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ダイバーシティがない企業は勝ち残れない

2022.05.30

昨今、組織のダイバーシティを高めようとする企業が増えてきました。具体的な取り組みとしては、社員の女性比率を高める、多様な国籍の人を採用する、さまざまな雇用形態や働き方を用意する、といったものが多いかと思います。

ダイバーシティは、株主からの期待や雇用の平等性に対応するためだけに行うものではありません。変わり続ける環境に企業が適応し、長期的に成長し続けるためには、多様な視点を組織に取り入れることが欠かせないのです。

ダイバーシティは、優秀な人材が自社で活躍し続けるための必須要件

以前のコラム でお伝えしたように、就職氷河期世代とリーマンショック世代の社員数が少ない人員構成上の問題を鑑みても、日本企業において多様な人が活躍できる土壌をつくることは、必須で対応しなければならない課題です。

前回、社内で事業経営者を輩出する解決策のひとつとして、若手社員や女性、外国人などを主要ポジションに登用することをご紹介しました。これまでとは異なる人材が抜擢され活躍するためには、組織のダイバーシティが必要です。大半の社員とは異なる経験を持ち、新しいマネジメントスタイルを取る人を組織が受け入れられなければ、せっかく登用しても能力を発揮できないからです。

また、ダイバーシティを高めることは、若手ビジネスパーソンの価値観の変化へ対応する意味合いもあります。Z世代と呼ばれる20代前半〜20代半ばの若手層は、キャリアを考える際には、1社で働き続けるという前提はなく、その時々で自分に最適な環境を選ぼうとする傾向にあります。つまり、組織をリードする立場としては、社員1人ひとりの考えを尊重し、個性を活かすマネジメントがこれまで以上に重要になってきます。個々人の考えに向き合わない組織は、優秀な社員から辞めてしまうリスクが高いのです。

さらに、経営陣のダイバーシティも必要です。環境が変化し、会社も変化すれば、経営層に求められる要件も変わってくるはずです。ガバナンスコードへの対応においても、取締役会は多様な人材で構成されていなければなりません。経営チームの多様性が進まなければ、株式市場からの評価も下がってしまうでしょう。

ポジションパワーではなく方向性(ビジョン)とストーリーから共感を作れるリーダーへ

ダイバーシティに富む組織をつくるリーダーには、どのような素養が望まれるのでしょうか。リーダーがマネジメントにおいて持つべき基本姿勢は、以前と変わってきています。キーワードは、「エンゲージメント」と「オーナーシップ」です。

従来型の会社と社員の関係性は、会社が社員へ終身雇用を約束するとともに一律のルールで管理し、住宅手当、学資保険、企業年金等、社員は仕事だけではなく自分の人生を保証してくれる会社へ愛社精神を抱くものでした。ところが日本の長きにわたる経済停滞によって、大企業でも終身雇用を約束しきれない経営環境になっています。更には、共働き世帯の増加に伴う働き方の多様化や一人ひとりの価値観の変化に伴い、会社と社員との関係性も変わってきたのです。

これからの時代、ダイバーシティのある組織を前提にすると、社員はパーパスやビジョンに共感した会社を選んで働くようになるでしょう。リーダーとなる人には、組織のビジョンに基づいたストーリーを自ら語り、共感を生み出し、社員のエンゲージメントを高めて組織を導くことが求められます。会社のルールではなく、パーパスやビジョンで皆を束ねていくのです。

会社と社員は互いに選び選ばれる双方向の関係性であり(エンゲージメント)、社員は上司の指示を待つのではなく、個々人のスキルや経験値を活かして主体的に行動する(オーナーシップ)ことで経営スピードが上がるのです。

(図:グロービス作成)

リーダーがダイバーシティのある組織をつくり成果を出すためには、これまでのように強さで牽引するのではなく、これからの時代に即したマネジメントスタイルへとアップデートさせることが必要です。

ここまで、日本企業が直面している変化と課題を踏まえ、今まさに必要となる人や組織の変革について述べてきました。次回以降は、デジタル化の著しい進展によって訪れるであろう、5〜10年後の人事の姿を考察します。

グロービス・コーポレート・エデュケーションフェロー 西 恵一郎

グロービス・コーポレート・エデュケーション
フェロー

西 恵一郎 / Keiichiro NISHI

早稲田大学卒業。INSEAD International Executive Program修了。三菱商事株式会社に入社し、不動産証券化、物流網構築や商業施設開発のプロジェクトマネジメント業務に従事。その後、グロービスの企業研修部門にて組織開発、リーダー育成を通じた多くの組織変革に従事。グロービス初の海外法人を立上げ、現地法人の経営を経て、コーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクターとして事業責任者を務める。
現在は、グロービス・コーポレート・エデュケーションのフェローとして、グローバル戦略、リーダーシップ、アクションラーニングの講師を担当する。経済同友会の中国委員会副委員長(2018、2019、2020)。また、富士通株式会社のCEO室Co-Headとして、全社経営戦略を担う。

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