新任管理職研修のフォローアップのポイント

2019.12.20

「新任管理職研修をやっても行動が変わらない。フォローアップの方法を見直したい。」お客様からこのような相談をよくいただきます。たしかに新任管理職の方々は担当業務における経験が豊富で、すでにご自身の成功パターンをお持ちです。行動を変えていただくことは容易ではありません。本コラムでは研修後の行動変容に焦点を当て、新任管理職研修の内容とフォローアップについて考えていきます。

新任管理職研修の目的とは?

そもそも新任管理職研修は、なぜ行う必要があるのでしょうか。それは管理職への昇格に伴い、会社から期待される役割が大きく変化するからです。

具体的には自身で問題を解決するのではなく、部下に任せて問題解決する。そして組織で成果を出さなければなりません。同時に部下を育成することも求められます。すなわち管理職昇格後は、プレーヤーからマネジメントへ行動を変えることが求められるのです。そのため、新任管理職研修の目的は、“管理職としての期待役割の理解”が主になります。

 

新任管理職研修で行動変容しないケースは、以下の場合が考えられます。

1:新任管理職の方が、役割の変化を認識できていない場合
 いまだ自身をプレーヤーだと思っているため、仕事を部下に任せず自分で完遂してしまう

2:役割の変化を認識していても、抽象的な理解に留まっている場合
 研修後、現場で「部下に仕事を任せるにはどうすればいいのだろう?」と疑問を抱えてしまう

3:具体的な行動を理解できていても、行動を取るためのスキルが不足している場合
 スキル不足のため成果につながらず、成功体験のあるプレーヤーの時のやり方で自ら完遂してしまう

 

新任管理職研修では、部下への権限委譲により組織で成果を出せるように行動変容を促し、プレーヤーからマネジメント(管理職)へ脱却する機会の提供が求められます。

 

新任管理職研修で行動変容を促すには?

新任管理職研修のゴールは、新たな役割の認識だけでは足りません。具体的な行動レベルでの理解が不可欠です。自分の行動を明日からどう変えていくのかを研修内でイメージできなければ、実践は難しいからです。具体的な行動レベルで理解するコツは2つあります。

 

1つ目は、行動プロセス(はじめにやるべきこと、次にやるべきことなどの工程)で新たな役割を理解することです。役割を行動プロセスで具体化すると、全体像を掴みやすくなり、各プロセスにおける難点と対策を整理しやすくなります。たとえば部下に権限委譲をする際にプロセスで整理することで、まず何をすればよいかが明確になり、実践しやすくなります。

2つ目は、自身の課題に対するアクションプラン(いつまでに・何を・どのように・どの程度行うのか)を作ることです。新たな役割・行動を理解すると、現状の自身の行動との間に存在するGAP(課題)に気づきます。GAPを埋めていくためのアクションプランを作ることで、まず何をすればよいかがより明確になり、実践しやすくなります。

 

新任管理職研修で行動変容を促すには、研修の場の工夫も必要です。自分の姿(現状)は自身では見えにくいもの。今のやり方でうまくできていると自覚している方に、プレーヤーではなくマネジメントとしての行動を促すための工夫をしましょう。

たとえば他者の教訓を参考に、自身を客観視することが有用です。自身を見つめなおすことは難しくても、事例の中のリーダーについて評論することは比較的容易です。他者のリーダーとしての至らぬ点を通し、取り組むべき原理原則を理解・納得して自身の行動に引き寄せやすくなります。

 

360度行動調査など、自身の行動を定量・定性の両面から捉えることも、自身を見つめなおすきっかけとなります。自身はできているつもりでも周囲からは改善の余地があると捉えられていたり、自身の評価よりも周囲の評価が高い行動もあったりするでしょう。周囲からのフィードバックを贈り物として受け止め、管理職自身の成長の糧にできると、更に行動を促進できるでしょう。

管理職として期待される行動の理解が、現場での行動につながります。明日から何をすればよいのかという具体性をもって考えていきましょう。

 

行動変容に向けたフォローアップのポイントとは?

行動変容には3つの壁があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

 

1つ目の壁:目標設定があいまいで振り返りができない
研修内で具体的な行動をイメージできなければ、実践もフォローアップも難しいものになります。この場合、フォローアップ施策を手厚くしても実践は促進されません。考えるべきは研修終了時の皆さまの状態です。新たな役割を具体的に理解・納得し、自身の課題を捉えることで、取り組みがいのある目標を設定できます。フォローアップ施策から見直したい方は、研修内容も含めて検討してみてください。

 

2つ目の壁:実践したがうまくいかず断念してしまう
研修から1か月程経つと、実践してもうまく成果が出ずに断念してしまうケースが増えます。成果は、上司・部下・業務内容などの環境要因からの影響も受けるため、必ずしも自身の行動次第でうまくいくとは限らないからです。したがって普段から、新たな役割を果たすべく行動したことが称賛される、失敗の中にこそ改善のヒントがあるという前向きさを是とする組織風土の醸成が求められます。

そうでない場合は、初回研修から1か月ほどのタイミングでフォローを行うとよいでしょう。たとえば新任管理職研修の受講者に再度集まってもらい、現場での実践を振り返りながら互いの経験を通じて学びを深める場を設けるなどです。さらなるスキルアップが必要と判断した場合には、追加施策として、必要なスキル研修をフォロー施策として実施することも考えられます。

 

3つ目の壁:周囲からの協力が得られず継続しない
研修後3か月以降は、周囲からの協力が得られず実践が継続しないという問題が発生します。管理職自身は変わっていこうと志しても、周囲が変化についていけないと継続的な実践は期待できません。管理職自身が考えている目指すリーダー像や組織の姿、実現に向けた構想などを周囲に伝えていくことが必要です。周囲に伝えることで自身の責任感を強化するとともに、周囲からの協力を引き出せる可能性が高まります。

 

新任管理職研修の全体像の事例

新任管理職の目的、内容、フォローアップのポイントを踏まえて支援した事例をご紹介します。

新任管理職研修の全体像

図1:新任管理職研修の全体像

 

役割認識においては、インターバル期間を活用して新しい役割の定着を図っています。役割認識後は、同組織での実践において必要となる論理思考や戦略的な関係構築による影響力の発揮を強化し、実践を支援しました。更なる実践の促進においては、所属組織でのコミットメントや経営幹部への成果発表会を通じて促進しています。

 

最後に

本コラムでは、新任管理職研修をテーマに、受講者に行動変容を起こしてもらうための方法・仕掛けを解説しました。大切なことは、プレーヤーからマネジメント(管理職)へと期待される役割が変わったと認識してもらうこと、普段から行動変容しやすい組織風土を形成しておくことです。とはいえ、成功体験を数多く持つ管理職の方の行動を変えるのは難しいことです。もし新任管理職研修でお悩みの事があれば、グロービスまでお気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール
綿貫 昇子 | Shoko Watanuki
綿貫 昇子

株式会社リンクアンドモチベーションに入社、投資家向けコンサルティング事業にて大手上場企業を担当。グロービス入社後は、法人企業向け事業に従事。化学、機械、自動車、消費財、金融、IT、広告等幅広い業界を担当し、中期経営計画や戦略実現の支援を目的とした人材育成体系の構築支援、研修プログラムの企画・設計・実施を行う。その他、クリティカル・シンキング、ビジネス・プレゼンテーション等、思考系領域のコンテンツ開発に携わる。

筑波大学大学院スポーツ科学専攻修了、グロービス経営大学院経営研究科修了(MBA)
米国CTI認定 プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ 応用コース修了


※文中の所属・役職名は原稿作成当時のものです。


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