AIを組織に浸透させるAI推進とは?実践6ステップや企業事例を紹介
AI活用を組織全体で推進するために、皆さんの会社ではどのような取り組みを進めていますか?
日々の取り組みの中で、次のような悩みがあるのではないでしょうか。
| ⚫︎専門のチームが立ち上がったものの、現場のAI活用が進まない ⚫︎ボトムアップで推進したいが、現場社員は主体的に動けず受け身になってしまっている ⚫︎社内にAIに詳しい人はいるのに、個人の業務の効率化に留まっており組織レベルの成果は上がっていない |
特に人事担当者の方であれば、「AI導入はIT部門や専門家の領域」と役割を手放してしまったり、逆に「現場社員の自主性に任せきり」で動きが停滞していたりする場合があるかもしれません。
もちろん、AI専門のチームを発足することも重要ですが、それだけでは組織全体にAIを浸透させることは難しいでしょう。
真に重要なポイントは、「トップダウンでの発信」と「ボトムアップのリテラシー向上」の組み合わせによって「AI活用が当たり前」な組織へ変革させていくことです。
以下のように、階層別にやるべきことを分けて考えると良いでしょう。
| ⚫︎経営トップ:AIの重要性を継続的に全社へ発信し続ける ⚫︎全社員:AIに関する基礎知識やリテラシーを身に付ける |
そしてこの両輪を推進する際には、人事担当者の皆様が主導となって取り組んでいくことが大事です。
なぜなら、全社員のAIリテラシーの向上や、階層別のスキル育成は、IT部門だけ・トップだけが声高に言っても成功しないからです。現場かつリーダー層に対してアクションを促し、育成をしていけるのは人事担当者の皆様しかいません。
AI活用がこれほど注目されるのは、急速な技術進化に伴い、国内外の市場が大きく変化しているからです。これは、企業全体の価値や競争力を揺るがす大きな変化であり、経営戦略にも直結します。
今後はAI活用を前提とした事業モデルや人材育成が必要になってくるでしょう。
本コラムでは、約3,400社以上の企業を支援してきた人材育成の知見を活かし、AIを組織全体に浸透させ展開していく際のポイントや考え方をお伝えします。特に第2章ではAIを浸透させる実践的な6つのステップについてお伝えしますので必見です。
また、AIを組織浸透させるための最適な学びの場として、当社グロービスではeラーニングサービス「GLOBIS 学び放題(以降、グロービス学び放題と記載)」を提供しております。第6章で詳しくご紹介いたしますので是非ご一読ください。
本記事の監修者

鳥潟 幸志(とりがた こうじ)
●グロービス経営大学院 教員
– ベンチャーマネジメント科目責任者
●株式会社グロービス デジタル・プラットフォーム部門
– マネジング・ディレクター/グロービス学び放題 事業リーダー
– グロービスグループ「AI戦略会議」座長
●一般社団法人AICX協会 人事AI変革推進委員 委員長
●グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)
●著書「AIが答えを出せない 問いの設定力」
●Xはこちら
【職歴】
●株式会社サイバーエージェント
●ビルコム株式会社 共同創業 取締役COO
●株式会社グロービス 教員/Edtech推進部門「グロービス学び放題」事業リーダー
目次
1. 組織のAI推進を後回しにできない3つの理由
1-1. 組織の生産性・収益性の向上
1-2. 新たな価値創造への挑戦
1-3. 企業価値・株主価値の向上
2. 組織全体にAIを浸透させるための実践6ステップ
2-1. ステップ1:組織でAIを活用する目的を明確にする
2-2. ステップ2:専門チームを発足、AI活用の基盤を構築する
2-3. ステップ3:全社員のAIリテラシーを向上させる
2-4. ステップ4:階層別に必要なスキルを育成する
2-5. ステップ5:AI活用の好循環をつくる
2-6. ステップ6:効果測定と継続的な最適化を行う
3. AIネイティブな組織をつくる「要」となる3つのポイント
3-1. 全社戦略の策定とトップによる継続的な発信
3-2. 土台となる全社員のAIリテラシー向上
3-3. トップダウンとボトムアップの双方向コミュニケーション
4. AI推進で陥りがちな「5つの落とし穴」と乗り越え方
4-1.「知識やノウハウの共有」がゴールになっている
4-2.「仕事が奪われる」という漠然とした不安を社員が抱えている
4-3.「専門家任せ」になっている
4-4.「データが足りない」と思い込んでいる
4-5. AIを「業務効率化ツール」としてしか見ていない
5. 組織全体でAI推進を実施している企業事例
5-1. グロービス:盤石なチーム組成とAIカルチャーの醸成
5-2. 日清食品:トップ主導と現場のスモールサクセスの両輪
5-3. DeNA:全社戦略「AIオールイン」と習熟度の可視化
6. eラーニング「グロービス学び放題」で全社員のAIリテラシーを「共通言語」に
6-1. AIを階層別に浸透させる新シリーズ「AI SHIFT」を提供
6-2. 自律的な学習文化を醸成できる仕組み
1. 組織のAI推進を後回しにできない3つの理由
AIはこれからの企業戦略において欠かすことのできない必須要素であり、市場の変化に乗り遅れないための重要なテーマです。
とはいえ、組織全体の変革を伴う取り組みは負担が大きく、なかなか一歩を踏み出せない企業や人事担当者の方も少なくないのではないでしょうか。
本章では、AI推進が企業にもたらす価値を整理し、続く第2章で具体的な推進ステップをご紹介します。
組織へのAI推進を進めるべき理由として、主に以下の3つが挙げられます。
1-1. 組織の生産性・収益性の向上
AIを業務上で活用することで、組織全体の生産性と収益性の向上につながります。
例えば、定型業務の自動化によって人件費や運営コストの削減となり、社員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。
顧客データを活用すれば、パーソナライズサービスや迅速なサポートが可能となり、顧客の満足度やリピート率向上を通じて売上に貢献します。
また、需要の予測や在庫管理、マーケティング戦略の精度を高めることで過剰在庫・機会損失の発生を防ぎ、収益性の向上にもつながります。
結果として、AIは組織の成長と収益最大化を支える強力な経営資源となります。
1-2. 新たな価値創造への挑戦
1-1でお伝えした収益性の改善により、確保できた経営資源を新たな価値創造へ投資できるようになります。
AIは、これまで実現が難しかった新しい価値創造やイノベーションのアイデアを生むきっかけに使うことができます。
例えば、商品企画に不可欠な顧客のニーズを、今まで以上に深く、多面的に把握できるようになります。
また、AIを活用して新しいサービスやソリューションも創り出すことができます。実際に、日本のマーケティング市場におけるAIは、2024年から2030年にかけて年平均28.3%で成長し、約6億円の市場規模になると予想されています(※)。この成長の期待が示すように、技術的進歩を活かすことで新たなビジネスモデルや製品・サービスを生み出す機会が広がっています。
※参考:「Japan Artificial Intelligence (AI) In ing Market Size & Outlook,2030」、Grand View Research、2025年9月に確認
1-3. 企業価値・株主価値の向上
AI活用を戦略的に推進することで、企業は競争優位性を確立し、結果として企業価値や株主価値の向上につながります。
現代の市場において、AIを経営戦略にどう取り込んでいるかは市場が注目する重要なポイントです。
なぜなら、AIを先進的に取り入れる企業は「将来の成長に投資している」と見なされ、株主や投資家からの信頼や期待を高めやすいからです。
さらに、AI活用はブランドイメージの強化にも寄与します。先進的な姿勢を示すことで、優秀な人材から「魅力的な企業」と評価され、採用競争力の向上や他社との差別化にも貢献するでしょう。
具体的にAI推進に取り組んでいる企業の事例は第5章でご紹介します。
2. 組織全体にAIを浸透させるための実践6ステップ
AI活用推進について、具体的にAIを浸透させていく流れを6ステップに分けて解説します。
AI推進は組織全体の改革であるため様々な役割のメンバーが関わり合い、協力することで初めて実現をします。
実行者別に6ステップでアクションを分けていますので、それぞれ以下で確認をしていきましょう。

- ステップ1:組織でAIを活用する目的を明確にする
- ステップ2:専門チームを発足、AI活用の基盤を構築する
- ステップ3:全社員のAIリテラシーを向上させる
- ステップ4:階層別に必要なスキルを育成する
- ステップ5:AI活用の好循環をつくる
- ステップ6:効果測定と継続的な最適化を行う
監修者コメント

自社の現状を照らし合わせ、不足している取り組みがあればこの記事を共通の判断材料にし、AI推進を進めていきましょう。
特に ステップ3. 全社員のAIリテラシーを向上させる でつまずいてしまう企業が多いです。悩まれる際は是非グロービスにご相談ください。

2-1. ステップ1:組織でAIを活用する目的を明確にする
はじめに具体的なAI活用を進める前提として、AIを導入する組織の明確な「Why(目的)」を定義することが重要です。「どのような課題をAIで解決するのか」を明確にし、技術導入そのものを目的化しないようにしましょう。
AI推進は一朝一夕ですぐに達成できるものではありません。長期間かつ全社員を巻き込むためには、最初の目的・目標の設定こそが推進の軸となります。拙速に進めるのではなく、時間をかけて丁寧に行いましょう。
また、定義をした目的やミッションは社長など組織のリーダーが発信をしていくことが重要です。
例えば日清食品では、2023年度の入社式にてCEOの安藤宏基氏からGPTを用いたメッセージを発表し、社員が初めてGPTにログインした際にもCEOメッセージが表示される仕組みを導入しています。

引用:「生成AI活用の取り組み」、日清食品グループ、2025年9月に確認
監修者コメント

DX推進の組織変革においても、同じように目的の設定を見落とされがちな会社が多く見られます。
全社員に伝わる、明快な表現で「なぜAIを使うのか?」を言語化しましょう。
2-2. ステップ2:専門チームを発足、AI活用の基盤を構築する
AI推進の目的を明確にした後は、組織構造別にAI活用を進めていきます。最初はAI推進の中核となる「専任組織」を設置することで、推進のための強い基盤をつくりましょう。すでにDX推進を担う部署やチームがある場合は、そこにAI推進の機能を統合することも考えられます。
専任組織の主な役割は、主に以下の二つです。
2-2-1. GRCの管理整備
GRCとは、生成AIの登場により発生しうるリスクを未然に防ぎ、健全なAI活用を進めるための枠組みです。ガバナンス、リスクコントロール、コンプライアンスの頭文字をとってGRCと呼ばれています。
| GRCとは ⚫︎G ガバナンス:経営を行ううえでの組織のルール ⚫︎R リスクコントロール:組織の危機や不確実性のコントロール ⚫︎C コンプライアンス:さまざまな社内外の規定の順守 |

GRCの策定にあたっては、ルールが社員の活用を過度に制限するものとならないように注意しましょう。禁止事項や承認フローを多く置くことで、社員が試行や改善を重ねるための意思決定が滞り、活用のスピードが落ちてしまいます。これは技術の進歩が速いAIの領域においては障壁にもなりかねません。
専任組織はAI推進の伴走者として、現場が安心してAIを使える環境を整えることが重要です。このような「攻め」のAI活用ルールを策定をするためには、次の 2-3.ステップ3:全社員のAIリテラシーを向上させる で解説する「全社員のAIリテラシーの向上」が必要不可欠になってきます。
監修者コメント

実際、私自身がグロービス社内でAI活用推進を始めた際、現場スタッフに「なぜ、AIの利用を躊躇するのか?」をヒアリングしたところ、「どのような情報を入力して良いのか」「情報漏洩などのリスクはないのか」といった点に関心を抱き、不安を感じているスタッフが多いことが分かりました。これらの懸念点を丁寧に解消したところ、AIの利用は劇的に促進されました。
2-2-2. 推奨AIツールの決定と導入
まずは社員が生成AIなどのAIツールを使用するにあたり、推奨するツールが何かを明確に定めましょう。これにより、情報漏洩の対策やガイドラインの作成、今後の使用率の管理などが容易になります。また、組織内で「このAIツールを使えば良い」という共通認識が持てるため、利用がより促進されます。
推奨するツールを明確に定義することは、コンプライアンス違反などのリスク発生を防ぐ効果もあります。現在一部の企業では、従業員が会社の許可を得ずに業務でAIツールを使用する「シャドウAI」と呼ばれる課題が発生しています。
シャドウAIは、ツールを使いたい従業員本人にとっては手軽さが魅力ですが、会社にとっては機密情報の漏洩やコンプライアンス違反といった深刻なリスクの温床となります。このリスクを防ぐ第一歩が、企業側が推奨するAIツールを明確に定義し、従業員に提供することです。利用ニーズを汲み取り、「使って良いツール」を示すことで、非公式なAI利用(シャドウAI)の発生を防ぎましょう。
| 【グロービスのワンポイントレッスン】 使用を推奨する生成AIツールの決定は、一見地味ですが非常に重要です。 GeminiやChatGPTなどの生成AIツールを、2-2-1で紹介した「GRC」の観点で比較・検討し、推奨ツールを明確にしましょう。そのうえで情報漏洩対策を早期に整えることで、現場が安心してAIを業務に取り入れられる環境が生まれます。これはAI推進に向けた大切な第一歩です。 |
監修者コメント

専任組織はAI活用の「ハブ」に過ぎません。真のAI活用推進の鍵は、専任組織が全てをコントロールすることではなく、現場の社員一人ひとりが自律的にAIを活用できるかにあります。企業研修を提供するグロービスは、組織の成長に伴走する中で、「自律学習する組織づくり」や「自律型人材育成」を支援しています。
2-3. ステップ3:全社員のAIリテラシーを向上させる
AIを組織に浸透させるうえで欠かせないのが、全社員のAIリテラシーを底上げすることです。今のビジネス環境では、一部の専門人材だけがAIを理解しているだけでは組織全体として十分なリテラシーがあるとは言えません。
詳しくは 2-5.ステップ5:AI活用の好循環をつくる で解説しますが、全ての社員が必要最低限の知識とスキルを身に付け、「AIを活用しているのが当たり前」という機運をつくることが現場の活用を加速させる鍵になります。
AIリテラシーは、主に3つの要素に分けられます。
| AIリテラシーの3つの要素 ⚫︎AIの基礎知識を習得し、業務に活用する力 ⚫︎AIとともに思考し意思決定する力 ⚫︎リスクを理解して安全に活用する力 |
具体的な取り組みとしては、eラーニングなどの教材を活用するのがおすすめです。オンライン学習の仕組みを整えることで、社員は自分のペースで知識を深めつつ、全社的に共通の理解レベルを確保できます。こうした学習環境を整備することが、AI活用を持続的に進める基盤づくりにつながります。
当社グロービスでは、「グロービス学び放題」というeラーニングサービスを提供しています。4,300コース以上の動画が視聴でき、AI活用に特化したコースも110コース(2025年10月時点)ありますので、ぜひご活用ください。


2-4. ステップ4:階層別に必要なスキルを育成する
全社員のAIリテラシーの向上と合わせて、階層別にAI推進のためのスキルを育成しましょう。本ステップは、AI活用が導入のみで終わることを防ぎ、自律的な活用文化を育むための重要な役割を担います。
そして、2-5.ステップ5:AI活用の好循環をつくる で解説するAI活用の循環にもつながる内容になります。

階層別スキル育成は難易度が高い一方で、活用循環の仕組みづくりと組み合わせることで、AI推進を次のステージへと推し進める重要な取り組みです。多くの企業がつまずきやすいからこそ、ここを人事や専任チームが主導して乗り越えることが、競争力の強化につながります。
グロービスでは、AI時代に求められる階層別のスキルセットを、「MEDLSフレームワーク」という枠組みで定義をしています。MELDSフレームワーク(※)とは、アクセンチュア社が提唱した、AI時代に求められるビジネススキルの原則です。
※「AI+ヒューマン時代のキーワードは『MELDS』、アクセンチュアのAI研究者が語る」、Biz/Zine(ビズジン)、2025年9月に確認

ここからは「MEDLSフレームワーク」に沿って、「経営層」「現場リーダー層」「メンバー層」の階層別に求められる役割・能力を詳しく解説していきます。
▼関連資料をダウンロードする
「企業が今取り組むべきAI活用推進のポイント:人材育成に活用できるフレームワーク・事例付き」
2-4-1. 経営層に求められる役割・能力
経営層は、組織全体でAI活用を推進する目的やミッションを明確に描き、現場の取り組みを事業の発展へとつなげる重要な役割を担います。AIが提示したアウトプットのリスクを考慮し、責任を持って最終判断を下すことも、経営層にしかできない重要な責務です。
現場でのAI活用を加速させるためにも、経営層は現場のリーダー層に対し、AI推進の目的や事業における意味を継続的に伝え、組織を導いていくことが求められます。
経営層に求められる5つの能力(MEDLSフレームワークより)
| ⚫︎Mindset:AIを重要な経営資源と捉え、変化を先読みした戦略を策定する。 ⚫︎Experimentation:現場における仮説検証を奨励し、成功した取り組みには投資を拡大させ、スケールアップを後押しする。 ⚫︎Leadership:AIを組み込んだ経営戦略に基づき、時代に合わせた組織変革を牽引する。 ⚫︎Data:データ活用の重要性を理解し、必要な投資判断や、データに基づいた経営判断を下す。 ⚫︎Skills:プロンプトの活用を通して、事業課題に対する適切な問いを設定する。 |
2-4-2. 現場リーダー層に求められる役割・能力
現場リーダー層は、経営層と現場のメンバーをつなぐ、組織の要です。AI活用を前提とした業務プロセスを現場で試行錯誤し、それを組織文化として根付かせていく役割が期待されます。
リテラシーの向上や最新情報の収集はもちろん、業務効率化にとどまらず、新たな価値の創造に向けた挑戦をリードしていくことが重要です。
現場リーダー層に求められる5つの能力(MEDLSフレームワークより)
| ⚫︎Mindset:AI活用の目的を深く理解し、現場の言葉に翻訳して伝え、実践を促す。 ⚫︎Experimentation:現場のメンバーによる仮説検証を奨励し、失敗を許容する。挑戦したこと自体を称賛するようなコミュニケーションを心がける。 ⚫︎Leadership:「スモールスタート・クイックウィン」を意識し、現場を巻き込む。まずは小さく始め、成功体験を早期に生み出すことで、取り組みへの熱量を高める。 ⚫︎Data:業務において本当に価値のあるデータは何かを見極め、取捨選択する力を養う。 ⚫︎Skills:プロンプトの活用を通して、現場の課題に対する適切な問いを設定する。 |
2-4-3. メンバー層に求められる役割・能力
メンバー層は、失敗を恐れずにAI活用の試行錯誤を繰り返し、AI活用の文化醸成の担い手となることが役割として期待されます。
そのためには、2-3.ステップ3:全社員のAIリテラシーを向上させる でお伝えしたAIリテラシーが不可欠です。加えて、AIの回答を鵜呑みにせずに信頼性を問い直す「批判的思考力」も非常に重要な能力となります。
グロービスのeラーニングサービス「GLOBIS 学び放題(以降、グロービス学び放題)」では、AIの基礎知識にとどまらず、課題設定力や批判的思考力など、AI時代に求められるスキルを体系的に網羅しています。

また、MEDLSフレームワークに基づくコンテンツを数多く提供しています。2週間の無料トライアルをご用意していますので、以下より是非お試しください。


2-5. ステップ5:AI活用の好循環をつくる
ステップ4までで、現場の活用が活発化するための組織やスキルが整ってきました。次はAIを経営層から現場まで、真に組織全体に浸透させるために、「循環をつくる」ことが重要になります。導入してスキルを身に付けて満足・終わりではなく、主体的に小さな成功体験を繰り返し、蓄積していきましょう。

組織的なAI活用は、それぞれのスキルアップのみで成し遂げられるものではありません。双方向のコミュニケーションによる循環があってはじめて、活用の流れが生まれます。
取り組み当初は明確な成果は出づらいですが、「スモールサクセス、クイックウィン」で相乗効果が生まれ大きな成果へとつながっていきます。
では、具体的にどのようにすると循環する勢いを生み出せるのでしょうか。
グロービスでは、経営からのトップダウンと現場からのボトムアップの動きが一体となり、以下のようなサイクルを回し続けることで好循環を実現できると考えています。
AI活用の好循環の流れ
| ⚫︎目標を設定・発信する(トップダウン):AI活用自体の目標を明確に設定し、トップから全体に発信をします。 ⚫︎現場が試行錯誤する(ボトムアップ):社員が日常業務の中で気軽にAIを試し、成功や失敗の体験を積み重ねます。 ⚫︎現場の知見を共有し、可視化する(ボトムアップ):現場で生まれた効果的な使い方や知見を部門を越えて共有し、組織全体の資産とします。 ⚫︎経営が展開と投資を判断する(トップダウン):経営層が有効な事例を評価し、全社への展開や追加投資を決定します。 ⚫︎目標の再設定・継続的な発信(トップダウン):一段階活用レベルが上がった状態から、より高度な活用を目指して目標をアップデートし、発信します。 |
このように、成功体験が次の戦略に組み込まれることで、業務効率化だけでなく価値創造といったより高度な活用へとつながります。
2-6. ステップ6:効果測定と継続的な最適化を行う
AI導入の取り組みを一時的なものに終わらせず、持続的な成果へとつなげるためには、定期的な効果測定が欠かせません。そのため、社員へのアンケート調査などを通じて、AIツールの活用度や業務改善への貢献度を客観的に把握しましょう。
結果に基づき、計画(Plan)・実行(Do)・評価(Check)・改善(Act)のPDCAサイクルを回し、AI推進施策を継続的に最適化していきます。これにより、常に変化するビジネス環境や技術の進化に対応し、組織のAI活用戦略をより効果的なものへと磨き上げていくことができます。
グロービスでは、AIの専任組織が生成AIの活用率を2024年から定期的に計測しています。長期間にわたって定点観測することで、組織への浸透度合いを定量的に把握できます。また現場が抱える課題を具体的に把握し、次の打ち手へとつなげています。

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「企業が今取り組むべきAI活用推進のポイント:人材育成に活用できるフレームワーク・事例付き」
3. AIネイティブな組織をつくる「要」となる3つのポイント
AI推進を組織全体に浸透させていく取り組みは、過去に前例がなく、手探りの状態が続くことが多いです。そのような中でもスピード感で組織全体を「AIネイティブ」な状態に導くために、「要」(かなめ)となる3つのポイントを紹介します。
「AIネイティブ」な組織とは?
| 「AIネイティブな組織」とは、AIの活用を前提とし、能力を最大限に引き出すように設計・構築された組織のことです。 インターネットが生まれた時から存在している「デジタルネイティブ世代」がいるように、AIがごく自然に、組織のあらゆる意思決定や業務プロセスに組み込まれている状態を指します。 |
AI活用を組織の隅々まで行きわたらせるために、グロービスが考えるキーポイントは次の3つです。
3-1. 全社戦略の策定とトップによる継続的な発信
AIを組織に浸透させるうえで、まず欠かせないのが「全社としての戦略の策定」と「トップからの継続的な発信」です。
なぜ自社でAIを活用するのか、その必然性をトップが自らの言葉で語り続けることが重要です。例えば全社総会や経営方針発表の場で、代表が「AIは単なる効率化の手段ではなく、未来の競争優位を築く基盤である」といった強いメッセージを示すことで、社員一人ひとりが自分ごととして捉えるようになります。
例えばグロービスでは、年初に発表される経営方針の中で「テクノロジーを積極的に活用し、学びとビジネスの可能性を拡張していく」という方向性が打ち出されてきました。この全社方針に基づいて設置された「AI戦略会議」では、AI活用の注力領域を次の3つに定めました。
| ⚫︎AIを通じた新ビジネスモデルの創出 ⚫︎AIを通じた教育手法のアップデート ⚫︎全社の生産性の向上 |
これにより、社員が主体的にAIを活用し、新たな挑戦や検証にも前向きな雰囲気が醸成されています。
トップからの発信において大切なのは、一度伝えるだけで終わりにしないことです。経営層やリーダー層はもちろん、特にAIへの関心の高い若手社員なども巻き込み、全社員に向けて繰り返し発信を重ねることが、AI推進の長期的な持続力につながります。
トップからの継続的なメッセージは、組織全体を「AIネイティブ」へと導く強力な後押しとなるのです。
3-2. 土台となる全社員のAIリテラシー向上
2つ目のポイントは、現場で働く社員全員がAIを理解し、自身の業務で試せるだけの知識とスキルを備えることです。
ありがちな落とし穴として、AIの知識や使い方の習得を個人の興味関心や世代による慣れに任せてしまう状態が挙げられます。この状態が続くと最低限必要な知識に満たないメンバーが取り残されてしまいます。
結果、時間が経つほどにAI推進に対する組織内の温度差や部分的な抵抗感を生むことにつながりかねません。
新しいテクノロジーに積極的なメンバーをより引き上げることも大切ですが、組織全体の成長を考えたときには「全員が一定の理解レベルに達している」という土台づくりが最優先です。
この基盤が整うことで、個々の工夫や挑戦が具体的な成果につながり、AI活用の輪が自然に広がっていきます。
3-3. トップダウンとボトムアップの双方向コミュニケーション
AI活用を持続的に広げていくためには、トップダウンの方針とボトムアップの発信を結びつける、双方向のコミュニケーションが不可欠です。
コミュニケーションの方向がどちらか一方に偏った場合、次のような問題が生じます。
| ⚫︎トップダウンだけの場合:AI活用が義務的・形式的になり、業務の効率化はできても、その先の価値創造が生まれなくなってしまう。 ⚫︎ボトムアップだけの場合:取り組みが属人的になり、組織的な投資も得られず、個別の活動で終わってしまう。 |
理想的なのは、経営層と現場が継続的にフィードバックを交わし、相互に学び合う循環を生み出せている状態です。
最初は成果が見えづらく抵抗があったとしても、地道な対話を積み重ねることで相乗効果が生まれていきます。やがてはブレークスルーをもたらし、組織を前進させる大きな力となります。
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「企業が今取り組むべきAI活用推進のポイント:人材育成に活用できるフレームワーク・事例付き」
4. AI推進で陥りがちな「5つの落とし穴」と乗り越え方
この章では、多くの組織が直面するAI推進の「落とし穴」と、乗り越えるための課題解決のヒントを5つ紹介します。
もし一つでも当てはまるものがあれば、組織が更に飛躍するための「伸びしろ」があるということです。
それぞれの解決策を具体的なアクションに繋げ、AI活用を組織の力に変えていきましょう。
| ⚫︎「知識やノウハウの共有」がゴールになっている ⚫︎「仕事が奪われる」という漠然とした不安を社員が抱えている ⚫︎「専門家任せ」になっている ⚫︎「データが足りない」と思い込んでいる ⚫︎AIを「業務効率化ツール」としてしか見ていない |
4-1.「知識やノウハウの共有」がゴールになっている
チームや部署内など現場でのAI活用を進めようとするものの、組織としての取り組みがAIに関する知識やノウハウの共有のみで終わっていないでしょうか。共有したというアクションそのものに満足してしまうと、業務への実践や成果に結びつかないケースがあります。
AI活用の成果が生まれない要因としては、主に2点考えられます。
1点目は現場リーダー層が、AI活用の目的を曖昧にしていることです。2章で解説した「目的の明確化」を再度徹底し、リーダー自身が「現場にどのような成果を期待するのか」を具体的に示す必要があります。
2点目はメンバー層のAIリテラシーが不足していることです。
これは全社員を対象としたリテラシー向上の教育機会を提供することで解決をしましょう。
知識やノウハウの共有自体は推奨されるべき活動です。
しかし、より重要なのは、知識を行動に変え、業務の効率化や新しい価値創造に繋げる「試行錯誤」を後押しすることです。 経営層やリーダー層が学んだ知識を業務で使い、小さな実績を生み出し、事例として社内に発信することも現場にとって挑戦を後押しする力強いメッセージになります。
このように、現場が積極的に挑戦できる風土と、その風土を支えるリテラシーを育んでいきましょう。
4-2.「仕事が奪われる」という漠然とした不安を社員が抱えている
業務上のAI活用がなかなか進んでいない背景として、社員の「AIに自身の仕事を奪われるのではないか」という漠然とした不安があるかもしれません。このようなマインドセットは、新しいテクノロジーに対する心理的な抵抗感を生み、組織全体の変革を遅らせる一因になります。
AIを脅威ではなくパートナーとして捉え直す文化醸成によって抵抗を減らしていきましょう。
まずはAIの基礎的な仕組みを正しく理解するための適切な知識・ガイドラインを展開します。さらに、人間に求められるスキルセットを習得するための機会を具体的に提示することで、社員の不安を前向きなエネルギーに変換できます。
参考:「『仕事はAIに奪われる?』→元外資コンサルの答えが思わず沈黙するレベルに深かった」、ダイヤモンド・オンライン、2025年9月に確認
4-3.「専門家任せ」になっている
「AIに詳しい専門家さえいれば、その人が推進をしてくれるだろう」という期待も、陥りやすい落とし穴の一つです。AIの高度な知識を持つ専門家だけに依存してしまうと、組織全体への浸透は進みません。なぜなら、AIに詳しい人とそうでない人で組織が分断されかねないからです。
AIのポテンシャルを最大限に引き出すためには、一部の専門家だけでなく、全社員がAIを「自分ごと」として捉える必要があります。
経営層から現場のメンバーまで、それぞれの階層や役割に応じたAIリテラシー教育を行い、組織の「共通言語」となる土台を築きましょう。全社員が共通の理解を持つことで、現場の具体的な課題とAIの技術が結びつき、新たな価値創造のアイデアが生まれやすくなります。
4-4.「データが足りない」と思い込んでいる
AIの導入を検討する際、「AIが適切な回答を生成でき、生成結果を生産的に活用できるだけの十分なデータが揃っていない」という認識から、導入の一歩を踏み出せないでいる企業もあるのではないでしょうか。
しかし、AI活用において本当に重要なのは、データの「量」よりも「質」です。データが組織内に散在していたり、記録の粒度がバラバラだったりすれば、どれだけ量が担保されていても価値を生みません。限られたデータでも、正確に整理され必要な人が適切にアクセスできる仕組みが整っていれば、AIは十分に力を発揮します。
AI推進のためにまず取り組むべきは、「データをきれいに整理し、安全に活用できる仕組み(データガバナンス)を構築する」ことです。これは人事部門がリーダーシップを発揮できる領域であり、組織全体のAI活用の強固な土台となります。
4-5. AIを「業務効率化ツール」としてしか見ていない
AIを「コスト削減」や「生産性向上」といった、既存業務の効率化ツールとして捉えているのであれば、そのポテンシャルを十分には活かせていません。効率化の視点だけにとどまってしまうと、新たなビジネスモデルを創造する競合他社に後れを取り、長期的な競争力を失うリスクがあります。
AIの真価は、市場に新しい価値を生み出し、顧客体験を変え、これまでにない働き方を可能にすることにあります。ここで求められるのは、経営層のリーダーシップとビジョンです。「AIを活用して私たちはどのような価値を世の中に届けたいのか」という明確な未来像を描き、それを全社員と共有することが、組織の変革に勢いを与えます。
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「企業が今取り組むべきAI活用推進のポイント:人材育成に活用できるフレームワーク・事例付き」
5. 組織全体でAI推進を実施している企業事例
AI活用を組織全体に浸透させる取り組みを力強く進めている3社の事例をご紹介します。3社の取り組みから自社で活かせるヒントを見つけ、次の一歩へと繋げていきましょう。
5-1. グロービス:盤石なチーム組成とAIカルチャーの醸成
法人向けの人材育成や経営大学院を運営する当社・株式会社グロービスでは、AI活用を全社的な文化として根付かせるためにAI活用を推進しています。
2025年度の年初には、代表の堀義人より全社員に向けて「グロービスはAIカンパニーとなる」というメッセージが発信されました。
このビジョンを実現するため、経営層と各部門のリーダーで構成される「AI戦略会議」を設置し、次いで具体的な施策を企画・実行する3つのワーキンググループ(WG)を発足しています。

中でも「生産性向上ワーキンググループ」では、明確なミッション・ビジョンと1年後の理想状態を具体的に描き、逆算した施策を次々と実行してきました。

主に以下のような施策を実施しています。
| ⚫︎プロジェクト定例会の実施 ⚫︎部門ごとの業務検討・共通課題の抽出 ⚫︎全社向け勉強会の開催 ⚫︎生成AIガイドラインの見直し ⚫︎全社活用度アンケートの展開 |
特に「部門ごとの業務課題の検討」では、事業内容やミッションが異なる各部門の特性に合わせて活用を促すことが重要です。部門所属のプロジェクトメンバーが各部門長と連携して、注力すべき業務領域を明確化をしています。そこで生まれた成功事例やノウハウ・ナレッジを、全社に共有する仕組みを構築しました。
こうした取り組みの結果、「全社活用度アンケート」では、業務におけるAI使用率が対前年比で40%から92%へと上昇しました。約2.3倍の大幅な使用率の上昇に成功しています。

監修者コメント

グロービスでは、全社的なAI活用を推進するため、以下の点を意識して進めてまいりました。
まず、トップからの具体的かつ継続的なメッセージでAI活用の重要性を浸透させました。現場スタッフが安心して使えるよう、セキュリティを考慮した推奨ツールの選定とガイドライン制定を迅速に行い、環境を整備。さらに、各部門の代表による「AIアクセラレーターPJ」を生産性向上WG内に発足させて、現場主体の改善を促す土台を構築しました。
次に、ビジネス変革を目指し、役員クラスを巻き込んだ継続的な議論と小さなトライアンドエラーを繰り返し実行。そして全社員向けに月1〜2回の勉強会開催や学習コンテンツの推奨を行い、組織全体のAIリテラシー向上に努めています。また、私がリーダーを務める部門では、「プロンプトエンジニア研修」、「バイブコーディング研修」などを定期開催し、AIによるインパクトを肌で感じられる機会作りを意識しています。
これらの全体的な取り組みは、定量的にモニタリングし、高速なPDCAサイクルを意識することで活動の成果を最大化しています。取り組みを開始して半年程度ですが、生産性の向上が各所で見受けられるようになりました。今後は、これまでの活動をワークフローへ組み込むことで、AIを特別に意識せず利用できる状態を目指すこと、さらにはグロービスのビジネスコアである「教育プロセス」にAIを組み込む動きを加速させていきたいと考えています。
5-2. 日清食品:トップ主導と現場のスモールサクセスの両輪
日清食品では、トップからの強いメッセージ発信とボトムアップでの現場の自律的な活用を両輪で進めています。
同社は2023年度の入社式にて、安藤宏基CEOが「DIGITALIZE YOUR ARMS(デジタルを武装せよ)」というスローガンを掲げました。当時、社員一人ひとりがデジタル技術を身に付ける意識を持つべきだといったメッセージが語られています。
このトップ自らのメッセージをきっかけに、組織全体でAI推進の基盤づくりに取り組み始めました。

引用:「生成AI活用の取り組み」、日清食品グループ、2025年9月に確認
入社式後すぐに取り組みが開始され、数週間というスピード感で独自開発の「NISSIN AI-chat」が公開されました。
活用の促進方法としては、まずは効果が高いと思われる営業部門・マーケティング部門で小さく検証し、成功事例を積み上げることで、他部門への展開を加速させました。

このアプローチにより、月間利用率は8月から12月で大きく向上しています。

引用:「生成AI活用の取り組み」、日清食品グループ、2025年9月に確認
執行役員・CIOを務める成田 敏博氏のインタビューからは、当記事でもAI推進のポイントとして挙げている「トップダウンとボトムアップの双方向コミュニケーション」の重要性が挙げられています。
| 「DXのような施策を進めるときの普遍的なコツがあることに気づきました。1つは、経営トップが明確に方向性を発信し続けること。われわれの組織はこういった状態を目指すという方向性を示し続ける、トップダウンの働きかけです。でも、これだけではうまくいきません。特定の現場にフォーカスし、そこをサポートして短い期間で成功事例をつくるんです。 こうした「スモールサクセス・クイックウィン」を実行して、社内に広げていきます。社内に広げる手段として、日清食品グループの社内報も活用します。これがボトムアップの取り組みです。 トップダウンによる働きかけとボトムアップによる働きかけの両軸で挟んでいく。これにより組織が変わっていくことを、この会社に入社した5年間で実感していますね。たとえば生成AI活用のプロジェクトでは、トップにメッセージを発信してほしい場合には私から依頼します。現場で良い取り組みがあれば、社内報で取り上げて広げていきます。つねにこの両軸で取り組むべきアクションを決めて、プロジェクト推進していく形になっています」 引用:「日清食品HD CIO 成田 敏博のキャリア|DeNA、メルカリを経て気づいた自分の強み」、Tech Team Journal、2025年9月に確認 |
5-3. DeNA:全社戦略「AIオールイン」と習熟度の可視化
DeNAでは、AIを一部の専門家のものではなく全社員の「武器」と位置づけてAI推進を進めています。
2025年2月に開催された「DeNA × AI Day || DeNA TechCon 2025」の場で、創業者であり会長の南場智子氏が「AIオールイン宣言」を行いました。全社一丸となって AI 推進のビジョンを明確に示しています。
経営トップがこのような明確な言葉で宣言することは、社員一人ひとりの意識を「当事者」に変える強力な原動力となっています。

引用:「DeNA南場智子が語る「AI時代の会社経営と成長戦略」全文書き起こし」、フルスイング by DeNA
そのうえで、DeNA は “攻め” の姿勢と “守り” の責任の両立にも力を入れています。AI を積極的に活用するための開発体制や新規事業の創出といった取り組みを推進する一方で、リスク管理を重視し、AIガバナンスコミッティの設置や社内マニュアルの更新が継続的に行われています。
このような仕組みが、社員が安心して AI を業務に採り入れながら新しいチャレンジができる環境を整えています。
DeNAのAI戦略「AIジャーニー」と土台となる要素

引用:「DeNAの「AIオールイン」- IT本部長が語る私たちのAIジャーニー | BLOG」、DeNA Engineering、2025年9月に確認
また、効果測定によるさらなる活用促進のため、DeNAは「DeNA AI Readiness Score(DARS)」という独自指標を導入しています。個人レベルと組織レベルの二つの観点から5段階で策定されました。DeNAはこの指標を 2025年8月末から運用開始し、2025年度末までに全組織が組織レベルでレベル2に到達することを目標と設定しました。
このように、目標を具体的に掲げ、進捗を定量的に測ることで、AIネイティブな組織へと変える速度を意図的に高めています。

引用:「全社のAIスキルを評価する指標「DeNA AI Readiness Score(DARS)」を導入開始」、株式会社ディー・エヌ・エー | DeNA、2025年9月に確認
6. eラーニング「グロービス学び放題」で全社員のAIリテラシーを「共通言語」に
「グロービス学び放題」は、株式会社グロービスが提供するeラーニングサービスです。受講者と人事担当者の双方が使いやすいシンプルなUIUX、そしてグロービスのカスタマーサクセスによる伴走支援が評価され、累計4,200社(※)にご利用いただいています。

全社員のAIリテラシーを引き上げ、組織の「共通言語」をつくるための4,300コース(※)をご用意。動画視聴を通じて、組織全体のAI活用能力の向上を後押しすることができます。
※2025年10月時点



6-1. AIを階層別に浸透させる新シリーズ「AI SHIFT」を提供

グロービス学び放題は、AI時代に必須となるリテラシーやスキルを効果的に習得できる新シリーズ「AI SHIFT」を2025年から提供開始しています。2025年11月に120コースの公開を予定しています。
このシリーズは組織におけるAI活用を促進するため、現場メンバーがすぐに実践できる「業務効率化」と、経営層がAI推進において意識すべき「マネジメント」という両側面からコンテンツを展開しています。
学習コンテンツの内容は、経済産業省が推奨する「デジタルスキル標準」に準拠しており、約30年以上にわたりMBA教育を提供してきたグロービスの実務家講師が制作・監修しています。

6-2. 自律的な学習文化を醸成できる仕組み
「グロービス学び放題」には、社員が自律的に学習を継続でき、学習成果を可視化できる機能が豊富にあります。
動画は最短1分から視聴できる構成で、隙間時間を活用して効率的に学習ができます。また、学習の継続をサポートする「学習計画機能」も提供されており、個々のペースに合わせた学びが可能です。
更に、アセスメント機能を活用することで、スキルを定量的に可視化し目的に沿ったスキル獲得を促進できます。実際に八千代エンジニヤリング株式会社様では、全社のDX推進のために「グロービス学び放題」のDXアセスメントを活用されています。

▼実際のDX推進事例はこちらから
「DXアセスメントを活用し、全社リスキリングを推進。八千代エンジニヤリングのDX人財育成」
グロービスでは、eラーニング導入前の設計から導入後の運用まで、専任のコンサルタントが一貫してお客様に伴走いたします。
eラーニングは導入してもなかなか受講率が想定通りに上がらず、受講促進に苦労する企業も少なくありません。当初の目的から逸れることなく、成果を最大化するための施策・ノウハウをご提案いたしますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


▼「グロービス学び放題」の導入事例一覧はこちらから
企業様のeラーニング導入事例一覧一覧
7. まとめ:AI推進の成功は「質の高い学び」から始まる
本記事では、企業のAI活用の推進するための具体的なステップやポイント、企業事例を具体的に解説しました。
これまでのポイントをまとめると以下になります。
●AI推進は短期的な業務の効率化にとどまらず、新たな価値創造や企業価値向上につながる戦略的テーマである
●AI推進の成功に不可欠な3つの要素
・トップによる継続的な発信
・全社員のAIリテラシー向上
・トップダウンとボトムアップの双方向コミュニケーション
●AI推進を実践する6ステップ
1.目的定義
2.専門チーム発足
3.全社員リテラシー向上
4.階層別スキル育成
5.推進サイクル構築
6.効果測定と改善
●まずはeラーニングによる質の高い学びを通じて、AIを“共通言語”にすることが、AIネイティブな組織づくりの第一歩になる
まだAIに関する知見やノウハウが限られる今だからこそ、本記事が、自社に最適なAI推進のあり方を模索する一助となれば幸いです。
執筆者プロフィール

川端 茉穂 Kawabata Maho
上智大学総合グローバル学部総合グローバル学科を卒業後、株式会社ZUUに入社。
金融商材を扱う複数メディアのコンテンツマーケティングを担当し、SEO対策やCVR向上施策に従事。また、大手企業との協業メディアにて新規SEO事業の立ち上げを経験。
2025年にグロービスへ入社し、現在はBtoBマーケティング部門にてWebコンテンツの企画・制作を担当。
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