eラーニングとは、社内研修や育成に活用されているオンライン学習の1つです。eラーニングは多くの企業で導入されているものの「よく耳にする言葉だけど詳しくは知らない」という方も少なくないのではないでしょうか。本記事では、eラーニングの概要やメリット・デメリット、導入に必要なもの、近年のeラーニングのトレンド、運用のポイントについて解説します。
eラーニングとは、オンライン上で行う学習方法です。eラーニングの「e」は「electronic」の略で「電子的な」を意味しており、パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを用いてインターネットを経由して学習に取り組みます。
eラーニングは講師と学習者が同じ場所に集まる必要がなく、時間や場所を問わず、学習者が各自で学習に取り組めるのが特徴です。なお一般的には、Zoomをはじめとした会議ツールを使用して、オンライン上で同時間帯に行う集合研修はeラーニングには含まれません。
また、eラーニングは「教材」と呼ばれる学習コンテンツと「LMS」と呼ばれる学習管理システムで構成されています。学習管理システムを活用することで、eラーニングの効果を最大化でき、学習者の効率的な学習をサポートします。
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eラーニングには、従来の集合研修にはない、多くのメリットがあります。eラーニングを活用することで得られるメリットは、主に以下の6つです。
eラーニングはインターネット環境下であれば、時間や場所を問わず利用できます。そのため、いつでもどこでも学習できるのが大きなメリットです。
従来の集合研修では、特定の日時に特定の場所に集まって、講師が学習者に直接講義を行う必要がありました。そのため、時間調整や実施のためのコスト・労力がかかるなどの問題が発生します。
eラーニングを活用すれば、職場や自宅、通勤中でも気軽に学習が可能です。また、テレワークをしている社員や勤務時間が変則的な社員など、多様な勤務体系にも対応しやすいので、学習機会の増加が期待できるでしょう。
eラーニングは時間や場所の制限なく、自分のペースで繰り返し視聴が可能です。苦手分野を集中的に学習するというように各自の達成度に応じて自由に学習できるため、理解度向上につながるというメリットがあります。
また、eラーニングは音声や動画によって解説されるものが多く、書籍やテキストで学習するよりも直感的に理解しやすいのが特長です。eラーニングを活用することで、より効果的な学習が期待できるでしょう。
eラーニングは学習管理システムを活用することで、学習進捗状況やテスト結果を一元管理できるようになります。学習者の学習がどこまで進んでいるか、どの程度理解できているかなどをリアルタイムで把握できるため、社員一人ひとりに合った学習コンテンツの提供や個別フォローが可能です。
また、テストの採点や集計といった手間の削減や管理者側の負担の軽減にもつながるので、効率的に研修を実施できるでしょう。
従来の集合研修やオンライン研修では、講師が直接学習者に講義を行うのが一般的であるため、講師によって学習の質が左右されるという課題がありました。また、集合研修では社員の習熟度に合わせてカリキュラムを個別で再構築していくことが難しく、学習効果に差が生まれやすくなります。
eラーニングなら、同じ教材を使って学習するので講師の質に影響されることなく学習の質を均等化できるというメリットがあります。社員一人ひとりの苦手分野や課題に応じた学習コンテンツの提供も可能であるため、学習効果も高めやすいでしょう。
eラーニングは、使用する教材やプログラムはサーバー上に保存されるため、教材の追加や変更、修正をすぐに行いやすいという特長があります。また、変更内容は迅速に反映されるので、常に最新の教材を提供できるのは大きなメリットです。
たとえば、社内体制に伴う業務内容の変更、法改正による制度の変更などが生じた際も、最新の情報を反映した教材を配信することで、学習者は知識をアップデートしながら学習に取り組むことが可能です。
従来の集合研修では、会場の手配やレンタル代、スケジュール調整、講師代、教材の印刷代、交通費というように研修運営にかかるコストや手間が多く発生していました。
eラーニングは社員が各自のペースで時間や場所を問わず学習できるようになるため、集合研修で発生するようなコストや手間を削減できるというメリットがあります。eラーニングを活用することで、企業の規模や拠点に関わらず、一斉に研修を実施できるようになります。
eラーニングには多くのメリットがある一方で、デメリットもある点にも注意しなければなりません。eラーニングのデメリットは、主に以下の4つです。
eラーニングはいつでもどこでも学習できるという気軽さが魅力な反面、学習者の自律的な学習が必要不可欠な学習方法でもあります。そのため、学習者の学習意欲に依存しており、学習者に任せきりにしてしまうとモチベーションが低下しやすくなるというデメリットがあります。
動画コンテンツやクイズ形式の学習コンテンツの提供、個別チャットやアンケート機能などによるコミュニケーションの活性化、学習者の上司による受講促進のサポートなど、学習者のモチベーションを維持するための取り組みや環境整備が必要です。
eラーニングはインターネット環境下での端末によるオンライン学習が一般的であるため、スポーツをはじめとした実技を伴う学習には不向きというデメリットがあります。体験学習や実技によって知識・スキルの習得やスキルアップを目指したい場合、eラーニングは効果を発揮しにくいでしょう。
ただし、英語をはじめとした語学学習であれば会話ツールの活用で実施が可能です。すべての実技学習が困難というわけではないので、自社に必要な研修内容とeラーニングの相性を確認したうえで、導入を検討するようにしてください。
eラーニングの実施には学習教材が必要です。一般的には、ベンダーが提供する学習教材をそのまま活用することが多く、内容を自社に合わせてカスタマイズすることは難しくなります。学習教材作成のノウハウや技術がない場合、自社で学習教材を1から作成するのは容易ではありません。
汎用的なビジネス知識や最新のDXスキルなど、ベンダーによって提供できる学習教材は異なるため、自社の社員に必要な教材を持っているベンダーを選ぶ必要があります。
ベンダーが提供する学習教材のなかに自社に必要な学習教材がない場合は、自社で教材を作成しなければなりません。たとえば、自社の経営理念やルールなどを盛り込んだ教材や、自社独自の製品・サービスを説明する研修用教材は、自社の状況を知っている人が作成に関わる必要があります。
しかし、ノウハウがまったくない状態で学習教材を作成するのは困難です。その場合、手間やコストがかかる可能性が高い点に注意しましょう。
eラーニングで効果的に学習を進めるためには、さまざまな環境の整備が必要です。eラーニングの導入に必要なものとして、以下の4つが挙げられます。
学習管理システムはインターネット上でeラーニングを運用するためのプラットフォームで、LMS(Learning Management System)とも呼ばれています。LMSはeラーニングをはじめとした社内のあらゆる研修や学習コンテンツを管理できるシステムです。
学習者と教材の管理も可能で、新入社員や役職者など階層別に受講する教材を割り当てることもできるため、効果的な人材育成につながるでしょう。また、進捗状況の一元管理もできるので、社員一人ひとりの習熟度や課題に合わせた個別フォローを実現します。
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eラーニングには、学習教材(学習コンテンツ)が必要です。学習教材には、テキストや図表による解説教材のほかに、動画教材、アニメーション教材などさまざまな種類があります。研修の目的に応じた学習教材が必要となるため、学習効果の高いものを選ぶようにしましょう。
また、学習教材はベンダーが提供しているものを利用するほか、eラーニングの専門業者に作成を依頼する、自社で作成するといった方法があります。
SCORMとは「Shareable Content Object Reference Model」の略で、eラーニングを共通化するための国際的な標準規格を指します。たとえば、DVDやBlu-rayが世界標準の規格となっていることですべてのメーカーの機器で再生できるのと同じで、eラーニングもSCORM規格のLMS・学習教材であればより多くの人が利用できるようになります。
そのため、規格に準拠したLMS・学習教材を用意することで、同規格の教材を自由に組み合わせて学習することが可能です。
学習者が学習意欲やモチベーションを維持しながらeラーニングを実施できるように、学習者への支援が欠かせません。そこで注目されるのが、学習アドバイザーやチューターと呼ばれる存在です。
学習者の相談や質問への回答やアドバイスなどを行い、学習者のトータルケアをしてくれます。支援を受けることで、学習者はモチベーションを維持しながら継続的にeラーニングで学習を進められるでしょう。
近年では、デジタルデバイスの発展やAI・VRなどのIT技術の進歩によって、eラーニングの学習教材が多様化しています。近年のeラーニングのトレンドとして、以下の2つをご紹介します。
従来のeラーニングは、実技を伴う学習には不向きでした。しかし、近年ではVR技術やロール・プレイングの手法を使った「実践型eラーニング」が誕生し、疑似的な体験を通した学習が可能になってきています。
接客やトラブル発生時の対処方法など、実践型eラーニングで疑似的に体験しながら学ぶことで、動作を伴う業務スキルを習得できるというメリットがあります。導入のコストはかかりますが、効率的に現場教育を実施でき、多大な費用対効果が見込めるでしょう。
アクティブラーニングとは、学習者の主体的な学びを促進する学習スタイルです。たとえば、体験学習や問題解決学習、グループ・ディスカッション、ディベートなどが挙げられます。eラーニングを活用してアクティブラーニングを実施する場合、講義を行ったあとに問いかけやディスカッションを行うことで、学習者が受け身でなく主体的に学び、理解を深められるようになります。
このように、eラーニングとアクティブラーニングを組み合わせることで、考えをより深める行動を促進し、効果的な教育を実現できるようになるでしょう。
eラーニングはただ導入しただけでは意味がありません。eラーニング運用のポイントは、以下の2つです。
eラーニングを活用することで、業務に必要な知識やスキルを効率的に習得できます。しかし、導入すること自体を目的にしてしまうと、eラーニングの効果が低下するおそれが高いので注意が必要です。
そのため、まずは自社でなぜeラーニングを導入するのか、導入の目的を明確にしましょう。目的を明確にすることでeラーニングに必要な要件も明確になり、自社に合ったeラーニングを導入できれば、自社の課題解決や質の高い研修の実施が可能になります。
eラーニングはいつでもどこでも受講できる反面、学習頻度は学習者の自主性に依存する傾向があります。そのため、いかに社員の学習を促進できるかどうかが、eラーニングの運用を成功させるポイントといえるでしょう。
学習を促進するには、個別フォローやリマインドなどの機能を活用するだけでなく、誰がなぜ学習に至っていないのかを分析する必要があります。社員がそもそもeラーニング施策を知らないのか、知ってはいるものの内容に興味がないのか、興味はあっても学習するまでにハードルがあるのかなど、要因によって学習促進の打ち手は変わってくるでしょう。
これらはLMSを通じて把握することが可能です。eラーニングを運用する際には、LMSを活用したデータ分析の仕組み構築・打ち手検討の体制なども合わせて検討しておくことをおすすめします。
eラーニングはいつでもどこでも学習できるため、すべての社員が学習しやすく、スピーディーな人材育成やスキルアップにつながります。ただし、eラーニングの効果を最大化するにはLMSや質の高い学習教材の活用が欠かせません。
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