住友重機械工業株式会社

一期生の2名が海外で活躍中。海外売上比率50%超企業におけるグローバルリーダー人材タレントマネジメントの挑戦

業種
  • 機械/プラント
サービス
  • 集合研修
  • eラーニング
研修対象
  • 課長層
  • 一般社員層
言語
  • 日本語
  • 英語
住友重機械工業株式会社

グローバルビジネスをけん引するマインドとスキルを備えたリーダーの輩出を目指し、選抜型の研修に取り組む住友重機械工業株式会社様。その取り組みについてお話を伺いました。(部署・役職はインタビュー当時)

【住友重機械工業株式会社様】
写真中央:人事本部 人事マネジメント部 グローバル人事グループ 課長 前田 信次様
写真中右:人事本部 人事マネジメント部 グローバル人事グループ 主査 浅見 知弘様
写真右:人事本部 人事マネジメント部 グローバル人事グループ 主事 田中 奈津子様

【グロービス担当コンサルタント】
写真中左:小林 竜也
写真左:小林 綾

導入前の課題
  • 海外展開が急速に進む中、グローバルビジネスを担う人材の育成が十分に追いつかず、育成施策は事業部門ごとの語学教育やOJTに留まっていた
  • 事業戦略に基づいた計画的なグローバル人材育成の仕組みが必要だった

研修内容
  • 各事業部門から選出されたグローバルリーダー候補者を対象に、日本語によるビジネスの要諦の習得に加え、英語で自社事業の戦略・アクションを発表して他者を巻き込む力を養う内容とした
  • グローバルリーダーとしての自覚をもったうえでスキルを磨けるよう、自社の経営理念・パーパスを自分ごと化し、志を高めるセッションを研修の序盤に入れる工夫をした

成果・効果
  • 一期生のうち2名がすでに海外駐在し、グローバルに活躍中。国内でグローバルビジネスに関わるリーダーも多数輩出している
  • 部門を超えてグローバルビジネスに携わるリーダー人材のネットワークが構築され、本研修を終えた後も交流が続いている

背景と課題

事業の急速なグローバル化に対応できる人材の育成が課題

前田さん:
当社は2010年前後からM&Aによって海外企業をグループに迎え、事業のグローバル展開が急速に進みました。その後も海外現地法人の数は増加し続け、現在では海外売上比率が6割を超えています。それに伴い、グローバルに活躍できる人材の必要性が高まったものの、育成施策は各事業部門による語学教育やOJT中心のものに留まっていたことに課題感がありました。

浅見さん:
私は2006年に新卒入社しました。私を含め、グローバル化が進む以前から在籍している社員は、海外事業に携わる機会が少なかったように思います。実際に、海外でビジネスを推進できる人材が足らず、駐在員のローテーションに苦慮するケースもありました。グローバル人事グループも、以前は海外拠点の立ち上げや駐在員への支援が主な役割で、育成の機能は持っていませんでした。

前田さん:
グローバルビジネスの重要性が高まる中、グループ全体でその推進力となる人材を計画的に育成する仕組みの構築が急務であると考えるに至りました。海外駐在員のみならず、国内においてもグローバルビジネスに携わる人材は不可欠です。事業戦略に基づいた人員計画を策定し、グローバル業務を担う準備が整った人材プールの形成が必要であると判断しました。

中期経営計画の一環として、グローバルタレントプログラムが始動

前田さん:
2024年からの中期経営計画において、人事本部では「グローバル人材マネジメント基盤の整備」を重点課題の一つとして掲げています。その取り組みの一環として、包括的なグローバル人材育成プログラムである「SHI Global Talent Program」を導入しました。

このプログラムには今回紹介する「SHI Global Seminar」の他にも「SHI Global College」や「海外トレーニー制度」等が用意され、事業部門が選出した人材がそれぞれに参加します。「College」はオンラインの英会話やeラーニング講座で、グロービスの『GLOBIS学び放題』等も活用していますが、本研修「SHI Global Seminar」は実際にメンバーが集合する対面形式となっています。

本研修のパートナーにグロービスを選んだのは、従来より別の研修をお願いしていることもあり、当社に対する理解が深く、信頼感があったことが理由の一つです。加えて、日本語と英語の両方で育成プログラムを実施したいという当社の要望にも、しっかり応えていただきました。対応範囲の広さを感じるとともに、ディスカッションを重ねながら最適なプログラムを一緒に作り上げていくプロセスに安心感を覚え、今回ご一緒することを決めました。

検討プロセスと実施内容

日本語でビジネスを学び、英語で実践力を磨くプログラムを構成

前田さん:
本研修のゴールは、日本とは異なる文化や価値観を理解・尊重し、厳しい環境下でもグローバルビジネスを遂行できるマインドとスキルを身につけることです。事業部門ごとにビジネス特性が異なる当社においては、どのポジションでも共通で必要となる要素を本研修で身につけ、事業部門では必要な知識・経験をOJTで習得するという育成方法が最適だと考えました。

田中さん:
国内の各事業部門からグローバルビジネスをリードすることを期待する人材を人選してもらいますが、その際、育成方針も人事本部で確認しています。人事本部と各事業部門が連携してグローバル人材育成を行うにあたり、対象者をどのように育成し、経験を付与していくかを明確にする意図があります。

プログラム構成としては、1年をかけて集合セッションを計10日間実施しています。
グローバルビジネスをけん引できるリーダーの育成という目的をふまえ、経営戦略やマネジメントなど、ビジネスの要諦を学ぶセッションは日本語で、ファシリテーションやプレゼンテーションなど、実践を意識したセッションは英語で行うよう工夫しました。

本研修の後半では、各受講者が所属事業部門について分析を行い、今後どのように貢献していくのかを英語でコミットメントするセッションを設けています。
この場には、当社を詳しく知らないビジネスパーソンであるグロービス経営大学院の英語MBA生にも参加いただき、受講者は英語で所属事業をプレゼンテーションし、理解してもらえることを目指します。
本研修では、アウトプットの機会を社内に閉じるのではなく、実際のグローバルビジネスの現場にできる限り近い環境をつくることにこだわりました。

SHI Global Seminarプログラム概要

受講者にとってはタフなプログラムであることは承知していましたが、ビジネスの要諦を学び、英語で意見を述べ、相手に納得してもらうスキルを養うことで、グローバルビジネスを担う自信を身につけてほしいという期待がありました。

グローバルリーダーとしての志を高め、スキルを磨く

前田さん:
本研修において難しさを感じた点の一つは、受講者の経験値や意識に幅があったことです。前職などで海外駐在経験を持つ受講者もいれば、事業部門からの指名をきっかけに参加し、これから意識を高めていく段階の受講者もいました。

ただし、こうした多様な背景があることは企画段階から想定していたため、研修序盤に「当社の経営理念・パーパスを自分ごととして捉え、志を高めるセッション」を設けました。
自分がなぜ学ぶのか、その意味をしっかりと感じながらプログラムに臨めるように設計したつもりです。

また、プログラムの中盤からは英語によるセッションが始まりますが、英語での学びに不安を抱く受講者も想定されるため、希望者にはオンライン英会話で学べる環境を提供したことに加え、セッションの雰囲気づくりや最終発表の進め方については、グロービスの皆さんと丁寧に議論を重ねました。
その結果、当初は戸惑いがあった受講者も、他のメンバーとの議論を重ねるうちに「グローバルリーダーとしての意識」が徐々に芽生えていったように思います。

また、研修内容の理解度を高めるという観点では、「GLOBIS学び放題」を活用し、事前にテーマの基礎知識をインプットしてからセッションに臨めたことが効果的でした。
動画での学習と、セッションでの実践をつなぐ学びのサイクルを回せたことは、大きな成果の一つだったと感じています。こうした一貫したプログラム設計を実現していただけたのは、非常にありがたいポイントでした。

成果と今後の展望

一期生の2名が海外で活躍中。国内でグローバルビジネスをけん引する受講者も多数輩出

前田さん:
本研修の成果として、一期生のうち2名がすでに海外駐在しています。その他の受講者も、国内でグローバルビジネスに携わるケースが数多く出ており、早くも実践の舞台で活躍している状況です。

グローバル視点を養い、英語でディスカッションするプログラムは、当社にとって前例のない取り組みでしたが、研修期間中から受講者のマインドや行動の変化が見られました。
セッションを重ねるにつれ、英語でも臆せず積極的に発言する姿勢が育まれ、成長意欲の高い受講者が多くいたことを嬉しく思います。
また、最終セッションの半年後に開催した振り返りの場でも、具体的な行動変容や成果報告が多く寄せられました。
グローバルビジネスの実践力を高めるという研修の目的に、確かな手ごたえを感じています。

浅見さん:
本研修が立ち上がったことで、事業部門においても「計画的なグローバル人材育成」を意識するきっかけになったと感じています。今後は、長期的な視点に立った人材配置や育成の取り組みが、さらに進んでいくことを期待しています。

私自身も一期生として本研修に参加しました。グローバル視点で戦略やマネジメントを学び、将来リーダーとしての準備ができたことは、私自身を含め受講者にとって大きな価値だったと感じています。
また、これまで接点がなかった社員と共にタフな経験を乗り越えたことで、強い結束が生まれ、プログラム終了後も交流が続いています。最近では、海外駐在を始めたメンバーの近況を聞く機会もあり、大きな刺激になっています。

本研修では、小林竜也さんが担当コンサルタントとしてだけでなくメイン講師として登壇され、小林綾さん(担当コンサルタント)にも多大なサポートをいただきました。受講者の立場として、困ったことがあればすぐに相談でき、常に寄り添っていただける安心感がありました。そのおかげで、学びにしっかりと集中することができました。

前田さん:
研修の設計力や講師の力量はもちろんのこと、毎回のセッション後にいただいた丁寧なフィードバックや、緻密な改善の積み重ねには感謝しています。
短期間でこれだけのPDCAを回し、次年度の研修設計にも反映いただける伴走体制に、大きな心強さを感じています。

国内のみならず、海外拠点の社員が学ぶ機会も整備していきたい

前田さん:
本研修は、現在2期目を実施中です。今回も、各事業部門から選出された受講者が、グローバルで活躍するためのマインドとスキルを磨いています。今後も継続して実施し、グローバル人材のプールを計画的に形成していきたいですね。

田中さん:
会社としてグローバル人材育成を推進していることを、より多くの社員に認識してもらうために、全社向けのHRマガジン等を通じて、本研修を含む「SHI Global Talent Program」の取り組みを発信し始めました。
社員からは、「グローバル人材育成への本気度を感じた」という声も届いており、本研修が様々な場で紹介されることで、受講者の意識にも良い変化が見られています。

浅見さん:
本研修の具体的な成果を語るには、まだ少し早いかもしれません。ただ、ここまでの運営はグロービスの皆さんの尽力もあり、非常に順調に進められていると感じています。
今後は、海外地域統括会社とも連携して海外も含めたSHIグループ全体のグローバルリーダー育成プログラムにしていければと考えています。

住友重機械工業様にご利用いただいているサービス(インタビュー当時)
テーラーメイド型プログラム
GLOBIS 学び放題(動画学習サービス)

グロービス担当コンサルタントの声

小林 竜也:
我々がご一緒させて頂いている企業様の中でも、海外事業の売上高比率は高く、かつ中期経営計画や長期ビジョンで海外売上高をさらに伸ばす計画を立てながらも、その事業成長をリードできるグローバル人材が十分に確保できていないケースが多く見られます。その意味では、日本人・外国籍社員含めた「グローバル環境で事業成長をけん引できるリーダーの育成」は日本企業共通の喫緊の課題と言えるのではないでしょうか。

その点でも、様々な事業を保有している住友重機械工業様が近しい課題をお持ちの中で、本社主導で各事業部の将来のグローバルリーダー候補育成に取り組まれた点は素晴らしいと感じております。

私も担当コンサルタント兼講師として本研修に1年強ご一緒させていただきましたが、受講者の皆様がマインド・スキルの両面で着実に成長されていたこと、そして部門を越えて将来のグローバルリーダー同士のつながりが生まれていたことを、非常に嬉しく感じています。
このネットワークは、今後の海外展開において強力なラーニング・コミュニティになっていくと確信しております。加えて今後は、横のつながりだけではなく期毎の縦の繋がりを作ることを目的とした“アルムナイコミュニティ”といった場づくりも有効かと考えております。

グロービスではアメリカ・ヨーロッパ・シンガポール・中国・日本という5拠点で活動をしています。つきましては、今後住友重機械工業様が世界各地でグローバルリーダー育成をさらに進めていかれる際には、グロービスの海外拠点とも連携しながら、多方面からのご支援ができればと願っています。

小林 綾:
グローバル人材育成に取り組みたいと考えながらも、「何から着手すべきか分からない」と悩まれる企業は多く見受けられます。その背景には、グローバル人材育成が“変数の多い取り組み”であるという難しさがあると感じています。

というのも、対象者が持つこれまでの経験や、育成すべきマインド・スキルに加え、事業特性、さらにはビジネスを展開する国や地域ごとの特性など、非常に幅広い観点を考慮しなければならないからです。
特に、ビジネスの多角化が進んでいる住友重機械工業様のように、部門ごとに事業の特性が大きく異なる企業では、その複雑性はさらに高まります。

こうした前提をふまえた上で、本研修では「グローバルリーダーとしてあらゆる事業で共通して求められる人材要件」を定義し、それを育成施策に落とし込む設計としました。プログラムの対象者が今後どのような活躍をされるか?という期待行動に応じて、人材要件の粒度を柔軟に設定することを念頭に置いています。多角化している企業では、抽象度の高い共通項を設定しつつ、一定の幅を持たせることで、どの拠点・事業でも活躍できる人材像につなげることが可能になります。その結果、様々な場面で求められるマインドやスキルの着実な育成につながると考えています。

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