LMS(学習管理システム)の主な種類|特徴と自社に適したLMSを選ぶ際のポイント

2024.08.19 更新 2024.02.19 公開

多くの企業が社内研修にeラーニングを導入しており、eラーニングの効果を高めるのに有効なのがLMS(学習管理システム)です。LMSはさまざまなベンダーが提供しており、種類によって特徴が異なります。そのため、自社に適したLMSを導入することが重要です。しかし、どのLMSが自社に適しているのか分からないという方も多いでしょう。本記事では、LMSの主な種類と自社に適したLMSを選ぶためのポイントを解説します。

LMS(学習管理システム)とは

LMSは「学習管理システム」と呼ばれており、eラーニングをはじめとした社内のあらゆる研修や学習コンテンツを集約して管理するシステムです。

学習進捗状況や受講履歴・テスト成績を確認できるため、社員一人ひとりに合った個別フォローが可能となります。また、スムーズな教材の追加・修正による最新の教材の提供、テスト結果やアンケート結果の自動集計・分析、自動リマインド機能なども備わっているので、管理者側の負担軽減につながります。

LMSを導入することで研修業務の効率化と学習効果の向上が期待でき、効果的・効率的な人材育成を実現できるでしょう。

LMS(学習管理システム)の主な種類

LMS(学習管理システム)の主な種類

LMSは提供するベンダーによって種類や特徴が異なります。自社に適したLMSを選ぶためには、LMSの種類と特徴を理解することが大切です。ここでは、LMSの種類について大きく3つの切り口に分類して解説していきます。

「オンプレミス型」と「クラウド型」

はじめに、「オンプレミス型」と「クラウド型」の違いから見ていきましょう。

オンプレミス型のメリット・デメリット

オンプレミス型とは、自社のサーバー内にLMSを構築して社内ネットワークを経由して利用するタイプの導入形式です。オンプレミス型はカスタマイズがしやすく、必要な機能や自社独自の機能を追加できる柔軟性に優れているのが大きなメリットといえます。また、社内ネットワークを利用して運用するため、セキュリティが高いのも特徴といえるでしょう。

ただし、自社でサーバーを一から準備・構築しなければならないので、導入までに時間を要し、導入費用が高い点がデメリットです。加えて、システムのメンテナンスやアップデートを自社で行わなければならず、ネットワーク障害をはじめとしたトラブルが発生した際に自社で対応しなければならないため、専門知識を持つ人材と緊急時にすぐに対応できる体制が社内に必要となります。

クラウド型のメリット・デメリット

クラウド型とは、ベンダー側で用意したサーバーを使い、インターネットを経由して利用するタイプの導入形式です。自社でサーバーを用意する必要がないため、導入から運用までの期間が短く、すぐに使用開始できます。オンプレミス型に比べて導入費用を抑えられるのもメリットといえるでしょう。

また、サーバー管理はベンダー側で行うので、システムの監視やセキュリティ対策、システムのバージョンアップなどを自社で行う必要もありません。リスク分散も行われており、災害に強いのも特徴です。

ただし、機能や操作性に関するカスタマイズが難しく、カスタマイズの可否や対応可能範囲は各ベンダーによって異なります。そのため、導入前に各ベンダーに確認すると良いでしょう。

「特化型」と「統合型」

LMSには、「特化型」と「統合型」という種類もあります。続いてこの2つの違いについて見ていきましょう。

特化型LMSの特徴

特化型とは、特定の学習領域の管理に特化したシステムです。eラーニングに特化したeラーニングシステムや、動画視聴のみに特化した動画配信システム、接客業などのマニュアルに特化したマニュアル管理システムなど、用途に応じてさまざまな種類があります。機能が厳選されている分、シンプルで視認性と操作性が高いことに加え、コストが低く導入しやすいのも特徴です。

なかには特化分野以外の機能を持つものもありますが、サブ的な機能として備わっており特定用途以外の拡張性に乏しいため、細かい設定ができない点はデメリットといえるでしょう。

統合型LMSの特徴

統合型とは、eラーニングだけでなく社内のあらゆる研修や学習のプラットフォームとして活用できる学習管理システムです。研修全般の出欠確認や受講履歴、テスト結果、アンケート結果などを集約してシステム上で管理・運用できるのが大きなメリットといえるでしょう。

ただし、機能が豊富な分、システムが複雑になりやすく、コストが高くなる傾向があるため注意が必要です。また、システムによって搭載されている機能は異なるため、導入前に自社に必要な要件を整理したうえで比較・検討する必要があります。

「企業向け」と「学校向け」

LMSは、「企業向け」と「学校向け」という種類もあります。続いてこの2つの特徴について見ていきましょう。

企業向けLMSは、新入社員研修やコンプライアンス研修、階層別研修など、企業内で実施する研修を一元管理できるLMSです。テスト結果やアンケート結果の自動集計や自動リマインド機能などを備えているため管理者側の負担軽減につながりやすいのが特徴です。また、社員を育成するために研修の目的やゴールに到達できるように柔軟に設計できることも特徴と言えるでしょう。

一方で学校向けLMSは、大学などの教育機関において、学生が科目申請や成績管理を行うことができるLMSです。学生が受講したい科目を検索しやすくしたり、希望する科目の受講申請をシンプルに設計していることが特徴です。

「LMS」と「TMS」

近年LMSとよく比較されるシステムとして「TMS」があります。

TMS(タレントマネジメントシステム)は社員のスキルや経験値、業績、評価といったあらゆる情報をデータで管理するシステムで、評価・配置・採用などの領域において人事や経営者の意思決定を支援する役割を持ち、人材配置や人事評価などに活用できます。一方、LMS(ラーニングマネジメントシステム)は人材育成の領域に特化しており、研修管理者の効率化と受講者の学習の質向上を支援する役割を果たします。

LMSとTMSはそもそも領域や役割が異なりますが、連携することで効果を最大化できます。たとえば、TMSで不足しているスキルを可視化し、LMSで必要な学習を行ってスキルを習得させるというように、効果的に人事戦略を実施できるでしょう。

また、TMSに内包されるタイプのLMSもあります。TMS内包型LMSはデータ連携がスムーズに行えることが最大のメリットです。ただし、UIの情報が多いために受講者が使いにくいと感じることも多く、学習管理の機能が十分に備わっていなかったりするケースもあるので、受講者の学習体験の向上や人事の研修業務の最適化・効率化を重視するのであれば、独立型のLMSを選ぶと良いでしょう。

特長別のLMSの種類

主なLMSの種類をご紹介しましたが、特長や搭載機能は提供ベンダーによって異なります。ここでは、何を実現することに強みを置いているかといった特長別のLMSの種類もご紹介します。

研修管理業務の効率化に特化したLMS

LMSが実現できる価値の一つとして、研修管理業務の効率化が挙げられます。管理者の研修オペレーション業務を自動化・削減し、煩雑な研修管理にかかる時間を大幅に削減することができます。基本的にどのLMSでも実現できる価値ですが、実施する研修種別によっては、そもそも管理することが難しかったり、かえって工数が増えてしまったりするケースもあるので注意が必要です。

社員の学習体験の向上に特化したLMS

管理者ではなく、受講する社員の学習体験に重きを置いたLMSもあります。社員が積極的に学んでスキルアップをしていく自律学習文化を醸成するためには、ストレスなく楽しみながら学習できる環境が必要です。学習体験の向上を目的としたLMSは、場合によっては、管理者の管理工数の増加や研修フロー再設計が求められることもあります。そのため、管理業務の効率化と社員の受講体験のどちらを重視するべきかは、社内であらかじめ整理しておくことをおすすめします。

また、レコメンド機能などを搭載し、パーソナライズされた学習体験を提供できるシステムを、LMSと区別してラーニングエクスペリエンスプラットフォーム(LXP)と呼びます。

関連記事「LXP(学習体験プラットフォーム)とは?実現できることや注目される背景、 LMSとの違いを解説」

マニュアルなど動画教材の配信に特化したLMS

LMSは研修の提供だけでなく、マニュアルやeラーニングなどの動画教材を配信・管理することもできます。動画をLMS上に簡単にアップロードでき、アップロード容量の制限がないなど、動画配信・管理に特化したLMSもあります。自社で管理したい教材に合わせて、LMSを選ぶことが重要です。

自社に合ったLMSを選ぶ際の確認ポイント

自社に合ったLMSを選ぶ際の確認ポイント

LMSにはさまざまな種類があることが分かりました。LMSは種類によって特徴が異なるため、自社が実現したい研修環境に合致するLMSを選ぶことが大切です。LMSを選ぶ際の確認ポイントは以下の通りです。

導入目的を実現できるか

まずは、なぜ自社でLMSを導入するのかを明確にする必要があります。現在どのような研修をどのくらいの工数をかけて運用しているのか、どれほどの学習効果が見込めるのかなどの現状を正しく把握し、その中で何が課題であるかを整理しましょう。たとえば、研修のオペレーション業務にかかる時間が膨大で他の業務を圧迫していることや、手挙げ式の研修で受講者を募集しても受講希望者が少ないことなどが挙げられるでしょう。

どのようなシステムであればその課題を解決できるのかを、運用面・機能面の要件を洗い出すことで、最小限の機能に限定した特化型が良いのか、研修全般をカバーできる統合型が良いのかを判断することができます。

自社のインフラに適した導入形態か

自社のインフラに適した導入形態かどうかを確認しましょう。自社のサーバーを使用するオンプレミス型はセキュリティの高さやカスタマイズ性に優れているため、自社のセキュリティレベルで管理・運用を行いたい場合におすすめです。

一方、ベンダー側が提供するサーバーを使用するクラウド型はベンダー側でサーバーを管理しているので、自社でサーバーの準備・構築やシステムメンテナンス、アップデートなどを行う必要がありません。そのため、運用・管理の手間を削減したい場合はクラウド型の導入を検討すると良いでしょう。また、初期費用も抑えられるので、予算を抑えたい場合にもおすすめです。

自社のセキュリティレベルや運用・管理の手間、予算などを踏まえて、インフラに適した導入形態のLMSを選ぶようにしましょう。

サポート体制は整っているか

LMSを検討する際は、機能だけでなくサポート体制が整っているかを確認することも重要です。せっかくLMSを導入しても、システムを使いこなせなければ効果を発揮できず、社内への定着も難しくなります。

そのため、導入から実装、さらには導入後の定着から運用までしっかりサポートしてくれるベンダーを選べば、疑問や不明点を解消してスムーズに導入・運用できるようになるでしょう。

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まとめ:LMSは種類が豊富!自社に合ったLMSを選ぼう!

LMSはさまざまな種類があり、導入形式や搭載されている機能、かかるコストなどが異なります。そのため、自社の導入目的に合致するLMSを導入することが大切です。また、自社の抱える課題を解決して社内に定着させるには、機能だけでなくコストやサポート面、操作性など多角的な要素からLMSを検討することが欠かせません。

「GLOPLA LMS」は、さまざまな研修や学習を一元管理できる統合型のLMSです。誰でもサクサク使いこなすことができ、カスタマーサクセスが導入後の定着から運用までサポートするため、管理者側も受講者側も迷わず使えて、スムーズに研修を実施できます。研修設計支援により質の高い研修を提供でき、初めてLMSを導入する場合も安心して運用できるでしょう。LMSの導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご連絡ください。

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