スキルマップを作成すると業務遂行に必要な社員のスキルや能力を可視化できるようになるため、育成や配置、評価、採用などあらゆる面で活用できます。業務の効率化のためにスキルマップを導入しようと検討している企業も多いと思いますが、「スキルマップの作り方が分からない」とお悩みの方も少なくないでしょう。本記事では、スキルマップの作り方と作成の目的、ポイントについて解説します。
目次
スキルマップとは、社員一人ひとりの現在の業務内容に関するスキルや能力を点数化して一覧表にしたものです。社内の保有するスキルや不足しているスキルを瞬時に把握できるため、具体的な教育計画を策定して効率的に人材育成を行えるというメリットがあります。
社員がスキルや能力を発揮できる部署や職種への配置にも活用でき、保有するスキルのレベルがどの程度かを確認することもできるので公平な人事評価にも役立ちます。また、社員にも共有することで自身に求められるスキル要件や他のメンバーのスキル保有状況を確認できるようになり、成長意欲や競争心が生まれて仕事へのモチベーション向上につながるでしょう。
このように、スキルマップを作成することでデータを人材育成や人材配置、人事評価、採用などさまざまな場面で活用でき、生産性の向上や業務の効率化につなげられます。人材を効果的に活用することは、企業の持続的な成長に必要不可欠なのです。
スキルマップを効果的に活用するには、自社の人材育成方針や目的に適したものを作成することが大切です。ここでは、スキルマップの作り方を6つのステップに分けてご紹介します。
はじめに、スキルマップを作成する目的を明確にしましょう。「何を解決したいのか」「どのような場面で活用したいのか」「どのような効果を期待するか」によって、設定するスキル項目が変わってきます。
自社の中核となる将来のリーダー人材の育成が目的であれば、マネジメントスキルをはじめとした成長目的に適したスキルや自社のビジョンに沿ったスキル項目を設定する必要があります。公平な人事評価を目的とするなら、各業務の遂行に必要なスキルを洗い出して項目を設定しましょう。
スキルマップ作成の目的を明確にできないと定めるべきスキル項目が洗い出せず、本来の効果を発揮できない可能性があります。スキルマップを効果的に活用するためにも、しっかり目的を明確化することが大切です。
目的を明確にしたら、スキルマップに記載する項目を決定しましょう。業務内容について現場の社員や担当者にヒアリングしたりマニュアルや業務フローを確認したりしながら、業務の流れや主業務、間接的に発生する業務などを書き出します。あわせて、各業務や各工程において必要となるスキルを洗い出します。
業務とスキルの洗い出しは作成者が個人の主観で行うのではなく、業務の流れやスキルを理解している社員が作成に関わるようにしましょう。また、「自社に有益なスキルか」「業務に密接に関連するスキルか」を確認しながら、スキルの抽出を行うことが重要です。
ステップ2で洗い出した業務を階層別に分類していきましょう。具体的には、大項目として「職種や商品・サービス単位の業務の種類」、次に中項目として「職務」、小項目として「能力ユニット」というように、業務内容を細分化していきます。このようにいくつかの階層に分けることで、評価がしやすくなります。
業務を階層別に分類できたら、ステップ2で抽出したスキルを各階層に振り分けていきます。スキル項目は、「誰が、どのスキルを、どの程度のレベルで保有しているか」が分かるように具体的かつ適切な粒度で設定することが大切です。
続いて、設定したスキル項目についてどのように評価するかを決定しましょう。スキルの習熟レベルを段階ごとに設定することで、より適切に評価がしやすくなります。
ただし、「できる・できない」の2段階評価は大まかなスキルの評価しかできず、逆に基準を細かく設定しすぎると運用が難しくなるため注意が必要です。一般的には3~5段階に分けられることが多く、以下のように各レベルに応じて明確な評価基準を設けます。
レベル | 評価基準 |
---|---|
レベル4 | 人に指導ができる |
レベル3 | 自分一人でできる |
レベル2 | サポートを受けながらできる |
レベル1 | 補助ができる |
評価基準を設定する際は、業務内容や運用方針に沿って段階を検討するようにしましょう。また、担当者によって評価や判断のズレが発生しないように、具体的かつ分かりやすい評価基準を設けることが大切です。
本格的にスキルマップを導入する前に、試験的に導入して検証を行いましょう。実際の評価者に運用してもらい、「分かりづらい部分はないか」「足りないスキル項目はないか」「不要な項目はないか」「評価基準が適切か」などについて意見をもらいます。フィードバックをもとに修正したうえで運用を開始することで、評価に対する納得感が生まれやすくなります。
また、スキルマップを適切かつ円滑に運用するために、作成の目的や使い方、評価基準についてのマニュアルを作成すると良いでしょう。
試験導入での修正を反映できたら、スキルマップに基づいて社員ごとにスキルレベルを評価していきます。社員本人へのヒアリングや申告書の提出、直属の上司による評価などをもとに設定した評価段階に応じてスキルレベルを判断します。
社員ごとのスキルマップが完成すると、自社が強化したいスキルや不足しているスキル、部署や部門ごとのスキルバランスが見えていきます。スキルマップで可視化されたデータをもとに、今後の業務改善や人材配置・人材育成などに活用していきましょう。
また、運用開始後も業務内容の変更や配置転換などに伴い、スキルマップの内容は定期的に更新することが大切です。
スキルマップは、ポイントを意識して作成することで効果を高められます。スキルマップを作成する際のポイントは、以下の3つです。
評価者によってバラつきが出るのを防ぐために、評価基準は明確に設定することが大切です。評価者全員が統一した判断・評価ができるように、分かりやすい評価基準を設けましょう。また、評価基準を設定する際は担当者一人で行うのではなく、複数人で意見を出し合いながら基準のすり合わせを行うことで認識のズレを防ぎやすくなります。
業種や職種などによって必要となるスキルは異なるため、スキル項目を設定する際は必ず現場へのヒアリングを行いましょう。スキルマップ作成の担当者は管理者や現場のリーダーが行うことが一般的ですが、現場の意見を反映することで業務の流れや細部を抜けや漏れなどなく洗い出すことが可能になり、評価される側の社員も納得感を得られるようになります。
また、スキル項目は具体的に設定することも大切です。「ビジネススキル」というように大まかな表現では適切な評価ができなくなるため、「コミュニケーションスキル」「問題解決スキル」「情報収集スキル」というように具体的に細分化して設定しましょう。ただし、細かく設定しすぎると管理や運用が難しくなるので注意が必要です。
スキルマップは作成して終わりではありません。社員ごとの評価をしたら、その結果をもとにどのようなアクションを取るかも決めるようにしましょう。スキルが不足している社員へのフォローアップとして、研修の実施や勉強会の開催、個人目標の再設定などを検討します。
スキルマップを作成した目的に都度立ち返り、効果的に運用していくことが大切です。
自社に合ったスキルマップを作成するには、導入目的を明確にしたうえで現場の社員へのヒアリングを行いながら業務やスキルの洗い出しと評価基準の設定をしっかり行うことが大切です。また、スキルマップを作成したら、評価後は研修や勉強会を実施するなどして社員のフォローアップを行いましょう。社員向け研修を実施する際は、eラーニングやLMSを活用するのがおすすめです。
「GLOPLA LMS」は、誰でも使いこなせる学習管理システムです。分かりやすい受講画面により、自主的な学習をお手伝いします。また、導入・運用のサポートによってLMS上で質の高い研修を提供でき、社内へのツール定着を可能にします。評価後の社員へのフォローアップ施策としてLMSの導入をご検討の方は、ぜひお気軽にご連絡ください。