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eラーニングのメリット・デメリットと効果を発揮しやすいケース7例

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「新しい育成施策としてeラーニングを検討しているが、自社にとって本当にメリットが大きいだろうか?」
「自社の人材育成課題に対して、eラーニングの導入は手段として適切だろうか?」
「eラーニングを導入した後、社員がきちんと活用してくれるだろうか?」

初めてeラーニングの導入を検討されている人事担当者の皆様は、このような点が気になっているのではないでしょうか。

eラーニングには 「場所や時間を選ばず学習機会を提供できる」「安価に導入でき、研修にかかる費用や人員を抑えられる」 といった多くのメリットがあり、優れた人材育成の手段の一つです。

一方で、 「受講者の学習への動機づけが難しい」「実践力を鍛えるのが難しい」 などのデメリットがあることも事実です。デメリットを踏まえて運用を工夫しないと、eラーニングのメリットが最大限発揮されず、導入の成果があまり感じられないこともあります。

目的や状況によっては、そもそもeラーニングよりも他の研修手法のほうが適切かもしれません 。「3. eラーニング以外の研修手法とのメリット・デメリット比較」「6章:eラーニングのみでは人材育成課題の解決が難しいケース 」 を参考に、自社の課題に適した手法を検討してみてください。

本記事では、eラーニングサービスを含む様々な手法で年間3,400社の人材育成を支援しているグロービスの知見から、eラーニングを人材育成に活用するメリット・デメリットを整理したうえで、導入成果を最大化するための運用のポイントをお伝えします。特に「5章:eラーニングの活用が効果的なケース 」では、実際の企業様の成功事例と併せて、eラーニングの導入がおすすめできるケースもご紹介しているので、ぜひ自社のケースと照らし合わせて参考にしてみてください。

目次

1. eラーニングを人材育成に活用するメリット
1-1. 【運営コスト】安価で導入でき、研修コストを抑えられる
1-2. 【運営コスト】研修の運営管理にかかる作業の手間や資源を削減できる
1-3. 【学習機会】場所や時間の制約がなく、平等に学習機会を提供できる
1-4. 【学習機会】各受講者のスキルセットや興味に合わせて必要な学びを提供できる
1-5. 【学習機会】自己研鑽の機会提供により、社員のエンゲージメント向上が期待できる
1-6. 【学習機会】多言語対応により、グローバル人材の育成に活用できる
1-7. 【学習効果】講師に左右されず、均一な品質の教育を提供できる
1-8. 【学習効果】各受講者の定着度合いや理解のペースに合わせた柔軟な使い方ができる
1-9. 【学習効果】最新のビジネス知識やトレンドテーマに関する教育を迅速に行える
1-10. 【学習効果】社内で共通言語が形成され、業務におけるコミュニケーションが円滑になる
1-11. 【学習効果】コンプライアンス研修などの徹底と記録管理により、組織リスクを軽減できる
1-12. 【学習効果】他の育成施策と組み合わせて学習効率を最大化できる
1-13. 【人材戦略】導入までの期間が短く、スピーディに育成施策を推進できる
1-14. 【人材戦略】受講者の学習履歴データを一元管理し、定量的に可視化できる
1-15. 【人材戦略】受講者の学習履歴を人事配置や採用計画に活用できる

2. eラーニングを導入するときのデメリット・注意点
2-1. 【運営コスト】料金体系によっては想定よりコストが削減できないことがある
2-2. 【運営コスト】学習時間の労務管理上の取り扱いに気を付ける必要がある
2-3. 【運営コスト】導入後の運用に一定の工数をかけないと形骸化し、投資した分の効果が得られない
2-4. 【学習機会】現場部門の理解や協力が得られないと学習習慣が浸透しにくい
2-5. 【学習機会】対面研修で得られる気づきやフィードバック、疑問解消の機会がない
2-6. 【学習効果】実務における実践力まで鍛えるのは難しい
2-7. 【学習効果】受講者の動機づけやモチベーションの維持が難しい
2-8. 【学習効果】社員一人ひとりの理解度を測るのが難しい
2-9. 【学習効果】各受講者のITリテラシーや学習環境の差があると、学習レベルに差が出やすい
2-10. 【人材戦略】業績や生産性の向上への貢献度合いまで含めて費用対効果を測るのが難しい

3. eラーニング以外の研修手法とのメリット・デメリット比較

4. eラーニングの活用が効果的なケース
4-1. 大人数の社員に広く均質な学習機会を提供したいケース
4-2. 社員の拠点や勤務形態が多様で、集合研修の実施にコストがかかるケース
4-3. 社員の多様なニーズに合わせてスキルアップや自己啓発を支援したいケース
4-4. 自律的に学習する組織文化を醸成したいケース
4-5. 多言語での教育や海外拠点の社員教育が必要なケース
4-6. 各社員の知識やスキルマップを人事配置や育成計画に活かしたいケース
4-7. 法令対応など、定期的な研修実施と確実な記録管理が求められるケース

5. eラーニングの導入成果を最大化する5つのポイント
5-1. 導入の目的とゴールを明確にしてから運用方針を決める
5-2. 成果の基準と効果測定の方法を社内の関係者間で合意しておく
5-3. 社員の自律的な学習を促す工夫をする
5-4. アウトプットの機会を設けて学習内容を定着させる
5-5. 他の研修と組み合わせて学習内容の理解を深める

6. eラーニングのみでは人材育成課題の解決が難しいケース

7. 自社に合ったeラーニングサービスの選び方

8. 高品質かつ体系的な学びが得られるeラーニングサービス「グロービス学び放題」

9. まとめ

1. eラーニングを人材育成に活用するメリット

人材育成施策の一環としてeラーニングを取り入れることには、
・運営コスト
・学習機会
・学習効果
・人材戦略
の4つの観点において、様々なメリットがあります。

メリットの観点具体的なメリット
運営コスト・安価で導入でき、研修コストを抑えられる
・研修の運営管理にかかる作業の手間や資源を削減できる
学習機会・場所や時間の制約がなく、平等に学習機会を提供できる
・各受講者のスキルセットや興味に合わせて必要な学びを提供できる
・自己研鑽の機会提供により、社員のエンゲージメント向上が期待できる
・多言語対応により、グローバル人材の育成に活用できる
学習効果・講師に左右されず、均一な品質の教育を提供できる
・各受講者の定着度合いや理解のペースに合わせた柔軟な使い方ができる
・最新のビジネス知識やトレンドテーマに関する教育を迅速に行える
・社内で共通言語が形成され、業務におけるコミュニケーションが円滑になる
・コンプライアンス研修の徹底と記録管理により、組織リスクを軽減できる
・他の育成施策と組み合わせて学習効率を最大化できる
人材戦略・導入までの期間が短く、スピーディに育成施策を推進できる
・受講者の学習履歴データを一元管理し、定量的に可視化できる
・受講者の学習履歴を人事配置や採用計画に活用できる

1-1. 【運営コスト】安価で導入でき、研修コストを抑えられる

集合研修と比較すると、eラーニングは受講する社員一人あたりにかかるコストが低く、安価に導入できることがメリットです。

eラーニングは一人あたりの年間利用料として1~2万円かかるのが一般的ですが、一回の集合研修には1日あたり数十万円かかります。これには講師料や教材費だけでなく、集合研修を行う場合の会場費や交通費などの間接的な費用も含まれており、eラーニングの場合はそのような上乗せコストがありません。

対象社員が多拠点に散らばっている場合や、人数が多い場合は、大きなコスト削減効果が見込めるでしょう。

▼関連コラム: 社員研修の費用相場はいくら?予算内で最大限の効果を生むコツを解説

1-2. 【運営コスト】研修の運営管理にかかる作業の手間や資源を削減できる

対面で行う集合研修の運営には、日程調整や出欠管理、資料の印刷・配布、会場設営など、多くの手間と時間が必要です。eラーニングで学習してもらう場合はこれらの手間が一切かからないので、運営管理業務を大幅に効率化できます。

人事担当者がこれまで研修の運営管理に割いていた時間を削減できれば、より戦略的な業務にリソースを充てることも可能です。また、紙の資料の用意が不要になり、ペーパーレス化も推進できるので、企業として環境負荷の低減に取り組んでいる場合にも大きなメリットがあります。

1-3. 【学習機会】場所や時間の制約がなく、平等に学習機会を提供できる

eラーニングを活用すると、場所や時間に縛られず、どの社員に対しても平等に学習機会を提供できます。

インターネット環境さえあれば、 パソコンやスマートフォン、タブレットなどのデバイスを使って、いつでもどこでも学習に取り組める のがeラーニングの強みです。

勤務地が離れている社員や、勤務時間が不規則な社員、育児や介護などで時間に制約のある社員が不利になることなく、幅広い対象社員のスキルアップを支援できます。

1-4. 【学習機会】各受講者のスキルセットや興味に合わせて必要な学びを提供できる

eラーニングサービスでは、マーケティングやデータ分析、会計などの職種別に必要な専門知識だけでなく、ビジネスマナーやマネジメントなどの階層別に必要な知識まで、多種多様なコースが用意されていることが多いです。そのため、 社員一人ひとりの現在のスキルレベルやキャリアプラン、興味関心に応じて、最適な学習コンテンツを提供することが可能 です。

個々のニーズに合わせた学びの機会を提供することで、各々に足りないビジネススキルを底上げしたり、社員の自律的な学習意欲を引き出したりする効果が期待できます。

当社の提供する「グロービス学び放題」では、MBAのカリキュラムを基にしたビジネス基礎スキルはもちろん、日々進歩する生成AI活用やDX、資格取得まで幅広い分野の学習コンテンツを提供しています。

2025年8月時点の情報です。カテゴリ・コース内容は変更となる可能性があります。

「グロービス学び放題」のコンテンツ詳細

1-5. 【学習機会】自己研鑽の機会提供により、社員のエンゲージメント向上が期待できる

eラーニングの利用機会提供を通して、 社員が自身のキャリアアップに必要なスキルを自律的に習得できる環境を整備する ことは、学習意欲の高い社員にとって大きな魅力になり得ます。

日本型雇用システムの崩壊や、技術革新の加速といった環境の変化から、社員一人ひとりの自己成長意欲や危機意識は高まっています。その中で企業が社員の成長を支援し、学習機会を提供することは、社員の満足度や企業への帰属意識(エンゲージメント)を高めるうえで非常に重要です。

社員の成長が企業の成長に繋がるという好循環を生み出すきっかけにもなります。

1-6. 【学習機会】多言語対応により、グローバル人材の育成に活用できる

ビジネスのグローバル化が進む中で、海外拠点に赴任する社員や国内の外国籍社員に対する教育の必要性が高まっています。多言語に対応したeラーニングコンテンツやシステムを活用することで、言語の壁を越えて、国内外の社員に均質な学習機会を提供できます。

これにより、グローバルな視点をもつ人材の育成や、海外拠点との連携強化、企業文化の浸透などを効率的に進めることが可能です。

1-7. 【学習効果】講師に左右されず、均一な品質の教育を提供できる

講師を招いて実施する集合研修では、講師のスキルや経験、考え方によって、学びの品質や内容にばらつきが生じることがあります。eラーニングであれば、全員が予め作り込まれた質の高い動画を視聴するため、 どの社員に対しても常に均一な品質および内容の教育を提供できます 。

特に全社的に浸透させたい知識や理念、コンプライアンスなどのテーマの学習においては、メッセージのブレを防ぎ、一貫した教育を提供できるのは大きなメリットです。

1-8. 【学習効果】各受講者の定着度合いや理解のペースに合わせた柔軟な使い方ができる

eラーニングは、動画の再生方法を各受講者が調整できるので、 一人ひとりのペースに合わせて学習を進められる のが強みです。

理解が難しい箇所は繰り返し視聴したり、一時停止してメモを取ったり、既に理解している部分は早送りしたりと、理解度に合わせて柔軟な使い方ができます。これにより、集合研修で起こりがちな「スピードについていけない」「簡単すぎて学びが得られない」といった問題を解消し、学習内容の着実な定着を促すことが可能です。

対象社員のバックグラウンドが幅広く、知識量やこれまでの学習習慣に差がある場合にも、eラーニングは取り入れやすい施策といえます。

1-9. 【学習効果】最新のビジネス知識やトレンドテーマに関する教育を迅速に行える

eラーニングは、 新しい情報やトレンドに対応したコースを迅速に追加・更新しやすい というメリットがあります。

ビジネス環境が目まぐるしく変化する現代においては、社員が常に最新の知識やスキルを学び続け、習得することが重要です。法改正に伴う知識のアップデートや、時代に適応した新しいビジネス手法の習得、昨今であれば生成AIの活用スキルなど、時代に即した教育コンテンツをタイムリーに提供しているeラーニングサービスを利用することで、企業の競争力維持・向上に繋がります。

「グロービス学び放題」では、生成AIの進歩により急激に変化するビジネス環境AIの実務活用スキルを学ぶ「AI WORK SHIFT」シリーズ、AIのマネジメント活用・組織活用について学ぶ「AI BUSINESS SHIFT」シリーズを公開しました。

▼関連コラム: マネジメントと現場、2つの視点で進めるAI活用 「AI BUSINESS SHIFT」「AI WORK SHIFT」シリーズ

1-10. 【学習効果】社内で共通言語が形成され、業務におけるコミュニケーションが円滑になる

全社員が共通のeラーニングコンテンツで学ぶことによって、 組織内に共通の知識や考え方、価値観が浸透しやすくなり 、業務におけるコミュニケーション効率の向上や、組織の一体感醸成に繋がります。

例えば、全員がeラーニングで学んで理解したフレームワークや問題解決手法に基づいてプロジェクトを進行すれば、会議での議論がスムーズになったり、部門間の連携が円滑になったりする効果が期待できます。

1-11. 【学習効果】コンプライアンス研修などの徹底と記録管理により、組織リスクを軽減できる

コンプライアンス違反は、企業の信用失墜や経済的損失に繋がる重大なリスクです。eラーニングを活用すれば、全社員に対してコンプライアンスに関する知識や意識を徹底させることができます。

また、 誰がいつ研修を受講したかという記録を正確に管理できる ため、管理体制について対外的に説明責任を果たすうえでも有効です。eラーニングを活用することで定期的な研修実施と受講記録の確実な管理が可能になり、組織的なリスクヘッジに繋がります。

1-12. 【学習効果】他の育成施策と組み合わせて学習効率を最大化できる

eラーニングは単独で活用するだけでなく、集合研修やOJT(On-the-Job Training)など、他の育成施策と組み合わせる「ブレンディッドラーニング」を行うことで、より高い学習効果を発揮します。

例えばある研修テーマについて、eラーニングで基礎知識を事前に学習してもらい、集合研修では実践的な演習やディスカッションに時間を割くことで、集合研修でしか得られない気づきや学びを最大化できます。

eラーニングとそれ以外の研修のメリットを補い合えば、効率良く学習内容の理解深化と定着を図ることが可能です。

1-13. 【人材戦略】導入までの期間が短く、スピーディに育成施策を推進できる

集合研修の場合、企画開始から実施までに数か月を要することも珍しくありません。一方、クラウド型のeラーニングサービスであれば、 契約後アカウントを付与すればすぐに利用を開始できるものも多く、比較的短期間で研修をスタートできます。

これにより、経営戦略や事業計画の変更に伴う急な人材育成ニーズにも迅速に対応でき、育成施策をスピーディに推進することが可能です。

「グロービス学び放題」の場合、最初にお問い合わせをいただいてから2営業日以内にご連絡いたします。正式にお申し込みをいただいてサービス登録が完了した後、最短で2営業日以内に利用を開始していただけます。

「グロービス学び放題」お申し込みの流れについて

1-14. 【人材戦略】受講者の学習履歴データを一元管理し、定量的に可視化できる 

多くのeラーニングシステムは、受講者のコンテンツ視聴履歴をデータとして蓄積しています。これにより、 社員一人ひとりの受講状況や進捗度といった学習履歴データをシステム上で一元管理 し、リアルタイムで把握が可能です。誰がどの研修をいつ終えたか、どれくらいの時間を学習に費やしているかを定量的に可視化できるため、個々のフォローアップや育成計画の見直しに役立ちます。

なお可視化したデータはそのままレポートに活用できるので、eラーニングの導入効果の報告がしやすくなるといった利点もあります。

1-15. 【人材戦略】受講者の学習履歴を人事配置や採用計画に活用できる

eラーニングで蓄積された社員の学習履歴から保有スキルや知識レベルを可視化すれば、客観的なデータとして人事異動や採用の計画などの人事戦略に活用できます。

例えば、特定のスキルを習得した人材を重要なプロジェクトに抜擢したり、個々の強みや興味関心に合わせた異動配置を検討したりする際の判断材料となります。また、所属する社員のスキル習得状況を明らかにすることで、組織や部署に不足しているスキルを特定し、採用計画や育成計画の精度向上にも繋げられるでしょう。

2. eラーニングを導入するときのデメリット・注意点

前述のとおり、eラーニングの導入は企業の人材育成において数多くのメリットがある一方で、全てのシチュエーションにおいて万能なツールではないことに注意が必要です。

本章では、eラーニングの導入にあたって踏まえておかなければならないデメリット・注意点をお伝えします。

デメリットの観点具体的なデメリット・注意点
運営コスト・料金体系によっては想定よりコストが削減できないことがある
・学習時間の労務管理上の取り扱いに気を付ける必要がある
・導入後の運用に一定の工数をかけないと形骸化し、投資した分の効果が得られない
学習機会・現場部門の理解や協力が得られないと学習習慣が浸透しにくい
・対面研修で得られる気づきやフィードバック、疑問解消の機会がない
学習効果・実務における実践力まで鍛えるのは難しい
・受講者の動機づけやモチベーションの維持が難しい
・社員一人ひとりの理解度を測るのが難しい
・各受講者のITリテラシーや学習環境の差があると、学習レベルに差が出やすい
人材戦略・業績や生産性の向上への貢献度合いまで含めて費用対効果を測るのが難しい

2-1. 【運営コスト】料金体系によっては想定よりコストが削減できないことがある

eラーニングは一般的に社員一人あたりにかかる研修コストを抑えられるイメージがありますが、 各eラーニングサービスの料金体系によっては、想定しているよりも費用がかかってしまうケースもある ため注意が必要です。

基本料金が安価であっても、サービスによっては特定の機能の利用や運用サポートに別途費用がかかったり、学習コンテンツごとに費用が発生したりすることがあるからです。

注意すべきポイント 自社で利用したい機能やコンテンツと、検討しているeラーニングサービスの料金体系を照らし合わせ、正しく費用の試算をしましょう。

2-2. 【運営コスト】学習時間の労務管理上の取り扱いに気を付ける必要がある

eラーニングでの 学習時間を業務時間と見なすかどうかは、企業の人事方針や法的な観点から、慎重に取り扱う必要があります 。

例えば集合研修の事前課題や、昇格の必須要件として取り組ませるなど、業務命令としてeラーニングを受講させる場合は、受講に要した時間を労働時間として扱い、賃金の支払い対象とすることが一般的です。

一方で自己啓発ツールとして導入する場合は、学習時間を労働時間に算入する必要はありません。

注意すべきポイント トラブルを避けるためにも、学習時間の取り扱いについて事前に明確なルールを定め、社員に周知徹底することが重要です。

2-3. 【運営コスト】導入後の運用に一定の工数をかけないと形骸化し、投資した分の効果が得られない

eラーニングシステムを導入するだけで自動的に人材育成が進むことはなく、 一定の工数をかけて運用を工夫しないと、視聴時間数や修了率といった可視化できる成果には表れません 。せっかく研修コストを削減できたとしても、結局無駄な投資に終わってしまうことも多いです。

注意すべきポイント ログイン状況の確認から始まり、受講状況のモニタリングや未受講者へのリマインド、問い合わせ対応、定期的なコンテンツの見直しや追加など、育成担当者による継続的な運用管理が必要です。事前に運用体制や担当者を明確にし、ある程度の工数を見込んで運用していくことをおすすめします。

2-4. 【学習機会】現場部門の理解や協力が得られないと学習習慣が浸透しにくい

eラーニングの導入・推進は人事部門主導で行われることが多いですが、 学習時間を確保し、学んだことを業務に活かすには、現場の上司や同僚の協力が不可欠 です。

現場部門に「eラーニングなんてやらなくても良いから、業務に時間を割け」という圧力があると、たとえ社員自身に意欲があったとしても、学習習慣は浸透しません。

注意すべきポイント 学習の目的やメリットを現場部門にも認識してもらったうえで、学習時間を業務として認めたり、上司から部下へ受講を促したりするなど、学習しやすい雰囲気づくりを組織全体で進めることが必要です。

2-5. 【学習機会】対面研修で得られる気づきやフィードバック、疑問解消の機会がない

eラーニングは基本的に個人学習となるため、集合研修のような 受講者同士の活発な議論や、講師からの直接的できめ細やかなフィードバック、その場でのリアルタイムな質疑応答といった機会は作りにくい です。これにより、新たな視点の発見や深い気づき、疑問点の即時解消といったメリットが薄れる可能性があります。

注意すべきポイント 社内掲示板・チャットを利用したコミュニケーションや同時視聴会、勉強会など、同じツールを利用して学んでいる他の受講者の声を知る機会を設けると良いでしょう。

2-6. 【学習効果】実務における実践力まで鍛えるのは難しい

eラーニングは知識や理論のインプットには非常に有効な手段ですが、それだけで 実務における高度な判断力や応用力、対人スキルといった実践力を鍛えるのは非常に難しい です。知識を頭で理解している状態と、得た知識を応用して自身の行動に反映させられる状態の間には、大きな隔たりがあるからです。

引用:知る、わかる、できる、教える(能力開発の4つのステップ)

eラーニングが効果を発揮するのは、知識がない状態から「知る」、そして「わかる」までの段階です。

注意すべきポイント 学んだ知識を実務で活かす、つまり「わかる」から「できる」段階に到達することを社員に期待する場合は、OJTやロールプレイング、ケースメソッドを用いたディスカッションといった、実践に近いトレーニングができる他の手法を組み合わせて研修を行うことをおすすめします。 eラーニングによる学習の限界を理解したうえで、導入のゴールを設定したり、必要に応じて補完策を講じたりすることが大切です。

2-7. 【学習効果】受講者の動機づけやモチベーションの維持が難しい

eラーニングは時間や場所を選ばない反面、 受講者の自主性に委ねられる部分が大きく、モチベーションの維持が課題となりがち です。

当社のeラーニングサービス「グロービス学び放題」をご利用いただいている企業様からよくいただくのは、「学習意欲がある社員への機会提供が目的なので、積極的な受講促進は行わない方針にしたい」といったご意見です。しかし多くの場合、受講促進を行わないと受講率は思うように上がらず、明確な成果が表れません

特に業務が多忙な社員にとっては学習の優先順位が下がりやすく、未受講のまま放置されたり、ログインすらされずに終わったりするケースも散見されます。また、受講者がコンテンツの内容と普段の業務の繋がりを感じられていない場合も、学習しなければならないという危機意識が生まれにくく、後手に回ることが多いです。

注意すべきポイント 学習の必要性を丁寧に伝える、目標設定を支援する、修了者へのインセンティブを設けるなど、主体的な学びを促す工夫が必要です。

2-8. 【学習効果】社員一人ひとりの理解度を測るのが難しい

多くのeラーニングシステムには理解度テスト機能がありますが、選択式のテストだけでは、知識の定着度確認に留まり、 本質的な理解や業務への応用力まで正確に測ることは困難 な場合があります。また、受講者が本当に内容を理解しているか、画面の向こう側で真剣に取り組んでいるかを把握しにくい点も課題です。

注意すべきポイント レポート提出や事後の面談、グループワークなどを組み合わせ、多角的に理解度を測る工夫を検討しましょう。

▼「グロービス学び放題」では、MBA科目や職種別、階層別にアセスメント・テストを用意しており、理解度を客観的に測定できる機能を用意しています。

参考:「グロービス学び放題」のアセスメント機能の説明はこちら

2-9. 【学習効果】各受講者のITリテラシーや学習環境の差があると、学習レベルに差が出やすい

eラーニングはPCやスマートフォンなどのデバイスとインターネット環境が前提となります。そのため、 社員のITリテラシーに差があったり、自宅の通信環境が整っていなかったりする場合、スムーズに学習を進められない社員が出てくる可能性 があります。

注意すべきポイント 導入前には操作説明会を実施したり、相談窓口を設けたり、必要に応じて学習用のデバイス貸与を検討するなど、環境差による学習格差を生まない配慮が必要です。

2-10. 【人材戦略】業績や生産性の向上への貢献度合いまで含めて費用対効果を測るのが難しい

eラーニングによる学習効果が、最終的に 企業の業績や生産性の向上にどの程度貢献したのかを定量的に測定することは容易ではありません 。

社員が受講したコースや完了率、理解度テストの点数、視聴時間といった定量的なデータは把握できても、それが実際の行動変容や成果にどう結びついたのかを明確に示すには工夫が必要です。

注意すべきポイント 定量データに加え、定性的な受講者アンケートやヒアリング、関連KPIの長期的な追跡など、多角的な視点から効果検証を試みる姿勢を持ちましょう。

3. eラーニング以外の研修手法とのメリット・デメリット比較

eラーニング以外にも、人材育成の手法は多く存在します。ある手法の一部の側面だけを見て、安易に合いそうだと考えて導入してしまうと、考慮できていなかったデメリットが自社にとって致命的な欠点になることもあります。

まずは各研修形態の特徴やメリット、デメリットを多角的に把握したうえで、解決したい課題や自社の人材育成リソースを考慮し、研修手法を選択するのがおすすめです。

ここでは、eラーニングとその他の代表的な研修手法を比較し、それぞれのメリットや注意点を整理します。

研修形態金銭コスト人的コスト場所・時間の柔軟性内容の品質内容の均一性カスタマイズ性運営負荷進捗管理の難易度
eラーニング比較的安いかからない柔軟性が高い均質 (同一コンテンツ)均質サービスによる低い (システム管理・運用)データで簡単に取得
内製研修・勉強会安い企画担当者・講師の負担大日時の制約あり講師役社員による差あり講師役社員による差あり自社課題に特化可能非常に高い (企画・教材作成・会場準備等)出欠管理のコストあり
集合研修 (講師派遣型)比較的高いかからない場所・日時の制約あり比較的均質だが外部講師による差あり依頼する講師による依頼先によってはアレンジ可能高い (企画・講師手配・会場準備等)出欠管理のコストあり
公開研修・外部セミナー参加人数によるかからない場所・日時の制約あり比較的均質比較的均質低い低い (申込・派遣のみ)出欠管理のコストあり
OJT安い指導担当者の負担大職場内・業務時間内で実施指導担当者による差あり指導担当者による高い、実務直結高い (指導担当者の負担大)指導者の負担あり
※この表は右にスクロールできます。

3-1. 金銭的・人的コストの比較

育成施策の検討にあたってコスト面を考える際は、金銭的なコストに加え、企画や運営について社内でどの程度の人的リソースを割けるのかを含めて判断する必要があります。

eラーニングは講師料や会場費がかからないことから金銭的コストを抑えられる傾向にあり、人的コストも他の研修形態と比べて低いです。

内製研修やOJTは最も金銭的コストを抑えられる方法ですが、企画を行う育成担当者や、講師を務める社員の人的コストが非常に大きいという点を考慮しなければなりません。

研修手法金銭的コスト人的コスト
eラーニング◎(大人数になるほど割安)◎(申込・受講促進など)
内製研修・勉強会◎(外部委託費用が不要)×(育成担当・講師役の社員の負担大)
企業内研修×(講師料や会場費が高額)△(研修運営の負担あり)
公開研修・外部セミナー△(一人あたりの費用は高額)◎(申込の手間のみ)
OJT◎(外部委託費用が不要)×(指導担当社員の負担大)

3-2. 場所・時間の柔軟性の比較

複数拠点で事業を展開する企業や、様々な勤務形態の社員がいる企業、多様な働き方を推奨する企業にとって、場所や時間の制約は育成施策のボトルネックになりやすいです。

eラーニングはインターネット環境さえあれば、PCやスマートフォンでいつでもどこでも学習できるため、多拠点に分散する社員や、テレワーク・シフト勤務の社員にも公平に学習機会を提供できます。

一方、内製研修、企業内研修、公開研修・セミナーなどの集合研修の場合、参加者は指定の日時に特定の場所に集まる必要があります。ただし、現在はオンライン研修の普及によって場所の柔軟性はある程度上がっています。

研修手法場所の柔軟性時間の柔軟性
eラーニング◎(どこでも実施可能)◎(いつでも実施可能)
内製研修・勉強会△(指定場所またはオンライン)×(指定日時に限定)
企業内研修△(指定場所またはオンライン)×(指定日時に限定)
公開研修・外部セミナー△(指定場所またはオンライン)×(指定日時に限定)
OJT◎(職場内で完結)△(業務との兼ね合いあり)

3-3. 研修内容の品質・均一性の比較

研修コンテンツの品質や均一性も、育成施策の選定において重要な要素です。

eラーニングの学習コンテンツは、サービスによって品質が不安定なことがあります。サービスを選定する際は、社員に受講させたいコンテンツの内容が自社の求める水準に達しているかを確認しましょう。全受講者に同一の内容を提供できるため、均一性は優れています。

プロの講師による企業内研修や公開研修においては、基本的に一定以上の品質は担保されます。ただし依頼する研修会社によっては講師個人のスタイルや考え方が研修内容に反映されることもあり、自社の文化に合わない、実務に活かしにくいというケースもあるため、注意が必要です。

研修形態品質の安定性内容の均一性
eラーニング○(各サービスの制作体制による)◎(全受講者に同一内容)
内製研修・勉強会×(講師役社員のスキルに依存)×(講師役社員によりばらつき)
企業内研修○(プロ講師だが相性あり)○(プログラム内では均質)
公開研修・外部セミナー○(専門性が高く汎用的)○(プログラム内では均質)
OJT×(指導担当者のスキルに依存)×(指導担当者によりばらつき)

3-4. カスタマイズ性の比較

研修内容を、自社の特有の課題や業務に合わせてどれだけ調整できるかも重要なポイントです。

eラーニングは提供されている既存コンテンツを使用する場合、細かなカスタマイズは基本的に難しいです。ただしサービスによっては、自社オリジナル教材のアップロードや、コンテンツを組み合わせて自社独自の学習プログラムの設計もできます。

内製研修やOJTは、自社の状況に特化して内容を設計できるため、カスタマイズ性という観点では最も優れています。しかし内容が自社固有のノウハウに偏ってしまうと、応用力が身に付かないケースもあるので注意しましょう。

研修形態自社課題への適合度
eラーニング△(サービスによっては独自教材のアップロードや独自プログラムの設計が可能)
内製研修・勉強会◎(完全に自社に特化した設計が可能)
企業内研修○(要望に応じてある程度調整可能)
公開研修・外部セミナー×(汎用的な内容)
OJT◎(個々の業務に直結)

3-5. 学習進捗管理のしやすさの比較

対象社員の学習進捗を定量的に管理できるかどうかは、研修実施後の報告において重要なポイントです。

eラーニングは各社員の受講状況や学習時間などのデータをシステムで自動的に取得できるため、進捗管理が比較的容易です。

集合研修の場合は基本的に出欠の確認によって進捗管理を行いますが、方法によっては人的コストがかかります。

研修形態進捗管理の難易度
eラーニング○(管理機能で受講率の可視化が可能)
内製研修・勉強会△(出欠管理のみ)
企業内研修△(出欠管理のみ)
公開研修・外部セミナー△(出欠管理のみ)
OJT△(指導担当者による定性的な把握)

進捗管理を精密に行いたい場合は、学習管理システム(LMS)を導入し、研修と紐づけて活用することがおすすめです。

▼関連コラム: LMS(学習管理システム)とは?メリットや導入のポイントを徹底解説

▼進捗管理に加えて効果測定をしたい場合のポイント

どの手段においても理解度や実践力を詳細に測ることは基本的に難しいですが、eラーニングでは理解度テストなどの機能、集合研修では実践ワークの評価などである程度管理できます。

「グロービス学び放題」では、テーマごとに知識レベルを測定するアセスメント機能をご用意しています。個人単位・組織単位で、受検者全体から見た現在の立ち位置を把握することが可能です。 eラーニングの受講前後に受検いただくことで、学習による成長を可視化できます。

参考:「グロービス学び放題」のアセスメント機能

4. eラーニングの活用が効果的なケース

eラーニングには、状況によって様々なメリット・デメリットがあることをお伝えしてきました。特にeラーニングが効果を発揮するのは、人材育成において以下のような課題を解決したいケースです。

4-1. 大人数の社員に広く均質な学習機会を提供したいケース

幅広い対象社員のビジネススキルを底上げしたい場合や、全社的に共通認識をもたせたいテーマがある場合 、コストを抑えて広く学習機会を提供できるeラーニングは非常に有効な手段です。

大人数に対して同内容の教育を行いたいケースを考えてみましょう。集合研修では、対象者の日程調整やコスト負担、対面研修であれば更に会場確保や資料準備といった問題をクリアしなければなりません。また、対象者が多いと、集合研修であっても講師が知識を話す一方通行の形式になりやすいです。それでは、話を聞いていなくてもやり過ごせてしまったり、講師や受講者同士の対話による気づきが得られにくかったりと、リアルタイムで生身の講師から研修を受けるメリットが薄れてしまいます。

これらの課題に対し、eラーニングであれば、運営にかかるコストを最低限に抑えつつも、同じ内容の教育コンテンツを幅広い対象者に提供できます

4-1-1. 1万名以上の社員にeラーニングで学習機会を提供された事例:JCOM株式会社様

JCOM株式会社様は、事業の成長と外部環境の変化に対応できる人財を育成するため、研修制度刷新の一環として「グロービス学び放題」を導入しました。

項目詳細
抱えていた課題・事業領域や事業エリアが拡大し、顧客に対し新たな価値提供ができる人財の育成が求められていた
・リアルタイムで行う研修は、参加の自由度が低く特定職種の社員は参加が難しかった
導入のねらい・選定理由・強化したいコンピテンシーに沿った研修コンテンツが網羅されている
・受講後の理解度確認テストで知識の確認ができる
・集合型のワークショップなど、さらなる学びの機会まで一気通貫で対応が可能
活用方法・グループ全社員1万2,000人を対象に、3年間アカウントを付与
・グレードごとに必修研修を設定し、昇格の要件にした
・必修以外のコースも任意での受講を推奨し、おすすめコースの共有や活用事例の紹介を行った
導入後の成果・自身のグレードにおいて必要なスキルセットが明確になり、アンケートで半数以上の社員が「導入以降、学びへの意欲が高まった」と回答
・約4割の社員が必修研修で指定した動画以外の任意のコースを受講

インタビュー全文:全社員1万2000人に「グロービス学び放題」を3年契約で導入 必修・任意研修を一貫サポートし自律学習を促進|JCOM株式会社

4-2. 社員の拠点や勤務形態が多様で、集合研修の実施にコストがかかるケース

社員の拠点や勤務形態が多様で、 集合研修の実施に多大なコストと手間がかかる場合、場所と時間の制約がなく、平等に学習機会を提供できるeラーニングは効果的な手段 です。

全国各地の拠点で勤務する社員や、シフト勤務など多様な働き方の社員を一か所に集めて集合研修を実施しようとすると、高額な交通費や宿泊費、会場費、社員の移動時間といったコストがかかります。また、日程調整や出欠管理など、育成担当者の運営にかかる工数もかなり大きくなるでしょう。

その点、eラーニングはインターネット環境さえあれば、PCやスマートフォンなどの端末を用いて、いつでもどこでも学習に取り組めるため、研修にかかるコストが大きく削減できます。

また、勤務地や勤務時間の違いにかかわらず、全社員に対して学習機会の公平性を担保できる点も重要なメリットです。これにより、地域間や職種間の格差から生じる不公平感をなくし、全社的なスキルや知識の底上げが期待できます

4-2-1. 地理的・時間的な制約を超えた学習機会の提供にeラーニングを活用された事例:アサヒビール株式会社様

アサヒビール株式会社様では、地理的・時間的な制約がある社員も含めて全社的に自己学習の機会を提供するため、「グロービス学び放題」を導入しました。

項目詳細
抱えていた課題・集合研修が中心であったため、地方勤務者や時短勤務者など、研修に参加しづらい社員への学習機会の提供が課題となっていた
・リモートワークの普及に伴い、従業員間の「横のつながり」が希薄化していることも懸念された
導入のねらい・選定理由・時間や場所に制約されずに学習できる自己研鑽ツールとして、課題に適していた
活用方法・一般社員・管理職・マーケティング部門に向けて、それぞれ必要なスキルや知識が学べるコンテンツを選択して独自のカリキュラム化
・職種ごとのスキル要件定義とeラーニングのコンテンツを紐づけ、社員がキャリア実現に向けて学ぶべきことを明確にした
導入後の成果・マーケティング部門では、公募ながら約7割の社員が「グロービス学び放題」を活用している
・社員同士でおすすめのコンテンツや使い方のノウハウなどの情報交換が活発に行われている

インタビュー全文:新たな商品を生み出し、マーケットを創出するアサヒビールの挑戦。横のコミュニケーション活性化と自己学習の継続で主体的に成長する組織を目指す|アサヒビール株式会社

4-3. 社員の多様なニーズに合わせてスキルアップや自己啓発を支援したいケース

多様化する社員一人ひとりの学習ニーズに応え、個々のスキルアップや自己啓発を支援したいケースにおいて、豊富なコンテンツを提供できるeラーニングは有効な手段です。

社員一人ひとりの職務や役職、キャリア志向によって、必要とするスキルや学びたい内容は異なります。集合研修の場合、一つのテーマに関する研修を実施するのにも毎回コストがかかるため、多様なニーズに細かく応えるのは困難です。

eラーニングには、幅広く豊富なコースラインナップから、社員一人ひとりが自由にコンテンツを選択できるというメリットがあります。例えば新卒社員はビジネスにおけるコミュニケーションスキル、管理職に昇進する社員はマネジメントスキル、他部署への異動が決まった社員は異動先の部署で必要な知識を学ぶなど、各自が自分の興味関心や足りないスキルセットに合わせて学習を進めることが可能です。

かつての日本型雇用システムが崩壊し、外部環境が激しく変化する現代において、社員の「市場価値を高めたい」というニーズは高まっています。自己啓発やスキルアップの機会を提供することは、社員のエンゲージメント向上にも繋がるでしょう。

4-3-1. 社員の自律的な能力開発をeラーニングによって支援した事例:東京海上日動火災保険株式会社様

東京海上日動火災保険株式会社様では、社員一人ひとりの自律的な成長を促すため、従来の階層別研修の大半を廃止し、「グロービス学び放題」を活用した学習制度を設計しました。

項目詳細
抱えていた課題・不確実性が高まる世の中で社員一人ひとりの成長が必要な中、それぞれ異なるモチベーションをもつ社員の成長を促すことが難しかった
・集合型の階層別研修では、家庭と両立する社員への負担や、参加者のモチベーションのばらつきによる悪影響があった
導入のねらい・選定理由・学習した内容を現場で実践するサイクルを回すうえで、いつでも手軽に良質なインプットができる
・豊富なコースラインナップを通じて世の中のトレンドをつかむことができる
活用方法・社員が主体的に受講する研修を決める育成制度「学びのカフェテリア」の創設に伴い、階層別・領域別のパッケージプログラムの中で「グロービス学び放題」の利用を推奨した
導入後の成果・任意でありながらのべ1,000名の社員が受講した
・新学習制度でリリースしたコンテンツのうち9割近くが受講定員に達し、社員から定員枠の増加を求める反響があった

インタビュー全文:社員の発意をベースにした学びのプラットフォームで自分自身に問いを立てられる人材開発を 東京海上日動火災保険が取り組む「学びのカフェテリア」とは|東京海上日動火災保険株式会社

4-4. 自律的に学習する組織文化を醸成したいケース

社員が自律的に学習する組織文化をつくり、変化への対応力や競争力を高めたい場合、社員のニーズに合わせやすく、使い方の柔軟性が高いeラーニングを用いた仕組みづくりがおすすめです。

ビジネス環境の変化が激しい現代は、社員に求められるスキルや知識が目まぐるしく更新されます。また、多角的な事業展開をしている企業の場合、広範囲にわたる事業や職種に合わせて研修を企画するのが難しいです。このような状況下で競争力を保つために、会社からの働きかけに頼らず、自ら学び成長する“自律型人材”の育成を必要としている企業は多いでしょう。 企業内の集合研修や、外部の公開研修への派遣の場合、学習テーマを企業側から定める必要があります。よって、社員一人ひとりが必要なスキルを自ら見直したり、興味関心に基づいてキャリアを設計したりする機会にはなりにくいという側面があります。

eラーニングは社員一人ひとりのニーズやタイミングに合わせ、主体的に学習内容を選択して学びを深められるという点で、自律的に学ぶ文化の醸成に活用しやすいツールです。ただし、学習習慣を組織文化にまで昇華させるためには、導入後に社員個人の取り組みに任せるだけではなく、企業として学びを促す仕組みづくりに取り組むことが重要です。経営陣や現場の上長から学習を推奨するメッセージを発信したり、学習内容をアウトプットする機会を設けたりといった仕掛けをしていきましょう。

4-4-1. ヤフー株式会社様(現:LINEヤフー株式会社)

多角的に事業を展開するヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)様では、各社員に求められるスキルや知識が多様化し、一律の研修実施が難しい中で、個々の必要なタイミングで自律的に学習ができるツールとして「グロービス学び放題」を導入しました。

項目詳細
抱えていた課題・ビジョン実現にあたって、社員一人ひとりが高いエンゲージメントをもち、自律的に働きながら協業できる組織風土の醸成が必要だった
・事業が多岐にわたり、個々の社員に求められる知識やスキルも多様なため、全社員に向けた一律の研修を設計するのが困難だった
導入のねらい・選定理由・社員一人ひとりに対し、各人の課題やニーズに沿って、必要なタイミングで主体的に学ぶ機会を提供できる
・コンテンツの品質や追加頻度、時代への対応スピードが担保されており、変化の速い環境に対応可能である
活用方法・社内のイントラネットで利用希望者を募集
・受講希望者に、注力したい分野とその理由、自分自身の現在の課題、半年間のゴールイメージを記載した学習計画を立ててもらう
・学習促進の仕掛けとして、どのようなコースがよく観られているかを月1回程度、メルマガ形式で発信
導入後の成果・一回の公募に対し、クリエイター職など多様な職種を含む約2,000名の社員からの応募があった
・受講者からの提案で、社内のコミュニケーションツール(Slack)で学習グループがつくられ、開始後2か月で約600名が参加した

インタビュー全文:ヤフー流“自律的な学び”が加速!受講者主体でのコミュニティの立ち上がりに見る “学び合い”の風土醸成とは|ヤフー株式会社(現:LINEヤフー株式会社)

4-5. 多言語での教育や海外拠点の社員教育が必要なケース

海外拠点に赴任する社員の教育や、国内外の拠点で働く外国籍社員への教育が必要なケースにおいて、多言語に対応し、標準化された学びを届けられるeラーニングは有効な教育手段です。

グローバルに事業を展開する企業では、拠点ごとに教育の質や内容がばらつき、共通言語が形成されにくいという課題が発生することがあります。各拠点に所属する国籍がバラバラな社員を集合研修で育成しようとすると、言語や距離、文化の違いといった障壁があり、日本国内において日本語で行う研修よりもコストがかかります。

複数言語に対応しているeラーニングサービスであれば、使用言語が異なる社員が同内容の学習コンテンツを学ぶことができ、業務における共通言語を形成しやすいです。

4-5-1. 三井化学東セロ株式会社様

項目詳細
抱えていた課題・海外拠点において日本人社員中心の組織から現地採用社員が中心の組織へと徐々にシフトする中で、現地採用社員のビジネススキル全般の不足を感じる場面が増えた
・現地社員に対してはOJT中心の育成で、ビジネススキルを底上げする育成制度はなかった
導入のねらい・選定理由・グロービスのスクール型研修や日本語版のグロービス学び放題の受講経験から、コンテンツ品質への信頼があった
・知識を網羅的に身に付けられるだけでなく、対談形式のコンテンツなどで他業界のビジネスについて知見を広げることができる
導入後の成果・現地社員から「このように学ぶ機会を与えてもらって、深く感謝しています」という声が届いた

インタビュー全文:英語で『グロービス学び放題』の“学び”を!現地社員のビジネススキル向上で真のグローバル化に|三井化学東セロ株式会社

4-6. 各社員の知識やスキルマップを人事配置や育成計画に活かしたいケース

社員の知識やスキルを客観的なデータとして可視化し、戦略的な人事配置や育成計画に活かしたい場合、eラーニングシステムは単なる研修ツールとしてだけではなく、データプラットフォームとしても活用できます。

多くのeラーニングに搭載されている管理機能は、誰が何を学び、どの程度の習熟度とみなせるかという学習履歴を自動で蓄積します。従来の研修では管理が難しく曖昧になりがちだった、社員のスキル習得度合いや学習意欲をある程度客観的に示すものです。このデータを活用すれば、勘や経験だけに頼らず、 データに基づいた適材適所の人員配置や次世代リーダーの計画的な選抜育成、採用すべき人材像の定義などが可能になります 。

また、昇格要件や職種別に定義したスキル要件にeラーニングのコンテンツを紐づけることで、学ぶべき内容を明確にし、社員の主体的な学びとキャリア形成を促すという活用方法もあります。

4-7. 法令対応など、定期的な研修実施と確実な記録管理が求められるケース

コンプライアンスや情報セキュリティなど、全社員に定期的な研修を実施し、受講履歴を確実・効率的に管理したい場合にも、eラーニングは有効です。

eラーニングは、全社員に研修内容を一斉配信し、各自の都合の良い時間に受講することが可能です。そのため別拠点に所属する社員や、勤務時間が異なる社員にも研修機会を漏れなく提供できます。未受講者への自動リマインド機能を使えば、受講の徹底を効率的に図ることも可能です。

更に重要なのは、『誰が、いつ、どの研修を完了したか』という受講履歴が自動的かつ正確に記録される点です。 客観的な記録が残るため、万が一の際の監査対応や、企業の社会的説明責任を果たすうえでの重要な証跡となります 。このように、eラーニングは経営リスクを低減させる「守りのガバナンスツール」としても大きな価値を発揮します。

5. eラーニングの導入成果を最大化する5つのポイント

冒頭にもお伝えしたとおり、eラーニングはただ導入するだけで自動的に社員の学習を促進できる万能ツールではありません。 成果を最大化するためには、目的を踏まえた事前の計画と、運用上の工夫が不可欠 です。

そこで本章では、eラーニング導入を成功に導き、期待する成果を得るための5つのポイントを解説します。

5-1. 導入の目的とゴールを明確にしてから運用方針を決める

eラーニングの導入を成功させるうえで最も重要なのは、「目的=何のためにeラーニングを導入するのか」を明確にしたうえで、「ゴール=誰が、どのような状態になってほしいのか」を設定することです。

目的とゴールを曖昧にしたまま進めると、運用方針や成果測定の方法について意思決定をする判断軸が定まらない ため、「形式だけの導入にとどまり、誰にも使われない」状態になってしまう可能性が高いです。

目的とゴールを定める際は、以下の2点を意識しましょう。

  • ・目的をなるべく具体的に言語化する
  • ・ゴールは達成度合いを客観的に判断できるように設定する

当社のeラーニングサービス「グロービス学び放題」に対していただくお問い合わせの中で、よくある導入目的として「自ら学ぶ文化を社内で醸成したい」というものがあります。この場合、目的は明確にあるものの抽象度が高いため、まずは「学ぶ文化の醸成」とはどのような状態をイメージしているのか、具体的に言語化すると良いでしょう。そのうえで、「社員がeラーニングを使ってどのように学んでほしいのか」を明確にします。このとき、必ずしも目的を達成した状態をゴールに置く必要はありません。eラーニングを使って目的にどこまで近づきたいのかという観点でゴールを定めます。

導入目的の言語化は、自社の人材育成課題に対して本当にeラーニングという手段が適しているのかを見極め、理想の状態に対してどこまで近づけそうか判断するために欠かせないステップです。

具体的にどのようなケースにおいてeラーニングの導入が適しているのかは、「4. eラーニングの活用が効果的なケース」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

5-2. 成果の基準と効果測定の方法を社内の関係者間で合意しておく

eラーニング導入の目的が定まったら、成果をどのように測るのか、具体的な指標と達成基準(KPI)を設定し、事前に関係者や経営層と合意しておくことが重要です。

後々「eラーニングを導入して結局どうなったのか?」と質問を投げかけられたときに、何らかの形で成果を可視化できていないと、うまくいかなかった施策として認識されてしまう可能性があります。

グロービスでは、初めに以下の指標を用いて、順調に受講のスタートダッシュを切れているか確認することを推奨しています。

  • – ログイン率:1回以上ログインした受講者の割合
  • – コース視聴率:コースの視聴を開始した受講者の割合
  • – コース修了率:コース全ての視聴を完了した受講者の割合

更に、設定した学習のゴールに応じて、追いかける指標を選びます。以下の指標のほか、知識の定着度合いを確認したい場合は「理解度テストの点数」、受講者の態度変容を把握したい場合は「受講前後のアンケート」なども参考にすると良いでしょう。

どの指標をいつまでに達成するのか、どのように測定・報告するのかを具体的に計画に盛り込みましょう。達成基準の理想的なレベルは、各社の現状によっても異なります。

成果の基準と効果測定の方法を明確にしておくことにより、導入後の効果検証がしやすくなるだけでなく、施策の必要性や投資対効果について社内の合意形成がしやすくなり、予算獲得のための稟議などもスムーズに進みます。

グロービスでは、企業様の目的や状況に合わせた学習体験の設計から運用支援まで丁寧に伴走いたします。

5-3. 社員の自律的な学習を促す工夫をする

eラーニングの導入成果は、社員がどれだけ主体的に活用するかに大きく左右されます。そのため、単に学習コンテンツを提供するだけでなく、社員が自ら「学びたい」と思えるような動機づけの仕掛けと、学習を推奨する文化づくりがとても重要です。

社員は日常業務に追われて多忙であることが多いため、 学習の必要性やメリットを実感できなければ、eラーニングに取り組む優先順位を上げることはありません 。業務との繋がりやキャリアアップへの貢献といったメリットを丁寧に伝えたり、上司から部下へ積極的に受講を推奨したりする必要があります。

グロービスでは、社員の学習が進まないことに課題を感じていらっしゃるお客様に対して、例えば以下のような受講促進施策をおすすめしています。

社員の学習が進まない原因の仮説施策例
・学ぶ必要性を感じていない
・現状の知識量で十分だと感じている
・実務との関連性が高いおすすめコースを紹介する
・アセスメント・テストの受講を促し、知識レベルを可視化させる
・他の社員の学習傾向や進捗を共有する
・学びが進んでいる受講者へインタビューして共有する
・興味のあるコースを探せていない
・学習時間が確保できない
・職種や階層に合わせたおすすめコースを紹介する
・視聴時間の短いおすすめコースを発信する
・学習ペースを定期的にリマインドする
・学習による成長実感を得られていない・コメント機能などを用いたアウトプットを推奨する
・社内で座談会や勉強会を開催する
・視聴コースからの学びを実務での活用に結び付けるレポートを課す

社員のeラーニング受講が進まないことに課題を感じていらっしゃる方は、ぜひお気軽にグロービスまでご相談ください。ご状況に合わせて受講活性のご支援をいたします。

5-4. アウトプットの機会を設けて学習内容を定着させる

eラーニングは知識のインプットには非常に有効なツールですが、受動的に情報を受け取るだけではすぐに内容を忘れてしまいます。 学んだことを言語化し、アウトプットする機会を設けて学習内容を定着させる工夫 が不可欠です。

学習した知識を「自分の言葉で整理する」「実務へどう活かすか考える」というプロセスを経て初めて、実際の業務で活かせるスキルとして定着し、学習効果が何倍にも高まります。

具体的なアウトプット施策としては、以下のような取り組みがあります。

【アウトプットの取り組み例】

  • 学習開始前に、取り組みたい分野や一定期間終了後の目標を言語化してもらう
  • 学習した内容について記述するレポート課題に取り組んでもらう
  • テーマを決めてグループディスカッションや勉強会を実施する
  • OJTと連動させ、学習内容を実際の業務で試す機会を設け、上司や先輩からフィードバックを得るサイクルを作る

5-5. 他の研修と組み合わせて学習内容の理解を深める

eラーニングの成果を最大化する最も効果的な方法は、eラーニングを単独で運用するのではなく、 集合研修やOJTなど他の育成手法と組み合わせた「ブレンディッドラーニング」の一部として活用する ことです。

eラーニングは知識の効率的なインプットにおいて優れている一方で、対話による気づきや実践力の養成は集合研修やOJTのほうが得意です。 学んだことを「知っている」から「わかる」「できる」状態にするためには、実践への接続を意識したアウトプットの機会を設けることをおすすめします

それぞれの長所を活かし、短所を補い合うように研修全体を設計することで、一つの方法のみで研修を行うよりも高い学習効果が期待できます。

引用元:知る、わかる、できる、教える(能力開発の4つのステップ)

代表的な例としては、eラーニングで基礎知識を事前に学習し、集合研修ではその知識を前提としたディスカッションやロールプレイングといった応用的な演習に時間を充てる「反転学習」があります。また、集合研修後のフォローアップとして関連知識をeラーニングで深掘りしたり、OJTの補完教材として活用したりするなど、目的に応じて柔軟に組み合わせることが成功の鍵です。

【eラーニングと集合研修を組み合わせて実施された事例】

本田技研工業株式会社様では、2か月間の新入社員研修において、『グロービス学び放題』を利用した自主学習と、講義・ワークショップを含む集合研修を組み合わせて実施しました。

お客様の声:

事前に『グロービス学び放題』で知識をインプットした上で、自社社員による講義に臨み、さらにインプットした内容を活かしてワークショップに取り組むという構成で、アウトプットの時間も取れるよう研修プログラムを組みました。

「Honda Carsの将来のあり方を提案する」というワークショップでは、まずグロービス学び放題の「SWOT分析」「PEST分析」の動画を視聴。その後4人一組となり、事前の視聴で学んだスキルを使って、環境分析やターゲティング等を行い未来の自動車市場について発想した上で、『Honda Cars』の将来の在り方を提案してもらいました。

『グロービス学び放題』は、復習しやすい点も大きなメリットです。以前の集合研修ではあまり復習手段が用意できなかったのですが、『グロービス学び放題』ならいつでも視聴し直すことができます。

インタビュー全文:『自分のために働け』を進化できる人材育成の第一歩に。完全リモートの新入社員研修を”好機”に変える本田技研工業の人材育成戦略|本田技研工業株式会社

6. eラーニングのみでは人材育成課題の解決が難しいケース

人材育成課題の性質によっては、eラーニングでは解決が難しいこともあります。以下のようなケースは、他の手法をメインに研修を企画することをおすすめします。

6-1. 対人スキルや身体的スキル、現場における実践力を習得させたいケース

営業交渉やマネジメントなどの対人スキルや、接客での立ち居振る舞いや製造技術といった現場での実践力を養いたい場合、eラーニング単独での育成は困難であり、実践的なトレーニングとの組み合わせが不可欠です。

なぜなら、これらのスキルは相手の反応を見ながら瞬時に判断する能力や、繰り返し実践して身体的に習得するプロセスが求められるためです。eラーニングはあくまで知識の習得を目指すツールであり、 「生身の人間相手の実践」や「現場の状況に合わせた対応」までは鍛えることができません 。

【解決策】

集合研修や現場でのOJTなどの実践トレーニングを中心に据えつつ、実践にあたって必要な基礎知識の予習や復習にeラーニングを活用し、知識のインプットと現場での実践を反復するのがおすすめです。

グロービスでは、実際のビジネス現場における実践力を重視して集合研修を設計しております。

グロービスの企業内研修の資料をダウンロードする

6-2. 複雑な課題解決や新規事業立案などで、議論の推進や関係者間の調整ができる人材を育てたいケース

複雑な課題解決や新規事業の立案などの高難度プロジェクトを推進できる人材を育成したい場合、個人学習が基本のeラーニングだけでは不足しています。これらは複数人がかかわるプロジェクトになることがほとんどであり、知識や方法論を学ぶだけではなく、メンバー間の議論を建設的に進める能力や、多様な視点や経験をもつメンバーと協働する能力を鍛える必要があります。個人で知識をインプットする学習スタイルが基本のeラーニングでは、このような 他者とのコミュニケーション能力を鍛えることは難しい です。

【解決策】

ワークショップやケースメソッドを用いたディスカッションといった、参加者同士が対話する場を中心に研修を設計することをおすすめします。 更に、議論のテーマについてeラーニングを用いて事前にインプットしてもらうことで、集合研修における議論の質と効率を高め、効果の最大化を期待できます。

グロービスでは、集合研修(講師派遣型)やグロービス・マネジメント・スクール(公開型研修)をご用意しています。

グロービスの企業内研修の詳細を見てみる ▼グロービス・マネジメント・スクールの詳細を見てみる

6-3. 選抜した少数の社員を重点的に育成したいケース

「有望な社員を選抜し、管理職候補としてリーダーシップやマネジメントスキルを強化したい」というように、少数の社員に対して特定のスキルを学ばせたい場合、eラーニングによる学びは効率的とはいえません。

eラーニングは大人数に対して均一に学びを提供したい場合や、幅広い社員の学習ニーズに対応したい場合に適したツールです。選抜された特定の社員に対して 「この程度の能力・スキルを最低限発揮してほしい」という明確な基準がある場合、eラーニングによるインプットだけでは対象社員のアウトプットの品質まで担保できません 。

【解決策】

対象となる社員が限られており、強化したい能力・スキルが明確に決まっている場合は、公開スクールへの派遣や集合研修を軸に育成計画を組み立てると良いでしょう。

eラーニングは、学びを定着させる補助教材として取り入れるのがおすすめです。研修前後の課題として取り組んでもらえば、研修の効果をより高めることができます。

関連コラム: 【事例付き】選抜研修とは?階層別研修との違い、人選方法、成功のコツ3選

7. 自社に合ったeラーニングサービスの選び方

自社の人材育成課題にeラーニングが適していると判断したら、実際に導入するサービスの選定を進めましょう。

eラーニングサービスの比較にあたって、チェックしておきたい項目は以下の8点です。

なお、 これらのポイントを判断する際には、各eラーニングサービスのトライアル制度などを利用してサービスを体験することを強くおすすめします。 特に受講者側・管理者側それぞれの使いやすさは、実際に触れてみないと気づけないことが多いためです。

当社「グロービス学び放題」は以下のリンクより2週間無料でご視聴いただけます。是非お試しください。

7-1. 社員に学ばせたい分野の教材コンテンツが豊富に提供されているか

eラーニングサービスの選定でまず確認しておきたいのは、「自社の目的に合った学習コンテンツが提供されているか」です。導入の目的によって、重視すべきポイントは異なります。

以下のチェックポイントを参考に、提供されているコンテンツの 「品質」「幅広さ」「体系」 が自社の求める水準に達しているかどうか確認しましょう。

【チェックポイント】

導入目的重視すべきポイント
社員が自律的に学ぶ文化を醸成したい・コンテンツ量が豊富で幅広いか
・コンテンツが体系的に整理されており、個々人で学習が進めやすいか
特定のスキルや知識を強化したい・対象テーマのコンテンツが豊富に用意されているか
多様な国籍の社員に対して学習機会を提供したい・多言語対応しているコンテンツが一定量あるか

eラーニングを提供する会社によって、得意な学習コンテンツのジャンルも異なります。特に何らかの特定スキルの強化を目的とする場合は、取り扱うテーマだけでなく、各コンテンツの内容が、社員に学ばせたい知識レベルまで掘り下げられているかどうかも確認したほうが良いでしょう。

7-2. 設計や機能が管理者と受講者にとって使いやすい仕様か

初めてeラーニングの導入を検討する場合、機能の多さが魅力的に映りがちですが、必ずしも機能が多いサービスが優れているわけではありません。 「自社にとって必要十分な機能を備えており、操作が分かりやすく使いやすいか」 という視点でサービスを選定することが大切です。

操作が複雑だと、受講者にとっては学習のハードルが上がり、管理者にとっては運用の負荷が上がります。

以下のチェックポイントから、自社の場合はどのような機能が必要なのか洗い出し、それらを搭載しているサービスを選びましょう。

【チェックポイント】

▼受講者側

  • マルチデバイス対応:PC、スマホ、タブレットの全てのデバイスに対応しているか
  • 検索性:学びたいテーマに関連するコースをキーワード検索などで簡単に見つけられるか
  • 動画再生の柔軟性:中断した箇所からの視聴再開や視聴速度の調整、早戻し・早送りが柔軟にできるか
  • ブックマーク:気になるコースを後ですぐ開けるようにブックマークする機能があるか
  • 進捗管理機能:学習した内容や時間を一目で確認できるか

▼管理者側

  • ダッシュボード:ログイン率や学習進捗などの数値を一目で簡単に確認できるか
  • ユーザー管理:社員情報の一括登録や削除が簡単にできるか
  • グループ管理:受講者を部門や階層ごとにグルーピングして学習内容のアサインなどができるか
  • メール配信機能:受講を促進したい対象者を絞り込んでメールを送信できるか
  • アンケート機能:設問をカスタマイズして配信できるか
  • CSVダウンロード:受講状況などのデータをCSVダウンロードして加工や分析ができるか
  • 外部システム連携:学習管理システム(LMS)を使用している場合、連携ができるか

7-3. 学習効果を測定・分析するための機能は十分に備わっているか

eラーニング導入による成果を証明し、経営層に説明するためには、学習効果を定量的に測定・分析しなければなりません。受講のデータが自動的に蓄積されることはもちろん、システム上で簡単にレポートの用意まで完結させられるかどうかが、持続的な運用においては大切なポイントです。

【チェックポイント】

  • 学習進捗の可視化:個人またはグループ単位の学習進捗を、ダッシュボードで簡単に把握できるか
  • アセスメント機能:受講者が学習した内容の定着度合いをテスト等で確認できるか
  • 成績管理:理解度テストの結果を自動で集計し、一覧で確認したり、データを出力したりできるか
  • レポート機能:役員会への報告資料として使えるような、グラフ付きのレポートを簡単に出力できるか
  • アンケート機能:定量的データからは分からない受講者の声を収集できるか

7-4. 学習プログラム設計や独自教材アップロードなどの自社カスタマイズが可能か

「コースを組み合わせて自社に合わせたプログラム設計をしたい」「自社独自のノウハウやルールについてもeラーニングで学ばせたい」という場合、eラーニングサービスのカスタマイズ性も重要な判断材料となります。

その場合は、以下のような機能があるかどうかチェックしましょう。

【チェックポイント】

  • 教材アップロード機能:自社で作成した研修動画や資料をアップロードできるか
  • 学習プログラム設計機能:学ばせたいコースを自由に組み合わせて独自のプログラムを作成し、受講者に公開できるか
  • オリジナルテストの作成:独自教材の内容に合わせた、自社オリジナルの理解度テストを作成・実施できるか

7-5. トラブル対応や運用支援などのサポート体制が充実しているか

日々の多忙な業務の中で、ストレスなく安心してeラーニングの導入や運用を進めるためには、 導入時の丁寧な案内・説明やトラブル発生時の迅速な対応、活用支援 といったサポート体制が充実していることが重要です。

「システムにログインできない」といった緊急時の問い合わせ窓口や対応スピード、更に必要であれば「どうすれば利用率が上がるか」といった運用面の相談にのってくれる専任担当者の有無などを確認しましょう。

【チェックポイント】

  • 導入時のサポート:管理者向けの説明会実施や、運用開始に向けたアドバイスをしてくれるか
  • 問い合わせ窓口:電話・メール・チャットなど、利用しやすい問い合わせ窓口があるか
  • 導入後の運用支援:定期的なミーティングを行い、利用率向上のための提案や他社事例の共有をしてくれるか

対応のスピードや丁寧さを契約前に確認することは難しいですが、「導入前の商談における担当者の対応に違和感がないか」である程度見極められます。

グロービスでは、専任のコンサルタントが「グロービス学び放題」導入前のご相談から運用支援まで伴走いたします。

お問い合わせ後の流れ

7-6. 料金体系と費用対効果が自社の導入規模や予算に合っているか

サービスの価値とコストのバランスを見極め、自社の導入規模や予算に合った料金体系のサービスを選びましょう。サービスによって料金体系が異なるため、1アカウントあたりの金額だけで判断せず、自社における利用期間や利用したいサービスのイメージをある程度固めたうえで、見積もりを取ることをおすすめします。

【チェックポイント】

  • 導入初期費用の有無
  • 1アカウントあたりの料金と、アカウント数に応じた割引率
  • 追加料金が発生する項目(教材単位の課金、運用サポート・コンサルティングオプションなど)
  • 契約の柔軟性(最低利用人数、最低契約期間、人数増減時の対応など)

7-7. 自社のセキュリティ基準をクリアしているか

eラーニングサービスの利用には基本的に インターネット接続が必要であり、情報漏洩のリスクに注意する必要があります 。運用にあたって社員の個人情報を入力したり、場合によっては社外秘の独自教材をアップロードしたりする可能性があるので、サービスおよび提供企業のセキュリティ体制が自社の求めるセキュリティ基準をクリアしているか、確認しましょう。

具体的なサービスの検討に入ったら、情報システム部門と連携して、セキュリティ要件を確認してもらうプロセスが不可欠です。

【チェックポイント】

  • ベンダーのセキュリティ体制 :公的認証の取得状況など
  • eラーニングシステム自体のセキュリティ対策 :データ暗号化の有無、障害対応の体制など
  • eラーニングシステムの運用体制: 障害対応の体制など
  • データ管理体制 :バックアップの方法や保存期間、データ消去の要件など

▼当社では、「グロービス学び放題」の導入を検討されている企業様に向けて、経済産業省が公開している「クラウドサービスレベルのチェックリスト」に準拠した、運用やサポート・セキュリティ体制等に関して記載した「セキュリティチェックシート」を公開しています。

7-8. 導入実績や、既に導入済みの企業からの評価が信頼できるか

eラーニングサービスの利用料金や仕様を確認すると同時に、 導入実績や、第三者からの客観的な評価 を確認することをお勧めします。

導入決定前にトライアルなどを利用してサービスを体験することはできますが、一定期間運用するとどのような成果が得られるのかを知りたい場合は、実際に導入した企業の事例が最も参考になる資料だからです。

【導入事例を参考にするときのチェックポイント】

以下の軸において自社に近い事例を見つけられると、活用のイメージをつかむことができます。

  • 企業の属性 :自社と業種や従業員規模が似ている企業の成功事例があるか
  • 導入の目的・課題意識 :自社に近い目的や課題意識をもっている企業の成功事例があるか

>導入後の成果 :
自社が求める水準の客観的な成果が出ているか

「グロービス学び放題」の導入事例はこちら

8. 高品質かつ体系的な学びが得られるeラーニングサービス「グロービス学び放題」

グロービスでは、MBAやビジネススクールの運営をはじめとする社会人教育事業から得た知見を基に、手軽に高品質な学びを得られるeラーニングサービス「グロービス学び放題」をお届けしています。

「グロービス学び放題」の特長

8-1. 4,100コース以上の豊富なコンテンツがあり、受講者の多様な学習ニーズに対応できる

「グロービス学び放題」では、「経営戦略」「組織・マネジメント」「会計・財務」「マーケティング」などの普遍的なビジネス知識から、「AI」「DX」などの最新テーマまで、全16カテゴリ・4,100コース以上(2025年8月現在)の豊富なコンテンツを用意しています。

社員一人ひとりの 多様な学習ニーズに合わせ、興味関心のあるテーマや身に付けたいスキルに関連するコースを選択して学ぶ ことが可能です。

「グロービス学び放題」のコンテンツ詳細

8-2. 階層別や課題別に用意されたコースのパッケージがあり、学習内容設計の負担が少ない

「グロービス学び放題」は、「ラーニングパス」というコースを組み合わせたパッケージプログラムを100以上用意しています。「ラーニングパス」をご活用いただくと、 人事担当者の皆様がゼロから学習プログラムを組み立てる必要がなく 、利用開始後すぐに研修を実施できます。

レベルに合わせて体系的に知識を身に付けられるように設計されているので、初めての分野を学習する際にも、 どのコースからどの順番で取り組めば良いのかがわかりやすく、受講者が一人でも迷わず学びを進められます 。

「ラーニングパス」には、若手・中堅社員・管理職などの「階層別」、マーケティングや会計・財務などの「職種別」、ITパスポート試験対策やDXリテラシー標準対応などの「目的別」といった様々な切り口があります。

8-3. 自社に合わせた学習パッケージの設計やオリジナル教材のアップロードが可能

グロービスが設計したラーニングパスを基に、含まれているコースの入れ替えや追加を行い、自社で学ばせたい内容に最適化した「カスタムラーニングパス」を作成することもできます。

自社コースアップロード機能も搭載しており、自社で作成した動画を「カスタムラーニングパス」として設定し、受講者に公開することも可能です。

普遍的なビジネススキル習得とあわせて、自社固有の知識やルールも「グロービス学び放題」を通して身に付けてもらうことができるので、 研修プラットフォームの一元化が実現でき、運営管理コストが大幅に下がります 。

8-4. 学習進捗管理やアセスメント機能などの成果を可視化できる仕組みがある

「グロービス学び放題」は、eラーニングの導入成果を可視化するための様々な機能を搭載しています。

各受講者の「ログイン率」や「視聴時間」などの学習進捗指標は、 ダッシュボードで簡単に把握でき、部門や階層などのグループ単位でも管理できます 。データはCSVダウンロードできるため、お手元で加工して分析いただいたり、成果報告レポートにご活用いただいたりすることが可能です。

eラーニングコンテンツの視聴によるインプットの成果測定をしたい場合は、「アセスメント機能 」をご活用いただくことで、知識の定着度合いを測ることができます。

領域や階層ごとに知識レベルを測定するテストを用意しており、動画で学んだ内容がどの程度身に付いているかを可視化します。

「受講者の視聴時間は十分だが、動画を再生しただけで定着していない」「eラーニングの導入によって本当に知識やスキルの強化が実現したのか説明できない」といったお悩みに対して、 アセスメントの結果を基に学習促進のアプローチを考えたり、成果レポートを行ったりすることが可能です 。

8-5. 日経平均採用銘柄における導入率78%、多数の企業から評価を得ている高品質な学び

「グロービス学び放題」は、 日経平均株価採用銘柄のうち78%の企業様に導入いただき、高品質な学びに対して評価を得ています 。

多くの企業からご信頼いただいている質の高い学習コンテンツは、以下の体制で作り上げています。

  • MBAホルダーや講師で構成された専門チームによる企画・制作
  • ビジネスの第一線で活躍する教員で構成された研究開発チームによる監修
  • 大企業からスタートアップまで、最新の実践知を得られる幅広いネットワークの活用

テクノロジーの進歩やビジネストレンド、学習者個人の環境などあらゆる変化に対応し、どんな状況でも学び続けられる学習プラットフォームを提供しています。

9. まとめ

eラーニングには、人材育成において主に「運営コスト」「学習機会」「学習効果」「人材戦略」といった観点で多くのメリットがあります。一方で、全てにおいて万能なツールではなく、状況によってはデメリットのほうが大きく現れてしまう可能性もあります。

eラーニングの導入を成功させるには、

  • 解決したい育成課題がeラーニングで十分に対応できるのか見極める
  • 効果を最大化するための適切な運用方針を検討し、実行する
  • 成果を測る指標を決めて社内の関係者や経営層と合意し、確実にレポートする

といったアクションが必要です。

まずは、今回ご紹介したeラーニングのメリット・デメリットや、効果が出やすいケースを基にして、eラーニングの導入が自社にとってベストな選択肢なのか、改めて検討してみることをおすすめします。

「自社の状況が特殊で、育成課題に対する適切な手段を判断することが難しい」「eラーニングの導入や効果的な活用方法についてもっと知りたい」という場合は、ぜひグロービスにお気軽にご相談ください。


執筆者プロフィール

加藤 真穂 Kato Maho
名古屋大学文学部卒業後、不動産系資産運用会社に入社し、秘書・法務業務を経験。その後Webマーケターに転身し、株式会社ミツモアにてオウンドメディアのSEO業務に従事。キーワード調査、コンテンツの企画・制作やディレクション、ライターチームのマネジメントなどに携わる。2025年にグロービスへ入社し、現在はBtoBマーケティング部門にて、Webコンテンツの企画・制作、Webサイトの分析・改善などを担う。


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