【奈良市様】
写真中左 総合政策部 人事課 人材育成室 主任 大西 哲也さん
写真中央 障がい福祉課 井口 萌さん
写真中右 総合政策部 人事課 人材育成室 主務 川上 真衣香さん
【グロービス担当】
写真左 重村 明信
写真右 堀 拓人
人口減少社会の進展に伴う将来的な労働力不足を見据え、コンパクトで持続可能な組織づくりを推進する奈良市。同市では、生成AIなどの先端技術を活用した「自治体DX」の推進と並行し、職員一人ひとりの生産性を高めるための戦略的な人材育成に乗り出しています。
限られたリソースで市民サービスの質を維持・向上させるため、従来の集合研修中心のスタイルから、『グロービス学び放題』を活用した「自律的な学び」へと舵を切った背景には、どのような課題とビジョンがあったのでしょうか。本記事では、人材育成の変革を主導する人材育成室のお二人と、実際に受講している若手職員の方に詳しくお話を伺いました。(※所属、役職は取材当時のものです)
- 人口減少による将来的な労働力不足を見据え、少人数で最大効率を出す組織づくりをする必要があった
- 集合研修中心の学び方では多忙な職員が参加しづらく、学びへのネガティブな意識が課題だった
- 時間や場所に縛られず自律的に学べる基盤として、eラーニングの導入を検討
- 質の高いコンテンツと、学習のハードルを下げやすいマイクロラーニング形式が決め手となり選定
- 階層別研修では、集合研修を最小限にし、『グロービス学び放題』での自主学習を導入した
- さらに全職員を対象に希望者を公募し、『グロービス学び放題』で学ぶ機会を提供
- 「入庁3年目」「DXリーダー」「管理職」など、属性別にカスタムラーニングパスを設計し、学びの必要性を感じやすくすることで受講を促進
- 学習する習慣を定着させることで、自ら課題を見つけ変革する自律型人材の育成を目指す
- 限られた人員で質の高い市民サービスを持続できる、全国の自治体のモデルとなるような組織づくりを目指す
限られた人材での最大効率を目指す、自治体DXと戦略人事
はじめに、奈良市が現在取り組まれている「コンパクトで持続可能な組織づくり」の背景について教えてください。
大西さん:全国的な傾向ではありますが、奈良市においても人口減少は深刻な課題であり、将来的な労働力不足は避けて通れません。限られた職員数であっても、複雑化する地域課題や多様な住民ニーズに的確に応え、行政サービスを維持・向上させるために、「限られた人材で最大効率を出すこと」が組織運営の大きな方針となっています。
この方針を具体化するため、市長の強いリーダーシップのもと、先端技術を積極的に活用する「自治体DX」を推進中です。特に最近では、生成AIをはじめとするデジタル技術の活用を進め、業務プロセスの見直しや効率化を図ることで、職員が市民サービスの向上により注力できる組織を目指しています。
私たちが所属する人材育成室でも、研修計画の策定や採用戦略の立案において、AIを壁打ち相手としたアイデア出しや分析を行うなど、テクノロジーを武器にする取り組みを始めています。

人材育成の面では、どのような課題を感じていたのでしょうか。
大西さん:従来は集合研修が中心でしたが、一人で複数の業務を抱える職員も多く、窓口業務や緊急対応も日常的に発生するため、研修に対してネガティブなイメージを持たれていたことが課題の一つでした。決められた日程で半日〜1日の研修時間を確保することが現実的に難しかったのだと思います。業務都合による研修欠席者も増え、職員アンケートでは「忙しい時期の研修は避けてほしい」といった切実な声が寄せられていました。
結果として、学びに対する意識も低下していました。多忙な中で行われる研修に対し、職員が「貴重な時間が奪われる」という捉え方をするようになっていたのです。こうした認識を変え、研修を「負担」ではなく「業務をより良くするための機会」だと感じてもらう必要がありました。
課題に対し、どのような取り組みを行っていますか。
川上さん:令和5年度の人材育成室立ち上げを機に、従来の「人材管理」から「戦略人事」へ転換する方針を立てました。令和6年3月には、奈良市の職員が備えるべき能力を体系化した「奈良市人材育成ビジョン」を策定し、このビジョンに基づいて様々な施策を行っています。
「人材育成ビジョン」では、「人と、伝統と、本当のゆたかさを見つめて、ひとつ先の奈良をつくる。」という職員パーパスから始まり、行動指針を定めたうえで、人事考課と研修を重点施策に掲げました。職員には、自ら課題を見つけ、学び、変革し続ける自律型人材になってもらうことを目指し、それを実現するためのスキル要件を具体的に落とし込んでいます。

現在、このビジョンに基づき、タレントマネジメントシステムの導入や各種研修の実施など、戦略的な人材育成を推進しているところです。また、職員に対しては、管理職会議や全庁掲示板などで繰り返し「人材育成ビジョン」を周知し、理解と浸透を図っています。
大西さん:この人材育成を通して実現したいのは、BPR(業務プロセス再設計)です。組織全体で業務効率化を実現するには、個別の改善活動だけでは追いつかず、既存の仕事をゼロベースで見直すことが不可欠になります。
ところが、現場は目の前の業務で手一杯になりがちで、改革や研修が後回しになってしまうという課題がありました。また、業務の廃止や縮小を含むBPRを進めるには、現場の改善意識に加えて、管理職が全体最適の視点を持って組織をリードすることが重要です。
そのため、昨年度から管理職を対象とした組織マネジメント研修などを通して、意識改革を促しています。管理職が新しい時代の働き方を理解し、BPRの考え方を理解して実行していくことで、最小の人員で最大のサービスを提供する組織への変革が可能になると考えています。
いつでも、どこでも、少しずつ学べる環境が学習のハードルを下げる
人材育成において、なぜeラーニングサービスを導入しましたか。また、数あるサービスの中で、『グロービス学び放題』を選んだ理由もお聞かせください。
大西さん:日常業務を停滞させることなく、職員が自律的にスキルアップを図れる「時間と場所に縛られない学習基盤」を構築するためにeラーニングサービスを導入しようと考えました。自分のスケジュールに合わせて学べる環境を用意することで、学習に対するマイナスイメージを払拭したかったのです。
また、学習効果の点からは、同じ内容を繰り返し学習できるため記憶に定着しやすいという期待がありました。
川上さん:その中で『グロービス学び放題』を選んだ第一の理由は、業務だけでは学べない、質の高いビジネススキルや最新の知見が体系的に提供されていることです。
他サービスとの比較検討においては、コンテンツの質に加え、動画1本あたりの長さにも着目しました。『グロービス学び放題』は1本が数分単位のマイクロラーニング形式であり、まとまった時間を要する集合研修とは異なり、学ぶ行動を起こすハードルを下げられます。この動画構成であれば、業務効率化と自己研鑽を両立する風土の醸成に適していると判断し、導入を決めました。

大西さん:本市で導入しているタレントマネジメントシステム「カオナビ」と連携できる点もメリットに感じました。職員が学んだ内容を情報として一元化し、これまで経験した部署や保有スキルと紐付けることで、将来的には昇格や人事配置の検討材料として活用していく構想を描いています。
まず業務に近い学びから。段階的に意欲を引き出す学習設計
『グロービス学び放題』は、どのような方が学んでいますか。
大西さん:まず、導入検討時には一部の職員と内定者がトライアルで受講し、令和8年度からは入庁3年目と8年目の階層別研修や管理職向けに導入し始めたところです。
階層別研修は、集合研修と『グロービス学び放題』によるオンデマンド学習を組み合わせ、集合研修を補完する形で自主学習を取り入れています。これらの学習設計や運用について、グロービスの支援を受けながら企画・実施しています。
また、全職員が学習機会にアクセスできる環境を整え、希望する職員が自らの課題や役割に応じて学べるよう、運用を進めています。今年から、すべての職員に個別最適化された学びの環境を提供するという研修方針を立てており、学びの意欲が強い職員にはその機会をしっかり提供したいと考えています。
トライアルで受講した方からのご感想をお聞かせください。
川上さん:忙しい毎日の中で隙間時間を見つけて取り組みやすく、新しいスキルをしっかり身に付けられる点で高評価でした。
私自身も、トライアルで受講しました。はじめは「内容が高度で難しそう」と感じましたが、実際は入門編からレベル分けされており、視聴を重ねるうちに「次の動画も見てみたい」と学習意欲が自然に高まったことが印象に残っています。図解も豊富で内容を理解しやすく、スマホやタブレットで直感的に操作できる点も、学習のハードルを下げる効果があると思いました。

受講を促進するために、どのような工夫をされていますか。
大西さん:膨大なコンテンツの中から自分に必要なものを選ぶのは大変なことです。そこで、職員を「入庁3年目」「入庁8年目」「DXリーダー」「管理職」など、職位や役割ごとに整理し、それぞれに適した学習コースを「カスタムラーニングパス」として提示しました。内定者にはビジネスマナー、管理職には組織マネジメント、DX人材にはデジタル活用といったように、まず各自の業務に直結する学習内容を示すことで、「もっと学んでみよう」と感じてもらえるように工夫しています。
このカスタムラーニングパスは、人材育成室から各職員へ期待役割を伝えるメッセージにもなると考えており、これからも運用を続けていく考えです。
グロービスのカスタマーサクセスへのご感想もお聞かせください。
大西さん:庁内で研修を設計すると、どうしても業務に直結するスキルばかりに着目しがちですが、中長期的に目指す組織の姿や職員のキャリア形成など、我々にはない視点も含めて提案いただきました。グロービスの力添えがあったからこそ、このような学びの形を作ることができたと思っています。
また、グロービスは『グロービス学び放題』だけでなく、集合研修など豊富な学びのアプローチがあるので、複数の学習方法を組み合わせた人材育成もご提案いただけるのはありがたいことです。
自律型人材の育成が、市民サービスの質を保つ土壌になる
これから、どのような学習効果を期待していますか。
川上さん:短い時間でも少しずつ学習を積み重ねることで、まずは学習を習慣化させたいです。まとまった時間が取れない職員でも、マイクロラーニングであれば日常業務の中に学びを組み込みやすいと思っています。
大西さん:最終的には、職員が自分に必要な学びを自ら選び、自ら業務を変革する自律型人材へと成長し、その風土が組織全体に伝播していくことを期待しています。人事が強制するのではなく、先に学び始めた職員が「これ、良かったよ」と隣の人に伝えるような口コミでの広がりが、組織風土を変える一番の近道だと考えています。
貴市の人材育成や組織づくりにおける、今後の展望をお聞かせください。
川上さん:人口減少という避けられない課題に対し、質の高い市民サービスをどう維持するかは最大のテーマです。今の段階から、自ら学んで変革を起こす組織の土壌を築いておくことは不可欠だと考えています。そのために、これからも『グロービス学び放題』を有効活用し、全国の自治体のモデルとなるような強靭な組織を作りたいと思います。
大西さん:今は生成AIの台頭により、技術的な革新が起きる過渡期にあると思っています。自治体としても、その変化にどう対応していくかが問われます。市民サービスの面でも、人材の面でも、中長期的な未来を見据えて成長し続ける組織にしていくことを目指したいです。

受講者インタビュー:
入庁1年目の不安を解消。「わからない」を放置せず、自分を助ける武器として活用中
障がい福祉課に所属し、障がいのある方に向けた講演会やイベントの企画、管理業務などの仕事をしている井口 萌さん。入庁1年目として日々新しい業務に挑戦しながら、『グロービス学び放題』でどのように学んでいるかをお聞きしました。
『グロービス学び放題』を受講したきっかけを教えてください。
井口さん:内定者時代に、市から紹介されたのがきっかけです。当時はビジネスマナーなどを理解していないという不安があったので、入庁前に基礎を固めておきたいと思い、動画を視聴し始めました。
カスタムラーニングパスが指定されていたので、学ぶ内容に迷うことなく、自分のペースで学習を進められたのも良かったです。

現在は、どのようなタイミングで受講していますか。
井口さん:業務の中で疑問が湧いた時に、その都度アプリで関連動画を視聴することが多いです。平日夜や休日に、タイミングを見つけて受講しています。
身近なところでは、初めて外部の方と会議をする前に名刺の渡し方を復習したり、メールの文章を作る際にわかりやすい件名や文章の作成方法を調べたり、といった使い方をしています。
受講内容が業務に活かせていると感じたコースはありますか。
井口さん:実践的だと感じたのは「クリティカル・シンキング(論理思考)」のコースです。それまで、論理思考が具体的にどういうものか理解していませんでしたが、実際に学んでみて自分の変化を感じています。
以前は物事を考える時、道筋を立てずに思いついたことをどんどん考えてしまい、結局何から着手すればいいかわからなくなることが多くありました。動画で論理思考のステップを学んだことで、頭の中が整理され、スムーズに物事を進められるようになってきたと思います。
例えば、業務のワークフローを構築する際などに、「なぜ、業務がうまく進められていないのか」を多角的に分析し、正解にたどり着くための選択肢を出して判断できるようになってきました。以前なら漠然と悩んでいたことに対して、「この視点で考えてみよう」と自分なりに意思をもってアプローチできるようになったのは、大きな変化だと実感しています。
これから受講を始める方や、活用を迷っている方へメッセージをお願いします。
井口さん:私自身、まだまだ最大限に活用できているわけではありませんが、自分が悩んだ時にこれほど豊富な動画が見られるツールがあるのは本当に心強いです。
決まった時間に学習して習慣化することも大切ですが、まずは業務で困った時に「自分を助けてくれるツール」のような感覚で、気軽に活用していくと良いのではないかと思います。
わからないことを放置せず、自分のタイミングで学び直せることで、仕事に対する不安が少しずつ自信に変わっていくのを感じています。これからも『グロービス学び放題』を活用して、より良い仕事ができるよう学びを継続していきたいです。

【グロービス担当者の声】
奈良市様は「第5次総合計画」において、2031年の未来ビジョンを、『「わたし」からはじめる「わたしたち」のまち 奈良』と掲げています。
歴史や自然が息づく文化都市であり、世界中から人々を迎える観光都市でもある奈良市様では、日々前例のない課題や変化に対応されています。そうした環境だからこそ、職員の皆様のリソースを最大限に活かす必要があり、「自律的な学び」を実現するために『グロービス学び放題』をご導入いただきました。
導入にあたり特に印象的だったのは、「奈良市人材育成ビジョン」という明確な方針のもと、一貫した育成施策を進められている点です。
『グロービス学び放題』には、目的に合わせてコースを組み合わせる「カスタムラーニングパス」という機能があります。奈良市様では求めるスキルが行動レベルまで明確に言語化されていたため、コース設計も非常にスムーズで、学んでほしい内容を的確に整理することができました。
『グロービス学び放題』は企業向けのイメージが強いかもしれませんが、自治体・官公庁においても十分に活用できるサービスです。今後も奈良市様の「第5次総合計画」の実現に向け、伴走者としてサポートできれば幸いです。
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