オンライン研修を徹底解説|実施するメリットや導入手順がすぐ分かる
オンライン研修とは、簡単に言うとオンライン上で実施する研修のことです。講師と受講者が同じ場所に集まることなく、ZoomなどのWeb会議ツールを使って行います。
- 全国の管理職がオンライン上で講師の話を聞きながらマネジメントの基礎知識を学ぶ
- 録画されている動画を見ながら営業の知識やノウハウを学ぶ
などがオンライン研修に該当します。新型コロナウイルスの流行を機に多くの企業で実施されるようになり、導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
オンライン研修が向いている主なケースは、次の4つです。
などがオンライン研修に該当します。新型コロナウイルスの流行を機に多くの企業で実施されるようになり、導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
オンライン研修が向いている主なケースは、次の4つです。
オンライン研修は時間や場所に囚われることなく、学びの機会を創出できます。そのため、テレワークを導入している場合や海外拠点、国内支店が多い企業の研修に向いています。ただし、向いているケースのみではなく、メリットとデメリットを理解したうえで選択することが大切です。
そこでこの記事では、オンライン研修とリアル研修との違いやオンライン研修のメリット、デメリット、実際の進め方等を分かりやすく全解説していきます。特に実際の進め方では手順を追って詳しく説明しているので、必見です。
学習院大学法学部卒業、グロービス経営大学院修士課程(MBA)修了。
大学卒業後、富士通株式会社に入社。光通信用システムのグローバルビジネスに従事し、ヨーロッパ・アジアの市場開拓に携わる。グロービス入社後は、グローバル企業の次世代経営リーダーや海外ローカルスタッフ向けのオンライン研修の設計・導入に従事。現在は法人向けオンライン研修の企画・開発・オペレーション等のサービス企画全般に携わる傍ら、アカウンティング・ファイナンス領域の研究やコンテンツ開発を担う。
過去に執筆した記事は以下の通り
この記事を最後まで読むとオンライン研修とはどのような研修方法なのか深く理解でき、自社で実施すべきか判断できます。自社の人材育成の成果を最大化するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
オンライン研修とは
冒頭でも触れたようにオンライン研修とは、一言で言うとオンライン上で実施する研修の事です。
対面での研修は受講者と講師は同じ場にいてディスカッションや講義を実施しますが、オンライン研修は同じ場に集まる必要が無くインターネット通信を介して研修を実施します。
例えば、下記のようなケースがオンライン研修に該当します。
- 新任管理職の研修を全支店合同でオンライン上で実施する
- 外部の研修講師とオンライン上でつなぎ場所をいどうすることなく新たな知識を学ぶ
- 録画されている動画を見ながら営業の知識やノウハウを学ぶ
細かく見ていくと、オンライン研修は大きく2つの形態に分けられます。
1つ目の形態は、“Massive Open Online Courses(略称MOOCs)”と呼ばれるものです。MOOCsとは大規模な公開オンライン講座のことで、主にインターネット上で動画や音声を視聴しながら非同期型で学習を進めます。
2つ目の形態は、“Small Private Online Courses(略称SPOCs)”と呼ばれるものです。小規模で非公開であることが特徴で、講師1人に対して受講者数十名がオンライン上に集まり、講師と受講者が同期型で双方向にコミュニケーションをしながら学習を進めます。
「4.オンライン研修の4つのメリット」で詳しく解説しますがオンライン研修を活用すると時間や場所の制約がなくなり、研修を実施しやすくなるところが大きなメリットです。
パーソル総合研究所が実施した「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」によると、2020年度には75.0%もの企業がオンライン研修を増やし実施していたそうです。このことからも、オンライン研修は注目を集めている方法だと言えるでしょう。
オンライン研修とリアル研修の違い一覧
リアル研修とは、受講者と講師が対面で行う研修のことです。
- 受講者が会議室に集まりビジネス知識やコンプライアンスに関する研修を受ける
- 受講者が業務で使用する機材や機器を持参し講師から使用方法を学ぶ
などが該当します。オンライン研修が普及するまでは、主流の研修方法として活用されていました。オンライン研修とリアル研修を比較すると、下記のような違いがあります。
項目 | オンライン研修 | リアル研修 |
---|---|---|
受講場所 | とくに制限がない (インターネット環境のみ必要) |
受講者と講師が集まることのできる場所の設定が必要 |
受講者数 | 比較的制限がない (導入するツールによる) |
研修の実施場所により受講者数が制限される |
特徴 |
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人選 |
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コスト |
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受講者同士の交流 |
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講師と受講者のコミュニケーション |
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反復練習 |
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オンライン研修とリアル研修の大きな違いである「受講場所」「コミュニケーション」「反復学習」について、より詳しく解説していきます。
2-1. 受講場所
オンライン研修では受講場所の制限がありませんが、リアル研修では受講者と講師が集まることができる場所の確保が必要です。
受講場所の違い | |
---|---|
オンライン研修 |
制限がない(インターネット環境が必要) 例:会社のデスク・自宅・サテライトオフィスなど |
リアル研修 |
受講者と講師が集まることができる場所 例:会議室・社外のセミナー会場など |
オンライン研修はインターネット環境さえあれば、会社の自分のデスクや自宅、出張先のホテルなどどこからでも受講ができます。場所に縛られることがないため
- 支店間で共同の研修を開催する
- 在宅ワークをしている社員と一緒に研修をする
- 遠方の講師に依頼をする
など、リアル研修では実現できなかった制限を解消できます。
一方でリアル研修は受講者と講師が集まる必要があるので、双方が集合できる範囲に限定されます。例えば、会社に講師を招いて社内向けの研修を実施することが検討できます。
2-2. 受講者と講師のコミュニケーション
オンライン研修では、チャットや挙手での発言でコミュニケーションを取ります。
ツールによってはリアクションスタンプの送信やリアルタイムでQ&Aの投稿、クイズへの回答などができるため、研修内容に応じて多様なコミュニケーションを図れます。挙手をして発言をする機会がない受講者の反応も確認できるため、一体感を持ち研修を進められます。
一方で、リアル研修では、挙手で発言をすることが主流です。小規模な研修であれば全員に発言する機会を設けることができますが、規模が大きくなると受講者の考えが汲み取りにくくなります。
ただし、リアル研修は受講者と講師が同じ場所にいるため、その場の臨場感や双方の表情、身振り手振りなどが伝わりやすいです。ノンバーバルコミュニケーション(非言語でのコミュニケーション)を汲み取り、受講者の様子を見ながら柔軟に進めることはできるでしょう。
受講者と講師のコミュニケーションの違い | |
---|---|
オンライン研修 |
|
リアル研修 |
|
2-3. 反復学習
研修で学んだ内容は受講者の血肉となり、業務で活かすことが重要です。そのためには、反復学習への取り組みやすさがポイントとなります。
オンライン研修は簡単な操作で録画ができるため、研修後に研修時の動画の共有が可能です。動画を繰り返し視聴して、理解を深められます。オンライン研修では録画されている教材を使用するケースもあり、この場合も繰り返し視聴して学習を進められます。
リアル研修では
- 録画機材を導入して撮影を行い研修の様子を共有する
- 研修の資料を作成して共有する
などを行わなければ、受講者が自分でメモをした内容でしか振り返ることができません。研修終了後に積極的にサポートをしなければ、研修の内容が定着しにくいと言えるでしょう。
反復学習の違い | |
---|---|
オンライン研修 | 繰り返し動画を視聴できる |
リアル研修 | 研修の撮影や資料作成を行わなければ受講者が自分でメモをした内容でしか振り返ることができない |
オンライン研修が向いているケース
リアル研修とオンライン研修の違いが理解できたところで、気になるのはオンライン研修が向いているケースです。オンライン研修が向いているケースとしては、次の4つが考えられます。
どのようなケースでオンライン研修を有効活用できるのか、ぜひ参考にしてみてください。
3-1. テレワークなど多様な働き方を推進している
1つ目は、テレワークをしている社員が多いケースです。総務省が公表している「令和3年通信利用動向調査報告書」によると2021年度のテレワークの導入状況は51.8%となっており、多くの会社が多様な働き方を推進しています。
多様な働き方をしていると社員が同じ場所に集まることが少なく、リアル研修が実施しにくいです。とは言え、どのような働き方をしていても、一定のスキルや知識を身につけて欲しい企業側の願いもあります。
- テレワークを始め多様な働き方を推進しており社員が集まる機会が少ない
- 多様な働き方を推進していても社員には一定のスキルや知識を身につけて欲しい
という場合は、オンライン研修を検討してみてください。
3-2. 座学で学べる研修を検討している
2つ目は、座学のみで学べる研修がしたいケースです。オンライン研修は対面ではないため、実技を伴う研修や手取り足取り教える研修が苦手です。
例えば、オンライン研修で機材や機器の使い方や手順を教えることはできますが、受講者が実際にどこまでできているのか確認をして進めることが難しいです。途中で分からなくなってもすぐにサポートができないので、習熟度に差が出る可能性があります。
一方で、オンライン研修は誰もが同じ内容を学ぶ座学に向いています。
- マネジメントの基礎知識
- ビジネスのみならずDXやAIなど新しい分野の基礎知識
- 業界の最新情報
など、座学で身につく内容を検討している場合におすすめです。
3-3. 部署や支店が多く、研修の移動に時間がかかる
3つ目は部署や支店が多く、リアル研修では移動に時間がかかるケースです。例えば、全国に10支店ある会社で、同じプログラムの新任管理職研修を実施するとしましょう。
支店ごとに実施すると、10回分の費用がかかります。各支店の新任管理職を1箇所に集めて実施することも検討できますが、会場費や各社員の旅費交通費がかさみます。また多忙で参加が難しい社員もいることでしょう。
オンライン研修なら複数の支店や部署があっても、場所に囚われることなく同じ品質の研修が実施できます。先ほどの例で言うと10支店の新任管理職研修をまとめて実施できるようになり、コストや費用を大幅に削減することが可能です。
- 入社〇年目、課長クラスなど一定の条件に合う各支店の社員を集めて研修を実施したい
- 複数の支店、海外の拠点で同じ内容の研修を実施している
という場合には、オンライン研修を実施する価値があるでしょう。
3-4. 継続して研修が実施できる環境を整え、社員に学びの場を提供したい
4つ目は、社員に学びの場を提供したいケースです。オンライン研修は実施後に動画を見てブラッシュアップできるため、継続した研修に向いています。最適な研修ができた場合には、同じ動画を継続して使うことも可能です。
また、録画型のオンライン研修の場合は、社員の手が空いた時間を活用して学びの機会が提供できます。例えば、業務に関する動画を複数本用意しておけば、社員の課題に応じそれぞれのタイミングで継続的に活用できるでしょう。
- 継続して利用ができる教材を用意したい
- 社員に継続的な学びの場を提供したい
という場合にも、オンライン研修は有効活用できます。
オンライン研修の4つのメリット
オンライン研修には、次の4つのメリットがあります。
「オンライン研修が向いているのか」「オンライン研修を開催するべきか」判断するためにも、どのようなメリットがあるのかチェックしてみてください。
4-1. 時間や場所を問わず開催できるため、平等な教育機会を提供可能
オンライン研修は、何と言っても時間や場所を問わず開催できるところが大きな強みです。「2.オンライン研修とリアル研修の違い一覧」でも触れたように、オンライン研修は受講者と講師が同じ場所に集まる必要がありません。
- 各支店や世界各国の拠点からの参加
- テレワーク勤務者の参加
など、場所を問わずに研修を開催できます。また、リアルタイムでの参加だけでなく録画をした研修を視聴する学び方も検討できるため
- 忙しい管理職は手の空いた時間を使い研修をする
- 欠席者は研修の動画を視聴する
などの対応も用意できます。その結果、平等な教育機会の創出ができ、場所・支店間や働き方による格差が生まれにくくなります。
4-2. 研修にかかるコスト・労力・時間を抑えられる
オンライン研修は、研修に必要なコストを削減できます。リアル研修を実施すると、下記のようなコストが発生します。
- 会場費
- 交通費
- 宿泊費
- 資料印刷費
- 講師費
- 受講者の移動時間
(必要な費用は規模や研修内容、内製/研修会社によって大きく異なるためあくまでも一例です)
一方で、オンライン研修の場合は、下記の費用が発生します。
- インターネット回線費
- 撮影機材費
- オンラインツール費
- 貸出用の端末費
- 講師費
(必要な費用は規模や研修内容、内製/研修会社によって大きく異なるためあくまでも一例です)
オンライン研修の導入時には撮影機材の用意やインターネット環境の整備が必要ですが、開始してしまえば毎回発生する費用を大きく削減できます。オンライン研修の場合は資料をオンライン経由で共有できるため、印刷をするコストや作成費用も抑えられるでしょう。
4-3. リアルタイムでのコミュニケーションが取りやすく、アウトプット機会を増やせる
オンライン研修は、システムやアプリケーションを導入して実施することが一般的です。これらを使うとただ視聴するだけでなくチャットやリアクションボタンを使い、リアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。
- 挙手をしての発言
- チャット
- リアクションボタン(いいねや拍手を送ることが可能)
- アンケート機能
- Q&A機能
(使用できる機能はツールにより異なります)
特定の人が挙手をして発言をするだけでなく、チャットやQ&A機能を使いテキストベースで質問をすることが可能です。拍手やいいねなどのリアクションを送信できるため、リアル研修のような臨場感を演出できます。
また、オンライン研修ではグループワークも可能です。ツールによってはオンライン内で部屋を分けることができるため、グループごとに話し合ったりロールプレイングを行ったりすることも検討できます。
オンライン研修は対面ではない分コミュニケーションが取りにくいと考えがちですが、ツールを使えば双方のコミュニケーションが取りやすくなります。結果、受講者の知識レベルに応じて、苦手な領域を集中的に反復しながら学習を進められるのです。
4-4. 受講者の管理がしやすい
オンライン研修に使用するシステムやアプリケーションには、受講者を管理する機能が備わっていることが多いです。わざわざ出欠を取ったり管理表を作成したりしなくても、下記のような項目を管理できます。
- リアルタイムでの出欠状況
- 社員個人のオンライン研修の進捗状況
(使用できる機能はツールにより異なります)
受講者の出欠状況をリアルタイムで確認できれば、出席できていない社員を特定し出席を促せます。また、録画型のオンライン研修ではどの動画を視聴しているのか個人の履歴を把握できるため、社員の姿勢や進捗状況を確認できます。
このように、研修の開催や継続時に手間がかかる受講者管理が手軽にできるところは、大きなメリットだと言えるでしょう。
オンライン研修のデメリット・注意点
オンライン研修のメリットが理解できたところで、気になるのはデメリットや注意点です。オンライン研修のデメリットや注意点としては、次の5つが考えられます。
どのような点に留意するべきか理解しておけばあらかじめ対策が取れるため、事前に確認しておきましょう。
5-1. 長時間の研修が難しい
オンライン研修は画面越しでのコミュニケーションとなるので、集中力が持続しにくいデメリットがあります。リアル研修では
- 雑談をしてリラックスをする
- 実技を取り入れる
- 対面でのグループディスカッションを取り入れる
などして、動作や気持ちにメリハリをつけることが可能です。しかし、オンライン研修では、基本的には画面を見続ける動作が継続します。同じ動作が続くため疲労が蓄積しやすい、集中力が途切れやすい状態となります。集中力が途切れた状態で長時間の研修を実施しても、思ったような成果が得られないでしょう。そのため、オンライン研修をするときには
- 研修の時間を短く設定する
- 定期的に休憩時間を設けてリフレッシュできるようにする
などの工夫を検討してみてください。
5-2. ノンバーバルコミュニケーションが伝わりにくい
オンライン研修では、ノンバーバルコミュニケーションが伝わりにくいです。ノンバーバルコミュニケーションは、下記のような非言語でのコミュニケーションを指します。
- 身振り手振り
- 話を聞いているときの相づち
- 話を聞いているときの表情
これらは分からなくても問題がないと思うかもしれませんが、コミュニケーションをするうえでノンバーバルコミュニケーションは重要な役割を果しています。
ノンバーバルコミュニケーションの重要度を示す調査結果に「メラビアンの法則」があります。メラビアンの法則では他者とコミュニケーションを取るときに、視覚や聴覚から得る情報が重要であることが分かっています。
オンライン研修では画面に資料を映すこともありますし、受講者全員の表情が常に閲覧できるわけではありません。そのため
- 講師の熱量が伝わりにくい
- 受講者の理解度や納得感を表情や雰囲気から読み取りにくい
というデメリットがあります。SPOCs(講師1人に対して受講者数十名がオンライン上に集まり、双方向にコミュニケーションを取りながら学習する手法)においては、このデメリットは顕著に表れます。払拭するにはリアクションスタンプなどを活用し、双方の納得度や姿勢に差が出ないよう工夫することが大切です。
5-3. 実技を伴う研修は難しい
「3-2.座学で学べる研修内容を検討している」でも触れましたが、オンライン研修は座学で体系的に学べる学習に向いています。一方で、実技の習得や実技を伴う研修は実施しにくいです。
例えば、医療機器の使い方や専門性の高い機材の操作方法を学ぶ研修を企画したとします。オンライン研修では講師が操作をする画面や録画しておいた操作方法を写し出すことまではできますが、受講者が実際にできているのか確認することが難しいです。
少人数の場合は同じように操作をしているところを映し出して部分的な確認をすることはできるかもしれませんが、リアル研修のように常に状況を確認しながら進めていくことができません。
ブレンディッドラーニングとは、複数の学習方法を組み合わせてそれぞれのメリットを最大限に活かす手法です。実技を伴う研修が必要な場合には基礎知識の習得をオンライン研修で行い、実技の習得をリアル研修で行うことが検討できます。
オンライン研修だけでは習得しにくい実技の部分をリアル研修で補填することで、研修の成果を高めることができるでしょう。
ブレンディッドラーニングについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムもご参考にしてください。
「リアル研修とオンライン研修をどう組み合わせる?~複数の育成手法を組み合わせるメリットとポイント~」
5-4. 強制力が低く成果に差が出ることがある
オンライン研修はリアル研修に比べると、強制力が低くなります。
- 研修に参加はしているもののカメラをオフにしている
- 研修に参加はしているものの何をしているのか確認できない
ということが起こりやすいからです。管理上では研修に出席をしていてもカメラをオフにしていると、実際に取り組んでいるのか誰も確認できません。同じく管理上では動画の視聴が済んでいても、真面目に取り組んだのか他事をしながら流し見をしたのかチェックすることが難しいです。
特にMOOCs(動画や音声を視聴しながら学習を進める手法)では、長時間にわたり一人で学習を進めます。そのため、最後まで学ぶ目的を意識し続けることが難しく、結果的に学習内容の修了率が低くなる傾向があります。
真面目に取り組んだ受講者と視聴だけを済ませた受講者とでは、理解度や習熟度に差が出やすくなります。研修の成果を出すためにはカメラをオンにする、研修後にはテストを実施する、研修や学習に集中できる環境を作る、などの施策が必要でしょう。
5-5. ITリテラシーが必要となる
オンライン研修は、各自研修を受けるためのインターネット環境や準備が必要です。会社内で実施をする場合は準備のサポートを受けられるかと思いますが、社外から各自が参加する場合には必要なアプリケーションのダウンロードやカメラ、音声の確認などを済ませておく必要があります。
業務でパソコンやタブレットを使用する機会がなく、オンライン環境に馴染みがない業種の場合は導入のハードルが高くなるでしょう。
この場合は、オンライン研修の設定方法から教える、もしくは社内で端末の貸出を実施するなど、誰もが問題なくオンライン研修を受けられるように配慮することが必要です。
またオンライン研修の講師にも同様のことが言えます。講師のITリテラシーが高くない場合は、リアクションスタンプなどを活用をスムーズに行えず、受講者の納得度や姿勢に差が出ます。
オンライン研修の2つの種類・選び方
オンライン研修には、「リアルタイム型」と「録画型」の2つの種類があります。
反復学習の違い | 概要 | メリット | デメリット | 向いているケース |
---|---|---|---|---|
リアルタイム型 オンライン研修 |
講師と受講者がリアルタイムでオンライン接続をして実施する |
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|
録画型 オンライン研修 |
受講者が録画済みの研修(講義)を見て知識を習得する |
|
|
|
それぞれ特徴や強みが異なるため、事前に理解をして使い分けることが大切です。メリットとデメリット、向いているケースをまとめて解説しているので、参考にしてみてください。
6-1. リアルタイム型オンライン研修
リアルタイム型オンライン研修は、講師と受講者がリアルタイムでオンライン接続をして実施する手法です。その場でチャットでの質問やグループワークができるため、研修内容の深掘りや議論ができるところが特徴です。
6-1-1. リアルタイム型オンライン研修のメリット
リアルタイム型のオンライン研修は、下記のようなメリットがあります。
- コミュニケーションを取りながら議論ができる
- その場で疑問や課題の解決ができる
- グループワークができる
リアルタイム型はコミュニケーションを取りながら、研修を進められるところが強みです。グループワークを行いながら議論を深めたり、業務での疑問や課題を解消したりすることができるでしょう。
また、チャットでの質問やQ&Aを活用すれば多様な意見や考え方を知ることができるため、知見を広げていくことも可能です。
6-1-2. リアルタイム型オンライン研修のデメリット
リアルタイム型のオンライン研修は、下記のようなデメリットが考えられます。
- 受講者と講師の時間を合わせる必要がある
- 受講者や講師によって研修の質が左右される可能性がある
リアルタイム型は、参加のスケジュールを調整し合わせる必要があります。忙しい社員にとっては一定の時間の確保が必要なので、負担となるかもしれません。
また、リアルタイム型は双方のコミュニケーションが軸となるため、消極的な受講者が多くなると議論が活発化せず、内容の薄い研修になる可能性があります。一方で、そのような事態でもうまく対応できる講師の場合は、最低限の研修の質は担保されるでしょう。
6-1-3. リアルタイム型オンライン研修が向いているケース
リアルタイム型オンライン研修は、研修内容の深掘りをしたい場合やグループワークをしたい場合に向いています。
- グループワークを実施して研修内容を深掘りしたい場合
- 受講者の疑問や課題を解消したい場合
例えば、受講者がマネジメントしているチームの課題を抽出し解決策を見つけ出す管理職向けの研修や業務への理解を深める若手社員向けの研修などが検討できます。
6-2. 録画型オンライン研修
録画型オンライン研修は、受講者が録画済みの研修(講義)を見て知識を習得する手法です。受講者に合わせた録画済みの教材さえ用意できれば、時間や場所に囚われず実施できるところが特徴です。
6-2-1. 録画型オンライン研修のメリット
録画型のオンライン研修には、下記のようなメリットがあります。
- 時間や場所に縛られることなく知識を習得できる
- 繰り返し視聴できる
- 主催者側の負担が少ない
録画型は受講者の予定に応じて、活用しやすいところがメリットです。受講者は空いている時間を使い好きな場所から動画を視聴できるため、忙しい社員でも学びの機会を捻出できます。
また、録画映像なので繰り返し視聴できるのはもちろんのこと、分かりにくい部分はその場で巻き戻しをして確認ができます。受講者が納得できるまで深く学べるところも大きな強みです。
6-2-2. 録画型オンライン研修のデメリット
録画型のオンライン研修は、下記のようなデメリットが考えられます。
- 疑問点があってもその場で質問ができない
- 活用度や習熟度は受講者の主体性に委ねられる
録画型はリアルタイムで講師とコミュニケーションが取れないため、疑問点があってもその場で解決することができません。また、録画型は受講者が1人で黙々と映像を見て学ぶことになります。活用頻度や習熟度は受講者の主体性に委ねられるため、社員による差が出やすいかもしれません。
6-2-3. 録画型オンライン研修が向いているケース
録画型オンライン研修は視聴するだけで理解ができる基礎知識の復習、習得や新しい知識の習得に向いています。
- 何かしらの業務を遂行するうえでの基礎知識を習得したい場合
- 活用DXやAIなど新しい分野の基礎知識などを体系的に学び知見を増やしたい場合度や習熟度は受講者の主体性に委ねられる
- 業界の最新情報を取得したい場合
例えば、新任管理職のマネジメントの基礎知識の習得や業務を遂行するうえでのルールやフローなど基礎知識の習得に活用できます。またDXやAIなど新しい分野の基礎知識などを体系的に学び知見を増やしたい場合や業界の最新情報を取得したい場合にも活用しやすいでしょう。
6-3. リアルタイム型と録画型は組み合わせることもできる
リアルタイム型と録画型は、それぞれ強みや向いているシーンが異なります。研修内容によってはどちらか片方を選択するのではなく、両者を組み合わせて効果を高めることも可能です。一例として、下記のようなオンライン研修の運用方法が検討できます。
- ①リアルタイム型の前に録画型を活用し個々の基礎知識のレベルを均一化する
- ②リアルタイム型ではグループワークを中心に行い理解を深める
- ③リアルタイム型後には録画型で反復学習を行う
まずは録画型で、基礎知識を補い受講者のレベルを均一化します。その後でリアルタイム型を活用しグループワークをすることで、個人学習では見つけられない気付きや課題を抽出します。そして再度、録画型で反復学習を行い知識の定着を狙います。
ただし、双方を導入するとその分コストや手間が増える可能性もあるので、留意して検討ください。
オンライン研修は、「MOOCs」と「SPOCs」の2種類に分けて考えることもあります。
- MOOCs(Massive Open Online Courses):Web上で公開されている大規模なオンライン講座。主にインターネット上で動画や音声を視聴しながら非同期型で学習を進めます
- SPOCs(Small Private Online Courses):教育機関や企業内が行う非公開オンライン講座。小規模で非公開であることが特徴で、講師1人に対して受講者数十名がオンライン上に集まり、講師と受講者が同期型で双方向にコミュニケーションをしながら学習を進めます。
オンライン研修を検討する際にこのような言葉を耳にすることもあるので、確認しておきましょう。
オンライン研修を実施するために準備するべきもの
オンライン研修を実施するためには、主催者側と受講者側にそれぞれ準備するべきものがあります。どのようなものを準備すればいいのか分かると検討しやすくなるので、確認しておきましょう。
7-1. 主催者側が用意するもの
オンライン研修の主催者側は、下記のような準備が必要です。
リアルタイム型オンライン研修 | 録画型オンライン研修 |
---|---|
|
|
リアルタイム型では、動画の配信ができるように配信機材の準備が必要です。導入コストを抑えて手軽に始めたい場合は、パソコンに内蔵されているカメラやマイクを使用することも検討できます。
録画型の場合は、研修のテーマに応じた録画済みの動画の用意が欠かせません。担当者が各自撮影をして動画を増やしていくこともできますし、研修動画の作成や準備をしてもらえる外部サービスの利用も可能です。コストやオンライン研修の内容に応じて、選択するといいでしょう。
また、リアルタイム型と録画型に共通しているのは、アプリケーションやシステムを介してオンライン研修を実施するところです。一例としては、下記のようなアプリケーションやシステムを検討できます。
- Zoom
- Google Meet
- Microsoft Teams
- 研修会社が開発しているアプリケーション
- ソフトウェア会社が開発するWeb会議システムなど
受講者の人数や使用したい機能、使用環境(スマートフォンやタブレット、パソコンなど)により、使用できるシステムやアプリケーションが異なるため、導入しやすいものを選択してみてください。
パソコンに不慣れな社員が多い場合は、貸出用の端末を用意しておくと安心です。
- パソコンやタブレットを保有していない
- パソコンやタブレットの設定方法が分からない
という理由で学びの機会が減ってしまうのは、好ましくありません。オンライン研修を継続していく場合には解消方法を検討しなければなりませんが、運用開始時は貸出をすることで補填するといいでしょう。
特に SPOCs(講師1人に対して受講者数十名がオンライン上に集まり、双方向にコミュニケーションを取りながら学習する手法)の場合、話者の周りの雑音が入ってしまい、セッション進行の妨げになるケースがあります。集中して研修に取り組んでいただくには、雑音が入らない静かな受講場所を準備することも大切です。
また、大人数が同室で受講する場合、ハウリングが発生し、学習効果を大きく損なう可能性があるため注意が必要です。
7-2. 受講者側が用意するもの
オンライン研修の受講者は、主に下記のような準備が必要です。
- パソコンやタブレットなどの端末
- インターネット環境
- 主催者が指定したアプリケーションやシステム
- カメラやマイクなどの外部機器(パソコンやタブレットにマイク、カメラがない場合)
オンライン研修はパソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末から受講します。このときに
- 主催者が指定したアプリケーションやシステムとの互換性
- 研修内容での端末操作の有無
(主催者が想定している研修内容や進め方を実現できる端末とその機能の有無の確認は必ず必要です)
も忘れずに把握しておく必要があります。例えば、タブレットからの受講を検討しており、主催者が指定したアプリケーションがタブレットに非対応であったら使用できません。研修でチャット操作や画面共有が必要な場合は、パソコンからの視聴に絞ったほうが進めやすい可能性もあります。
基本的には受講者1人につき1台の端末が必要なので、開始前に確認しておくといいでしょう。
また、見落としがちなのが、カメラやマイクの有無です。スマートフォンやタブレットでの受講ではほぼ問題はありませんが、パソコンの場合は内蔵されていない可能性があります。その場合には、ヘッドセットマイクや外付けのカメラをセットして、受講環境を整える必要があるでしょう。
オンライン研修を開催する手順
ここからは、オンライン研修を開催するための手順を具体的に解説していきます。
自社で実施するときにはどのような手順を踏めばいいのか理解できるので、参考にしてみてください。
8-1. オンライン研修の目的を明確にする
まずは、研修を実施する目的を明確にします。研修の目的は自社の課題や目標に焦点を当てると具体化しやすいです。例えば、管理職の育成に課題がある場合は、管理職に期待する役割と行動に必要な知識・スキル、姿勢を獲得することが目標となります。
次世代のリーダーとなる人材が不足していることが課題となっている場合には、例えば管理職や管理職手前の階層から選抜し、次世代のリーダーに必要な知識・スキル、姿勢を獲得することが目的となるでしょう。このように、誰に対してどのような目的で研修を行うのか明確にしておきます。
このときに忘れてはいけないのは、リアル研修とオンライン研修のどちらを選択するべきか再考することです。「2.オンライン研修とリアル研修の違い一覧」でも触れたように、オンライン研修とリアル研修は強みが異なります。研修の目的によってはリアル研修を選択する、もしくはリアル研修とオンライン研修を組み合わせる検討ができるでしょう。
例えば、管理職の1人1人がメンバーとの1on1などのコミュニケーションを実技を通じて適切に行えるようにすることが目的なら講師が一度に大勢の実技を確認できるリアル研修のほうが効果的です。一方で、1on1などのコミュニケーションの基礎知識を体系的に身につけることが目的であれば、オンライン研修が検討できます。研修を形だけで終わらせないためにも、オンライン研修を選択することが目的達成には有効なのか考えてみてください。
8-2. オンライン研修の種類・内容を決める
オンライン研修の目的が決まったら「6.オンライン研修の2つの種類」で解説した種類を決めましょう。オンライン研修の種類は、研修内容を決めると自然に選択できます。
- グループワークを通して他の参加者の異なる意見に触れることで視野を広げたい
- 現在各社員が抱えている業務に対する不安や悩みを解消できる場にしたい
という場合は、コミュニケーションが取れる環境が必要なのでリアルタイム型オンライン研修が向いています。
- 忙しい社員の学習効率性を重視したい
- いつでも基礎知識を再度確認できる環境を用意したい
という場合には、録画型オンライン研修を選択するといいでしょう。このように、研修をどのような学びの場としたいのか具体的に考え、それに対応できる種類を選択します。
8-3. システム・セキュリティを確認する
オンライン研修の目的と実施する種類が決まったら、具体的な方法を検討していきます。最初にすべきことは、オンライン研修に使用するシステムとセキュリティの確認・準備です。導入や調整に時間がかかるケースがあるので、早い段階から進めておくことがおすすめです。
①システムやアプリケーションの導入
「7.オンライン研修を実施するために準備するべきもの」でも触れたように、オンライン研修を実施するときにはシステムやアプリケーションを使用します。自社で用意する場合は、下記の部分をチェックして検討するといいでしょう。
チェック項目 | 概要 |
---|---|
参加人数 | 何名まで同時受講、または視聴ができるか 例:20名までの同時受講に対応している |
導入のしやすさ | 主催者側と受講者ともに導入しやすいか 例:マルチデバイスに対応している・アプリケーションが簡単にダウンロードできる |
操作性 |
受講者が簡単に操作できる 例:手軽にチャットが使用できる・ワンクリックで入室できる |
開催方法 |
リアルタイム型と録画型のどちらに対応しているか 例:リアルタイム型のみに対応している |
コミュニケーション |
リアルタイム型の場合はチャットやFAQ、アンケート機能など使いたい機能が備わっているか 例:チャットとアンケート機能が備わっている |
グループ作成 |
リアルタイム型の場合はグループを作成しグループワークができるか 例:入室する部屋の割り振りができる> |
管理機能 |
受講者の進捗状況や入室状況の管理ができるか 例:受講者の進捗状況を一覧で表示できる |
コスト | 導入コストやランニングコストは妥当か |
リアルタイム型で開催する場合は、システムやアプリケーションによって使用できるコミュニケーション方法や実施できるグループワークが異なるため注意が必要です。今後実施したい研修の内容を念頭に置いて、必要な機能が備わっているシステムやアプリケーションを検討してみてください。
②セキュリティの確保
オンライン研修を実施する前には、セキュリティを確保しておくことが大切です。とくに注意しなければならないのは、不正アクセスや不正ログインによる被害です。
- デバイスに不正ログインをしてオンライン研修のURLや資料を盗む
- オンライン研修に不正アクセスした第三者によって妨害行為を受ける
などの被害を受ける可能性があります。オンライン研修では個人のデバイスからアクセスを許可している場合、セキュリティが強化されていないことが考えられます。事前に下記のポイントを確認し、一定のセキュリティを維持できるようにしましょう。
オンライン研修を開催するときのセキュリティ対策ポイント | |
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セキュリティソフトを導入している | 不正アクセスやウイルスの侵入を防ぐ最新のセキュリティソフトをダウンロードしている |
二段階認証や多要素認証のパスワードを設定している | 第三者が不正ログインできないように二段階認証や多要素認証を使いパスワードを設定している |
インターネット通信の安全性を確保する | インターネット通信中に第三者により情報を盗まれないようVPN接続など暗号化をしてインターネット通信をする手法を選択する |
最新のアプリケーションやシステムを利用する | 以前からダウンロードしているアプリケーションやシステムを使用する場合はアップデートを行い最新版を使用する |
セキュリティに対する意識の向上 | 受講者を対象にセキュリティに対する基礎知識や危険性を共有する |
業務でパソコンを使用している場合でも、セキュリティに対する心構えや危険性を熟知していない可能性があります。そのため、必要に応じてオンライン研修を開催する前にセキュリティに対する認識をすり合わせ、安全性を高めたうえで取り組めるようにしましょう。
8-4. 開催日を決める
続いて、オンライン研修の開催日を決定します。リアルタイム型の場合は受講者と講師の日程を合わせる必要があるため、できるだけ早く日程を確定することが求められます。
- 候補日を決めてアンケートを取得する
- 受講者の業務スケジュールを確認しながら日程調整をする
などの方法で確定ができます。一度の研修に受講者全員が参加することが難しい場合には、開催日を分けたり録画をした研修映像を共有したりする方法も検討してみてください。
8-5. 資料を作成し、リハーサルを実施する
ここまで来たら、オンライン研修の資料や動画を作成します。リアルタイム型で使う資料は画面共有ができるため、データで作成をしておきます。例えば、パワーポイントやWordなどで作った資料を共有して進めることができます。録画型で使う動画は事前に録画をして、受講者が理解しやすいように文字入れや編集を行います。
資料や動画の作成を終えたら、リハーサルを実施します。オンライン研修は機材やシステム、アプリケーションを使うため、思わぬトラブルが起こりやすいです。事前にリハーサルを行うと、トラブルのリスクを軽減できます。リハーサルでチェックしたい主な項目は、下記のとおりです。
開催方法 | リハーサルでのチェックポイント |
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リアルタイム型オンライン研修 |
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録画型オンライン研修 |
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リアルタイム型ではオンライン研修当日は配信ができないトラブルが起こらないように、配信機材の動作やアプリケーションの動作をしっかりと確認します。
このときに主催者側だけでなく、受講者側も簡単なリハーサルができるようにしておくと安心です。例えば、事前にシステムやアプリケーションにログインをして、カメラやマイクの動作確認を促すと機材トラブルで受講できないリスクを抑えられます。
8-6. 研修概要を告知する
事務局から受講者の皆さんへ、「研修を実施する背景と目的」を丁寧に周知する必要があります。
特にMOOCs(動画や音声を視聴しながら学習を進める手法)は長時間にわたり一人で学習を進めるため、最後まで学ぶ目的を意識し続けることが難しく、受動的になりがちです。従って、研修への参加姿勢を整える工夫を施す必要があります。
受講者の皆さんにメールを通じて周知するだけでなく、事務局と受講者の皆さんとの間でコミュニケーションを取れる場(例:オンラインでのオリエンテーション)を作ることも効果的です。
8-7. オンライン研修を実施する
オンライン研修開催日当日が来たら、オンライン研修を実施します。パソコン操作に慣れていない受講者が多い場合には、冒頭でオンライン研修の進め方と機能の使い方を説明しましょう。共通認識を持ち取り組んだほうが、オンライン研修の成果を高められます。
「5-1.長時間の研修が難しい」でも触れましたが、オンライン研修は集中力を持続させることが難しいです。リアルタイム型の場合は
- 定期的に休憩時間を作る
- グループワークと座学を使い分けメリハリをつける
など、受講者が飽きずに取り組める工夫を取り入れましょう。「9.オンライン研修を成功に導く3つのポイント」ではより詳しく成功に導くポイントを解説しているので、参考にしてみてください。
8-8. 学習進捗のフォローアップを行う
オンライン研修では、受講者の学習進捗状況をシステムで確認できる場合があります。
その場合、準備の段階で学習進捗を確認するタイミングを予め定めておきましょう。学習進捗を定期的に確認することで、学習終了率を少しでも上げるための手立てを考え、実行に移すことができます。
学習期間が全て終了した後に確認する、ということは避けるべきです。受講者の学習終了率が低くても、リカバリーすることができません。
8-9. 効果測定を実施して次回に生かす
オンライン研修は開催して終わりではなく、開催したことで受講者にどのような変化があったのか可視化することが欠かせません。
- オンライン研修当日または後日に習熟度のテストを実施する
- オンライン研修後にアンケートを実施する
- 1on1やミーティングでオンライン研修の成果をヒアリングする
などを行い、受講者1人1人が感じたことや研修を通じて感じた変化を明確にします。このときにポジティブな意見、変化だけでなく、改善したほうがいい点に目を向けることが大切です。
例えば「研修が長く感じた」「集中力が持たない」という意見があった場合には研修の時間や内容を再考する必要があります。オンライン研修は実際に開催してみないと反応や効果が分からないものなので、改善を重ねて精度を高めていきましょう。
オンライン研修の進め方を見て分かるように社内でオンライン研修を運用しようとすると時間と労力がかかります。日々の業務で忙しい中。オンライン研修の準備を行うことが難しいケースも多いでしょう。
オンライン研修の企画や準備、運用は外部に依頼することが可能です。「10.グロービスが提供するオンライン研修」でも詳しく解説していますが、グロービスでは豊富な知識と経験をもとに質の高いオンライン研修を提供しています。自社での企画や運用にハードルを感じている場合は、お気軽にご連絡ください。
オンライン研修を成功に導く4つのポイント
オンライン研修の成果を最大化するには、次の4つのポイントを取り入れてみるといいでしょう。
どのポイントもオンライン研修を企画しているときに簡単に検討できる方法なので、参考にしてみてください。
9-1. 通信環境の不具合を防ぐ
オンライン研修でWeb会議システムを使用した際に、受講者の通信環境に不具合が生じてしまうケースがあります。たとえば映像が固まってしまったり、音声が遅れて聞こえてくるなど。
話を聞いてみると、「社内の打ち合わせで、Web会議システムを利用しているから大丈夫だと思った」という方がいます。なぜオンライン研修では、不具合が生じてしまうのでしょうか。
実はオンライン研修は使用するデータ通信量が大きく、不具合が生じる場合があります。グループワーク、スライドや動画の画面共有などの機能を利用するためです。
これを防ぐには、Web会議システムの推奨ネットワーク帯域(単位:Mbps)を確認する必要があります。Web会議システムを開発している会社で公表しているので、ホームページなどを確認してみましょう。
その後、それぞれの受講者の環境が、推奨ネットワーク帯域を満たしているかを確認します。Mbpsは1秒間に送受信可能なデータ量を表す単位で、数値が大きければ大きいほど通信速度が速くなります。
9-2. 受講者が飽きない工夫を取り入れる
オンライン研修は受講者と講師の空間共有がなくそれぞれが画面に向かっている環境なので、どうしても集中力が途切れやすいです。研修の内容にもよりますが、自社で研修を開催する場合は受講者が飽きることなく取り組めるよう「45-10-4」の法則を意識してみましょう。
パソコンに不慣れな社員が多い場合は、貸出用の端末を用意しておくと安心です。
- 45分:45分に1回休憩を取り入れる
- 10分:10分に1回内容を変える
- 4分:4分に1回場面転換や進め方を変更する
- [『研修デザインハンドブック』ボブ・パイクの90:20:8の法則を参考]
例えば、グループワークを10分行い、各グループが4分間でグループワークの成果を発表します。そして、40分経過したときに休憩を挟みます。リアル研修よりも展開を早くして間延びをする時間を作らないよう意識することで、没入感を高められます。
9-3. リアルタイム型ではできる限りカメラとマイクはオンにしてもらう
リアルタイム型オンライン研修では、できる限りカメラとマイクをオンにしてもらうようにしましょう。受講者がカメラとマイクをオフにしていると、講師がラジオのように一方的に話している状態となります。
受講者が積極的に参加をしている状況ではなくなり、何となく話を聞いているだけの研修になる可能性があります。講師や主催者側からは受講者の様子が確認できないため、他の業務をしている、離席しているなどのケースも考えられるでしょう。
グループワークや発言を行い研修内で活発なコミュニケーションを図るには、お互いの表情や様子が把握できることが大切です。研修の冒頭で「カメラとマイクをオンにしてください」などと呼びかけて、進行するといいでしょう。
9-4. オペレーターを配置する
リアルタイム型オンライン研修は対面とは異なり、研修中にトラブルが起きても個人的なサポートをしにくいです。とは言え、オンライン研修を開始したばかりの頃は不慣れな受講者も多く、スムーズに進むとは限りません。講師にトラブル対処を任せると、何か起こる度に研修が中断することも考えられます。
そこで、予め受講者向けに各ITツールの使い方を示したマニュアルを用意する、講師以外にサポート役となるオペレーターを配置する、などがおすすめです。とくに下記のようなトラブルが起こりやすいため、オペレーターがサポートをするとスムーズに進められます。
- システムやアプリケーションの使い方が分からない受講者へのサポート
- 再入室時のフォロー
- 通信状況によるトラブルのサポート
講師以外に知識のあるオペレーターが待機している状況にしておき、何かあったらオペレーターに質問をする体制で進めるといいでしょう。事前に受講者各自が研修当日と同じ環境での接続テストを行っておくこともお勧めいたします。
グロービスが提供するオンライン研修
ここまで解説してきたようにオンライン研修にはメリットが多く、多様な働き方を推進する時代に合う研修方法として注目されています。実際に取り組んでみたいと考えているものの「どこから始めればいいのか分からない」「社内のリソースが不足している」と悩んでいるケースもあるかと思います。
グロービスでは企業の目的や目標に応じて、オンライン向けに設計したコンテンツを企画、提供しています。そしてオンライン向けにトレーニングした講師が担当いたします。
- オンラインの特性を理解した講師によるスムーズな進行
- 座学にとどまらない、アウトプット中心の研修スタイルで実践で使える知識を学べる
- 事前学習からディスカッション、振り返りまでオンラインで完結できる
ここでは、実際にグロービスが提供したオンライン研修の事例をご紹介します。
10-1. 日立アカデミー株式会社様:「オンラインMBA」の普及で平等な学習機会を提供
日立アカデミー株式会社様は、時間や場所の制限を受けず社員が学べる環境を構築したいと考えていました。日立グループの社員は勤務地がそれぞれ異なり、集合研修のために東京に来られない場合もあります。学びの機会を均一化したいとの思いから、日立の「オンラインMBA」を立ち上げることにしました。
日立の「オンラインMBA」のターゲットは、管理職の一歩手前にあたるアシスタントマネージャー層です。アシスタントマネージャーがマネージャーになるまでに必要な経営知識やスキルを身につけて欲しいという願いがあったそうです。
そこでグロービスに相談をいただき、日立の「オンラインMBA」の普及や進化について一緒に進めてまいりました。日立の「オンラインMBA」の開催当初は地方拠点の受講者から「この研修を受けたい」との声が届いたそうです。数年継続して受講者が増え、人材育成を支える存在になりつつあります。
今後はオンライン研修そのものを進化させてリアル型研修と使い分け、より深い学びと感動を与えられる研修にブラッシュアップしていきたいとのことです。日立アカデミー株式会社様の事例は下記で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
参考:日立アカデミー株式会社 タイム&ロケーションフリーで平等な学習機会を提供するため、時代に先駆けて研修をオンライン化
10-2. 長瀬産業株式会社様:ディスタンスラーニング形式での研修プログラムを提供
長瀬産業株式会社様は将来を担う課長職を対象に、目の前のビジネスを進めることに留まらずビジョン作成や大きな視野での覚悟、志を重視した研修を行いたいと考えていました。
そこでグロービスにお声がけいただき、研修内容の企画や見直しを行うことにしました。2つ上のポジションである事業部長の目線でアウトプットができることをゴールに設定し、ビジョン作成力とリーダーシップの発揮をテーマとした研修プログラムを企画しました。
- 抽象的な内容で終わってしまわないか
- セッションに3日間しか割けない中でどこまで成果が出せるのか
という2つの懸念があったとのことですが、PDCAを回しながら作り上げることで不安を払拭していただけました。とくに「抽象的な内容で終わってしまわないか」という点は担当講師の指導が良く、受講者の視座をしっかりと引き上げ質の高いアウトプットができたとのことです。
また、コロナウイルス流行時は学びを止めないことを優先し、ディスタンスラーニング形式を導入しました。日本語・英語ともに、eラーニングとオンラインディスカッション、集合研修を組み合わせて実施しました。ディスタンスラーニング形式では下記のような工夫を取り入れています。
- 時差を考慮して日本時間の午前開催クラスと、夕方開催クラスの2クラスに分ける
- 全体でのオンラインキックオフを開催し一体感を高める
- 社内ツールやグロービス独自のラーニング・マネジメント・システムを活用し受講者同士のコミュニケーションを活性化している
5年間で課長層の計200名ほどが受講し、企業風土そのものが変化してきていると感じているそうです。今後は研修をアップデートし、研修を受けた後の成長もサポートできるようにしていきたいと考えているとのことです。長瀬産業株式会社様の事例は下記で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
参考:長瀬産業株式会社 グローバルで平等に学ぶ機会を提供するため、マネジメント研修をオンライン(日英2言語)で実施
このように、グロービスでは豊富な実績や独自のノウハウをもとに、成果につながるオンライン研修を提供しております。専任のヘルプデスクが受講の準備から実施までをサポートしますので、オンライン研修に慣れていない受講者様でも安心です。オンライン研修の導入に興味がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたか?オンライン研修とはどのようなものか理解でき、自社での実施を検討できるようになったかと思います。最後にこの記事の要点を振り返ってみましょう。
■オンライン研修のメリットとデメリットは下記のとおり
- ①時間や場所を問わす開催できる
- ②研修にかかるコスト・労力を抑えられる
- ③チャットやリアクションスタンプなどを用いてリアルタイムでコミュニケーションが取れる
- ④受講者の管理がしやすい
- ①集中力が維持しにくく長時間の研修が難しい
- ②ノンバーバルコミュニケーションが伝わりにくい
- ③実技を伴う研修は難しい
- ④強制力が低いので受講者の取り組み方により成果に差が出る可能性がある
- ⑤ITリテラシーが必要となる
■オンライン研修が向いているケースは次のとおり
- ①多様な働き方を推進している
- ②座学で学べる研修内容を検討している
- ③部署や支店が多く集合研修に時間やコストがかかる
- ④継続して研修ができる環境を整えたい
■オンライン研修を成功に導くポイントが次のとおり
- ①受講者が飽きない工夫を取り入れる
- ②リアルタイム型ではできる限りカメラとマイクはオンにしてもらう
- ③オンライン研修をサポートするオペレーターを配置する
オンライン研修を導入することで学びの機会を提供しやすくなり、自社の課題の解決へとつながります。グロービスではオンライン研修の企画から実施までをサポートしていますので、お気軽にお問い合わせください。