スキルマップは社員の保有スキルを一覧表にしたもので、運用時のデメリットもあることから導入するのは意味がないとお考えの方もいるでしょう。しかし、コツを掴んでスキルマップを運用すればさまざまな場面で効果を発揮できるようになります。本記事では、スキルマップのメリットとデメリット、運用を成功させるコツについて解説します。
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スキルマップとは、業務遂行に必要なスキルや習熟度について社員ごとに一覧表にしたもので、力量表やスキルマトリックスと呼ばれることもあります。「誰が、どのスキルを、どの程度」保有しているのかを把握できるため、強化すべきスキルや不足しているスキルの抽出が可能です。人材育成や人事評価などさまざまな場面で活用でき、企業活動の活性化につながるでしょう。
企業が持続的に発展していくには、自社に必要な技術やノウハウを持った人材の確保や育成が必要不可欠です。スキルマップを導入すれば効率的に評価ができるため、未来を担う人材の発掘や育成にも役立ちます。人材を活用することで、企業のさらなる発展が期待できるでしょう。
ただし、スキルマップをただ作成しただけでは意味がありません。スキルマップの効果を高めるには、自社でスキルマップを導入する目的を明確にして、正しく運用していくことが大切です。
スキルマップを活用することで、さまざまなメリットが得られます。スキルマップを導入するメリットは、主に以下の4つです。
スキルマップを導入すると社員や部署ごとの保有スキルや不足しているスキルが把握できるので、今後伸ばすべきスキルが明確になります。特定のスキルを習得するためにどのような教育や研修を行うべきかといった具体的な育成計画も立てやすく、効率的に人材育成を行えるでしょう。また、社内で不足しているスキルがあれば、そのスキルを保有する人材の採用にも役立てられ、人材のミスマッチ防止にもつながります。
スキルマップを導入すれば社員一人ひとりの保有スキルや得意・不得意が把握できるようになります。そのため、社員のスキルや得意を活かせる部署や職種への配置が可能です。スキルに応じて適切な人材配置ができればミスマッチを防ぎやすく、生産性の向上や業務効率向上にもつながるでしょう。離職率の低下も期待できます。
人事評価は上司や人事などによって閉鎖的に行われることが多く、なかには個人的な感情や視点から判断して評価してしまうケースもあるため、人事評価に対して不満や不信感を抱く社員も少なくありません。スキルマップを活用すれば、評価基準を明確化することで客観的な評価が可能になるため、人事評価の公平性や正確性を保ちやすくなります。また、評価基準を全社員に共有すれば部下の納得感も高められるでしょう。
スキルマップは新規事業を立ち上げる際にも活用できます。新規事業を立ち上げる際は、立ち上げに必要なスキルを持つメンバーの収集が必要不可欠です。スキルマップで社員ごとの保有スキルを把握できれば、必要なスキルを持つ人材をスムーズに集められるだけでなく、保有スキルに応じた仕事の割り振りもスムーズに行えるようになります。そのため、円滑な新規事業の推進に役立つでしょう。
スキルマップを導入すればさまざまな場面で活用できるメリットがある一方で、運用する際はデメリットがある点にも注意しなければなりません。スキルマップを導入するデメリットは、主に以下の3つです。
スキルマップは社員の保有スキルを可視化できるツールであるがゆえに、全社展開することでスキルの有無や習熟度によって優劣が生まれやすく、社員の不満につながる可能性があります。評価が高い社員にとってはモチベーションアップになり、他の社員の保有スキルが確認できることで競争心も生まれやすくなります。しかし、一方で評価が低い社員にとっては劣等感を抱く原因となり、モチベーションの低下を招くおそれがあるでしょう。
また、人によって評価が変わるような基準が設けられている場合、社員の不満や不信感は募るばかりです。そのため、社員が納得できるように公平で明確な評価基準を設定するとともに、スキルマップの導入目的や評価方法を全社員に共有して認識をすり合わせることが大切です。
スキルマップは導入から運用までに時間がかかります。業務内容の洗い出しや業務に必要なスキルの整理、評価基準の設定など、スキルマップの作成には多大な時間と労力が必要です。
スキルの漏れや抜けがある場合や評価基準が曖昧な場合は適正な評価が行えないため、慎重に一つひとつの作成プロセスを踏んでいかなければなりません。なかには数値化が難しいスキルも存在するので、全員が納得できる評価基準を設定するには事前のすり合わせも必要となるでしょう。
スキルマップは効率的にスキルアップをはかるのに役立つツールですが、スキルを重視するあまり仕事において特定のスキルを上げることや業務を遂行することだけが目的になり、組織として社会に価値を提供するという本来の仕事の目的を見失ってしまう可能性があります。そのため、定期的にスキルアップをはかる目的に立ち返るとともに、スキルマップの項目以外にも組織として必要なスキルを習得させるようにしましょう。
また、人事評価を行う際もスキルを重視しすぎないように気を付けなければなりません。人事評価基準がブレてしまうと、適正な評価が行えなくなってしまいます。仕事に対する姿勢や態度、周囲からの信頼度などはスキルマップから判断できないため、スキルマップだけで評価を行わないようにしましょう。
スキルマップにはメリットもあればデメリットもあります。そのため、メリットとデメリットの両方を理解したうえで、コツを掴んで正しく運用するようにしましょう。スキルマップの運用を成功させるためのコツは、以下の2つです。
どんなにスキルマップを適切に作成しても、評価者が導入意図や評価基準を正しく理解できていなければ効果的な運用はできません。そのため、適切に評価を行えるスキルや知識を持った人を選定することが大切です。評価の公平性を保つには、人事担当者やマネージャーが最適です。社内に適任者がいない場合は、研修を実施して評価スキルの底上げをはかるようにしてください。
スキルマップは作成して終わりではありません。企業規模の拡大に伴う社内体制の変更や業務内容の変更、企業ビジョンの変化、時代や社会情勢の変化などによって、スキルマップの導入目的や必要となるスキルは変わってくるため、スキルマップの内容は定期的に見直すことが大切です。必要に応じてスキル項目の追加や修正を行い、ブラッシュアップしていきましょう。また、スキルマップの運用で問題が生じた際にも見直しをはかり、問題点を修正するようにしてください。
スキルマップは社員の保有スキルの可視化ができるため、人材育成や人材配置、人事評価などさまざまな場面で活用できるというメリットがあります。一方で、運用までに時間がかかり、運用方法によっては社員の不満につながったり目的を見失ったりする可能性もあるので、デメリットも理解したうえで正しく運用することが大切です。また、スキルマップはあくまでスキルを可視化するものなので、スキルアップをはかる際は教育や研修を実施しましょう。
スキルマップに沿った研修を行う際は、LMS(学習管理システム)を活用するのがおすすめです。「GLOPLA LMS」は複数の研修を一元管理でき、社員の学習進捗状況も把握できるため、効率的に研修管理を行えます。操作に迷わないシンプルなUI/UXにより、社内のツール定着率向上も期待できるでしょう。スキルマップを活用した人材育成で研修の実施をご検討の際は、ぜひお気軽にご連絡ください。