研修スケジュールを作成する手順|目的や作り方のポイント

研修にはあらゆるカリキュラムが組み込まれており、社員研修を効率的に実施するには、入念なスケジュール作成が欠かせません。しかし、人事担当者のなかには「どうやって研修スケジュールを作れば良いか分からない」とお悩みの方もいるでしょう。本記事では、研修スケジュールを作成する手順や作成時のポイントをご紹介します。

研修スケジュールを作成する目的

研修には、新入社員研修や管理職研修などの階層別研修や、コンプライアンス研修などの全社研修をはじめ、さまざまな種類があります。どんな研修であっても、研修を実施する目的は会社の経営戦略を実現するために必要な人材を育成することです。「研修を通してどのような人材に成長してほしいのか」が研修のゴールになります。

そして、研修のゴールを達成するには、効果的かつ効率的に研修を実施する必要があります。そのためには、経営戦略やゴールに沿って研修スケジュールを作成することが大切です。研修スケジュールを立てておけば、研修を受講する側も実施する側も、研修ゴールの達成に向けて共通の認識を持ちながら効率良く進められるようになります。

研修スケジュールの作成手順

研修スケジュールの作成手順

研修スケジュールを作成するには、フローに沿って進めていくと良いでしょう。研修スケジュールの作成手順は、大きく以下の5つのステップに分けられます。

STEP1. 研修の予算を確定する

はじめに、研修の予算を確定させる必要があります。社内で実施する場合でも外部に委託する場合でも、研修を実施するにはコストがかかるため、研修にどれだけの予算を充てられるかを確認することが重要です。費用相場や前年度の予算、企業の事業計画を参考に算出すると良いでしょう。

予算によって研修の内容や期間、実施方法、外部に委託できる範囲などが変わってきます。研修に充てられる予算が少ない場合は、「人材開発支援助成金」や「キャリアアップ助成金」などの制度の活用を検討してみましょう。要件を満たしていれば、支給の対象になる可能性があります。

STEP2. 研修の目標を明確にする

次に、研修の目標を明確にしましょう。「研修を通してどのような人材に成長してほしいか」といったゴールをもとに、具体的な目標を設定していきます。研修の受講者に身につけてもらいたい知識やスキルなどについて、経営者や社員からのヒアリング、アセスメントテストやアンケートサーベイなどの活用が効果的です。

また、目標は「いつまでに、何を、どの程度できるようにするか」というように、具体的な期限や合格基準を設定することが大切です。

STEP3. 研修のカリキュラムを決定する

予算や目標を設定したら、研修のカリキュラムを決定していきましょう。目標を達成するために必要な知識やスキルを習得できるカリキュラムを作成することが重要です。

たとえば、営業職の新入社員研修で「入社3ヶ月までに、実際に営業活動ができる」という目標を設定しているのであれば、「ビジネスマナー」「社会人としての心構え」「セールストーク」などのカリキュラムが必要になります。

STEP4. 内製または外部委託かを検討する

カリキュラムが決定したら、研修の実施方法を検討します。実施方法として内製と外部委託の2つが挙げられますが、実際にはすべてのカリキュラムをどちらか片方だけで実施するのは困難です。そのため、予算とカリキュラムの内容によって、内製化するものと外部委託するものを整理すると良いでしょう。

たとえば、自社の経営理念や社内ルール、業界が抱える課題などに対する研修は、自社で行うほうが適しています。一方、ビジネスマナーやロジカルシンキングといったビジネスパーソンの土台となる内容の研修は、専門的な知識を持つ外部に委託するほうが高い学習効果を期待できます。

STEP5. 実施時期を確定し、ゴールから逆算してスケジュールを組む

研修の内容が決定したら、受講者や講師など関係者の予定を確認・調整してスケジュールに落とし込んでいきます。参加者全員が無理なく参加できるように、企業の繁忙期は避けると良いでしょう。

加えて、研修カリキュラムの内容だけでなく、「研修の前後で何を考えてもらいたいか」も併せて考えられるとよいでしょう。研修当日の数時間で学習効果を最大化することは難しいため、研修前後の設計が重要となります。

例えば、事前課題を与え自分なりの考えをまとめてきてもらう、研修内容を業務で実践し定着できたかを振り返る機会を作るなどの手法が効果的です。

研修スケジュールを立てる際のポイント

研修スケジュールの作成手順について解説しましたが、ポイントを押さえて作成することでより効果的かつ効率的な研修を実施できるようになります。研修スケジュールを立てる際のポイントは、以下の4つです。

スケジュールを無理に詰め込まない

研修内容を1日に無理やり詰め込まないようにしましょう。習得させたい知識やスキルが多いからといって1日のインプット量を増やしすぎてしまうと、受講者の負担が大きくなって研修の内容を整理できず、定着率や学習効果が低下するおそれがあります。

学習内容を定着させるには、アウトプットが欠かせません。たとえば、1日目は外部講師によるセミナーを受講してもらい、2日目はロールプレイングなどの実践を行うというように段階的に研修を実施すると効果的です。

業界構造や自社のビジネスモデルを理解する研修を優先する

特に新入社員や内定者向けの研修の場合、自社や業界知識についての研修を優先的に実施するほうがベストです。自社や業界知識などの基礎を理解していない状態で実践的な研修を行っても、仕事のイメージを持ちにくく、研修の効果は低くなってしまいます。基礎的な研修を優先的に行えば、仕事のイメージがつきやすく、知識やスキルの定着度も高まるでしょう。

また、自社の企業理念や社内施設など自社で働くうえで知っておくべき内容の説明も早めに行うことが大切です。ビジネスマナーをはじめとした社会人の基礎となる内容も、早期に行うようにしましょう。

休憩時間を適度に設ける

研修スケジュールの中で、1時間~1時間半に10分~20分程度の休憩を設けることが重要です。適度な休憩を設けることで、受講者は脳をリフレッシュでき、集中力を保ちやすくなります。

また、休憩をとる際は「今から10分休憩時間を設けます」ではなく「(今が14時50分の場合は)今から休憩を設けるので、15時に再開します」というように再開の時間を伝えると、メリハリをつけて休憩をとりやすくなるでしょう。

フィードバックの時間を設ける

研修は主に学習内容をインプットする時間が多くなります。そのため、研修期間中や研修後に必ずフィードバックの時間を設けるようにしましょう。研修内容を振り返ることで、学習内容や知識・スキルが定着しやすくなります。自分が理解していないことも明確になるため、今後の業務で意識すべきポイントの把握につながります。

また、アンケートを実施すれば、研修の課題点や改善点も明らかになり、次回の研修に活かせるようになるのでおすすめです。

研修スケジュールのテンプレートの作り方

研修スケジュールのテンプレートの作り方

研修スケジュールの作成手順やポイントを理解できたら、実際にスケジュールを組むためのテンプレートを用意しましょう。研修スケジュールのテンプレートの作り方はいくつかありますが、ここでは以下の2パターンをご紹介します。

Excelで作成する

Excelで研修スケジュールを作成する場合は、「行程管理表(業務スケジュール)」というテンプレートを活用すると良いでしょう。1日、月間、年間の業務スケジュールを簡単に作成できるため、1日のタイムスケジュールを細かく作成する場合にも大まかな研修スケジュールを作成する場合にも役立ちます。

ガントチャートを応用して作成する

ExcelやGoogleスプレッドシートでは、「ガントチャート」というフォーマットを応用して作成することもできます。ガントチャートを応用して作成する場合、以下の項目を記入しましょう。

  • 日付(研修実施日時)
  • 開始時刻
  • 終了時刻
  • 研修内容
  • 担当者
  • 形式
  • 実施場所
  • 準備するもの
    • Googleスプレッドシートはインターネット上で利用するものなので、編集した内容がリアルタイムでインターネット上に保存されます。そのため、研修実施期間中にスケジュールに変更があった場合でも、すぐに関係者に共有しやすいのが特徴です。

      自社の研修スタイルや普段使用するツールに合ったテンプレートを用いて、スケジュールを作成してみてください。

まとめ:研修スケジュールを立てて効果的かつ効率的に研修を実施しよう

研修スケジュールはポイントを押さえて作成することで、研修の効果を高めやすくなります。また、研修はただ実施するだけではなく、社員の学習状況や理解度をリアルタイムで把握しながら、社員一人ひとりに合った個別フォローを実施することも大切です。

そのためには、学習進捗状況を把握できるLMSを導入すると良いでしょう。LMS(学習管理システム)であれば、事前課題や研修後の振り返りも含めた研修カリキュラムを簡単に作成・管理することもできます。

「GLOPLA LMS」は、誰でもサクサク使いこなせる操作性の高い学習管理システムです。わずか数クリックで簡単に研修作成や進捗確認ができるため、効率的に研修を進められるでしょう。また、質の高い研修を提供できるように、グロービスの豊富な研修知見を活かしてより良い研修設計の支援を実施します。研修の実施とあわせてLMSの導入をご検討の方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

まずはお気軽にお問い合わせください

【PIVOT出演】企業は人材育成をどうアップデートすべき?データで分かる現場の学習ニーズ