ソミックマネジーメントホールディングス

100年企業が自動車産業の大転換期を乗り越えるための次世代経営幹部育成。MBAで経営を全方位で理解し、健全な危機感を持てるようになった

業種
  • 自動車/輸送用機器
サービス
  • スクール型研修
研修対象
  • 全社員対象
言語
  • 日本語
ソミックマネジーメントホールディングス
導入前の課題
  • 100年に1度と言われる自動車産業の変化に対応するために、経営戦略を大胆に変更。新たな戦略を実行し、成果を挙げられる経営幹部の育成が必要だった
  • 次世代経営幹部を含めた人財育成を独自で行うのは現実的ではないと考え、育成施策のひとつとして経営大学院への派遣制度を導入。実践を重んじ、リアリティある学びが得られるグロービス経営大学院を選んだ

研修内容
  • グロービス経営大学院への派遣制度は公募型とし、最終的に人事部門で選抜して派遣している
  • MBA取得にあたって、自分が何を成し遂げたいのかを明確にすることを重視している

成果・効果
  • グロービス経営大学院で学んだ社員は自らに対する健全な危機感を抱くようになり、成長の質が向上した
  • グロービス経営大学院にチャレンジしている社員を見て、周囲のメンバーが「自分も学びたい」と触発される好循環が起きている

自動車産業の大転換期を乗り越えるために、大胆な経営変革の真っ只中にある株式会社ソミックマネージメントホールディングス様。激しい環境変化を乗り越え、成長をけん引する次世代経営幹部を育成する目的で、グロービス経営大学院への派遣制度を実施しています。その取り組みについてお話を伺いました。(部署・役職はインタビュー当時)

【ソミックマネージメントホールディングス様】
写真中左:株式会社ソミックマネージメントホールディングス 取締役 株式会社ソミック石川 取締役副社長 株式会社ソミックトランスフォーメーション 代表取締役 大倉正幸様
写真左:株式会社ソミックマネージメントホールディングス CHRO 船見晋一様
写真中右:株式会社ソミックマネージメントホールディングス 人事戦略部 タレントマネジメント室 藤田大祐様

【グロービス担当者】
写真右:竹下 博貴

背景と課題

自動車産業の大転換期。大胆な経営戦略の変化を社員が乗り越えるために

大倉さん:
当社は1916年創業100年企業で、クルマの足回り部品であるボールジョイントで国内トップシェアを獲得するなど、盤石な経営を続けてきました。長い歴史と強い既存事業を持つ非上場の同族会社、そしてグローバルで約1万人の社員がいる大組織における変革の難しさに直面しています。

自動車部品を主要ビジネスにしている我々は、EVや自動運転などに代表される厳しい環境変化に晒されています。その変化に対応するには、自社の経営戦略や、私自身を含めた経営者の要件を変え、必要なリテラシーを新たに獲得していかねばなりません。その一方で、それらを社内だけでやり切ることは現実的でも効果的でもないと考えていました。

ここ20年の経営を振り返ると、2000年代以降はインストアシェア(特定の顧客企業における自社製品のシェア)を高める戦略を掲げ、大きな売上に支えられながら各社員が自分の持ち場で「カイゼン活動」を続けてきました。業務の質を保ちながら効率化し、単一の領域におけるプロになるための人財育成と組織づくりに邁進してきたのです。

2018年にホールディングス制へ移行したタイミングで戦略が見直され、当社が勝てる領域に特化する戦略を掲げました。しかし、社員は相当困惑していたと思います。お客様の要望に全力で応えることを是としてきたはずなのに、当社がトップになれる製品へ集中し、シビアに価格交渉していくことを、急に求められるようになったのですから。

約8,000人規模の企業において、組織全体が短期間で大きく方向転換することは容易ではありません。我々経営サイドとしては、この環境変化を全社員が受け入れ、乗り越えられるよう支援することが重要だと考え、人財コンピテンシーの定義を見直し、人事制度を改革し、人財育成制度を強化するなど、あらゆる面で仕組みを変革しました。

ビジネスの修羅場を経験している教員から、リアリティ溢れる学びが得られるグロービス

大倉さん:
これまで不十分だった、次世代を担う経営幹部育成にも着手することにしました。当社に必要な経営幹部とは、直面している環境変化への対応と、未来に向けたサステナビリティ強化を実現できる人財です。トレードオフの関係にあるこの2つを両立できる、経営人財の育成方針を立てました。

船見さん:
当社は中堅企業でありながらお客様に大企業が多いこともあり、当社の将来を担うリーダーは、お客様やグローバル拠点の社員とビジネスの共通言語でコミュニケーションできることも欠かせません。これらの理由から、次世代経営幹部にはMBAで得られるスキルやマインドが必要だと考え、グロービス経営大学院(以下、グロービス)へ社員を派遣しています。

数ある経営大学院の中からグロービスを選んだのは、自分の志に向き合うなど他校にはない特徴がある点や、すべての学びの土台となる「クリティカル・シンキング」から学び始めることが推奨されていることが大きな理由です。また、すべての授業がディスカッション形式であり、経営を学ぶにも、自分のキャリアを見つめる際にも、深く考えさせる仕掛けがあると感じました。

科目の多様性も大きな魅力でした。グロービスは、経営大学院だけではなく、企業研修やベンチャーキャピタルなど多岐にわたる事業を展開しており、従来のMBAカリキュラムにとらわれない幅広い学びが得られると考えました。

学生数も国内の経営大学院の中で最も多く、多様なバックグラウンドを持つ仲間と一緒に学べる点もよいですね。MBA取得までの数年間、学生同士が交流しながら学び合うことでモチベーションを保てると思いました。

大倉さん:
ビジネスの修羅場を経験している教員から、実体験を交えたリアリティあふれる学びが得られる点も魅力です。当社の社員は製造業に従事しているため、現場での実践を重視する傾向があります。そのため、理論と実践のバランスを取りながら学ぶことが重要だと考えています。グロービスなら、成功も失敗も含めて豊富な経験を持つ教員をリスペクトしつつ、実践的な学びを深められると考えました。

さまざまな業界のケース(企業事例)を用いたディスカッション形式の授業で、自動車産業以外の実例に触れながら学べる点も決め手のひとつです。自分がケースの主人公になりきって考え、多様な価値観を知りながら成長できるのは大きいと思います。グロービスは、ケースも毎年のようにアップデートされていくので、最新の知を学べるのもよいですね。

専門外の領域も含めて経営を全方位で学び、成長してほしい

大倉さん:
MBAでの学びによって、経営の各領域の専門家の発言を理解できるようになってほしいですね。MBAのよい点のひとつは、必修科目があるため、自分の興味のある分野だけでなく、専門外の領域についても強制的に学ぶ機会が得られることだと思っています。そして中長期的には、経営に関する体系的な学びを生かして経験を積み、経営が担える人財に成長してくれることを期待しています。

こうした考えは、新たに定義した人財コンピテンシーとも密接に関連しています。現在の人財コンピテンシーは、3階建て構造で整理しています。1階は論理的思考力やリーダーシップといった普遍的な基盤スキル、2階は経営戦略や会計などすべてのリーダーに求められる経営スキル、3階は各事業固有の専門スキルです。パソコンに例えるなら、1階がマシンスペック、2階がOS、3階が個々のアプリケーションに相当します。

これまでの人財育成は、業務遂行に直結するスキル(アプリケーション)の開発が中心でした。しかし、基盤となる思考力や知識(マシンスペックやOS)が不足しているため、せっかくのスキルを十分に活かせない場面が多かったように思います。こうした反省を踏まえ、社員には基礎となるスキルの重要性や、専門外の分野にも目を向ける必要性を伝えています。

例えば、生産現場の社員はカイゼンに優れ、論理的思考力も高いメンバーが多いものの、会計の知識が不足していることがあります。その結果、業務改善はできても、それが利益にどれほど貢献するかを正しく評価できないケースが生じます。もし会計スキルを身につければ、業務改善が収益に与える影響を明確に示すことができ、経営陣を含めた社内の合意形成もよりスムーズになるでしょう。

検討プロセスと実施内容

自らが何を成し遂げたいのかを明確にしてから、グロービスで学ぶ

藤田さん:
グロービスへ派遣する社員は、公募した後、人事部門で選抜して決定しています。これまでは外部スクールで学ぶ機会がなかったので、応募があるのか不安でしたが、想定よりも多い人数から希望があり嬉しく思っているところです。

船見さん:
選抜過程で私たちが大切にしているのは、応募する社員に『自分がビジネスパーソンとして何を成し遂げたいのか』を明確な言葉で表現してもらうことです。MBAはあくまで手段であり、会社が一方的に学びを押し付けるものではありません。そのため、社員が主体的に学びに向き合えるよう、社内でのメッセージ発信にも配慮しています。 

藤田さん:
グロービスには体験クラスをご案内いただいたり、社内告知や社員へのフォロー体制を一緒に考えてもらったりするなど、社員の意欲を引き出し、スムーズに学びを始めるためのサポートをしていただきました。当社が自主性を重んじる自己啓発施策に基づき、社員自身が納得して応募するための支援をいただけていることは大変心強いです。

学びを生かせるタフアサインメントによって、経営者として成長できるように

大倉さん:
経営を担える人財に成長するためには、チャレンジングな業務(タフアサインメント)を経験することが不可欠であり、そうした機会をどのように創出するかは、経営側の重要な課題として日々向き合っています。

社員にはこうした機会をできるだけ多く提供したいと考えていますが、日本経済の停滞により、タフアサインメントの機会が減少しているのも現実です。そこで、まずはグロービスで難易度の高い課題に取り組む経験を積んでもらうことで、社員の可能性を最大限に引き出したいと考えました。加えて、グロービスで得た学びを実務に生かせる環境を整えることも重要であり、卒業後の社員には適切なタフアサインメントを与えることで、さらなる成長を促したいと考えています。

また、『MBAを取得すれば出世に有利になる』といった誤解を生まないようにすることも重要です。MBA取得後にタフアサインメントが必要な理由をしっかりと伝え、社員の理解を深めながら取り組みを進めていきたいと思っています。

成果と今後の展望

学びをきっかけに自分を見つめ直す中で、健全な危機感を持てるようになった

大倉さん:
最近、グロービスで学んだことが実務に確実に生かされていることを実感する機会が増えてきました。先日も、これまで会計に関する知識が不足していると思っていた社員と会議でP/L(損益計算書)の話をしたのですが、しっかり理解していることが伝わってきました。学びを一過性のものにせず、実務の中で継続的に活用できる環境を整えることも、今後さらに重要になってくるでしょう。

藤田さん:
グロービスでの学びを通じて自分を見つめ直す機会が増え、漠然とした将来への不安を抱えるのではなく、自身のキャリアについて健全な危機感を持てるようになったという声も聞かれます。その結果、目の前の業務だけでなく、キャリアの長期的な視点を持ちながら、自ら課題を見つけて取り組む姿勢が強まっているように感じます。

さらに、その前向きな姿勢が周囲にも良い影響を与えています。MBA取得にチャレンジする社員の姿を見て、『自分も学びたい』と刺激を受けるメンバーが増え、学びの好循環が生まれています。想像以上に波及効果があり、組織全体として学ぶ文化が育まれつつあることを実感しています。

学びは、自由を得るための翼の一つ

船見さん:
次世代の経営人財を育成するため、挑戦する社員を今後も積極的に支援していきたいと考えています。『人財育成は一日にして成らず』。数年単位の長いスパンで成果を出せるよう、継続的な取り組みを重視していくことが重要だと思っています。

これまで当社は、お客様の要望に応え、求められる仕事をやり切ることを強みとしてきました。しかし、今後の競争環境を踏まえると、それだけでは十分ではありません。急速な環境変化の中で成長し続けるためには、個々の社員が自らのキャリアの方向性を主体的に考えることが不可欠だと考えています。その基盤となるのが、自分自身の志を持つことではないでしょうか。

志を持つことで、変化に振り回されるのではなく、自らの意志で道を切り開く力が養われます。社員がキャリアの節目で立ち止まり、自分の志について深く考える機会を持てるよう、グロービスと連携しながら支援を進めていきたいと思っています。

大倉さん:
学びを実践につなげることで、社員が自らの成長を実感できる育成施策を増やしていきたいと考えています。例えば、「クリティカル・シンキング」での学びを活かして自分の考えを発信するプレゼンテーションの機会を設けるなど、アウトプットの場を意識的に作ることが重要だと考えています。

自分の意見を言語化し、伝え、理解してもらうことで、学びは実践的なスキルへと変わります。その結果、社員は『自分の行動で現実を変えられる』という実感を得られ、さらなる挑戦への意欲が生まれます。この成功体験を積み重ねることで、主体的に行動する文化を醸成していきたいと考えています。

人は必要性を感じると学び、成果を実感することでさらに意欲が高まるものです。だからこそ、インプットだけでなくアウトプットの機会を設け、『やってよかった』と思える仕組みを作ることが大切だと思っています。こうした学びの好循環が生まれることで、学ぶことが当たり前の文化として根付き、自発的な成長が促されるでしょう。

学びとは、自らの可能性を広げ、未来を切り開くための翼のようなものです。社員一人ひとりが学びを活かし、自らの意思で挑戦できる環境をつくることが、私たちの目指す姿です。

当社は歴史が長い会社であるがゆえに、自分たちの常識を疑って変革していく難しさがあります。この壁を乗り越えるためにも、学びを生かして行動し、成果を出せる社員を増やしていきたいですね。そして我々経営陣は、社員に『他社ではなくソミックの中で、やりたいことを実現したい』と思ってもらえる会社にしなければなりません。これからも全社員で切磋琢磨しながら、次の100年に向けて成長していきたいと思います。

グロービス担当者の声

竹下:
私は2020年からソミックマネージメントホールディングス様の担当を務めさせていただいており、これまでグロービス経営大学院へのご派遣をはじめ、人財育成や組織開発の分野で深く関わらせていただいております。その過程で、ソミック様の人財育成に対する真摯な姿勢を肌で感じ、私自身も多くの学びの機会を頂いてまいりました。

グロービス経営大学院は、「創造と変革のMBA」を掲げております。特に、変革期にある企業様にとって、単なる理論習得にとどまらず、実践的なリーダーシップを養うことが重要だと考えます。ソミック様におかれましても、まさに創造と変革の両輪を担うリーダー育成を重視されており、当大学院との親和性が非常に高く、毎年社員の皆様が自ら手を挙げ、学びの場へと足を運んで頂いております。

また当大学院では、100%実務家の講師陣による教育を提供し、理論だけでなく現場で即実践できる学びを重視しております。この点も、現場を重視される製造業にとって、非常にフィットする環境ではないかと思います。学んだことをすぐに業務へ応用し、社内での変革をけん引する力へとつなげていく。そのサイクルが、着実に組織の成長へと結びついていると実感しております。

最後に、今回のインタビューを通じ、MBAへの派遣がゴールではなく、むしろそこからの学びをどのように社内で活かし、長期的な成長につなげていくかが重要であることを改めて認識しました。学びを継続し、成長を支える仕組みを構築していくことが、組織の持続的な発展につながるのだと思います。今後も、MBAをはじめとする学習機会を最大限活用しながら、ソミック様の創造と変革の取り組みに伴走し、少しでも貢献できるよう尽力してまいります。

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