていると思っています。将来の成長への期待を、裏切らないようにしっかり成長していきたいと思います。
店舗は、今日現在で576店舗です。海外は71店舗。新卒採用は550人で、その採用に当たる専任のリクルーターが50人いるのがニトリの採用の特徴だと思います。
当たり前ですが、ニトリといえば、「家具屋」のイメージだと思います。家具屋ではありますが、我々の主語は「家具」ではなくて、「住まいの豊かさ」です。「住まいの豊かさ」という抽象的な概念を世の中に届けていくことを企業理念として運営している会社です。現在では、売り上げに占める家具商品の比率は35%程度になっており、最近は法人事業などの新しい業態も広げているところです。
2032年に売上高3兆円クラスの「世界の暮らし提案企業」になるというのが我々の目標です。ニトリはM&Aをせずにオーガニックに事業を拡大して、32期連続増収増益を達成してきましたが、この先の目標はこれまでの連続的な成長では届く目標ではないです。増収増益で危機感がない中で、どうやって非連続に事業を成長させていくかが我々の最大の課題です。このジャンプアップをいかに従業員の力で達成してくか、そのために、人材教育を人事施策の中心にしていけるかが、我々の一番のチャレンジです。
弊社は非常にコアコンピタンスが強い会社です。これをいかにシームレスにグローバルに持ち出して、さらにデジタルトランスフォーメーションしていけるかがキーファクターになります。商品で暮らしを再発明することもあれば、ビジネスや店舗の仕組みそのものもデジタル化していく必要があります。組織開発の立場にいると、事業のコアコンピタンスが強ければ強いほど、業績が好調であればあるほど、ビジネスのトランスフォーメーションが難しいということを痛感しています。
また、グローバルでいうと今、中国・台湾・アメリカに店舗を出していますが、店舗を増やすだけではなく、今後は調達や物流の拠点も合わせて世界で強化する必要があるという問題意識があります。
個人の学習をベースにしたタレントマネジメントの構築
社員教育は、「コア」の学びを大切にしながらも、その学びを未来の方向に向けてトランスフォームしていけるよう、グロービスさんにもご協力をいただいて、「NITORI UNIVERSITY」という教育体系を整えています。
ここからHRテックの話になりますが、人事の立場としては、非連続に企業を成長させていくためには、少数精鋭の人材育成では間に合わず、コストをかけてでも「多数精鋭」の人材育成を進めていかなければならないという問題意識があります。そのために、テクノロジーの力を活用して、マス向けの教育ではなく、個人個人の成長に合わせた教育と配置転換を進めていくことを考えています。その結果、社員の意欲、執念、好奇心のレベルを上げ、オペレーション型人材から起業型人材への転換も図っていければと思っています。
学習コンテンツとしては、GLOBISの「GLOBIS 学び放題」を、全社員5,000人分の永年アカウントを取得して、まずはここをベースに進めていきます。個人個人の学習結果を人事とタレントマネジメントシステムで管理していきます。また、学習態度から上司との相性などのコンピテンシー的なものも見ていくことを考えています。
ここでは、個人が将来やりたいと思う学習メニューや、源泉となる好奇心をマネジメントします。また、組織として必要となるスキルや方向性に、自然と興味を持ってもらえるような仕掛けをしていきます。自然にというのがポイントになります。例えば、グローバルやテクノロジー、ロジカルシンキング、フレームワークなど。これまでニトリのコアになかった要素をふんだんに盛り込んでいきます。
従業員の個人の夢や人生をかけて達成したいロマンとかビジョンが、会社の方向性と自然に繋がっていけるように、こういったエンプロイー・ジャーニーをテクノロジーの力を借りて作っていくことが今の目標です。以上です。ありがとうございました。
※文中の所属・役職名は原稿作成当時のものです。
こちらの記事もおすすめ
事例紹介
日経225の88%の企業へ研修サービスを提供
企業内研修有益度
評価 2024年3月「テーラーメイド型プログラム」を除く平均値
導入企業数
3,300
社/年受講者数
43.8
万名/年スカイマーク株式会社
スカイマークらしい人財育成体系をゼロから構築! 航空業界におけるチャレンジャー企業として成長を続ける
日本生命保険相互会社
「自ら学び、社会から学び、学び続ける」風土改革への取り組み
三菱重工業株式会社
受講者から役員を輩出。ジョブアサイン連動型タレントマネジメントで「未来を起動する」次世代リーダーを早期育成
伊藤忠商事株式会社
世界各国で活躍する社員の自律的なキャリア形成をするために必要となる、経営スキルを磨く場を提供
株式会社大創産業
トップダウンから脱却し、自律自考のできる次世代リーダー集団の育成
株式会社コロワイド
非連続の時代を生き抜くために管理職がビジネススキルを磨き、経営視点をもつリーダーになる
SAPジャパン株式会社
カスタマーサクセスを追求するマネージャーの育成を通じて、日本企業のグローバル化を支援する
レバレジーズ株式会社
360度サーベイで75%の受講者がスコアアップを実現!自らの課題を意識した学びで、受講後の行動が変化
富士通株式会社
DXカンパニーへの転換を加速させた、役員合宿の取り組みと効用
セミナー・イベント
無料の受講体験や育成・研修に関するイベントをセミナーで実施しています
セミナー開催予定
【見逃し配信】人材育成施策の効果を高める、『学習体験設計』のポイント
【グロービス - Scrum Inc. Japan共催ウェビナー】データを中心に価値を創造する組織への変革 ※外部サイトへリンクします
人的資本経営を強化するサクセッションプランの進め方 ~各社の策定・運用の実態から見えてきた難所と押さえるべき論点~
GLOBIS学び放題「公募」導入のコツ ~積極的な応募と自律的な学びを促す制度・運用設計とは~
【見逃し配信】人的資本経営を支える「戦略人事」の役割と実践のポイント ~戦略人事の本質とHRBPの存在価値とは~
【人材育成お悩み解決ナビ】
成果を最大化させる!管理職研修 設計のポイント
コラム
グロービスが培った人材育成の知見を、課題解決のヒントにお役立てください