スカイマーク株式会社
スカイマークらしい人財育成体系をゼロから構築! 航空業界におけるチャレンジャー企業として成長を続ける
- インフラ/物流
- 企業内研修
- スクール型研修
- eラーニング
- アセスメント・テスト
- 部長層
- 課長層
- 一般社員層
- 日本語
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航空業界におけるチャレンジャー企業として、新たな成長を牽引する人財を育成するために、全社の育成体系を構築し、様々な研修を実施しているスカイマーク株式会社様。その取り組みについて、同社の取締役執行役員 髙木敬介様、組織・人づくり推進室 室長 今井翔太様からお話を伺いました。(部署・役職はインタビュー当時)
- 導入前の課題
-
- チャレンジャーの気概と、部門を超える視野を持ってリーダーシップを発揮できる人財が必要だった
- 人財面の課題を踏まえ、専門性を高めるOJT中心の人財育成のあり方を根本的に見直す決断をした
- 研修内容
-
- 社員が自分の専門外のポータブルスキルを身に付けることで、視野の広がりと学ぶ文化の醸成を目指した
- 間接部門の管理職~中堅層に対する階層別研修を新設。手挙げによる次世代リーダーの育成もスタートした
- 成果・効果
-
- 綿密に研修を設計したことが功を奏し、受講者から高評価を得ている
- 周囲の同僚や部下にも研修受講を勧めるケースも見られるようになり、学ぶ文化が醸成されつつある
- 今後も人財育成に注力するとともに、その他の人事施策も一貫性を持って実施していきたい
背景と課題
チャレンジャーとしての気概を持ち、部門を超えて連携ができるリーダー育成が必要だった
髙木さん:
当社は日本の航空業界において、規制緩和により認められた新規航空会社の第1号として誕生し、機材数29機、1日約150便の運航便数にまで成長してきました。しかしながら、LCC(格安航空会社)の台頭など業界内の競争が激しくなる中においては、スカイマーク独自の強みをさらに伸ばしていかなければなりません。経営理念に立ち返り、チャレンジャーとしての気概やイノベーター的な発想をもつ社員を育成する必要があると考えていました。
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今井さん:
当社は業務の大部分を、外部委託することなく自社で完結させています。この体制は、運航に関わるすべてのメンバーが密に連携し、お客様により良いサービスを提供できる利点があると考えています。
一方で、各職種の社員が高い専門性を持っているがゆえに部分最適が進みやすくもあります。他部門の業務を理解する難しさから連携が疎かになり、お客様に質の高いサービスを提供するための最適解を考えにくい場面も出てきていました。こうした課題を乗り越えるために、当社らしいチャレンジャー意識を持ちながら各現場をリードし、部門間連携もできる管理職層の育成が急務になったのです。
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OJT中心だった人財育成のあり方を根本的に見直す決断
髙木さん:
これまでの人財育成は、各職種の専門知識を養うOJTを中心に実施してきました。ただ、それだけでは個人のポータブルスキルが開発できないだけでなく、各自の守備範囲が狭まりがちで、他部門の理解や連携が進まないという課題があります。人的資本に注目した経営がなされていく昨今の時代的な潮流もふまえ、当社においてもこのタイミングで人財育成のあり方を根本的に見直すことにしました。
こうした課題意識が高まるきっかけとなったのは、グロービスが主催する「CLO会議(人材育成・組織開発責任者が集まるカンファレンス)」への参加です。様々な企業の人事担当者と交流し、各社の取り組みについて話を聞くことで、当社も腰を据えて人財育成に向き合わなければならないという思いを新たにしたのです。そして、私自身がCLO会議のような外の世界に積極的に触れて知見を広げないことには、スカイマークの人事の知見も広がらないことを痛感しました。
検討プロセスと実施内容
社員が専門外のポータブルスキルを習得することで、視野の広がりと学ぶ文化の醸成を目指した
今井さん:
管理職層をはじめとする社員が、部分最適ではなく全体最適で物事を考えるために、自分の専門外のポータブルスキル習得により視野を広げ、リーダーシップを発揮できることを人財育成で目指す姿としました。そして、航空業界におけるチャレンジャー企業として、スカイマークならではの魅力を人財育成にも取り入れていきたいとも考えていました。
髙木さん:
人財育成のパートナーとしてグロービスとご一緒しているのは、育成の経験が乏しかった我々の話に真摯に耳を傾け、当社に最適なご提案を常にいただいているからです。お声がけした当初は、組織・人づくり推進室を立ち上げる前の段階で、我々の熱意だけがあるという状態でした。しかし、寺越さんをはじめ担当コンサルタントの皆さんは我々の状況を深く理解し、叶えたい姿の実現を本気で応援する姿勢を示してくれたのです。
当時は、「学ぶ文化をつくりたい」という話をしたことを覚えています。研修をほとんど実施していなかったにもかかわらず文化醸成という大きな話をしましたが、私自身が実現に向けて行動していかなければならない気持ちを高めるために、目指す姿を言葉にしていたように思います。
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今井さん:
グロービスには育成体系全体の策定と、3種類の研修でご支援いただいています。育成体系を検討するにあたっては、担当コンサルタントとの議論を通して、研修という単一の施策に留まらず、スカイマークという企業がやらなければならないこと、考えるべきことにまで視野を広げていただきました。
そして、あらゆる職種や階層の社員がポータブルスキルを習得していくにあたり、各研修の設計においては細部に及ぶ話し合いを重ね、当社の状況に合わせて適宜カスタマイズもしていただきました。オリジナリティを追求し、納得できるところまで議論できる関係性であることはありがたく、信頼のおけるパートナーだと感じています。
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航空業界におけるチャレンジャー企業として、研修でも新しい取り組みを行うことを繰り返し伝えた
髙木さん:
これまでOJT中心で人財育成を行ってきた会社ですから、研修に対するモチベーションを醸成できるかが懸念点でした。実際、研修を始めた当初は、業務を優先するため研修を欠席したり、事前課題に取り組まなかったりすることが散見されたのは事実です。
今井さん:
新しい取り組みを始める際はネガティブな声が出るものですが、航空業界におけるチャレンジャー企業だからこそ、人財育成でも新しい取り組みをやっていくというコミュニケーションを繰り返し行いました。研修実績が豊富なグロービスから様々な知見を吸収する機会は、それまで気づけていなかった新たな視点の獲得につながり、業務にも必ず活かせることも伝えていましたね。
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髙木さん:
社員コミュニケーションと同時に、経営層に人財育成へ投資する意義を理解してもらうことも意識していました。実務に沿ったOJTを内製で行っていた当社は、これまで育成への投資額が少なかったためです。
ポータブルスキルを身に付ける育成は外部企業の力を借りるのが有効であることと、将来のスカイマークをリードすることが期待される人財には他流試合も経験してもらい、成長曲線を上げていきたいと経営会議で伝え、承認を得るプロセスを丁寧に踏みました。
成果と今後の展望
「また学びたい」と思える研修を実施することで、受講希望者が増える好循環が起きている
髙木さん:
本格的に研修を実施し始めたのは、コロナ禍が落ち着いてきた2022年でした。組織の上層部である執行役員からスタートし、その後、部長層、課長層、中堅層へと対象者を順次広げています。
今井さん:
グロービスの研修は、学んで終わりではなく「また学びたい」と自然と感じられる設計になっています。その証左として、たとえば昨年実施した研修は受講者アンケートが5点満点中4.3点と高評価で、ネガティブな声は非常に少ない結果でした。グロービスと一緒に細かい点まで考慮して研修設計したことで、学びを通して自分の課題に気づき、改善していこうと自ら思える内容になっていることが嬉しいですね。
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今井さん:
受講者からは、部下にも同じ研修を受けてほしいという意見も出ており、学びの好循環が起きています。そこで今年は、研修の対象者を中堅の非管理職層にも広げました。さらには、管理職向けの研修を手挙げ制にしたところ、多くの社員が参加を希望しています。
最初は必須でも研修に参加し、学んで良かったと感じて、もう一度学ぼうと思う。この体験を同僚や部下にもして欲しいと思い、今度は周囲に学ぶことを勧める。こうした良いサイクルが起き、学ぶ文化が少しずつ醸成されていることを実感しています。
髙木さん:
最近では、社員から組織・人づくり推進室に対して「こういう研修を受けたい」という話が持ち込まれるようになりましたし、内製で実施した研修の参加者が当社のマーケティング戦略を実際に考えるという、実務へ取り入れる行動も生まれています。
この学びのカルチャー醸成をさらに加速するために、研修受講者の上司にも実施内容を共有しています。研修での学びを現場で活かすためには、周囲からの日々のフォローが不可欠だと考えているからです。また、執行役員や取締役にも研修の実施報告をしており、研修によって生まれている変化や成果をしっかり感じていただきたいと思っています。
獲得したスキルを発揮できる場を増やしていきたい
今井さん:
新たな人財育成施策に対して、当初はネガティブな声も聞こえていましたが、今では「色々なことを学ぶ機会がほしい」「経営に必要なスキルを分野ごとに研修で学びたい」といった意欲的な意見があがるようになりました。人は、学んだことを発揮する場があると、さらに成長したいと思うものですね。今後は研修だけでなく、社員がスキルを発揮する舞台をいかに設計していくかも大事になると考えています。
人財育成は社員本人の成長のために行うものですが、最終的にはその先にいらっしゃるお客様に対しての「スカイマーク品質」につながっていくことを意識し、今後も様々な取り組みを行っていきたいと思います。
人財育成をゼロから見直した当社が今の状態に至ったのは、スカイマークらしい人的資本経営を推進するパートナーとして、我々の考えがまとまっていない段階から伴走してくれたグロービスあってのものです。「グロービスに見限られないように、頑張らないといけない」と素直に言える良好な関係性があることに感謝しています。
研修という手段を通して、今後も ”スカイマークらしさ” を一緒につくっていけるとありがたく思います。今後も支援をいただきながら、当社がさらに成長する姿をグロービスに示していきたいですね。
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(右)取締役執行役員 髙木敬介様
人財育成をはじめとした施策をストーリーで繋ぎ、人的資本開示に活かしたい
髙木さん:
ここまで育成施策を進めてきて改めて感じるのは、既存事業を安定的に維持するだけでなく、新たな視点で未来に向けたチャレンジができる人財の必要性です。自分の専門性に閉じず、幅広い知見を得ていく社員を増やしていくことは、当社の未来をつくるために不可欠な取り組みだと考えます。
航空会社はコロナ禍で大きな打撃を受け、さらに現在は為替の影響も大きくなっています。その中で大手競合は貨物事業や外貨収益がある一方、当社は国内線中心で、旅客事業の収益を円通貨で得るのみです。こうした環境下で、2024年度はトップ交代をはじめ経営体制が大きく変わり、新たな成長ステージを目指す「スカイマーク3.0」という方針を掲げました。
この方針のもと、今後は人財育成の他にも、組織・人づくりに関わる人事施策も実行し、従業員エンゲージメント向上に取り組んでいきたいと考えています。学びたい社員に機会を提供するために手挙げ制の研修を増やしたり、本部を超えたコミュニケーションの場や、役員と社員がじっくり対話する機会を設けたりする予定です。
こうした複数の取り組みには一貫性があり、ストーリーが宿っている必要があります。我々は大手航空会社とどう違い、どのように差別化ができ、スカイマークの特徴は何なのか。これらを具体化してストーリーとして社員へ伝えていかなければなりません。さらに今後は、一連の取り組みを人的資本の開示につなげていきたいと考えています。
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グロービス担当コンサルタントの声
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寺越:
これまでの議論を通して、髙木様・今井様をはじめとする皆さまからは、「これからのスカイマークをよりよい組織に変えていきたい」という真剣で強い想いを感じています。そのため、我々グロービスが支援させていただくにあたっても、スカイマーク様が目指す大きな絵姿を共に描き、企業文化を醸成し、全社としての戦略実行を下支えするに資するパートナー足りえているかを常に意識しています。
グロービスがご提供しているサービスは「研修」という形をとっていますが、その目的は単なるスキルアップやマインドセットに留まらず、参加される方々がご自身と自社の可能性に目を向け、新たなチャレンジに向けた一歩を踏み出していくための機会であることが重要です。だからこそ、カリキュラムの中身は勿論のこと、その前後の施策や講師のファシリテーションの方向性等、あらゆることに意図を通わせ、スカイマークの皆様の未来に繋がる施策に出来るようデザインしています。
スカイマーク様の変革期にご一緒できていることを光栄に思いますし、これからも良好な関係性と、良い意味での緊張感を持ちながらご支援できればと考えています。
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