営業成績を伸ばすには、営業スキルを上げることが欠かせません。しかし、どのようにスキルアップを図るべきか分からないという方も多いでしょう。営業職の人材育成を効率的に行うには、社員のスキルを可視化できるスキルマップが役立ちます。本記事では、営業職がスキルマップを活用すべき理由やスキルマップに入れるべき6つの評価項目について解説します。
目次
スキルマップとは、社員の保有スキルや習熟度を可視化し、一覧表にしたものです。営業職がスキルマップを活用すべき理由として、社員の業務遂行能力の程度を把握できることが挙げられます。
営業職は成果主義のため、「どれだけ売上を伸ばせたか」「どれだけ顧客獲得ができたか」といった営業成績が評価に直結します。交渉力や課題分析力、プレゼンテーション能力など営業職に求められるスキルは多岐にわたり、営業成績を伸ばすにはこれらのスキル向上が欠かせません。しかし「どの社員が、どのスキルを、どの程度保有しているか」を把握するのは決して簡単ではないため、営業職の人材育成における課題を抱えている企業も少なくないでしょう。
スキルマップを活用すれば、社員一人ひとりの保有スキルや習熟度を瞬時に把握できるようになります。「どの社員が、どのスキルを、どの程度保有しているか」が可視化されることでそれぞれの社員の強化すべきスキルや不足しているスキルが明確になるので、効率的な人材育成にも役立ちます。
また、スキルレベルの可視化や評価基準の明確化によって客観的な評価が可能になり、人事評価の公平性も保たれます。スキルマップを社員側にも公開することで、社員が自身の得意・不得意や他の社員のスキルレベルを把握できるようになるため、競争心が芽生えて仕事に対する意欲向上にもつながるでしょう。
このように営業職でスキルマップを活用するメリットは複数あります。スキルマップを活用すれば組織的な営業力強化、さらには企業の持続的な発展も期待できるでしょう。
社員のスキルについて適正な評価をするには、スキルマップに入れるべき評価項目の選定が重要です。営業活動を行ううえで必要なスキルや知識を把握して、営業職向けのスキルマップ作成に役立てましょう。ここでは、営業職のスキルマップに入れるべき6つの評価項目をご紹介します。
概念形成力とは、顧客の抱える課題を見つけて解決するための計画を立てるスキルのことです。営業職は顧客の課題を発見・分析する力が欠かせませんが、ただ発見しただけでは顧客のニーズを満たせません。課題解決のための筋道を立てて、計画や対策を立案する力も求められます。現在の顧客の状況や取り巻く環境などから課題を分析し、目標や予想を立てて具体的なアプローチ方法を組み立てるといった論理的な思考が大切です。
関係構築力とは、顧客と良好な関係を構築して維持するスキルのことです。顧客からの信頼や契約を獲得するには、コミュニケーションを取って意思疎通を図り、良好な関係を構築することが欠かせません。こちらが一方的に会話を進めるのではなく、顧客の目線に立ち、顧客の話に耳を傾けて共感しながら会話を進めるといった寄り添う姿勢が良好な関係を築くうえで非常に大切です。
顧客把握力とは、顧客の抱えている課題や顧客の現状など担当する顧客について把握・理解するスキルのことです。顧客の状況を深く理解できていなければ、顧客のニーズに沿った魅力的な提案はできないでしょう。顧客の市場動向や業績傾向、顧客の担当者や担当部署の状況、顧客の組織図や最終意思決定者など、必要な顧客情報を把握することが求められます。顧客の状況を把握するには、分析力やヒアリング力も必要です。
交渉力とは、顧客だけでなく社内外の関係者と合意形成できるスキルのことです。一方的に自社の製品やサービスを売り込んでも、契約獲得には至らないでしょう。相手の合意を得るには、顧客の課題やニーズを把握し、自社の製品やサービスがどのように課題を解決するのかを分かりやすく伝えて相手を納得させることが求められます。文章や口語表現、身振り手振り、表情など、コミュニケーション以外の部分で相手を引き付ける工夫を凝らすことも交渉を進めていくうえで欠かせません。
自律性とは、営業としての自覚を持ち、責任を持って主体的に行動できるスキルのことです。成果を上げるには積極的に行動することが求められますが、直感や感情に突き動かされてやみくもに行動しても成果は得られないでしょう。営業としての役割を果たすために、常に営業目標達成に向けて最善の結果を出すことを意識しながら、自分を律して行動することが大切です。
知識要件とは、営業活動を円滑に行ううえで必要となる知識を保有していることです。顧客のニーズに沿った提案を行うには、担当商材における自社や他社の商品概要、市場の動向、比較点など幅広い情報を把握することが求められます。また、さまざまな顧客の話に合わせられるように世間の動向や情報にも関心を持ち、常に情報や話題の収集に努めることも重要です。
スキルマップは、自社の営業職の業務内容や状況に合わせて作成する必要があります。営業職向けのスキルマップの作り方について見ていきましょう。
営業職向けのスキルマップを作成するには、業務内容を洗い出して必要なスキルを整理することが大切です。漏れや抜けがないように、マニュアルや業務フローの確認、現場で働く社員へのヒアリングなどを行いましょう。
また、厚生労働省が公開している「職業能力評価シート」には職種や職務、スタッフのレベル別に必要なスキルが記載されているため、参考にするのがおすすめです。たとえば、営業職のレベル1(エントリー/スタッフ)の職業能力評価シートに記載されているスキル項目を、一部抜粋してご紹介します。
能力ユニット | 能力細目 |
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ビジネス知識の習得 | ・ビジネスや社会経済の一般動向の習得 ・会社の仕組みの理解 ・ビジネスマナーの習得 |
PCの基本操作 |
・PCの基本操作 ・ワープロソフト・表計算ソフト等の活用 ・情報の検索・加工と整理 |
引用:厚生労働省『職業能力評価シート 営業 レベル1』(参照 2024年7月)
抽出したそれぞれのスキル項目に対して、評価基準を設定しましょう。いくつかの評価段階に分け、スキルの程度について評価するための基準を設定することで評価がしやすくなります。段階数は、3~5段階の評価基準を設けるのが一般的です。たとえば、4段階評価であれば、以下のように評価基準を設定します。
段階数によってメリットやデメリットがあるため、営業職の状況や現場の意見などを踏まえて何段階で評価するかを判断しましょう。また、スキルマップ作成後は実際の評価者にテストで評価を実施してもらい、必要があれば修正を行います。営業職の社員が納得できる内容にできれば、公開後もスムーズに運用しやすくなります。
成果主義の営業職において営業成績を上げるには、強化すべきスキルや不足しているスキルを把握することが重要です。スキルマップを活用すれば社員一人ひとりの保有スキルや習熟度が把握できるようになるため、効率的な人材育成や適正な人事評価に役立つでしょう。スキルマップに沿って研修を実施すれば、効果的にスキルアップも行えます。
また、営業職に必要なスキルや知識を習得するには、学習管理システム「GLOPLA LMS」が役立ちます。複数の研修を一元管理でき、社員一人ひとりの学習進捗状況の把握も可能です。操作性と導入サポートによって誰でもすぐに使いこなせるため、社内へのツール定着も期待できるでしょう。スキルマップの作成とあわせて研修の実施をご検討の際は、ぜひお気軽にご連絡ください。