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高崎森永株式会社

GESの学びを即実践し、経営課題の改革に着手。人事プロセスを改善し、採用数2倍、定着率10ポイント改善を1年で達成

高崎森永株式会社
高崎森永株式会社

代表取締役社長 鈴木 勝彦さん

受講科目:エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(2022)

まとめ
業種
  • 食品/農林/水産
受講科目
  • エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)
受講形態
  • オンライン
課題
  • 高崎森永の代表取締役社長に着任し、人材採用と定着率に課題があることがわかった
  • 採用戦略を含めた人事制度全般を改革する必要に迫られていた
受講内容
  • 経営者には論理だけでなく感性も必要であり、矛盾している状況で意思決定をするものだと学ぶ
  • 社内に相談相手がいない経営トップにとって、ともに学んだクラスのメンバーとの交流は貴重
成果
  • 学んだことを即実践し、経営改革を実行した結果、1年で成果を生み出せた
  • 今後も就職希望の学生から選ばれ、社員が誇りをもって働ける会社にしていきたい

背景と課題

森永製菓のフラッグシップ工場の経営を担う

2022年春から、私は高崎森永の代表取締役社長を務めています。当社は森永製菓のフラッグシップ工場として、「森永ビスケット」「ハイチュウ」「カレ・ド・ショコラ」「ダース」「チョコモナカジャンボ」などを製造しています。

私のキャリアは、菓子の製造・包装をする機械設計から始まり、以来ずっと生産技術畑を歩んできました。高崎森永は2011年の立ち上げ時にプロジェクトメンバーとして関わっており、その後本社や小山工場の工場長を経て、2022年に高崎森永を経営する役割を担うことになりました。

生産現場の根幹である人材確保の課題に直面する

社長就任後、経営状況を見渡してみると、安定的な製造をするために欠かせない人材の採用と定着が深刻な課題になっていることがわかりました。とくに、高校生の新卒採用が計画通りに進んでいなかったのです。

高崎森永を立ち上げた2011年は有効求人倍率が0.65倍で、募集をかければ難なく人材が集まる時代でした。しかし、10年以上経った2022年においては状況が一変し、募集しても必要な人数を採用できていませんでした。

さらに社員の定着率も芳しくなく、組織変革が求められていました。社員の働きがいを向上させるために会社のビジョンから見直し、採用戦略を含めた人事制度を改革する必要があったのです。

事前準備と受講内容

社長に就任して半年ほどのタイミングでGESへ通学

GES(グロービス・エグゼクティブ・スクール)に通うことになったのは、森永製菓・人事部から推薦を受けたことがきっかけでした。当社には部長層をGESへ派遣しており、私に声がかかったのです。

当時は、高崎森永の代表取締役社長に就任してから半年ほど経った頃でした。人材の採用と定着が計画通りに進まない原因と対策を日々考えていたタイミングです。

その他の経営課題にも向き合っている時期でしたし、GESを受講した同僚からは負荷が高いスクールだと聞いていたので、通いきれるかという不安がありました。

遠距離通勤のため、通学の負荷がかからないオンラインクラスを選択

会社の重要課題に直面している時期だったこと、そして私自身が遠距離通勤のため移動に時間がかかっていることから、GESでは通学の負荷がかからないオンラインクラスを選択しました。また、当時はコロナ禍が収まりきっていない時期だったので、食品の生産現場にいる立場として、感染防止の観点からオンラインを選べたことはありがたかったですね。

通学時間がかからないおかげで、予習・復習の時間をなんとか捻出できたと思います。毎回の予習内容は幅広く、かつ深い内容で、ケースを読み込むにも時間がかかりました。オンライン形式だったからこそ、クラスが始まる直前まで予習内容を見返して参加できました。

経営者は、論理的思考だけでは不十分であることを学ぶ

初回のクラスでは、皆さんがケースの内容に高い関心をもち、活発な議論をすることに驚きました。「このままでは出遅れてしまう」と、姿勢を正された気持ちになりましたね。

回を重ねるごとにクラスのペースにも慣れていき、その中で講師の「経営者とは、しびれる経営判断をしなければならない」という言葉が印象的でした。ケースの登場人物はものすごく厳しい経営をしてきた人ばかりです。「今度は、あなたたちがその厳しい判断をするのですよ」と言われ、心に突き刺さりました。

日々経営をしていて私への相談は”理屈だけでは答えが出せない矛盾があるとき”だと感じていました。だからこそ、経営者には厳しい判断が求められるのですよね。なので、経営には論理的思考が当然必要ですが、それだけでは不十分。情や感性も交えながら判断する必要があると考えさせられました。

気軽に相談し合える仲間は貴重な存在

経営者になると社内に相談相手が少なくなるので、GESで出会った仲間たちの存在が大きな支えになっています。私のクラスは異業種の方が多く、オンラインクラスだったので日本全国から受講者が集まっていました。多様な仲間から、毎回のクラスで刺激をもらいましたね。

その後の交流も続いています。最近ではエリアが近いメンバーで食事会を開いたり、出張した際は関西エリアのメンバーとお会いしたりしました。経営を担うという同じ立場にいる方々との横の繋がりは、貴重です。気軽に相談し合える仲が今でも続いていることに感謝しています。

成果と今後の展望

学んだことを親会社との協議で実践し続けた3か月間

GESを受講していた時期は、当社の人事制度を変革すべく、親会社である森永製菓と協議を重ねている期間でした。学んだ内容を総動員して、課題を抽出し、社内外の環境と照らし合わせながら分析して提案内容を練り上げていたことを覚えています。

そのおかげで、人事制度の改定については森永製菓からの同意を得て当社取締役会で承認し、実行するに至りました。さらには、ホームページを通して働く楽しさが伝わるよう刷新したり、地域の高校に出向いて出張授業を開いたりするなど、課題解決に向けた施策も進めました。まさに、学んだことを即座に実践し続けた3か月でしたね。

経営改革によって、1年で成果を生み出せた

さまざまな改革の成果として、2023年度は前年度の2倍以上の人数を採用でき、社員の定着率は10ポイントほど改善するなど、目に見える形で成果が出始めています。

定着率が向上すると、社内に高いスキルをもった社員が増えることになります。手作業が多い菓子の製造現場では、高いスキルをもった社員が多くいることが高品質かつ安定的な生産を実現するために大切です。新たに入社した社員の育成もしやすくなります。現在の社員数は、私が社長に着任した2022年春に比べて1.2倍ほどになりましたが、組織の規模を拡大させながら安定的な生産ができる体制になってきていると感じます。

学生から選ばれ、社員が誇りをもてる会社であり続けたい

この1年半ほどでさまざまな経営改革を行い、具体的な成果が出ていますが、まだやるべきことはあると考えています。とくに、採用に関する課題には引き続き向き合い続けていきます。現在、高卒で就職を希望する学生は15%前後しかいなく、高校生の採用にあたっては他社との採用競争が激しくなっているのです。

高崎森永が就職希望の学生から選ばれ、社員が誇りをもって働ける会社であるために、当社の活動を積極的に発信し、地域との繋がりを深めていきたいと考えています。今は、高崎周辺で行われるイベントに協賛したり、群馬県内にある野球チーム「群馬ダイヤモンドペガサス」の試合を観戦しに来たお子様へお菓子を配布したりしています。

このような取り組みを通じて、地域の皆様に「このお菓子は、高崎森永で作っているんだ」と森永製菓の製品を身近に感じていただきたいと考えています。そして、森永製菓の商品に親しんできた子どもたちが、将来的には当社で働きたいと思ってもらえたら、これ以上に嬉しいことはありません。

私自身は、当社がありたい姿として掲げている「誰もが、人に優しく仲間と共に成長したいと思えるような組織」を実現できる経営者を目指します。これからも、学んだことを糧にリーダーとして経営改革を実現していきたいと思います。