GLOBIS(グロービス)の人材育成・企業・社員研修サービス

導入事例
  • 新規事業創造

会社の未来をかけた事業変革 ~経営者候補を軸に、次の時代の柱を創出する~

株式会社日本住宅保証検査機構(JIO) 2023.11.21

株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)様は、”人々の暮らしを支える良きパートナー”として、住宅瑕疵保険法人、住宅性能評価機関として住宅の瑕疵事故低減や技術、性能の向上へ向けた取組みを牽引する企業です。業界トップの実績を持ちながらも、次の時代における事業の柱の創出に向けて「新規事業創出プロジェクト」(以下、本プロジェクト)を実施しています。本プロジェクトの企画から実行をご一緒させていただいた同社の取締役社長 角直樹様、人事総務部長 田中直様にお話を伺いました。(所属・役職はインタビュー当時)

はじめに:本プロジェクトの概要

株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)様は、急速に変化する外部環境に対応すべく、新規事業の創出にチャレンジをしています。その中で、これまでの制約に捉われることのなく、新たな発想でのビジネスを創出、加えてビジネスの種を事業に落とし込むことに本格的にチャレンジしていくことを決め、2022年度に「新規事業創出プロジェクト」をスタートしました。

本プロジェクトは新たなビジネスを創出することに加えて、次世代の経営候補に事業立ち上げの経験を積ませるという意味合いもあります。2020年より経営人材の創出に向けた仕組みを整え、経営のベーシックスキルを獲得している精鋭14名をアサインし、本プロジェクトはスタートしました。新規事業創出のアイデアを生み出すことに留まらず、具体的な事業計画まで落とし込み、市場にサービスをローンチさせることにコミットして進めてきた点が大きな特徴です。

<本プロジェクトの狙い>

インタビュー:プロジェクト実施の経緯

プロジェクト前に抱えていた問題意識

角さん:

弊社の既存事業は、新築住宅着工数の減少や資材高騰などを代表とする外部環境の変化により厳しい局面を迎えています。この環境下において持続的に成長していくためには、新規事業を創出し、ビジネスモデルを転換していくことが喫緊の課題だと考えています。

弊社の社員は真面目な人が多く、決まったことを着実に形にしていく力は非常に長けているものの、既存の枠組みを超えて新たなチャレンジをしていく能力がまだまだ不足していると感じていました。新たな事業を発想して形に落としていくと共に、その事業の責任者として強い想いを持ち、組織を率いる経営リーダーを創出する必要性を強く感じていました。

取締役社長 角 直樹様
田中さん:

新規事業の創出に向けて新たなテーマでの事業検討は始めていましたが、思ったようにアウトプットが出てきていない状況でした。このままでは何も生まれてこないと強い危機感を感じ、本格的に時間を投下して本気で事業を検討していくプロジェクトを作っていく必要性を感じていました。

グロービスの尾花さんには、弊社の選抜人材育成を2021年度からお願いしており、経営者候補がより広い視点でJIOの将来における経営課題を考えていく為の支援をしていただいています。研修に参加した経営者候補はその後も非常に高い問題意識を持ち続けてくれており、今回はその選抜メンバーを中心にプロジェクトチームを組成し、新規事業の創出にチャレンジできないかと考えました。
次期経営を任せていく第一歩として、自社の最も重要な課題の1つに真っ向から向き合ってもらいたいと考えたのです。

グロービスを選んだ理由は、コンサルタントである尾花さんへの強い信頼感です。これまでも当社の課題の把握から解決に向けた方向性について、いつも議論をさせてもらっており、当社をよく理解いただいています。選抜人材育成に参加したメンバーからの信頼は厚く、今回もプロジェクト組成の段階から関与いただいていたので、支援をお願いすることに迷いはありませんでした。

人事総務部長 田中 直様

プロジェクトで目指していたゴール

角さん:

本プロジェクトは、企画した事業を新規市場に展開していくことを最初のゴールにおきました。経営としては2030年を既存事業のターニングポイントだと考えており、そこに向けて複数の新たな事業を立ち上げ、育てていきたいと考えています。
当社の抱える環境課題を一人ひとりがキャッチし、市場ニーズを踏まえたアクションを実践することで失敗を恐れず、どんどんチャレンジを進めていただきたい思っており、まさのそのスタートを切ったところです。

田中さん:

いまの経営陣でも発想できないようなビジネスを生み出すことに注力しました。本プロジェクトから生み出されるアウトプットがJIOの今後の事業の柱になると期待しています。
加えて、このプロジェクトをリードする経験を通して、次世代の経営者候補であるプロジェクトメンバーにビジネスを構想して形に落としていくことの難しさを、このタイミングで体感してもらいたかったというのもあります。
他力本願ではなく、“自分たちがビジネスを成長させていく主体者である”という責任感とプレッシャーを感じながら経営を率いていくことに本気で向き合い、経営リーダーとしての覚悟を身に着けてもらえればと考えていました。

<本プロジェクトの流れ>

プロジェクトの主な内容

実施において大事にした点

田中さん:

本プロジェクトは、本当にJIOの柱となるような新しい事業を創り上げることを目指し、そこにコミットしてもらうことを大事にしました。(グロービスの)尾花さんとも議論しながら、単なる一時的な提案に終わるのではなく、具体的なアクションプランや組織体制、事業上のリスクも含めて事業オーナーとしての計画を本気で考え、アウトプットすることに徹底してこだわりました。最終の経営答申では経営陣が全員集まり、事業提案に対してGo/No Goを明確に判断していくことを約束しました。

本プロジェクトのメンバーには、「このプロジェクトがJIOの将来を創っていく要である」こと、「会社の未来を担っている」ということを伝えて、健全な危機感を持ってもらいました。我々の業界における制約も相まって、新規事業を検討していくということは構造的にも非常に難易度の高いチャレンジだったと思います。

角さん:

プロジェクトメンバーの自発的な発想を大事にしていきたいと思っていました。自社の存在意義を体現する事業であるということを大前提に、特定の領域を経営として示すのではなく自由な発想で新たな可能性を模索して欲しいと考えています。JIOの社員は、枠から外れず、ルールを順守し、すべきことを確実に実行する力が身に付くよう育てられてきました。逆に言うと、自由に発想するという点が、どうしても二の次になってしまいがちです。「枠から外れない」、「決まったことを守る」こういったことを徹底できることは素晴らしいことなのですが、それだけではビジネスチャンスを逃してしまうこともあります。根底にあるマインド自体を変えて、新たな1歩を踏み出して欲しいと思っています。

取締役社長 角 直樹様

実施してのご感想、受講者の変化

角さん:

プロジェクトについては経営サイドで意思決定し、実装に向けてプロジェクトが動いています。提言によっては実現に向けて少し時間が掛かるものもありますが、今回の提言メンバーを主として事業ローンチに向けたアクションが取られています。

また、このプロジェクトを通してメンバーの多くは、新たな1歩を踏み出しています。「失敗してはいけない」という漠然とした文化が定着していた会社の中で、新たなチャレンジが始まっています。ようやく動き出したなといった感じですね。
特に大きな変化は、このメンバーが会社に対して声をあげていくことの重要さを知り、意識・行動が変わった点です。これまで声すらあがってこない状況から、現在は組織としてどんどん改善の声があがってくるようになりました。社員からの提言を受け付ける「ていあんばこ」を設置していますが、いまでは多くの意見があがってくるようになりました。プロジェクトメンバーを中心に、自ら動くことで経営を変えていくということが体現できているようになってきており、それが組織内においても伝播してきています。

田中さん:

このような社内ベンチャー的なチャレンジはこれまでしてきませんでしたが、今回の取り組みは組織全体を変えていく1つの転換点になったと感じています。プロジェクトに参加したメンバーとも対話をしますが、「事業を生み出すことは簡単ではない。本当に真剣に考えて事業を成り立たせるには、あらゆることを考えて課題をクリアしないと前に進めない。本当に良い経験だった。」という旨の声をたくさんもらっています。日々の業務の中の延長線上では間違いなくできなかった経験だったと思います。提言されたアウトプットについても、進めていく方針が経営会議で意思決定され、組織内の各所と連携を取りながらプロジェクトが進んでいます。

人事総務部長 田中 直様

今後の展望

今後の展望

田中さん:

本プロジェクトで提言された3件の事業提案のうち2件が経営会議で承認を得ていますので、まずはこのアウトプットを事業として成長させていきたいと思っています。1件は既にトライアルでサービス展開を進めており、業界内の難しさに対してどのようなアプローチでそれを乗り越えていくか、検討を進めているところです。(グロービスの)尾花さんには、この取り組みを最後までご一緒して欲しいと思っています。

加えて、当社の経営者を生み出し、組織の構造を大きく変えていくプロセスに伴走してもらいたいと思っています。変革を志す中では、自社の戦略も組織も人の姿も大きく変えていく必要がありますし、その実現には様々な壁があります。引き続きアドバイスをいただきながら、変革を進めていきたいと思っています。

また、私のチャレンジとして組織変革の中でJIOが描く人的資本経営がどういうものかを模索し始めています。他部署を巻き込みながら組織全体でデータドリブン経営を実現していくところにも、是非アドバイスをいただきたいし、これからも色々と議論をさせてもらえればと思っています。

角さん

今回のプロジェクトに参加してもらったメンバーは次世代の経営リーダーであり、いまの経営職に近い仕事をしている社員も負けないように変わっていく必要があると思います。次世代が成長を加速させていく為にも、新たな事業を推進しやすい、チャレンジしやすいような環境を整備し、組織・部門の再構築を進めていきたいです。経営の意思決定をする役員会の場の雰囲気も以前と変わってきており、新たなチャレンジができる体制になってきていると感じています。

今回のプロジェクトメンバーには、2030年を目途に経営に参画してくるようなステップアップを期待しています。いまの取締役の次の世代として、このメンバーから組織を牽引するリーダーが生まれて欲しいと強く思っています。今後さらにレベルアップしていかなければならないことは、強いて言えば牽引力でしょうか。今回の取り組みで大きく変化したと感じますが、それでもまだ足りないと思います。経営者として組織を率いる上では、答えのない中でも意思を持って決め、組織をモチベートしていく必要があります。もちろん失敗することもたくさんありますが、自分が折れてしまったら話になりません。失敗しても挫けない強さ、覚悟のレベルを高めて欲しいと思っています。まずは、今回の提言を自分事として引っ張って欲しいと思っていますし、(グロービスの)尾花さんにも継続的な支援をお願いしたいと思っています。

また、今回のプロジェクトで学ぶことができた考え方はもっと組織全体に共有していくべきことだと思っています。こういったプロジェクトをひとつの核として全社で考え方が共有できるようにしていきたいですし、その為の取り組みも考えていきたいですね。若手も含めた組織全体にこういった取り組みを循環させ、新たな文化を根付かせていくことも進めていければと思っています。

株式会社日本住宅保証検査機構(JIO)様 <年表>の前で
担当コンサルタント 兼 ファシリテーターの声
尾花 宏之

「新たな事業アイデアを生み出すだけでなく、事業化の実現に徹底的に拘る」という強い想いを持った皆さんと本プロジェクトをご一緒できたこと、とても嬉しく思います。
将来の経営を任せたいメンバーを選抜し、現経営陣にも積極的にプロセスに関与いただきながら、総力戦でチャレンジをしてきました。
ファシリテーターとしては、隔週で事業の進捗を確認し、構想の具体化やNextアクションへのアドバイスを実施させていただきました。特に意識していたことは、本プロジェクトが机上の空論にならないよう現場の声をしっかりと確認して進めることです。
全国の営業組織を巻き込んだ顧客ニーズの把握や、提供プロダクトの開発、協力会社(顧客)との実証実験に加え、事業の成長スピードを加味した組織設計‧リソース確保についても検討‧実行し、参加者の皆さんには、まさに事業開発の責任者としてプロジェクトを推進してもらいました。
非常にタフなプロジェクトだったと思いますが、「自分がJIOの新たな柱を創る」という当事者意識が原動力となり、最後まで全力で走り抜けていただきました。このような経験を経て、経営を率いるリーダーとしての覚悟がより高まったように思います。
新たな経営リーダーを育て、強い事業‧組織を作っていくJIO様のチャレンジは、まだ始まったばかりです。
引き続き、JIO様の将来の成長に向けてパートナーとして伴走し、少しでも貢献できるように努力していきたいと思います。

関連記事

2024.01.31 花王株式会社
時代の変化を捉え、新たな価値創造ができるマーケターを育む
  • 新規事業創造
2023.05.30 三菱電機株式会社 名古屋製作所
事業創造と人材育成を両立させる仕組みづくり ~人事部門と新規事業部門の共創~
  • 新規事業創造
  • 組織風土改革
2023.03.08 株式会社ロッテ
絶えず新規事業が生み出される体制づくりと風土醸成を目指して -ステージゲート法でメンバーのチャレンジを後押し-
  • 新規事業創造