サクセッション・プランニング
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サクセッション・プランニングにおいて重要なこと
社会的な要請の高まりもあり、サクセッション・プランニングを検討する企業が増えています。しかし「自社の選抜研修をなんとかしたい。サクセッション・プランニングなるものを導入したら、うまくいくのではないか?」と誤解をしているケースも少なくありません。
サクセッション・プランニングで扱う人事施策は、選抜研修などの育成に関わるものだけではありません。サクセッション・プランニングを成功させるには、経営戦略を実現するための重要ポスト・要件の明確化、候補人材の発掘、さらには育成後の配置など非常に幅広い領域へ、人事が踏み込んでいく必要があります。サクセッション・プランニングのこの点を認識しておくことが大切です。
グロービスは様々な業界の企業へサクセッション・プランニングのサポートを行い、運用の事例や独自の知見を蓄積しています。このため候補者の育成はもちろん、導入から運用まですべてのプロセスを支援することが可能です。
サクセッション・プランニングの特長
経営や人材マネジメントを熟知した担当コンサルタントによる包括的な支援
サクセッション・プランニングにおいては、人事部の業務範囲外のことにまで踏み込んでいくことが求められます。たとえば重要ポストの選定には経営戦略の知識が不可欠です。また重要ポストへの人材登用において、人事にコントロール権がない場合もあるでしょう。企業によっては指名委員会や取締役会への報告にとどまらず、積極的に関係者を巻き込みながら進めることも求められます。
このようなハードルを乗り越えるために、グロービスのコンサルタントがサクセッション・プランニングのすべてのプロセスに伴走します。グロービスのコンサルタントの多くはMBA(経営学修士)を取得しており、経営戦略や人材マネジメント(HRM: Human Resource Management)に対する知見も豊富です。様々な企業へ寄り添ってきた経験を生かしながら、サクセッション・プランニングを包括的に支援いたします。
アセスメントやLMSによる人材の把握・評価選抜のサポート
サクセッション・プランニングの難所のひとつが、候補者人材の把握・評価・選抜です。「ポテンシャルによる評価基準が明確でないため、上司による恣意的な評価に固執しがち」「人材データベースはあるが、経営リーダー人材の選抜に必要な情報が揃っていない」といったお悩みをよくお聞きします。グロービスではアセスメント・テスト、LMSといったHRMサービスを揃えており、これらを解決するためのサポートも可能です。
- アセスメント・テスト(GMAP)による客観的な選抜と評価の支援
- ラーニング・マネジメント・システム(GLOPLA LMS)による育成履歴の可視化と人材スキルの把握
- 行動観察(プロセスオブザベーション)によるリーダーとしてのポテンシャル(能力・資質)を測定(※)
※一定期間行う経営人材育成プログラムの付随サービスであり、ご提供には様々な要件がございます
複合的な研修プログラムを設計し選抜人材を育成
サクセッション・プランニングにおいて、選抜人材の育成計画の策定・実行は、中核プロセスの1つです。グロービスは年間3,300社以上の企業へ研修を提供してきた経験を生かし、選抜人材の育成計画について複合的な支援が可能です。たとえば以下のような支援を通じて、サクセッション・プランニングにおける選抜人材の育成をサポートします。
- 担当コンサルタントがお客様と議論をしながら、状況に応じた最適な研修プログラムを企画
- 企業内研修(講師派遣型)、スクール型研修、eラーニングを組み合わせ、それぞれのメリットを生かした学びを提供
- 講師からのコメントや受講者アンケートをもとにした、振り返りのプロセスを重視する設計
サクセッション・プランニングを一貫して支援
サクセッション・プランニングは単発のイベントではなく、一連の継続的なプロセスです。いずれのプロセスにおいても、グロービスがご支援いたします。お気軽にご相談ください。
サクセッション・プランニングへの対応がもたらす成果
お客様の声
サクセッションプラン策定会議を定期的に開催
後継者育成が課題で、特に経営層の世代交代に向けた準備が不十分でした。グロービスの担当コンサルタントには、自社の現状分析から始まり、重要ポジションの特定、候補者の選定基準の設定、育成計画の立案まで、常に議論をリードしていただきました。経営陣を巻き込んだサクセッションプラン策定会議を定期的に開催するようになり、各部門の次世代リーダー育成に対する意識が高まったことも成果の一つです。
新規事業創造とDX関連の育成プログラムをスタート
フィンテックの台頭により、従来の金融の枠を超えた事業創造が急務となり、それを行えるポストへの人材の登用が求められていました。グロービスの担当コンサルタントと議論しながら、新規事業創造とDX関連で必要な人材要件を整理し、新たな育成プログラムを構築。特に、選抜型の専門教育プログラムの設計が効果的でした。
受講者の状況に応じて研修内容をチューニング
既存事業の強さゆえに、安定を求める傾向が強い組織風土がありました。時代の変化に合わせながら成長し続ける企業であるためには、リーダー層の行動変容が必要でした。そこでキーポジションを担う可能性のある社員を対象に、約1年間にわたる研修プログラムを実施。社長との対話、経営スキル習得、自社課題への提言など、段階的なプログラムを展開しました。受講者の状況を見ながら、グロービスの担当コンサルタントの方が研修内容をチューニングしてくれたことも、功を奏したと思います。劇的に行動が変化した従業員も現れており、今後も長期的な視野で取り組んでいくつもりです。
研修の満足度
サクセッション・プランニングに資する人材育成プログラム
リアル・オンラインの研修サービスはもちろん、効果測定や研修の仕組みづくりまで、お客様の育成施策を全方向からサポートいたします。
企業内研修(講師派遣型)
体系化されたプログラムを組み合わせて提供する定型プログラムと、個々の課題に対して設計したテーラーメイド型プログラムを用意しています。どちらの形態でも、特定領域を深く学ぶものから広く網羅的に学ぶもの、知識習得から実践度合いを高めるものまで、お客様の経営課題に合わせて、最適なプログラムを提供します。さらに講師数460名と国内最大級の研修体制を持っているため、大規模な研修でも問題なく実施できます。
定型プログラム | テーラーメイド型プログラム | |
---|---|---|
概要 | 学習効果を最大化できるよう標準化したサービス/プログラムから、お客様ごとに組み合わせたソリューションを提供する | お客様ごとにサービス/プログラム設計を含めて、テーラーメイドしたソリューションを提供する |
提供方法 | リアル/オンライン | リアル/オンライン |
定員 | 1クラス8名~25名 | 1クラス8名~25名 |
研修時間 | 1日7時間(リアル) 1日3時間×2回(オンライン) | 1日3.5時間~(リアル/オンライン) |
サクセッション・プランニングの進め方の例
管理職登用に向けたアセスメントや、結果に応じた配置・育成への低減、ツールの提供などを行うプログラムの例です。定例会議を通じて仕組みづくりをサポートします。
より詳しい内容は以下のページをご覧ください。
スクール型
スクール型研修プログラム(オープンスクール)をリアルとオンラインの両方で提供します。1名様からご参加いただけるのはもちろん、企業内研修(講師派遣型)と組み合わせた長期の研修プログラムとしてもご活用いただけます。スクールはさまざまな業界・業種のビジネスパーソンが集まる「他流試合」です。社外の価値観に触れることでリーダーとしての知見が深まり、視野が広がるきっかけとなります。
企業の中核を担うマネジメント層向けに開発された経営幹部養成プログラムです。ビジネスの最前線で活躍するリーダー達の豊富な経験や知見を生かし、企業を変革に導くリーダーを育成します。
累計取引企業数3,750社以上、17万人のビジネスパーソンが選んだ研修サービスです。経営に関する「ヒト」「モノ」「カネ」「思考」の4領域・計14科目から選択でき、全6回・3か月にわたって実践的なプログラムを行います。
各領域の理論・フレームワークの理解や、それらの活用方法を学ぶSTEP1(基礎科目)と、各領域の知識・スキルをもとにビジネスの現場での意思決定力や実践力をさらに高めるためのSTEP2(応用科目)があります。個々人の課題感やレベルに合わせてプログラムを選択できるため、複数階層の育成にも対応可能です。
在校生と累計卒業生数は約11,260名(2024年5月1日現在)と、日本で最も選ばれている経営大学院です。経営に必要なスキルとマインドを約24科目・標準2年(〜最大5年)で体系的に学習し、経営者と同じ目線・共通言語をもった次世代リーダーを育成します。
eラーニング
MBA基礎だけでなく、DX、英語、資格取得など幅広くカバーする3,400コース以上の動画コンテンツを定額で提供。学んだ内容の定着度合いを測るビジネスアセスメント機能や、個々の課題に合わせたAIレコメンド機能など、学びを好循環させる受講機能も備えています。
これらの機能を活用することで、動画を視聴するだけではない、自律的な学習を促します。さらに管理者向けの機能も充実しており、管理・運用面での負担も減らせます。
MBAの基礎科目を1科目から受講できます。クリティカル・シンキング、マーケティング、経営戦略、アカウンティング、ファイナンス、人材マネジメント、組織行動とリーダーシップの計7科目から、身につけたい知識やキャリアに応じてお選びいただけます。
GLOBIS 学び放題を英語ネイティブの方にむけて最適化しました。リーダーシップ、戦略、マーケティング、ファイナンスなど、MBAプログラムに対応したビジネスナレッジを英語で学べる定額制の動画学習サービスです。
アセスメント・テスト
GMAPはビジネスパーソンの能力を客観的に測定するテストです。考える力・論理思考(クリティカル・シンキング)と経営の定石(ビジネス・フレームワーク)の領域でビジネスパーソンの理解度と実践度合いを測定します。累計65万人(2024年8月時点)の受験データをもとに、日本のビジネスリーダー層と自分のスキルレベルを比較することができます。研修後の効果測定はもちろん、GMAPのスコアから育成課題を特定するなど、さまざまな方法でご活用いただけます。
学習管理システム
GLOPLA LMSは、研修運営のノウハウを熟知したグロービスが開発した学習管理システムです。学習活性化や育成施策の改善など、組織全体の育成を加速させます。また、社内外の研修のオペレーション業務や受講履歴を一元管理することで、複数の運営プロセスを自動化・省略化し、1研修あたりの作業工数を最大で1/3にまで圧縮できます(※当社推計)。
研修サービスの品質を支える体制
ビジネスの最前線で活躍する実務家講師
グロービス独自の厳しい基準をクリアした人材のみが講師として登壇。講師は経営者やコンサルタントなどの実務経験を持ち合わせるビジネスのプロフェッショナルでもあります。数々のクラスで磨きこんだティーチングスキルによって、受講者自らが考えアウトプットするための場をつくります。
最新かつ実践的な教育コンテンツを届け続ける体制
グロービスの研究開発部門では、研修などの教育現場やベンチャーキャピタルの投資先から収集した最新のビジネス知見を基に、独自の教育コンテンツを開発しています。研究開発部門には現役・実務家教員が属し、研修/スクールプログラム、GLOBIS 学び放題の動画教材、書籍、ウェブサイトなどのコンテンツを、ビジネスの現場で役立つ内容にブラッシュアップし続けています。
サクセッション・プランニングへの対応事例
業種 | 製薬メーカー |
対象層 | 選抜研修の修了者 |
育成ストーリー | サクセッション・プランニングの仕組みを整えたいと、グロービスへ相談をいただきました。グロービスの担当コンサルタントと共に議論を重ね、人事・各本部長・人材開発委員会が協力して選抜人材を輩出していく仕組みを作り上げました。 |
支援のポイント | ①選抜者を詳細にデータ化すること 選抜研修の修了者を対象に、アセスメント及びキャリア研修の受講とキャリアシートの提出を行うようにしました。これにより、定量・定性でのデータを収集し、対象者の課題抽出や育成要件の見直しに役立てています。キャリアシートのデザイン・アウトプットは、グロービスの支援のもと行いました。 ②本部を超えた育成を前提とすること 人材開発委員会を設置することで、部門最適に陥らない仕組みを構築しました。人材開発委員会においては、グロービスの担当コンサルタントがファシリテーションを担当し、推進をサポートしています。 ③データを下に本部長が育成プランを明示すること 本部長に「将来期待する役割・ポジション」「本人の持ち味と今後の課題」「いつまでにどのような経験を積み、どのようなスキルスタンスを身に着けてもらいたいか?」といった育成プランをキャリアシートに記入してもらいます。その内容を基にグローバル子会社への配置なども視野に入れて、具体的な配置案を決定する仕組みを構築しました。 |
サクセッション・プランニングの対応に関する質問
- 選抜研修とサクセッション・プランニングの違いはなんですか?
選抜研修は主に「人」を起点としています。将来有望と思われる人材を選び出し、その層全体の能力を引き上げることが目的です。「この人には将来性がある」という判断から始まり、その人材の育成に焦点を当てます。
一方、サクセッション・プランニングは「ポジション」を起点としています。まず組織にとって重要なポジションを特定することから始まります。「このポジションが将来の組織に不可欠だ」という認識のもと、そのポジションに必要な能力や経験を定義し、それに適した後継者を探し、育成します。つまりサクセッション・プランニングでは、「優秀な人材がいるから、その人を育てよう」というアプローチではなく、「このポジションに必要な人材をどう確保し、育成するか」という視点で進めていきます。
- どのように候補者を選抜すればよいですか?
候補者の選抜方法には、大きく分けてリスト方式とプール方式があります。リスト方式は、確実な補充を重視し、対象のポジションに公認候補を結び付けて管理する方法です。たとえば、A部長のポジションに対して、3人の課長を後任候補として育成していくアプローチです。
一方プール方式では、一定の階層に対する公認候補をグループで管理します。たとえば、複数の部長ポジションに対して、課長クラスの人材で候補群を形成し、将来的にいずれかの部長ポジションに就く可能性のある人材として育成します。上位のポジションにはリスト方式を取るのが主流となっていますが、近年では事業展開が過去の延長線上にないという問題意識もあり、上位ポジションにプール方式を活用するケースも増えています。
- 重要なポストの人材要件定義は、どのように進めるのがいいでしょうか?
まず人材育成において重視する要件を定め、それを階層別にブレイクダウンします。たとえば、重視する要件を「変化を構想する力」「変革を実現させる力」「変化を生み出す原動力」の3つと定めたら、それをもとに各階層の育成方針を定めます。
ただし候補者が選定要件を満たしていたとしても、不適と判断すべき要因(ノックアウトファクター)も定義しておくことが重要です。ノックアウトファクターには、上位者と下位者に対して極端に態度が違う、部下と過度に競争的になる、感情的なコントロールができない、などが考えられます。
企業がサクセッション・プランニングに取り組むべき理由
企業が持続的に成長するために欠かせない取り組み
サクセッション・プランニングとは、企業の将来を担う次世代リーダーを計画的・意図的に輩出するための一連の取り組みのことです。急速に変化するビジネス環境下で、企業が持続的に成長するには、経営に携わる人材のパイプラインを維持することが不可欠です。サクセッション・プランニングを導入することで、企業は以下のようなリスクを軽減できます。
- 重要ポジションの突然の空席
- 適した人材の将来的な不足
- 戦略変化に対応できる人材の不足
- 昇進機会の喪失によるモラルダウン
- 社外からの採用のみで補った場合の失敗
社会からもサクセッション・プランニングの取り組みへの要請が強まっています。2018年に改訂されたコーポレートガバナンス・コードでは、後継者の育成への積極的な対応を求めています。またISO30414(人的資本情報開示のガイドライン)では、サクセッション・プランニングに関する情報開示指標が設定されており、企業の取り組みを可視化する動きが強まっています。
サクセッション・プランニングの難所
しかしサクセッション・プランニングは、企業にとって簡単な取り組みではありません。各プロセスにおいて、様々な難所が存在します。以下は、その一例です。
- 戦略の実現における重要ポスト・要件の明確化
今後起こりうる業界や経営環境の変化に合わせ、将来求められる人材要件を定義することが難しい - 候補者の把握・評価と選抜・確保
ポテンシャルによる評価基準が明確でなく、評価データが上司による恣意的なものしかない - 人材育成計画の策定・実施と育成環境の整備・支援
事業部門が優秀な人材を抱え込み手放さないため、他部門での多様な経験を積ませることができない - 重要ポストへの登用
重要ポストへの登用について、人事部にコントロールする権限がない - 育成結果の評価と関連施策の再評価・見直し
成果が見えにくい中で、成功・失敗に関する適切な評価軸を持つことが難しい
これら以外にもサクセッション・プランニングの難所は存在し、それらについて検討・解決していく必要があります。そのため、後継者が必要になってから慌てて取り組もうとしても、間に合わないかもしれません。企業は長期的な視点に立ち、後継者を計画的に育成する必要があるのです。
サクセッション・プランニングを成功させるポイント
経営トップ・部門責任者を巻き込む
まず認識すべきは、サクセッション・プランニングは単なる育成施策ではなく、全社を巻き込んだ取組みだということです。したがって、経営トップ・部門責任者、企業によっては指名委員会・取締役会を巻き込み、本気で取り組んでもらうことが不可欠です。そのコミットがないと、優秀人材を抱え込まれてしまう、候補者選定に必要なデータ収拾に協力してくれない、といった社内調整を乗り越えることが困難になります。トップの巻き込みがサクセッション・プランニングにおいては重要であり、それが人事の役割だと認識することが必要です。
単発のイベントではなく、一連の継続的なプロセスであることを心がける
サクセッションプランニングの各プロセスは、単発で行っても効果が薄い施策となってしまいます。よく聞く失敗例としては「後継者候補のリストを作成しただけで満足し、その後の育成計画が疎かになってしまう」「育成はしたけれど振り返りが無く、重要ポストへの登用も行われない」などがあります。大切なことは、一連の継続的なプロセスであることを認識し、最後までやり切ることです。その点が、サクセッション・プランニングが単なるOFF-JTと異なる大きな要因といえます。
サクセッション・プランニングの鮮度を保つ
サクセッション・プランニングは、一度策定すれば終わりというものではありません。外部環境の変化、経営戦略の変化により、重要なポストや要件は時々刻々と変化していきます。そのためサクセッション・プランニングも、定期的に見直す必要があります。、例えば半年ごとなど、定期的に更新する仕組みを設けることをおすすめします。企業の直近の状況がサクセッション・プランに反映されているからこそ、退職などが急に発生した場合にも、適切な後継者を後任に据えることができるのです。