eラーニング導入の目的・メリットと成功率を高めるポイントを解説

2024.09.12 更新 2024.03.18 公開

多くの企業がeラーニングを導入しており、社内研修や人材育成に活用しています。eラーニングは学習効果の向上が期待できますが、その反面、自社に適したeラーニングを導入しないと成功は難しくなります。そのため、eラーニングの導入に不安を感じている方も少なくないでしょう。本記事では、eラーニング導入のメリットと成功率を高めるポイントについて解説します。

企業がeラーニングを導入する目的とは

eラーニングとは、インターネットを経由してパソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを使って研修・教育を行う学習方法です。従来の集合研修と違って、時間や場所の制約なく学習に取り組めるため、効率的に研修・教育を実施できるようになります。

また、企業がeラーニングを導入する目的として、「研修運営業務の負担軽減」「学習機会の提供」「フォロー研修によるスキルアップ」などが挙げられます。研修を実施するには多大な業務が発生しやすく、限られたリソースのなかで研修を行うには時間が十分に足りないという課題を抱える企業も少なくありません。

eラーニングを導入することで、研修にかかる業務の負担を軽減するとともに、時間や場所にとらわれない学習の提供が可能となり、効率的に人材育成を行えるようになるのです。

関連記事「eラーニングとは?メリット・デメリットと導入に必要なものを解説」

eラーニングを導入するメリット

eラーニングを導入するメリット

効果的な社内教育の実現にはeラーニングが役立ちます。eラーニングの導入で得られるメリットは、以下の5つです。

研修のコスト削減につながる

eラーニングは講師と学習者が同じ場所に集まる必要がなく、時間や場所を問わず、学習者が各自で学習に取り組めることが特徴です。eラーニングを導入することで、研修にかかるさまざまなコストの削減につながります。従来の集合研修では、講師の登壇料や会場費用、コンテンツ制作費用、受講者の交通費などの金銭的なコストに加え、日程調整や研修案内、学習状況の確認といった人的・時間的なコストもかかっていました。特に大企業の場合、かかるコストはさらに大きくなるでしょう。

eラーニングを導入すればこれらのコストを削減でき、研修担当者の業務負担軽減にもつながります。会場の広さによって受講人数を制限する必要もなく、受講を希望する社員全員が研修を受けられるのも大きなメリットです。

習熟度の向上につながる

eラーニングはインターネット環境下であればいつでもどこでも学習できるため、スキマ時間を活用して効率的に学習を進められるのが特徴です。理解するまで繰り返し学習することも可能なので、習熟度の向上につながるでしょう。

また、従来の研修では講師によって教え方やスキルが異なるため、均等な質で教育を提供しにくく、受講者の理解度に差が生まれやすいというデメリットがありました。eラーニングなら同じ講義内容を提供できるので、教育の均質化が可能です。

学習機会を増やせる

eラーニングはインターネット環境下であれば時間や場所の制約なく学習できるので、学習機会を増やせるというメリットがあります。たとえば、中途採用で入社した社員や夜勤の社員、テレワークを行っている社員など、入社時期や勤務時間・勤務スタイルが異なる場合でも、eラーニングを活用することですべての社員に学習機会を提供できるようになります。

また、自宅や職場での休憩時間、通勤時間などのスキマ時間を活用して、社員が自主的に学習を進めることで、より学習機会を増やせる点も大きなメリットといえるでしょう。

常に最新の情報を提供できる

eラーニングの教材は、簡単に追加や修正ができます。更新内容はすぐに反映されるため、常に最新の情報を提供できる点がメリットといえます。たとえば、自社の新製品・サービスに関わることや、法改正に伴う制度や業務内容の変更など速やかな情報共有が必要な場合でも、eラーニングを活用すれば迅速に社内への伝達が可能です。

また、社員も最新の情報を盛り込んだ教材を使って学習できるため、質の高い研修・教育によって常に知識をアップデートできるようになります。

管理者側の負担軽減につながる

eラーニングはLMS(学習管理システム)を導入することで、効果をさらに高められます。LMSは学習進捗状況の一元管理や受講履歴の蓄積、テスト結果の集計・分析、リマインドメールの自動送信などができるため、管理者側の負担軽減につながり業務の効率化をはかれます。受講状況や習熟度に合わせて、社員一人ひとりに合った個別フォローも可能です。そのため、計画的に人材育成を進めやすくなるでしょう。

関連記事「eラーニングの導入効果を解説!学習者の不満要因と効果最大化のポイントとは」

eラーニングを導入するデメリット

eラーニングにはさまざまなメリットがある一方で課題も多く、eラーニングを上手く運用できずに終わってしまう事例も少なくありません。eラーニングの導入によるデメリットとして、以下の3つが挙げられます。

学習者のモチベーションの持続が難しい

eラーニングはいつでもどこでも学習できるメリットがある反面、学習者の自主性に依存するため、集中力が低下しやすく、モチベーションを持続させるのが難しいというデメリットがあります。また、集合研修と違って講師に直接質問できないので、疑問の即時解消が難しい点も課題といえるでしょう。

そのため、学習者がモチベーションを維持しながら学べるような工夫が必要です。

実技学習によるスキルの習得が難しい

eラーニングは画面上での学習になるので、実技学習によるスキルの習得が難しいというデメリットがあります。動画や資料を使った座学研修には向いていますが、実際に動画や資料で学んだ知識やスキルをeラーニングでは実践できないため、身体でスキルを習得するのが難しいのが特徴です。

実技を習得するにはeラーニングで座学研修を行い、eラーニングで学んだことを集合研修で実践するというように、eラーニングと集合研修を組み合わせた「反転学習」を取り入れるなどの対策が必要です。

eラーニングを導入するための環境を整備しなければならない

eラーニングを導入するための環境を整備しなければならない点もデメリットです。eラーニングの導入方法は、自社で構築する場合とeラーニングサービスを利用する場合の2種類があります。

自社で構築する場合は一から仕組みを考えなければならないため、制作・管理に一定のITスキルと知識が求められます。eラーニングは機密情報を含むケースがあるので、セキュリティ対策やシステム管理を徹底できる環境を整備することも大切です。

また、eラーニングで学習するにはインターネット環境が必要です。eラーニングによってはマルチデバイスに対応していない場合もあるので、効率的な学習の実現のためにもeラーニング導入前にマルチデバイスに対応しているかどうかを確認しておきましょう。

さらに、運用に乗せるうえでは、eラーニングを社内へ浸透させる体制構築も大切です。eラーニングはいつでもどこでも学習できる反面、学習者の能動的な姿勢が必要不可欠となります。習熟は学習者の学習意欲に依存するので、クイズ形式のコンテンツを組み込んだり、上司が受講促進のサポートをしたりするなど、モチベーション維持の体制を構築する工夫が必要です。

eラーニングの主な活用方法

eラーニングは多種多様な学習教材が用意されているため、さまざまな研修・教育の場面で活用できます。たとえば、コンプライアンス教育や企業ビジョンの教育を行う全社員研修、新入社員向けのビジネスマナー教育や管理職向けのマネジメント教育を行う階層別研修、営業スキルやITスキルなど、部署ごとに必要な知識・スキルの習得を目指す部門別研修などが挙げられます。

また、eラーニングは時間や場所の制約なく学習に取り組めるため、社外教育や離れた拠点での研修に活用できる点もポイントです。eラーニングを導入すれば、企業規模や拠点、勤務スタイルなどに関わらず、必要な人に必要な研修を提供できるようになります。

eラーニング導入の成功率を高めるポイント

eラーニング導入の成功率を高めるポイント

eラーニングはメリットが多い一方でデメリットもあるため、eラーニング導入を成功させるには自社に適したものを選ぶことが大切です。eラーニング導入の成功率を高めるポイントとして、以下の7つが挙げられます。

導入目的や自社が抱える課題を明確にする

なぜeラーニングを自社で導入するのか、導入目的を明確にしましょう。導入目的を明確にするためには、内製研修や外部研修、OJTなど、自社の育成施策の全体像を洗い出す必要があります。そのうえで「研修管理業務の負担が大きい」「社員に不足しているスキルがある」「社員が自主的に学べる学習環境がない」など、自社が抱えている課題を洗い出しましょう。

eラーニングを導入してどのように自社の課題を解決したいかを明確にすることで、eラーニングに求める効果や教材を整理でき、自社に適したeラーニングを導入できるようになります。

対象者を明確にする

eラーニングの導入目的を明確にできたら、どの社員にeラーニングを活用してもらうかを明確にしましょう。たとえば、新入社員と管理職とでは求められるスキルや学ぶべき内容は異なります。対象者によって必要となる学習コンテンツは異なるため、どの社員にeラーニングを使って学習してほしいのかを明確にすることで、自社に必要なコンテンツをより具体的に洗い出せるようになります。

自社に必要な教材を整理する

自社の抱える課題から、自社に必要な教材を整理しましょう。特定の部署に不足しているスキルがあれば、その部署の社員に向けて不足しているスキルを習得できる教材を学習させることで、効果的・効率的に人材育成を進められます。

新入社員向けや管理職向けの階層別研修の業務効率化を図るのであれば、ビジネスマナーやマネジメントスキルなどを学べる教材が充実しているeラーニングを導入するのがおすすめです。対象者にどのようなスキルや知識を習得させるかを明確にすることで、自社に必要な教材を整理しやすくなります。

グロービスでは、確かな品質の「学び」を豊富にラインナップした「GLOBIS 学び放題」を提供しております。eラーニングで質の高い学習を実施したい方は、ぜひご参考ください。

GLOBIS 学び放題のサービス概要はこちら

自社に適したLMSを導入する

リアルの集合研修やオンライン研修など、内製で運用している研修があれば、LMSを導入することが効果的です。LMSを導入すると、eラーニングや自社で内製して運用している研修を一元管理できるようになります。LMSで研修・学習を一元管理することで社員が迷わずに学習を進められるようになり、学習効果の向上が期待できるでしょう。

各ベンダーによってさまざまなLMSが提供されており、導入形態や搭載されている機能、コストなどはLMSによって異なります。そのため、複数のベンダーを比較して自社に適したLMSを選ぶことが大切です。

LMSの要件にお悩みの方は、以下の資料を参考にしてください。
参考資料「失敗しないLMS導入!事前に検討しておきたい“LMSの要件”とは?」
関連記事「LMSの主な種類|特徴と自社に適したLMSを選ぶ際のポイント」

運用ルール・管理体制を整備する

eラーニングは学習者のモチベーションに依存しやすいため、受講率・継続率を高められるように運用・管理体制を整備する必要があります。

たとえば「eラーニングの受講を強制にするか」「受講を人事評価の対象に入れるか」など、運用ルールをきちんと整備することが大切です。また、個人の自由意思に任せて受講してもらう場合でも、「上司が社員の足りていないスキルに関するeラーニングコースの受講を推奨する」というように、組織全体でサポートしていくことも必要です。また、導入時や万が一のトラブル発生時のためにも、eラーニングベンダーからのサポートを受けられるような環境を整備することも欠かせません。

関連記事「eラーニングの受講は労働時間に含まれる?注意点と運用のポイント」

アウトプットの機会を設ける

eラーニングでインプットした内容をアウトプットする場を設けることにより、学習内容の定着に役立ちます。たとえば、新入社員向けにビジネスマナー研修をeラーニングで実施する場合、eラーニングで学んだ内容を上司とロールプレイングしてアウトプットすると良いでしょう。ロールプレイングやディスカッションなどの実践的な研修と組み合わせることにより、eラーニングを効果的に実施できるようになります。

またロールプレイングにとどまらず、社員が自ら受講している学習内容に関連する業務にアサインするなど、実務との紐付けも重要です。

効果検証を実施する

eラーニングは導入して終わりではなく、運用後も定期的に効果検証を実施することが大切です。eラーニングによって自社の導入目的がきちんと達成されているか、目的に近づいているかを確認していきましょう。

特に効果が見られない場合、教材を見直したり、カリキュラムを再構築したりするなどの対応が必要です。効果検証の結果に応じて改善を繰り返していくことで、教材がブラッシュアップされ、より質の高い研修・教育の実施が可能になります。

まとめ:eラーニングを導入して効果的な人材育成に役立てよう!

eラーニングは導入することで研修コストの削減や業務負担の軽減、学習効果の向上が期待できます。また、LMSを導入すれば社内のあらゆる研修をまとめて管理できるだけでなく、学習進捗状況の管理や成績の管理、教材の管理なども行えるため、eラーニングの効果を最大化するのに役立ちます。そのため、eラーニングを導入するならLMSもあわせて導入するのがおすすめです。

「GLOPLA LMS」は、誰でも使いこなせる学習管理システムです。学びやすい受講画面を備えているため社員も迷わず受講でき、学習の質向上を支援します。また、カスタマーサクセスが導入後の定着から運用までサポートするので、LMS上で質の高い研修を提供できるでしょう。LMSの導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご連絡ください。

まずはお気軽にお問い合わせください

【PIVOT出演】企業は人材育成をどうアップデートすべき?データで分かる現場の学習ニーズ