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相鉄ホールディングス株式会社

「リーダーとはこうあるべき」という思い込みから脱却し、自分らしいリーダー像を目指して変化の激しい時代を歩む

相鉄ホールディングス株式会社
相鉄ホールディングス株式会社

経営戦略室 課長 矢野 薫さん

受講科目:女性リーダー育成プログラム(2021)

※部署・役職はインタビュー当時

まとめ
業種
  • インフラ/物流
受講科目
  • 女性リーダー育成プログラム(WLP)
受講形態
  • リアル
課題
  • 基本的な経営スキルがないと、顧客との商談で踏み込んだ話ができないと感じていた
  • 部署内に女性の先輩がおらず、これからのキャリアに不安を感じていた
受講内容
  • リーダーは何でもできなければならないと思い込んでいたが、自分なりのリーダー像を目指せばよいことを学べた
  • 業界も年齢も異なる仲間と会話をし、キャリアの歩み方はいくつもあると知ることができた
成果
  • 部下に思い切って仕事を任せるようになり、部下が今まで以上に自ら動いてくれるようになった
  • 完璧なリーダーにこだわらず、皆で乗り越えようというマインドを持つことで、肩の力を抜くことができた

背景と課題

商業施設の運営管理やテナントリーシング業務などを担当してきた

相鉄グループの相鉄ビルマネジメントに新卒入社し、横浜駅周辺にある商業施設の運営管理やテナントリーシング業務(賃貸物件へテナントを誘致し、契約成立までサポートする業務)、横浜駅ビルであるジョイナスの大規模リニューアルなどを担当してきました。

現在は、持ち株会社である相鉄ホールディングスへ転籍し、経営戦略室でサステナビリティ推進を担っています。昨年できたばかりの部門で、経営陣へ意見を具申しながら前例のない取り組みを試行錯誤しながら進めているところです。

基本的な経営スキルが無いと、顧客と踏み込んだ商談が出来ないと感じていた

女性リーダー育成プログラムを受講した2021年は、相鉄ビルマネジメントでテナントリーシングの営業を担当し、係長職としてメンバーの育成もしていた時期です。

当時抱えていた課題は、大きく2つありました。ひとつ目は、OJTで様々な経験を積んできたものの、経営について体系的に学んだ経験がなかったことです。商談相手であるテナントさんの担当者は私よりも人生の大先輩ばかり。その企業で重要な役職に就いている方や、時には経営者の方と交渉することもありました。そのような方々と商談をするにあたって、基本的な経営スキルがないと踏み込んで話をすることができないと感じる場面が増えていたのです。

女性の先輩がいなかったため、キャリアに不安を感じていた

もうひとつは、今後のキャリアについてです。私が所属していた部門には女性の先輩がいなかったため、これからどのようなキャリアを歩んでいくのかなかなかイメージできず、不安に思うことが増えていました。

こうしたモヤモヤとした気持ちを抱えながらも、周りの上司や先輩方に支えられているという恵まれた環境の中で、仕事を続けていたように思います。

事前準備と受講内容

人材育成担当から声をかけてもらい、緊張感を持ちつつもGES受講に踏み切った

相鉄グループ全体で女性リーダーを育成する取り組みが行われており、その一環で受講してみないか、と人材育成担当から声をかけてもらったのがきっかけです。

当時はコロナ禍真っ只中で外出が制限されたために営業活動も十分にできず、逆に時間に余裕があったタイミングだったので、受講に踏み切ることができました。

3か月間続くプログラムなので、受講するにはそれなりの覚悟が要るだろうと感じていました。ですが、業務以外の時間を確保できるタイミングだったので学ぶには良い機会であり、中途半端に勉強するよりも集中して学んだほうが身に付くだろうと考えました。今振り返っても、2021年は学び始めるには最適なタイミングだったと思います。

その一方、「女性リーダー育成プログラム」というプログラム名を見て、少し身構えてしまってもいました。当社グループは女性比率が低く、女性の社員というと、何かと私に声がかかるような役回りをしてきたように思います。ここからさらに会社からの期待が増えるのだろうか、という漠然としたプレッシャーを感じていました。

また、クラスで一緒に学ぶ皆さんは経験豊富で、キャリア観もしっかりされている方ばかりなのかなという気持ちもありましたね。こうしたイメージから、受講前は少し緊張感を抱いていたように思います。

講師の一言から、自分なりのリーダー像を目指せばよいことを学べた

初回のクラスで行った「クリフトンストレングス®️」の結果に対して、講師からいただいたコメントが強く印象に残っています。診断テストを受けてみると、私が最も強く持つ資質は「共感性」でした。この結果に対して「矢野さんの強みとして、しっかり認識していくといいと思う」と言っていただいたのです。

それまでの私は、リーダーは何でもできるオールマイティな存在でなければならないと思い込んでいました。リーダーになるには、マイナスな部分をなくしていかなければならない、と。女性のロールモデルも身近にいなかったので、多様なリーダー像があると知ることが難しかったのかもしれません。だからこそ、講師に言ってもらった一言を今でも鮮明に覚えているのだと思います。

女性リーダー育成プログラムでは、リーダーが苦手な部分はメンバーに補完してもらえばよいこと、そして自分なりのリーダー像を目指せばよいことを学びました。

講師やクラスの皆さんとの会話を通じ、キャリアの歩み方も多様と知ることができた

また、業界も年齢も異なる仲間と会話をし、キャリアの歩み方はいくつもあると知ることができました。プログラムで学んだ「プランド・ハップンスタンス理論」も印象に残っています。その時に起こった出来事を楽しみ、キャリアの方向性をすぐに決めきらなくてもいい、という考え方を学びました。このプログラムを受講したことで、ほっとした気持ちになり、肩の力が抜けたように思います。

コロナ禍は1人で過ごす時間が増え、悩みごとばかりを考えてしまってマイナスの発想になりがちだったので、講師やクラスの皆さんに悩みや不安も含めて話をしながら受講できたのはありがたいことでした。

成果と今後の展望

完璧にこだわらず、部下に思い切って任せることで、部下が自ら動いてくれるように

自分の中でのあるべきリーダー像が変わったことで、部下との接し方も変えられたと思います。

自分が完璧なリーダーでなければならないと思うと、部下に対しても厳しい要求をしたり、細かい確認を求めたりしがちです。

ですが、受講を経て、メンバーと目標やゴールをすり合わせた後は思い切って任せる接し方を意識するようになりました。メンバーは商談を担い、自分は会社側への説明責任を負うという役割分担も伝えると、部下が今まで以上に自ら動いてくれるようになったと思います。

テナントリーシングの仕事はコロナ禍で厳しい状況が続きましたが、完璧にこだわらず、皆でこの局面を乗り越えようというマインドをこの時期に持てたのは、自分にとって良いことだったと思います。

自身の役割は、メンバーの環境整備や経営側への説明責任などの場づくり

また、現在担当しているサステナビリティ推進の業務では、相鉄グループの相鉄ビジネスサービスの社員と連携しながら業務を行っており、私は業務の方針を決める役割を務めています。グループ内の他部門と連携しながら業務を進めるうえで、私が果たすべき役割は場づくりです。関係する部門のメンバーの業務が滞りなく進むよう環境を整備し、経営側への説明責任を果たすことを意識しています。

まだ悩みながら日々を過ごしている段階ですが、振り返ると、私が数年前に抱いていた「完璧でなければならない」というリーダー像と、今の考えはだいぶ違っていますね。最後まで自分でやり切らなければならない、と思い込みがちな私ですが、この考え方のままでは周囲のメンバーも辛くなってしまうと、ようやく気づけました。

外部のステークホルダーもグループ内の社員も。皆が幸せになれる環境づくりが、自身の役割

今の業務であるサステナビリティ推進は、会社としても新たに取り組みはじめたばかりの領域です。経営陣とも 相談しながら、これまで誰も判断したことがない意思決定を行い、グループ内での連携をしっかりできるリーダーになりたいと思います。

経営陣と直接コミュニケーションをする立場になって、「完璧なリーダーはいない」と改めて感じますし、会社とは、お互いが支え合って成り立っているのだと実感しています。その中で私は、投資家をはじめとする外部のステークホルダーも、グループ内の社員も、皆が幸せになれるような環境づくりをする役割を担っていると考えています。

今後は、アカウンティングやファイナンスの知識をつけていきたいです。今携わっているサステナビリティもそうですし、ROICやパーパス経営にも注目が集まる時代なので、新たに吸収していくべき領域はしっかり学んでいこうと思います。