これまでグループの親会社が主催する研修に同社の社員を参加させていたが、新たに就任した社長から、自社事業に合った研修も企画するよう指示があった。いくつか研修会社を探したところ、親会社も利用実績があるとのことで、グロービスにご相談をいただいた。
後日、社長に報告することを求められていたため、グロービスの「研修企画のワークシート」をもとに、会社が目指している方向性(自社の戦略)を把握し、その戦略実現のために各階層で求められる人材像(あるべき姿)を洗い出した。同時に親会社が主催する研修ではカバーできない領域を明らかにし、自社独自に行う研修のコンセプトも定めた。
経営方針として各事業部で新規事業の企画・推進が掲げられていたが、社内外の関係者を巻き込みプロジェクトを推進していくための推進力が課題になっていた。
企業文化として長らく親会社からのトップダウンや出向者によるマネジメントが染み付いていたことにより、管理職であっても能動的に人・組織を動かすスキルやマインドが育っていなかった。加えて親会社と子会社間の固定の力関係がある中で効果的に親会社と物事を調整していく力、親会社に提言していく力の育成が必要となっていた。一方で親会社が主催する研修では論理思考力のようなベーシックなビジネススキルが中心であったため、「人・組織を巻き込み動かす力」を自社独自の育成コンセプトとすることにした。
各部署で新規事業の企画・推進を担っている課長層、課長代理層に育成対象を絞った。課長層には社外の関係者と交渉したり、議論のファシリテーターの役割を担うことが多いため、「人・組織を動かす影響力強化プログラム(PLP)」と「ファシリテーション&ネゴシエーション(FAN)」を選定。課長代理層には、他部署の関係者への説明や巻き込み動かす役割を担うことが多いため、「人・組織を動かす影響力強化プログラム(PLP)」と「ビジネス・プレゼンテーション(BUP)」を選定した。
「自社にとって」という視点を持ちながら、以下の流れに沿って、具体的に考えていく
社長に提案の結果、自社が抱える育成課題に沿った提案になっていることを評価され、社長から承認を得ることができた。各事業部の部長からは、受講後、研修参加者が中心となり新規事業を推進している。過去と比較して推進スピードが上がっているとの声をいただいた。今後は、現場のニーズをヒアリングしながら、定期的コンセプトを見直すことになった。