次世代リーダー育成・選抜研修お役立ちコラム
初めての選抜研修を成功に導く3つのポイント

2019.03.14

「次世代リーダーの具体的な育成方法がよくわからない」ために選抜研修の導入をためらっていませんか? 本コラムでは初めて選抜研修を立ち上げることになった人事部の方向けに、選抜研修の「実施前」「実施中」「実施後」の3つのステップで重要となるポイントをお伝えします。

(関連サービス:次世代リーダー育成

初めての選抜研修を成功させるまでのプロセス

こんにちは。グロービスで組織・人事変革コンサルタントをしている小林と申します。

VUCAな時代と言われるように、昨今の外部環境の変化は激しく、優秀な人材に優先的に必要な知識・経験を身につけてもらい業績向上に貢献いただくことは、今後企業が競争に生き残るためには必須の施策と言えるでしょう。実際、経済産業省の調査によると現在約53%の企業が選抜研修を実施しています。一方で、選抜研修を実施していない企業にその理由を聞くと、25%が「経営人材の具体的な育成方法がよくわからないから」と回答しています。

そこで今回のコラムでは「経営人材の具体的な育成方法がよくわからないが、初めて立ち上げることになった」という方向けに「初めての選抜研修を成功させるまでのプロセス」を、「実施前」「実施中」「実施後」の3つのステップに分けて、各々のステップで重要となるポイントをお伝えしたいと思います。 

初めての選抜研修:立ち上げ時のチェックポイント

初めての選抜研修:立ち上げ時のチェックポイント

 

研修実施前:経営トップのコミットメントを得ましょう!

選抜研修を一つのプロジェクトと捉えると、プロジェクトの成功のためには経営トップのコミットメントを得ることが重要となります。実際、私が担当している某大手金融会社A社での事例をお伝えします。

A社では、それまで各1日程度の階層別研修しか実施しておらず、数年前に初めて長期の選抜研修を導入しました。現状、選抜研修を実施していない企業は、そもそも「人を選抜することになじまない」という組織風土の場合が多く、A社も例外ではありませんでした。

そのため、選抜研修を立ち上げるにあたり、関係各部署から実行主体である人材育成担当部署にさまざまな意見が寄せられたのです。「そもそもなぜ選抜研修をやるのか」「選抜されなかった人にとって不公平ではないか」「現業が忙しくて長期の研修に参加している暇などない」等々です。こういった意見は現場からだけではなく上層部から寄せられることもありました。これらのさまざまな意見に人事や人材育成担当部署が一つ一つ対応するのは得策ではありません。

(関連記事:経営者候補の選抜研修で「やらされ感」が漂う理由とは

 

そこで重要なのが、社長又は経営陣等の経営トップからの本プロジェクトの成功に向けたコミットメントを得ることです。つまり、本プロジェクトが「環境変化に対応して経営戦略を実行できる人材を育成する」という経営上重要な位置づけであると経営トップにご理解いただき、次いでトップ自らにその旨を発信していただくことが肝要です。

実際、A社では社長が改めて選抜研修の意義・重要性を発信したことで、その後はプロジェクトがスムーズに進みました。逆に、こうしたトップのコミットメントが得られなかった結果、役員陣を含むさまざまなステークホルダーの意見が噴出してしまい、残念ながら選抜研修が検討段階で「立ち消え」になってしまった会社を私自身複数見てきました。そうした事態を避けるためにも、ぜひトップのコミットメントを得ることをお勧めします。

では、どうしたら経営トップのコミットメントが得られるのでしょうか。我々企画側に求められる第一は、我々自身が経営トップに近い目線で会社の置かれた環境や戦略の方向性を理解することです。その上で、戦略を実行する為に必要な人材像を明確化し、そのような人材を育成するための本プロジェクトの重要性を経営トップと合意することが我々には求められるのではないでしょうか。

研修実施中:ステークホルダーに主体的に働きかけましょう!

選抜研修の多くは、1日~2日の短期ではなく、長期(3か月~9か月等)で行われます。また選抜研修のプログラムとして多いのが、「学んで終わり」ではなく「学んだことを活かして経営陣に事業提案する」いわゆる自社課題プログラムといわれる内容です。そのため、研修実施中も気が抜けません。研修中の人事部の役割は、研修の目的に沿ってプログラムが順調に進んでいるかをチェックして、必要に応じてテコ入れすることです。

(活用事例:次世代リーダー育成:次世代リーダーとしての「ぶれない志」と「知恵」を習得する

 

長期研修の場合、受講者が各回の学びを通じて徐々に成長してリーダーとしての自覚が芽生えたり、事業提案の内容がより良くなっていったりすることが期待されます。しかし選抜研修の立ち上げ初年度は、さまざまな要因(例:受講者のレベルが想定より高くなかった、必要な知識インプットが足りなかった、プログラム期間が短すぎた等)により目的・期待に実態が見合わないことが途中で判明する場合があります。

そうした場合に人事部に求められるのは、研修委託先の講師や事務局と共に必要なテコ入れを行い、育成目的に少しでも近づける努力をすることです。具体例としては、スキル不足であれば知識のインプットを追加する、マインド不足であれば個別受講者の面談を設けるといった手が考えられます。

 

大手金属メーカーB社では、初めて選抜研修を立ち上げたものの予算の制約から実施日数が少なく、且つ受講者の前提知識が揃っていなかった事もあり、事業提案の質が経営陣に発表するレベルに達しない可能性が高いと途中段階で判明しました。

そこで、事務局・講師で話し合い、改めて「育成目的」に立ち返ると「経営陣への事業提案」は目的ではなく手段であるという認識を共有し、経営陣にもご納得頂いた上でいわゆる「発表会」は中止する事で合意しました。そうして空いた時間を活用し、「育成目的」により近づく為に必要な知識インプットと実務での実践に向けたプランニングを丁寧に行うプログラム内容に設計変更しました。

もし、設計変更せずに当初の予定通り「経営陣への事業提案」を実施していた場合には、受講生・事務局・講師・経営陣といったステークホルダー全員にとってポジティブな場とならなかった可能性があります。こうした事態が発生しうる事も想定し、人事部は外部パートナー・経営トップといったステークホルダーと研修の目的や現状の進捗状況を逐次認識合わせしておき、必要に応じて主体的に働きかけをしていくことが望ましいと言えるでしょう。

(インタビュー:次世代リーダー育成研修は新たな時代へ)</p

研修実施後:受講生を評価し、配置と連動させましょう!

選抜研修は、「実施して終わり」ではありません。研修中の各受講生の様子を評価し、それを今後の配置に活用することが、選抜研修自体の重要性を社内で認識させるためにも重要です。

私が担当している課長選抜研修を立ち上げて3年目の大手メディア企業C社では、とある年度に課長から部長に昇格された10名のうち9名が選抜研修の卒業生でした。背景として、当該選抜研修では立ち上げ時から人事部長がすべての日程に同席して受講生の様子を見られており、講師や我々の視点も含めた受講者の能力や取り組み姿勢に関するファクトを集めていました。それらを有力な参考材料にして役員・社長に配置を提案し、承認されたのでした。

もちろん、昇進・昇格の判断材料として、研修などのOff-JTでの行動はごく一部に過ぎません。しかし、選抜研修は次世代リーダーの有力候補を横並びで確認できるめったにない機会です。特に、さまざまな事業部に分かれており縦割りが進みがちな大企業においては、タレントマネジメント上貴重なファクトを得られる場と言えます。よって、人事部としてはこの機会を逃さず、研修中に受講者を観察・評価しつつ、折を見て対話を重ね、配置に活かせるファクトを得ることが重要です。なお、グロービスでも、次世代リーダーを客観的にアセスメントできるサービスを数多く取り揃えておりますので、ぜひご相談をいただければと思います。

加えて、選抜研修に積極的に参加して高いパフォーマンスを発揮した人材が、実際にその結果昇進すれば、今後研修に参加する可能性がある母集団の方々に「この研修は昇格につながる可能性があり、真面目に取り組む価値がある」と伝える、経営側からのこの上ないメッセージともなります。

このように、研修の「実施前」「実施中」「実施後」の各ステップでポイントを押さえて、貴社の初めての選抜研修を成功させましょう。

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執筆者プロフィール
小林 竜也 | Tatsuya Kobayashi
小林 竜也

グロービス・コーポレート・エデュケーション シニア・コンサルタント
慶応義塾大学法学部法律学科卒業。大学卒業後、プロクター・アンド・ギャンブル(以下P&G)・ジャパンのマーケティング本部に入社。日本市場に向けたマーケティング活動に従事。その後、シンガポールにあるP&Gアジア本社に駐在し、アジア市場に向けたマーケティングを担当。「グローバル・リテラシー」を磨くため、約2年間で世界一周・日本一周し見聞を広めた後、グロービスへ入社。グロービスでは、人材・組織変革コンサルタントとして、大手小売系企業のグローバルマネジメント人材の育成、 大手金融グループ管理職のアセスメントプロジェクト、大手メディア会社の役員研修を通じた事業構造転換の支援等、様々な企業の組織開発・人材育成を担当。


※文中の所属・役職名は原稿作成当時のものです。


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