ステップ2:あるべき人・組織像を設定する
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2-1 いきなり「人材要件」を考えず、「あるべき組織像」を考える
人材育成・組織開発のプログラムを企画するステップ2では、ステップ1で理解した戦略を踏まえて、自社のあるべき人・組織の姿を描きます。ここでは戦略を実現するために必要な人材要件を定義します。
戦略から人材要件を導き出す際に、実務的に考えやすいと思われる方法をここではご紹介しましょう。いきなり「人材要件」を考えず、「あるべき組織像」から考える方法がおすすめです。
具体的には、たとえば「戦略を実現するために組織全体としてどんな<行動>が求められているのか」といった、組織として共通で持ちたい「軸」(指針)をまず決めます。その指針に沿って、各階層に期待される役割や行動などの人材要件を定義する流れです。
戦略が変われば、求められる組織像が変わります。新たな戦略で求められる組織の「軸」を定めることで、「部長に何を求めるか」「課長に何を求めるか」「担当者に何を求めるか」を考えやすくなります。
2-2 人材要件定義は枠組みを使ってスムーズに行う
人材要件定義の手順としては、上で考えた組織として共通で持ちたい「軸」(指針)を元に、まず各階層の主な期待役割を定めます。その上で、「行動」「知識・スキル」「マインド」の3つの枠組みで整理するとスムーズです。
- 0.各階層の主な期待役割を定義する
- 1.期待する役割を果たすために必要な「行動」を定義する
- 2.行動を支える要素である「知識・スキル」を定義する
- 3.行動を支える要素である「マインド」を定義する
「行動」「知識・スキル」「マインド」の3層構造は「氷山モデル」※というフレームワークを使っています。
※氷山モデル:「氷山の一角」という言葉があるように、物事の見えている表面のみならず、見えていない要素も含めて全体像を捉えようという考え方
この3つの枠組みの中で、特に「行動」が重要です。期待役割を果たし、結果、戦略を実現するのは「行動」だからです。新たな自社戦略を踏まえ、求められる行動は何か? その行動を生み出すために必要な「知識・スキル」「マインド」は何か? このように分解していけば、自社戦略に紐づいた人材要件を定義することができます。
下の表はこの3つの枠組みで、人材要件を整理した一例です。内容には、会社ごとの戦略や「自社らしさ」を言葉遣いに織り込むなどして、社内の誰もがどういう人材が求められているかをイメージしやすい表現にしていくことが重要です。
実は、私たちが人事部からご相談いただくお悩みの中で多いのは「人材育成体系の見直し」です。
「人材育成体系をつくってはみたが、組織内で合意が得られず、実施に向けて一向に話が進まないためアドバイスがほしい」というケースがよくあります。
そんな時グロービスでは、人材育成体系を考える前に、先ほどお伝えした手順で各階層で求められる人材要件の定義を作ることをおすすめしています。
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