多能工化はスキルマップを活用して進めよう!メリットと手順を解説

労働人口の減少や働き方改革により、多能工化が注目されています。多能工化を推進することで企業にさまざまなメリットをもたらし、企業の持続的な発展が期待できるでしょう。しかし、どのように多能工化を推進すべきか分からないという方も多いと思います。本記事では、多能工化のメリットと手順、スキルマップの活用方法について解説します。

多能工化とは

多能工化は「マルチスキル化」とも呼ばれており、1人で複数の業務に対応できる状態や複数の業務に対応できる人材を育成する仕組みのことです。また、「多能工」は複数の業務に対応できるスキルを持った社員を指します。多能工化を推進することにより属人化の解消が可能になるため、特定の社員への業務集中を防止でき、負荷の軽減につながるでしょう。

多能工化が現代社会において注目されている背景には、働き方改革の推進や高齢化・人口減少などによる労働人口減少が挙げられます。慢性的な人手不足や今後の働き手をどのように確保するかといった課題を抱える業界や企業は少なくありません。そのため、多能工化を推進して市場ニーズの多様化に対応するとともに、社員1人あたりの業務パフォーマンスを向上させて柔軟な生産体制を整えていくことが重要なのです。

多能工化のメリット

多能工化のメリット

多能工化は企業にとってさまざまなメリットをもたらします。多能工化を推進することで得られるメリットは、主に以下の3つです。

生産性の向上につながる

多能工化によって複数の業務に対応できるスキルを持った社員が育成されれば、生産性の向上につながります。急な欠員や部署による業務の偏りがある際にも、柔軟な人材配置や部署を越えた応援によってスピーディーな対応が可能です。また、特定の社員に業務が集中している場合、多能工化が進んでいればその社員の業務を他の社員に割り振ることができるので、能力の均等化や業務の平準化につながるでしょう。組織的なスキルの底上げによって、事業継続性も期待できます。

チームワークの向上につながる

多能工化はチームワークの向上につながるというメリットもあります。複数の業務に対応できれば社員同士のコミュニケーションが生まれる機会も増え、部署を越えて業務をフォローし合うことによって信頼関係が高まります。自部署以外の業務に携われば「大変なのは自分だけではない」という気付きのきっかけにもなり、相手への思いやりも生まれるでしょう。助け合いの精神が身につくことで特定の社員の残業抑制にもつながり、全社員が休暇を取得しやすく働きやすい職場づくりが可能になります。

さまざまなリスク回避につながる

多能工化は社員育成によって業務の偏りを防げることから、さまざまなリスクを回避できます。属人化の解消で社員一人ひとりが新しい技術やスキルを習得する機会も増えるため、組織的な技術力低下のリスクを回避しやすく、社員のモチベーション向上につながることから離職リスクの防止も期待できます。

また、普段からフォローし合う環境が構築されていれば、ベテラン社員の引退や若手・中堅社員の退職・休職などによって発生する引継ぎもスムーズに行えるようになります。納期遅延のリスクも回避できるでしょう。

多能工化の推進にはスキルマップが役立つ!

多能工化を推進するなら、スキルマップを活用するのがおすすめです。スキルマップとは、業務を遂行するうえで必要なスキルを可視化し、社員がどのスキルをどの程度習得しているかを一覧表にしたものです。社員一人ひとりの保有スキルとスキルレベルを瞬時に把握できるため、人材育成や人材配置、人事評価などさまざまな場面で活用できます。

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多能工を育成するには、自社の業務の棚卸しを行って必要なスキルを洗い出すとともに、社内の保有スキルと不足しているスキルを把握してどのスキルを強化すべきかを明確にする必要があります。スキルマップを活用すれば社員一人ひとりのスキルを把握できるので、具体的な教育計画の策定が可能になり、効率的に多能工を育成しやすくなるでしょう。

多能工化を推進する5つのステップ

多能工化を推進する5つのステップ

多能工化を推進するには、社員一人ひとりのスキル状況を可視化して、自社の現状に応じた育成計画を策定することが大切です。どのように多能工化を推進すべきかを5つのステップに分けて見ていきましょう。

【ステップ1】目的と目標を明確にする

はじめに、多能工化を行う目的を明確にしましょう。「生産性の向上」「属人化の解消」「組織的な技術力の向上」など多能工化の目的は多岐にわたります。目的によって求められるスキル要件や範囲は異なるため、自社が抱える課題や現状から目的を明確にすることが大切です。

あわせて明確な目標の設定も行いましょう。たとえば、「1年後には特定の業務を行う社員の残業時間を10時間削減する」「半年後にはすべての社員が2つ以上の業務に対応できるようになる」というように、具体的な期限や数値を含めた目標を設定することで進捗や達成率を確認しやすくなります。

【ステップ2】業務の棚卸しとスキルの選定を行う

続いて、社内の業務の棚卸しとスキルの選定を行いましょう。業務の棚卸しを行う際は、現場の社員にヒアリングをしたり業務フローやマニュアルなどを確認したりしながら漏れや抜けのないように洗い出します。「業務の種類」を大分類、「個々の作業内容」を小分類として書き出し、各業務の作業時間や重要度、難易度などを整理すると、属人化している業務や優先度の高い業務を明確にできます。あわせて、各業務に求められるスキルも洗い出しましょう。業務の流れを理解している社員にヒアリングして、スキルの選定を行うことが大切です。

【ステップ3】スキルマップを活用してスキルの可視化を行う

ステップ2で洗い出した業務とスキルをもとに、スキルマップを作成します。社員の保有するスキルやスキルレベルを可視化して、客観的に評価できる状態にしておきましょう。スキルマップを活用することで、社員一人ひとりの現状の業務遂行力や不足しているスキル、グループや部門単位で強化すべきスキルなどが把握しやすくなります。

【ステップ4】育成計画の作成・実施

ステップ3で作成したスキルマップを活用して、育成計画を作成しましょう。ステップ1で明確にした多能工化の目的や自社が抱える課題をもとに、「誰に、何を、いつまでに、どのように習得させるか」を具体的に決めていきます。スキル習得の方法として、eラーニングやOJTによる研修の実施、資格取得、勉強会の開催などが挙げられます。

また、「どの程度スキルが習得できたのか」の判断方法を明確にすることも大切です。評価者によってバラつきがないように、分かりやすい評価基準を設けましょう。具体的な育成計画が作成できたら、実行に移していきます。

【ステップ5】継続的に効果を測定する

育成計画開始したら終わりではなく、開始後も定期的に見直しや振り返りを行って多能工化の進捗を確認することが大切です。社員へのヒアリングやアンケートを実施して、「計画通りに育成が進んでいるか」「実施している研修で分かりにくい部分はないか」「社員のモチベーションは下がっていないか」などのフィードバックをもとに改善を行いましょう。

効果を正しく測定するためには、常に進捗状況を把握できるような社内体制を構築しておくことも重要です。継続的に計画内容をブラッシュアップしていくことで、高い効果が期待できるようになります。

まとめ:スキルマップを活用して多能工化を効率的に進めよう!

多能工化を推進すれば、生産性の向上やチームワークの向上、引継ぎや技術力低下のリスク回避などさまざまなメリットを得られ、企業の持続的な発展が期待できます。スキルマップを活用すれば強化すべきスキルや不足しているスキルが可視化されるため、効率的に多能工化を推進できるでしょう。また、研修や教育を行う際は、eラーニングやLMSの活用がおすすめです。

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