eラーニングは、企業内の研修・育成として利用されることが当たり前になっています。しかし、受講者一人で学びが完結する非同期的な学習のため、どれほどの効果があるのか疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。今回は、eラーニングを導入することで生まれる効果や、効果を最大化するために必要なポイントをご紹介します。
eラーニングとは、パソコンやタブレットを用いてインターネット上で行う学習を指す言葉です。サーバー上に保存された動画やテキストなどの学習コンテンツを、非同期的に各自で学びます。一般的には、Zoomなどの会議ツールを用いてオンライン上で同期的に行う集合研修は、eラーニングには含まれません。従来の集合研修とは異なり、講師と学習者が同じ場所に集まる必要がないため、場所と時間の制約がなく学習できるのがメリットです。
eラーニングは通常、学習コンテンツと学習管理システム(プラットフォーム)で構成されています。
学びの質を支える学習コンテンツと、学びの体験を支える学習管理システムの2つが合わさることで、学習者にとって効果的・効率的な学習を促進します。
企業において、eラーニングを導入することで期待できる効果は、主に以下の3つが挙げられます。
(1)学習機会を増やすことができる
新入社員研修やコンプライアンス研修などの企業で実施される社員研修は、これまで研修会場や会議室に社員を集める集合研修が主流でした。しかし、集合研修は勤務時間の不規則な社員や、外回りの業務が多い社員などの参加が難しく、時間調整ができないケースも少なくありません。
eラーニングは社員それぞれが空き時間を利用して学習できるため、オフィスでも自宅でも場所を選びません。さらにスマートフォンから学習できるeラーニングも多く、通勤などの移動中にも学ぶことができます。いつでもどこでも学習できるため、学習機会の増加につながります。
(2)学習状況を可視化できる
eラーニングは通常、LMS(学習管理システム:Learning Management System)と呼ばれるプラットフォームを用いて行われます。LMSは学習コンテンツの一元管理に加え、学習者の学習進捗状況やテスト結果などをまとめて管理できるプラットフォームです。これにより、学習者ごとに学習がどこまで進んでいるか、どの程度理解できているかを可視化することができます。また、学習コンテンツごとにテストやアンケートの結果を分析できるため、学習コンテンツの改善にも役立ちます。
特に企業でeラーニングを導入する場合、業務の繁忙状況によって学習の進捗状況は人によってばらつきがでるでしょう。管理側が各学習者の進捗状況をしっかり管理することで、スムーズに研修を進めることができます。
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(3)コスト削減が可能
eラーニングはインターネット経由でどこでも研修や学習を進めることができるため、集合研修のように学習者を一つの場所に集める必要がありません。そのため研修会場を用意する必要もなく、学習者の交通費や宿泊費などの金銭的なコストを削減することができます。
また、会場の選定や申請手続き、参加者の日程調整、参加者へのリマインドメール送付などといったオペレーション工数も削減されるため、人的コストの削減にもつながります。
このようにeラーニングにはさまざまなメリットがあるものの、業務時間をやりくりして研修を受けることを煩わしく感じる社員も多いでしょう。こうした不満を解消するにあたり、まずはどのような不満要因があるのか、代表的な3つをご紹介します。
(1)コンテンツが魅力的でない
学習者の不満としてよく聞かれるのが、コンテンツに魅力がないという点です。eラーニングは好きなタイミングで学習できるものの、非同期的であるため講師や他の学習者との交流などのインタラクティブな学習はできません。そのため、動画やライブ配信、テキストなどの教材コンテンツそのものに魅力がなければ、学習者の集中力を維持することが難しくなります。
また、なぜこのコンテンツを学ぶ必要があるのか?といった学習の動機づけが正しくされていなければ、コンテンツの魅力も感じにくくなってしまいます。学習効果を高めるためには、コンテンツの内容そのものと動機づけの両面でサポートすることが重要です。
(2)いつ受講するべきかがわからない
eラーニングは好きなタイミングで受けられる反面、いつ受講するべきかわからないという不満もよく聞かれます。
eラーニングの提供方法には、必修研修として受けてもらう方法と、自己啓発の一貫として任意で受けてもらう方法の2種類があります。前者の受講必須の場合であれば、労働時間内に受講するのが一般的です。しかし後者の自己啓発の場合、労働時間内に受けてもいいものなのか学習者が迷うこともあります。
いつどのように受講するべきかがわからないと、受講ハードルが上がってそもそもの受講者が少なくなってしまいます。
受講の自由度が高いというメリットがある反面、受講に強制力を持たせることができないため、受講を促進することの難しさもあります。受講者の自主性・自律性を引き出す適切な運用設計が肝になると言えるでしょう。
(3)特定のOSやデバイスにしか対応していない
導入しているeラーニングが特定のOSやブラウザ、デバイスにしか対応していないというのも、よく聞かれる不満の一つです。社員が普段使用しているOSやブラウザ、デバイスに対応していないと使い勝手が悪く感じてしまい、空き時間にどこでも利用できるというeラーニングのメリットが活かせません。
年齢層の高い社員はパソコンでの学習を好む傾向にありますが、若年層の社員はスマートフォンで学習したいという希望を持っている場合もあります。そのため、管理者はすべての社員にとって学習しやすい環境が用意できているかを、慎重に検討する必要があります。同様に、専用ソフトでしか学習できなかったり、社内システムからでないとアクセスできなかったりすることも、不満につながりやすいケースであると言えます。
では、学習者の不満を生まないためには、どのようなeラーニングシステムを導入すればいいのでしょうか。eラーニングシステムはさまざまな企業から提供されているものの、学習者に積極的に学んでもらうためには、以下の3つのポイントを踏まえて選定することをおすすめします。
(1)学習者の集中力やモチベーションを持続させるコンテンツかどうか
eラーニングの効果を上げるためには、まず学習者の集中力やモチベーションを維持することが重要です。例えば、テキストだけではなく動きのある動画コンテンツ、ゲーム感覚で学べるクイズやランキングなど、学習者の興味を惹く仕掛けがあると良いでしょう。
また、集中力を持続させるためには、学習コンテンツやプラットフォームのUI/UX設計も重要なポイントです。操作に手間取ったり、わかりにくいUI/UXであったりすると、それだけでやる気が削がれ、離脱につながってしまいます。導入前に実際の操作を学習者にも体感してもらうなど、学習者にとっての使いやすさも確認しておきましょう。
(2)学習者の動機づけができるか
eラーニングは他の学習者と同時に学習を進めるものではないため、高い学習効果を維持していくためには、学習者の動機づけが重要です。動機づけの方法としては、業務内容と親和性が高い学習コンテンツを選定する、学習によるスキルアップの効果を学習者にしっかり説明する、直属の上司から学習者におすすめの学習コンテンツを紹介するなどの方法があります。
これらの動機づけはeラーニングのシステムだけで完結することは難しく、人事や現場の運用で補う必要があります。そのためeラーニングシステム選定の際には、提供企業が学習の動機づけに関する知見を持っているか?導入後のサポートとして運用方法まで相談に乗ってくれるか?といった観点で選ぶと良いでしょう。
(3)マルチデバイスでどこでも学習できるか
マルチデバイスに対応しているかどうかも、eラーニングを選定する際の重要なポイントです。時間や場所を選ばず、自分の都合にあわせて学習できるのはeラーニングの大きなメリットの一つです。パソコンにしか対応していないとなると、せっかくのメリットを活かせなくなってしまいます。
スマートフォンやタブレットにも対応していることで、出張の移動中などスキマ時間を生かして学習することも可能になります。eラーニングのメリットを最大限に生かすためにも、マルチデバイス対応は重要なポイントであると言えるでしょう。
eラーニングは管理者にとっては学習管理が可能なほか、学習者にとって学びやすい環境が構築できるなど、多くのメリットがある学習方法です。
ただ、効果を最大化するためには漠然と導入するのではなく、どういった効果が期待できるのかを理解し、学習者にとって学びやすいコンテンツかどうか、またモチベーションを維持できる仕組みがあるかどうかをしっかりとチェックすることが必要です。
「GLOPLA LMS」は、誰でもサクサク使いこなせる学習管理システムです。eラーニングをはじめさまざまな社内研修・学習コンテンツを一元管理することができ、学習進捗やアンケート結果の確認が可能です。学習者にとっても使いやすい受講画面で、一人ひとりの学習体験をサポートします。また、グロービスの豊富な研修知見をもとに、導入後の運用方法まで支援します。eラーニングのプラットフォームとして学習管理システムの導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご連絡ください。