Case Methods

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ケースメソッド

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GLOBIS In-house Training

グロービスで採用している学習手法「ケースメソッド」について、その内容と得られる効果、学び方や注意点まで詳しく解説いたします。

「ケースメソッド」の最大の強みは、研修での学びを実務に転用・応用しやすいことです。
育成施策をご検討の際、ぜひ参考になさってください。

花崎 徳之
監修者
花崎 徳之
グロービス・コーポレート・エデュケーション
マネジング・ディレクター

グロービス・コーポレート・エデュケーション(GCE)部門のマネジング・ディレクターを務める。講師としては、企業研修・エグゼクティブスクール・グロービス経営大学院において、マーケティング・経営戦略・論理思考・リーダーシップなど幅広い領域ならびにアクションラーニングの登壇多数。またマーケティング研究グループのリーダーとして、同領域のコンテンツ開発・講師育成を統括している。

越野 綾
執筆者
越野 綾
グロービス・コーポレート・エデュケーション
法人マーケティングチーム

グロービス入社後、様々な業界企業の戦略実現・組織開発に資する研修体系構築支援、研修プログラムの企画~実施を担う法人営業を経て、現在はBtoBマーケティングチームに所属。

  1. ケースメソッドとは

    はじめに、「ケースメソッド」の内容と特徴について概要をお伝えします。

    1. ケースメソッドとは、ケース(企業事例)を活用して学びを得る学習手法のこと

      ケースメソッドとは、実際のケース(企業事例)を学びの題材として、課題解決力(分析・課題特定・意思決定)を鍛える学習手法のことです。

      ケースとは、“とある企業で起こった出来事”について、情報が網羅的に記載されているものです

      ケースに登場する主人公は、何らかの意思決定を求められる場面に直面しています

      グロービスでは1クラスあたり8名~25名程度に集まって受講いただき、そのクラス全員に、登場する主人公になったつもりで「自分ならどのように意思決定し、行動するか」を深く思考してもらいます。そして各々の思考プロセスや意思決定したことについて、講師のファシリテーションのもと、クラス全体のディスカッションを通じて理解を深めていく方法をとっています。
      (※詳しい学習方法については3章で解説します)

      【ケースにご関心をお持ちいただいた方へ】
      グロービスにお問い合わせ後、弊社営業担当との商談にてご相談いただきましたら一部ケースのサンプルを閲覧いただくことが可能です。(紙・データのお渡し等は承っておりませんのでご了承ください)

    2. ケース(企業事例)を活用するのは、議論する場面の風景を合わせるため

      複数人集まるクラスにおいて、受講者全員の経験値や価値観が揃っているということはまずありません。そうした中で、同じ学習ポイントに向かって活発に議論してもらうためには、議論の土台となる「場面の風景」を揃える必要があります。

      ここで、ケースは触媒のような役目を果たします。なぜなら、ケースという共通の情報を通じて、受講者たちが主人公の置かれた状況や感情についての共通見解を持つことが出来るからです。

      共通のケースを題材として、まずは自身で分析・解釈をし、さらにクラスメイトと同じ土台で議論することを通じて、学習対象の概念・理論の理解が進んでいきます。

    3. 「ケースメソッドは机上の空論」という誤解

      「ケースメソッドは机上の空論ではないか」という疑問を筆者もたびたびお受けしますが、これは誤解です。冒頭でもお伝えしたとおり、ケースメソッドは、実務に転用・応用可能な学びを最も得やすい学習手法なのです。

      理由を詳しく解説します。

      【理由】ケースメソッドは、ケース「を」学ぶのではなく、ケース「で」理論やアプローチ方法を多面的に学べるから

      ケースメソッドは、ケースそのものを学ぶのではなく、ケースを使いながら様々な理論やアプローチ方法、分析・解釈するプロセスを学ぶことができます。
      混同されやすい手法の「ケーススタディ」と比較しながら、さらに詳しく見ていきましょう。

      ケースで学ぶ図

      「ケーススタディ」は、題材となったケース(企業事例)についての執筆者の解釈・分析を学ぶ手法です。
      この手法の場合、過去に起こったケースについて、執筆者の解釈や分析をもとに理解を深めていくことになります。つまり、ケーススタディでは個別具体的なケースそのものの理解に留まるため、ここでの教訓や知見を「自社にどう活かせるか?」といった観点での考察は難しいでしょう。また、執筆者の見解を超える学びや気付きは生まれにくいことが、ご想像いただけるかと思います。

      一方「ケースメソッド」は、題材となるケースを自身で分析・解釈し、さらにそれを他者と議論するプロセスを通じて、学習対象の概念・理論の理解を深めていく手法です。つまり、学びの題材としてケースを使いながら「自ら分析・解釈するための思考プロセスそのもの」を学ぶことができます。
      同時に、ディスカッションを通じて他者の思考プロセスにも触れることができるため、課題解決に至るまでの様々な理論やアプローチ方法を学び取ることが出来るのです。

      ケースメソッドから学んだ ‟概念・理論やアプローチ方法そのもの″ は、場面が変わっても(自社の状況に置き換わっても)転用・応用できるため、非常に実践的な学びだと言えるでしょう。
      (より具体的な実務での活かし方については、2-2.をご参照ください。)

    4. 企業内研修には、ケースメソッドがお勧め

      企業内研修で学んだことを実際の職場で実践し、高い成果を上げてもらうためには、ケースメソッドがお勧めです。
      詳しくはこの後の章でも解説していきますが、理由は以下の3点です。

      共有の場面(ケース)を対象とすることで、議論の土台がぶれないから

      今~将来に活用できる汎用性・実用性の高い学びを得ることが出来るから

      解決したい人材育成課題に合わせたプログラムを選定し、学びを得ることができるから

  2. ケースメソッドで得られる学び

    ここではケースメソッドで得られる3つの学びについて解説します。

    1. 困難なシチュエーションにおける、課題解決力

      ケースの主人公になりきったつもりで、必要な情報を取捨選択・分析しながら意思決定するケースメソッドは、困難なシチュエーションにおける課題解決力を育みます。
      特にグロービスで取り扱うケースは、以下5つの要件を満たすものを選択したり、自社で開発したりしています。

      結論を導くのに十分な情報が記述されている

      情報が意図的にちりばめられている(意思決定には影響を与えないような不要な情報も含んでいる)

      何かを前進しようとすれば、別の側面での後退が生まれるなど、ビジネス上の重要な問題(ジレンマ)がある

      正解としての結論は記述されていない

      執筆者の解釈が含まれていない

      これらの要件を満たすケースを分析・解釈するためには、数多くの情報の中から意思決定に必要な情報だけを受講者自身が選び出す必要があります。また、情報を整理して思考を進めるために、ビジネスの理論やフレームワークを必要とすることもあるでしょう。

      実際の実務においても、意思決定に必要な情報だけがきれいに整理されている場面はほとんどないはずです。また、明確な正解・不正解があることも極めて稀でしょう。そういった実際のビジネスさながらに悩ましい局面を描いたケースに直面することで、情報や分析に基づき「自分ならこうする」という、課題解決の経験値を積むことが出来るのです。

    2. 受講者の日常の仕事に転用・応用可能なビジネス理論

      1-3.でお伝えしたように、ケースメソッドでは “自ら分析・解釈するプロセスそのもの” を学び、そこから得た “他に応用できる学び(経営の原理原則)” を自社の環境に置き換えて転用・応用することが可能です。

      図示化すると以下のようになります。

      2.2.	受講者の日常の仕事に転用・応用可能なビジネス理論

      【具体】 具体的事例であるケースを分析・議論する

      【抽象】 その中から「他に応用できる学び(経営の原理原則)」を抽出し、 教訓化する

      【具体】 具体的な実務への応用をはかる

      上記のように、具体→抽象→具体・・・を行き来しながら繰り返し思考することにより、受講者の中で「場面が変わっても応用可能な学び」がどんどん蓄積されていきます。

      ≪教訓を実務で活用しやすくするには、環境整備も重要≫

      せっかく学んだ教訓も、定着に向けたチャレンジが意識的に行われなければ、徐々に損なわれてしまいます。それを回避するためには、以下の取り組みがお勧めです。

      組織に学びの輪を広げる(共通言語で議論できる″同士“を増やしていく)

      訓練の場を意図的に生み出す

      なお、グロービスでは、受講者の教訓を日々の仕事に転用・応用できるよう各種サポート・サービスをご用意しています。

      研修後の「振り返りレポート」の雛形を提供。工夫した設問により、受講者の学びの整理と実践での活用イメージの言語化をサポートします

      「研修フォローアップサービス(GFL)」を提供(※オプションサービス)。研修内容に関連する設問に10日間回答する反復トレーニングを提供し、学びの定着と実践への橋渡しを促します。

      アセスメントテスト『GMAP』を提供(※別サービス)。研修で得られた教訓の定着度合いを、客観的なスコアで見える化します。

    3. 課題解決に資する多様な視点

      実際のビジネスさながらのケースで学ぶことは、課題解決に資する多様な視点の獲得に繋がります。

      過去の企業事例を学ぶケーススタディとは違い、ケースメソッドには唯一絶対の正解はありません。これは実際のビジネスと同じです。
      そのためケースに取り組む際は、正解を探すというスタンスではなく、「課題解決や意思決定の力を培う」という意識を持つことが大切です。

      研修中のグループワークやクラスディスカッションでは、受講者同士がお互いの意見を交換するプロセスが生じます。そこでは単に新しい知識を獲得するだけでなく、自身の考え方や理解を深める機会となります。また、他者の意見を聞き、自分と比較することで、自身の知識や考え方の「足らざる」・「異なる」部分にも気づくことができます。

      これらのことからケースメソッドでは、課題解決に資する多様な視点に気付きつつ、自身の考え方をアップデートし、意思決定の精度を高める効果が期待できると言えるでしょう。

  3. ケースメソッドの学び方

    ケースメソッドの学び方について、研修前(事前学習)、研修当日、研修後(振り返り)の3ステップで解説します。

    1. 研修前(事前学習)

      グロービスのケースメソッドは講師と受講者、受講者同士のディスカッションやグループワークが中心のアウトプット重視のクラスです。
      自らの意見や考えをしっかり準備いただくことがディスカッションや学びの質を高めるため、研修を受講いただく皆さまに、事前学習への取り組みをお願いしています。

      具体的には、動画の視聴、テキストやケースの読み込み、設問に対する自分の意見をまとめること、などです。これらに対して、研修時間と同等~2倍程度の時間(たとえば3時間のプログラムであれば概ね3~6時間前後)の予習時間を推奨しています。(※プログラムによって事前課題の内容は異なります)

      特にケースの読み込みに際しては、ケースの主人公になったつもりで「自分だったらどう判断し、どう行動するのか」という意識で、自分なりの解答をまとめていただくことが重要です。
      きちんと文章化いただくことで、自分の思考の流れや癖を客観視し、議論の甘さがあればそれを認識できます。そのため、間違いを恐れず「とにかく書いてみる(アウトプットする)」ことをお願いしています。

    2. 研修当日

      講師のファシリテーションのもと、クラスディスカッション/グループディスカッションを通じて、受講者が自ら考える力を引き出しながら議論を進めます。
      3-1でお伝えした事前準備にしっかり取り組むことで、受講者は自信を持って研修当日のディスカッションに参加し、自らの意見や考えを発表することができます。つまり、事前課題への取り組みが深ければ深いほど、研修当日の学びが深くなるのです。

      研修中のグループワークやクラスディスカッションでは、受講者同士がお互いの意見を交換しながら、自分自身の知識や考え方の「足らざる」・「異なる」部分に気づいていきます。その過程で、自身の考え方や理解を深く内省することにもつながるため、知識・スキルの習得のみならず自己認識のアップデートも期待できます。

      なお、受講者の「自ら考える力」を引き出し、議論を活性化させながらもきちんと学びのポイントに連れて行くには、非常に高度な講師のファシリテーション能力が求められます。そのため、グロービスでは専門の研究開発部門を設置し、ティーチングマテリアルを磨き込み、登壇する講師のトレーニングおよび要件チェックを厳密に行う仕組みを設けています。
      これらの仕組みについては、5-2.および5-3.で詳しく説明します。

    3. 研修後(振り返り)

      学んだことを定着させるには、しっかりとした振り返りが必要です。「研修しっぱなし」の状態では効果が限定的になってしまうため、グロービスでは研修後の振り返りについても、力を入れてサポートしています。

      一例として、研修で使用するラーニングシステム上に「コース全体の振り返り」というチャプターを設けています。そこに記載いただいた受講者の皆さまの振り返りを弊社営業が確認し、人事の皆さまに進捗度合いをご報告します。

      ▼チャプターの画面イメージは以下になります。

      コース全体の振り返り

      振り返りがおろそかになると、「理解した」ところに留まってしまい、実際の行動変容までは至らないことがほとんどです。学びを実践で活かすため、振り返りをしっかり行い、学びを自分事化し、明日からの自身の行動を変える意識を持つことが非常に大切です。

      グロービスでは、以下のステップで振り返ることをお勧めしております。

      考えたことや感じたことを言語化する

      学びから普遍的な教訓を導き出し、「要は何が大事なのか」を自分の言葉で原理原則化する

      原理原則を行動に移すために「どうしたら出来るのか」を考え、明言する

  4. ケースメソッドの注意点

    前章までのところで、ケースメソッドで得られる学びや学び方について説明してきました。ここからは、ケースメソッドの効果を最大化するために注意いただきたい3つのポイントについて、詳しく解説いたします。

    1. 目的に合ったケースの選定と、適切な研修期間の設計が肝となる

      より実践的な課題解決のトレーニングの場とするには、企画段階で以下の2点について明確な方針を持っておく必要があります。

      1. 強化したいポイント・受講者に得てほしい知恵に合ったケースを選択する

        使用するケースを決定する際は、「受講者を強化したいポイント」と「受講者に得てほしい知恵」を最優先にしましょう。

        特に注意いただきたいのは、自社と同じ業界のケースを使うことが必ずしも成果に直結する学びにはならないということです。実業務に近しい内容を扱ってしまうと、学びの幅や奥行きが狭くなり、今の業務にしか活きない短期的な学びになってしまうという懸念もあります。
        そのため研修というトレーニングの場においては、あえて他業界のケースを使った議論をし、「他にも応用できる学び」を抽出・教訓化することもお勧めしています。

        グロービスでは、営業が研修目的を丁寧にヒアリングし、目的に叶う最適なケース・プログラムをご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。

      2. 事前学習から振り返りまでを研修期間として設計する

        3章でお伝えしたとおり、ケースメソッドの効果を最大化させるためには、事前学習への十分な取り組みと研修後の振り返りが欠かせません。そのため、研修当日の日程だけではなく、その前後も含めた期間をトータルで設計することが必要です。

        多くの場合、受講者やその上長は研修日程のみに意識が向きがちなので、企画の早い段階から関係者全員に全体スケジュールを共有しておくと良いでしょう。その際、事前課題から振り返りまでの、一連の期間をすべて研修期間とするのがお勧めです。

    2. 講師は正解を教えるのではなく、対話・議論を促す役目を担う

      2-1.でご紹介したとおり、実際のビジネスさながらに悩ましいケースには正解・不正解はありません。そのため、講師は正解を教えるのではなく、クラスの雰囲気作り、受講者の積極的な対話を促す工夫、ラーニングポイントを受講者の記憶に刷り込み気づきを与えていくファシリテーションにより、学びの場を効果的に作り出す役目を担います。

      なお、グロービスの講師は、経営に関する体系的な知識だけでなく、現役のビジネスリーダーとしての「豊富な実務経験」も必要要件としています。なぜなら、理論を「知っている」だけでは意味がなく、「どう使うのか、そこにどんな難しさが現実に存在するのか」を深く理解する講師だからこそ、理論と実践の両方を掛け合わせた学びの提供が可能だからです。

    3. 受講者の積極的な関与が必須である

      繰り返しになりますが、ケースメソッドでは受講者からの意見・考えをもとにした対話・議論が中心となりますので、受講者の積極的な関与が求められます。

      言い換えると、受講者の事前学習への取り組み度合いや、研修中の積極性が、研修の質を大きく左右するため、研修事務局の皆さまからの働きかけが非常に重要になります。
      具体的には、受講者とその上長に対し、研修全体のスケジュールや内容と共に、事前学習に取り組むことの重要性についても丁寧に説明し、事前の了承を得ておくことをお勧めします。また研修期間に入ってからは、事前学習の進捗度合いを確認し、適宜声掛けを行うことが大切です。

  5. グロービスのケースメソッドをお勧めする3つの理由

    もし企業内研修を検討されているようでしたら、是非グロービスのケースメソッドも選択肢のひとつに入れてください。理由は以下の3点です。

    研修のプロである担当者が、企画からサポートします

    社内で講師育成を行い、学びの最大化を実現しています

    受講者が積極的に取り組めるよう、ケース・プログラムに工夫をしています

    それぞれについて詳しく説明します。

    1. 研修のプロである担当者が、企画からサポートします

      グロービスにお任せいただければ、研修のプロである担当者が、皆さまの会社の課題に沿ったプログラムの設計・提案をいたします。なぜならグロービスの担当者はほぼ全員MBA(経営学修士)を取得しており、外部環境の変化に基づき企業が直面する経営課題を特定するところから議論出来るからです。この点が、他の研修会社との大きな違いです。

      また、経営課題を特定した担当者がそのまま、研修プログラムの設計~デリバリーまで伴走します。そのため、特定した経営課題の解決に繋がる研修プログラムを設計し、実施することが可能になっています。
      ありがちな失敗談としてよく伺うのは、経営課題の特定はコンサルタント会社に依頼し、研修プログラムは研修会社へ依頼するというケースです。この場合、両者をつなぐのは主に人事部の方となりますが、伝言ゲームとなってしまうため、論点やニュアンスが微妙にずれてしまうことが往々にしてあるそうです。
      そうならないために、課題特定から研修の設計~デリバリーまで一気通貫でお受けできるグロービスがお勧めです。

    2. 社内で講師育成を行い、学びの最大化を実現しています

      グロービスには、実践的かつ最先端の経営研究を行う研究開発部門があり、講師陣のティーチングスキルを徹底的に鍛えています。なぜなら4-2.でお伝えのとおり、講師の「学びの場をつくる力」が極めて重要だからです。

      ▼グロービスのクラスのユニークさの源泉:独自の研究開発体制

      ロービスのクラスのユニークさの源泉:独自の研究開発体制

      研究開発部門の3つのミッション

      「ティーチング・メソッド開発」(※本項で解説)

      「講師育成」(※本項で解説)

      ケース・プログラムを含む「コンテンツ開発」(※5-3.にて詳述)

      契約した講師に研修内容・進め方をすべて委ねるといったことは一切しません。社内の研究開発部門が開発したティーチングマテリアルを講師に共有するだけでなく、「発言させる」「投げ返す」「止める」という場のコントロールを効果的に出来るよう、ファシリテーション能力向上のためのトレーニングを徹底して行っています。
      トレーニングにより規定の水準を満たした講師のみが、クラスに登壇しています。登壇後も、毎回の受講者アンケートにおける講師満足度の点数を常時モニタリングしており、一定の基準(5点満点中4点以上)に満たない講師は登壇を中止し、再度トレーニングの場に戻ります。

      これらグロービス独自の厳格な講師育成体制により、どの講師のクラスを受講いただいたとしても、着実に受講者を学びのポイントに連れて行ける品質を担保しています。

    3. 受講者が積極的に取り組めるよう、ケース・プログラムに工夫をしています

      先述の研究開発部門では、受講者が積極的に取り組めるようなケース・プログラムの開発も行っています。

      ケースを開発する際は、大きく2つの観点を重要視しています。

      1.ユニバーサルにつくる

      1-2.でお伝えしたように、ケースは“多様な受講者の、議論の風景を合わせる触媒”として機能しなければいけません。
      そのため、年齢・年次・性別を問わず、誰が読んでも設問に向き合えるような作りにする必要があるのです。
      例として、グロービス経営大学院には新卒3年目程度の方から60歳前後の方まで、特に幅広い受講者にお集まりいただいています。そうした中で、上記に徹底的にこだわって作成したケースは、すべての方にとって有効な学びの題材となっています。

      2.多様な業界環境・課題のシチュエーション・学びのテーマのケースを用意する

      激動が常態化する現代のビジネスにおいては、現業の枠を超えたあらゆる場面で汎用性の高い学びを得る必要があります。そのためグロービスでは、あえて多様な業界・シチュエーション・テーマのケースを用意しています。

      時間軸についても、最新の事例から数十年前の時代背景も含む伝統的な事例まで幅広に用意していますが、これらは学んで欲しいポイントに合わせて明確な意図を持って使い分けています。たとえば、多くの方が知る大企業のかつての変革のプロセスが、現代の多くのビジネスパーソンが関わる課題解決と強く繋がるのであれば、適切なテーマになり得ます。反対に、現代のスタートアップ企業の事例が、大企業の古くて新しい課題解決のプロセスを体得するために適切なこともあります。

      なお、受講者にとって馴染みのない業界のケースであっても、きちんとケースを読みこめば状況のキャッチアップができるよう、前提知識はケース内に描かれていますのでご安心ください。

  6. まとめ

    最後に、本記事でお伝えしたポイントは以下のとおりです。

    ケースメソッドとは、実際のケース(企業事例)を学びの題材として、課題解決力を鍛える学習手法のことである。

    ケースメソッドで学べる ‟概念・理論やアプローチ方法そのもの″ は、場面が変わっても(自社の状況に置き換わっても)転用・応用できるため、非常に実践的な学びと言える。

    他者との議論を通じて、課題解決に資する多様な視点に気付き、自身の考え方をアップデートしながら意思決定の精度を高める効果が期待できる。

    講師は正解を教えるのではなく、受講者同士の対話・議論を促す役目を担う。

    受講者が積極的に取り組めるよう、多様な業界環境・課題のシチュエーション・学びのテーマのケースを用意する必要がある。

    ケースメソッドの導入を検討される際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の目的に合ったプログラムを実施できるよう伴走いたします。