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AIリテラシーとは?今後のビジネス人材に求められる水準や学習方法

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「経営陣から社員のAIリテラシー教育を求められているが、そもそもどのような能力を育成すべきなのか分からない」
「他社のAI活用事例を聞くようになり、社員のAI利用が進んでいない自社の現状に焦りを感じている」

生成AIの急速な進化は、ビジネスシーンにも大きな変化をもたらしています。こうした中で、社員のAI活用スキルの向上が多くの企業で重要度の高いテーマとなりつつあり、取り組みに苦慮されている育成担当者の方も多いのではないでしょうか。特に、誰にどのような能力を身に付けてもらうべきなのか、その育成設計に悩まれているお声を、当社のお客様からもよく伺います。

企業がAIを活用して成果を生み出すには、社員一人ひとりのAIリテラシー向上が不可欠です。それは、単なるAIツール操作スキルだけではありません。AIへの基本的な理解から、利用に伴うリスクの管理、そしてAIの能力を最大限に引き出すための思考プロセスまで、広範な能力が求められます。

本記事では、これからのビジネスパーソンに必須のAIリテラシーについて体系的に整理し、解説します。
2章:階層別に求められるAIリテラシーの水準では、階層別に身に付けるべき能力の水準をまとめました。社員のAIリテラシー育成を設計し、組織全体のAI活用を推進するうえで、ぜひお役立てください。


本記事の監修者

鳥潟 幸志(とりがた こうじ)

●グロービス経営大学院 教員
– ベンチャーマネジメント科目責任者
●株式会社グロービス デジタル・プラットフォーム部門
– マネジング・ディレクター/グロービス学び放題 事業リーダー
– グロービスグループ「AI戦略会議」座長
●一般社団法人AICX協会 人事AI変革推進委員 委員長
●グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了(MBA)
●著書「AIが答えを出せない 問いの設定力」
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【職歴】
●株式会社サイバーエージェント
●ビルコム株式会社 共同創業 取締役COO
●株式会社グロービス 教員/Edtech推進部門「グロービス学び放題」事業リーダー


目次

1. 今後のビジネス環境において求められるAIリテラシーとは
1-1.【基礎】AIの性質や能力を理解し、業務に活用する力
1-2.【応用】AIと協働し、思考や意思決定のレベルを高める力
1-3.【リスク管理】AI利用に伴うリスクを理解し、適切に扱う力

2. 階層別に求められるAIリテラシーの水準
2-1. 経営層:AIがもたらす影響を事業戦略レベルで洞察し、舵取りする力
2-2. 管理職・リーダー:現場のAI活用を推進し、得られた洞察を経営層へとつなぐ力
2-3. メンバー:担当業務においてAIを効果的に使いこなす実践力

3. 企業活動の中で社員のAIリテラシーが重要な理由
3-1. AIの能力を最大限活用でき、生産性向上につながるため
3-2. 単なる業務効率化に留まらず、新たな価値創造につながるため
3-3. AI活用を前提とした組織変革が進み、企業の競争力が高まるため
3-4. AIツールを通じた情報漏洩やセキュリティ事故を防げるため
3-5. AIが出力した情報に基づく誤った意思決定を防げるため

4. 社員のAIリテラシーを高めて組織的なAI活用を進めている事例:日清食品ホールディングス様
4-1. AI活用推進において社員のAIリテラシーを底上げする重要性
4-2. 社員のAIリテラシーを上げ、組織的な活用につなげるためのアクション

5. AIリテラシーを身に付けるために必要な取り組み
5-1. AIに関する基礎知識の習得とマインドセット
5-2. 最新の潮流のアップデート

6. 全社員のAIリテラシー向上を目指すなら「グロービス学び放題」
6-1. AIの特性や仕組み、ビジネスに与える影響などの基礎知識を身に付ける
6-2. AIと協働するための思考力を身に付ける
6-3. AI活用に伴うリスクを理解する

7. まとめ

1. 今後のビジネス環境において求められるAIリテラシーとは

本記事では、AIリテラシーを「AIの特性とリスクを理解し、効果的かつ安全に使いこなす能力やマインドセット」と考えます。具体的には、以下の要素が含まれます。

⚫︎AIの仕組みや特性に関する基本的な理解
⚫︎AIを活用する実践的なスキル
⚫︎AI利用に伴うリスクの把握と管理
⚫︎AIを扱ううえでの倫理観や規範意識

AI活用の重要性が強調される昨今では、AIツールを巧みに使いこなす能力に注目が集まる傾向にあります。しかし、ビジネスにおいてAIの持つ力を価値創造につなげるためには、単なる技術的なスキルだけではなく、上記のようにマインドセットも含めたリテラシーを身に付けなくてはなりません。
AI時代のビジネス環境においては、社員一人ひとりがAIリテラシーを身に付けられているかどうかが、企業の競争力を大きく左右し得るといえます。

ここでは、これからの時代のビジネスパーソンに求められるAIリテラシーを「基礎」「応用」「リスク管理」の3つのレベルに分けて具体的に解説します。

1-1.【基礎】AIの性質や能力を理解し、業務に活用する力

AI活用の土台となるのは、AIの性質と能力を理解したうえで、日々の業務に適切に組み込む力です。この力を身に付けることで、業務を効率化し、最小限のリソースでアウトプットの質を高められるようになります。

具体的には、以下のような能力やマインドが必要です。

チェックリスト

⚫︎業務における定型的なプロセスを特定し、AIに指示を出せる
⚫︎AIの特性や限界を理解し、アウトプットの質を高めるためのプロンプト設計や検証を行える
⚫︎人間ならではの思考・判断が求められる領域と、AIに委ねることで効率化できる領域を見極め、最適な役割分担を考えられる
⚫︎AIの技術的進化に対応し、自身のスキルセットを継続的にアップデートする意識がある

一口に「AIを業務に活用する力」といっても、単にAIツールの使い方を習得するだけでは不十分です。自身の業務プロセスを言語化し、定型作業や非効率な作業を特定するという業務改善能力も求められます。AIはあくまで業務改善を加速するための強力な手段であり、目的ではないことに留意しなければなりません。

1-2.【応用】AIと協働し、思考や意思決定のレベルを高める力

基礎レベルがAIを「ツール」として使いこなす段階だとすると、応用レベルはAIを「思考のパートナー」として協働する段階です。単に目の前にある業務を効率化するだけでなく、AIへの指示や問いかけ(プロンプト)のレベルを上げ、自分の思考を最大限に拡張してアウトプットを生み出せるかどうかがポイントです。

チェックリスト

⚫︎考えるべき問いを立て、AIに投げかけることができる
⚫︎多角的な視点を持ってAIとの対話を繰り返し、より深い洞察を得ることができる
⚫︎AIが提示した選択肢や分析を踏まえ、組織の理念や状況、経験、人間ならではの洞察力や価値観に基づき総合的に意思決定ができる

これらのスキルやマインドは、AIの台頭に伴い初めて必要となったものではなく、従来よりビジネスパーソンとして大きな成果を生み出すにあたって求められてきた普遍的なものです。

AIがどれほど進化しても、考えるべき問いを立て、対話を通じてアウトプットの質を高め、最終的に意思決定するという人間の役割は変わりません。AIを使いこなして価値を生み出すためには、単にAIそのものの知識や使い方を習得するだけでなく、高度な思考力や体系的なビジネス知識が求められます。

今後のビジネスシーンにおいては、この基盤となる力の差が、最終的な成果の差になり得るでしょう。

1-3.【リスク管理】AI利用に伴うリスクを理解し、適切に扱う力

AIの能力を最大限に引き出し、恩恵を享受するためには、AI利用に伴うリスクを正しく理解し、適切に管理することが不可欠です。特にビジネスシーンにおいては、リスクが顕在化することで、個人だけでなく組織全体に損害を与えかねません。AIツールを利用する全社員が、高いリスク管理意識を備える必要があります。

チェックリスト

⚫︎AIツールの仕組みと情報セキュリティの基本的な知識を持ち、機密情報の漏洩につながる行為の回避や適切なツールの選定ができる
⚫︎AIのアウトプットに誤情報やバイアス(学習データや設計思想による情報の偏り)が含まれる可能性を認識し、内容を客観的・批判的に検証できる
⚫︎著作権をはじめとする他者の権利を尊重し、AIの生成物を利用する際は、倫理的・社会的な影響を考慮して慎重に判断できる

AI利用にかかわるリスク管理は、一見すると全く新しい問題に感じられるかもしれません。しかし土台となるのは、従来必要とされている情報セキュリティの知識や、他者の権利を尊重する倫理観です。AIツールを通じた情報漏洩や、AIの生成物による権利侵害といった新たな問題も、この土台の上で対応していくことが求められます。

【AI時代のビジネスパーソンに必要なスキルを動画で解説しています】

「グロービス学び放題」では、AIのマネジメント活用・組織活用について体系的に学べる「AI BUSINESS SHIFTシリーズ(全12回)」を提供しています。

AI活用スキルの基礎・応用、リスク管理まで、ビジネスパーソンが身に付けるべきAIリテラシーを網羅しています。

2. 階層別に求められるAIリテラシーの水準

AIを組織全体で活用し、事業を推進するためには、各階層の社員がそれぞれの立場に応じて求められるAIリテラシーを身に付ける必要があります。

グロービスでは、戦略コンサルティングファームのアクセンチュアが提唱している「MELDS」というフレームワークに沿って、AI時代において経営層や現場リーダーに求められるAIリテラシーの水準を整理しました。

「MELDS」とは、戦略コンサルティングファームのアクセンチュア社が提唱する、AIの組織的な活用にあたってビジネスパーソンに求められる能力の5要素です。
Mindset(マインドセット)」「Experimentation(実験)」「Leadership(リーダーシップ)」「Data(データ)」「Skill(スキル)」の頭文字を取っています。

2-1. 経営層:AIがもたらす影響を事業戦略レベルで洞察し、舵取りする力

経営層に必要とされるAIリテラシーは、AIが組織にもたらすポテンシャルや脅威をマクロ視点で捉え、経営戦略の構想や大規模投資の意思決定を行ったり、ガバナンスに反映させたりする力です。ツールを使いこなす実践力以上に、組織の舵取りを担うための大局的な思考が求められます。

経営層に求められる具体的な行動を、「MELDS」に基づいて以下の通り整理しました。

能力の分類経営層に求められる行動
Mindset(マインドセット)⚫︎AIを経営資源と位置づけ、全社最適化を推進する
Experimentation(実験)⚫︎現場のAI活用に関する実験や挑戦を奨励し、制度・予算面で支援する

⚫︎現場から吸い上げた実験結果をもとに、AIに対する投資の判断を行う
Leadership(リーダーシップ)⚫︎AI時代にマッチした経営戦略を再定義し、ガバナンス・リスク・コンプライアンスの仕組みや経営資源を適切に整備する
Data(データ)⚫︎データ活用の旗振りを行い、分析や収集の基盤を整える

⚫︎自らもデータに基づいて意思決定を行い、データドリブンな文化醸成に寄与する
Skill(スキル)⚫︎AIリテラシーと変化への対応力を持つ人材を要件化し、採用・育成などの人材戦略を再構築する

社会的にAI活用が進みつつある昨今では、低コストで効果を生み出せる活用方法はすぐに一般化し、大きな付加価値につながりません。企業が競争優位性を確立するには、簡単には模倣できないAI活用事例を創出するための大規模な投資が不可欠です。

経営層には、AIが事業や社会に与えるインパクトを深く洞察し、リスクも考慮したうえで、企業の未来を賭けた意思決定を下す高度なリテラシーが求められます。

2-2. 管理職・リーダー:現場のAI活用を推進し、得られた洞察を経営層へとつなぐ力

リーダーに求められるAIリテラシーとは、自らもAIを使いこなして現場を先導する実践力と、実践を通して得られた知見から経営判断に資する情報を見極めて報告する翻訳力です。現場のリーダーである管理職は、戦略を描く経営層と、AI活用の試行錯誤を重ねる現場メンバーをつなぐ重要な役割を担います。そのため、経営と現場の双方の視点を持ち、戦略と実践を結びつける動きが求められます。

管理職に求められる具体的な行動を、「MELDS」に基づいて以下の通り整理しました。

能力の分類現場リーダーに求められる行動必要なスキル
Mindset(マインドセット)⚫︎AIの業務活用ビジョンを描き、メンバーに実践と検証を繰り返すマインドを浸透させる⚫︎リサーチ力
⚫︎ビジョンを描く力
⚫︎チェンジマネジメント力
Experimentation(実験)⚫︎まず小さな範囲で実験的にAI導入を実行し、成果と課題を洗い出す

⚫︎思考・観察・改善のサイクルで現場実装を進める
⚫︎アジャイル思考
⚫︎質問力
⚫︎業務プロセスの設計力
Leadership(リーダーシップ)⚫︎共創型リーダーとして、自らも実践する姿勢を見せながら現場メンバーの挑戦を後押しする

⚫︎成功事例を経営層に報告し、精度の高い戦略策定に貢献する整備する
⚫︎EQ
⚫︎ファシリテーション力
⚫︎リスクマネジメント力
Data(データ)⚫︎分析の基礎を押さえたうえで、成果につながるデータを見極めて選択・収集する⚫︎データリテラシー
⚫︎情報解釈スキル
⚫︎ストーリー設計力
Skill(スキル)⚫︎メンバーの能力や経験を踏まえ、AI活用に必要なスキルを定義し、研修などで育成する

⚫︎実践機会を提供し、モチベーションを支援する
⚫︎研修設計力
⚫︎コーチング
⚫︎メンタリング

リーダーは、メンバーのAI活用に対する活発な挑戦を促して多くの成功事例・失敗事例を積み重ね、成果創出の可能性やリスクを見極めて、精度の高い情報を経営層にフィードバックする必要があります。

この役割を果たすためには、過去の成功事例をもとにメンバーを導く従来型のリーダーシップのみでは不十分です。誰もが正解を知らないAI時代においては、失敗を恐れずメンバーと共に実践を繰り返す姿勢が求められます。挑戦したうえでの失敗を許容する文化を醸成し、試行錯誤の結果を素早く次の検証へ活かす俊敏性を発揮することが大切です。

2-3. メンバー:担当業務においてAIを効果的に使いこなす実践力

メンバー層に求められるのは、自身の担当業務において、AIをアシスタントツールとして使いこなし、業務を効率化・高度化する実践的なAIリテラシーです。

まずは1-1で解説した基礎レベルのリテラシーを確実に身に付け、日々の業務で実践を通して1-2の応用レベルへとステップアップしていくことが重要です。

能力の分類メンバーに求められる行動
基礎レベル⚫︎定型業務を特定し、AIに任せるべき作業を見極める

⚫︎AIの得意・不得意や能力の限界を理解しアウトプットの質を高めるべく試行錯誤する

⚫︎AI利用に伴うリスクを把握し、安全に活用する
応用レベル⚫︎考えるべき「問い」を的確に設定し、AIに投げかける

⚫︎AIの出力を鵜呑みにせず、検証しながらアウトプットの質を高める

⚫︎AIの分析や提案を踏まえ、状況を加味した最終的な意思決定を自ら行う

この基礎から応用へのステップアップは、日々の業務における実践を通して実現します。職種ごとに、具体的な活用場面の例を見ていきましょう。

職種具体的なAI活用例
営業⚫︎提案資料の骨子作成

⚫︎商談の議事録作成・要約・TODOリスト抽出

⚫︎顧客へのメール文面案の作成
マーケティング⚫︎広告メッセージやSNS投稿文などのアイデア出し

⚫︎マーケティング施策の壁打ち

⚫︎ペルソナ設定の壁打ち

⚫︎データ分析とインサイト抽出
事務・バックオフィス⚫︎定型業務のマニュアル作成

⚫︎議事録や音声データの文字起こし

⚫︎データ入力・集計作業の自動化
企画⚫︎情報収集・リサーチの効率化

⚫︎企画案のブレインストーミング

⚫︎企画書の骨子作成

⚫︎プレゼンテーション資料のドラフト作成

これらはあくまで活用例の一部です。メンバー一人ひとりが、こうした実務の場面で効果的な使い方を探求し、試行錯誤を重ねることが、組織全体のAI活用をボトムアップで支える土台となります。

3. 企業活動の中で社員のAIリテラシーが重要な理由

AI時代の企業活動においては、所属する社員一人ひとりのAIリテラシーを底上げできるかどうかが、企業の発展を左右する重要な分かれ道となり得ます。

その理由を、攻めと守りの両面から解説します。

攻め⚫︎AIの能力を最大限活用でき、生産性向上につながるため
⚫︎単なる業務効率化に留まらず、新たな価値創造につながるため
⚫︎AI活用を前提とした組織変革が進み、企業の競争力が高まるため
守り⚫︎AIツールを通じた情報漏洩やセキュリティ事故を防げるため
⚫︎AIが出力した情報に基づく誤った意思決定を防げるため

3-1. AIの能力を最大限活用でき、生産性向上につながるため

社員一人ひとりのAIリテラシー向上は、AIツールの可能性を最大限に引き出し、組織全体の生産性を飛躍的に高めるための土台となります。それには以下のような理由があります。

ポイント

⚫︎社員一人ひとりのAI活用の積み重ねが企業全体の生産性向上につながる
⚫︎AIへの指示の質が、引き出せるアウトプットの質を決定づける

まずは、社員一人ひとりがAIの性質を理解したうえで、「自身の業務のどの部分でAIを活用できるか」を見極め、実践することが大切です。例えば、資料作成や情報収集、データ分析といった日常業務にAIを組み込むことで、作業の速度と精度が向上します。個々のAI活用の小さな積み重ねが、部門、そして企業全体の生産性向上へとつながります。

同時に、AIから質の高いアウトプットを引き出すために「指示の精度」を高めることも、生産性を左右する重要な要素です。特に生成AIは、人間からの指示(プロンプト)の質によって、生成するアウトプットが大きく変動します。企業として生産性を上げるためには、社員一人ひとりがAIの能力の引き出し方を身に付ける必要があります。

3-2. 単なる業務効率化に留まらず、新たな価値創造につながるため

社員のAIリテラシーを向上させる意義は、日々の業務効率化という「守り」の活用だけに留まりません。リテラシーの高い社員がいるからこそ、組織が新たなビジネスチャンスを生み出す「攻め」の活用を可能にし、社会に対する新たな価値創造につなげられます。

ポイント

⚫︎AIリテラシーの高い社員は、既存業務の効率化に留まらずアウトプットの最大化を目指せる
⚫︎全社的なリテラシー向上によって、イノベーション創出のための試行錯誤を加速させられる

AIを活用できる場面は、定型作業を肩代わりしてもらうことによる既存業務のコスト削減だけではありません。AIリテラシーの高い社員は、AIの特性を踏まえたうえで、人間とAIとの役割分担を設計できます。そのため、AIを「人間に扱いきれない膨大なデータの分析」や「人間の発想の拡張」といった用途で業務に取り入れ、これまでよりも高度な市場の未来予測や新規事業開発に活かそうと試行錯誤できます。このように、社員がAIのポテンシャルを最大限に引き出すことで、組織のアウトプットが最大化され、競争優位性につながるのです。

また、大きな価値のあるイノベーションは、少数のAI活用に長けた社員のみで生み出せるものではありません。多様な人材が高いAIリテラシーを備え、それぞれの担当領域でAI活用の試行錯誤を繰り返す組織文化が、組織全体の挑戦の総量を増やし、イノベーションを創出する土壌となります。

3-3. AI活用を前提とした組織変革が進み、企業の競争力が高まるため

社員一人ひとりのAIリテラシーが高まることで、企業が掲げる方針や変革の意図を正しく理解できるようになります。その理解が組織全体の行動変化を促し、AI活用を前提とした組織変革の実現へとつながります。

ポイント

⚫︎組織変革を成功させるためには、当事者である社員一人ひとりの意識と行動の変化が必要である
⚫︎社員間のAIリテラシー格差は、変革を阻害する障壁となる

社員一人ひとりが環境の変化を受け入れ、前向きにAI活用に取り組むことで、トップダウンの指示だけでは生み出せない、現場からの変革のエネルギーが形成されます。

逆に、十分なAIリテラシーを持たない社員は、変革の目的を理解できず、環境変化への漠然とした不安や抵抗感を抱いてしまうかもしれません。やがて彼らが組織内で抵抗勢力となり、変革を遅らせるブレーキとなってしまう恐れがあります。

AI時代に即した組織変革を推進するためには、全社員のAIリテラシーを底上げし、組織の方向性について共通の意識を持つことが必要です。

3-4. AIツールを通じた情報漏洩やセキュリティ事故を防げるため

情報漏洩やセキュリティ事故を防ぐためには、専門チームによる技術的な対策だけでなく、社員一人ひとりが高いAIリテラシーを持つことが欠かせません。AIリテラシーが高まることで、AIツールを安全に扱う判断力が養われ、リスクを未然に防ぐことができます。

ポイント

⚫︎社員のAIへの無理解が、意図しない情報漏洩の引き金となる
⚫︎従来の情報セキュリティ対策の知識に加え、AIツールのリスクを全社員が知る必要がある

企業の情報漏洩事故の多くは、社員の認識不足や不注意によって起こります。AIツールを扱う際にも、社員一人ひとりが仕組みを理解し、どのような行為が情報漏洩につながるのか把握していないと、悪意がなくても機密情報を流出させてしまう恐れがあります。従来のセキュリティ対策の知識に加えて、AIツールならではのリスクを全員が理解しておかなければなりません。

もちろん、企業として「AIにインプットする情報範囲の明確化」「入力した内容を学習に使わせない環境の構築」など、ルールの制定や環境整備といった仕組みづくりを行うことも不可欠です。
しかし、最終的に社員一人ひとりが高いAIリテラシーを備え、高い危機意識と緊張感を持って判断できる状態であることが大切です。

3-5. AIが出力した情報に基づく誤った意思決定を防げるため

AIリテラシーを持つ社員は、AIの出力を批判的に検証し、誤った情報に流されずに意思決定を行うことができます。こうした姿勢が、AI時代における組織の判断精度を高めます。

ポイント

⚫︎AIの性質を理解し、客観的な視点を持たないと、AIのアウトプットに含まれる誤情報やバイアス(学習データや設計思想による情報の偏り)を認識できない
⚫︎AIを使用する全社員が、AIに正解を求めるのではなく、思考を加速するための補助ツールという意識で使用することが大切

AIは時に事実に基づかない嘘の情報や、特定のバイアスがかかった情報を生成します。この特性を知らない、または危険性の認識が薄いと、AIが生成した文章やデータの内容を精査することなく、そのまま受け入れてしまうおそれがあります。誤情報やバイアスのかかった情報をもとに業務を進めてしまった場合、重要な意思決定を誤るかもしれません。

AI時代における人間の重要な役割は、AIのアウトプットを鵜呑みにせず、常に批判的な視点で検証することです。全社員がAIを「絶対的な正解を出す存在」ではなく、「思考を深めるための壁打ち相手」と位置づけ、最終的な判断の責任は人間が持つことが大切です。

【実践的なAI活用スキルから、組織のAI活用推進まで動画で学べる】

「AI WORK SHIFT」では、AIツールを日々の業務に取り入れ、働き方そのものをアップデートしていくための実践的な学びを提供します。

また、「AI BUSINESS SHIFT」では、AI時代にどう動くべきかの視点を養い、組織変革につなげる体系的な学習を、ビジネスリーダーへ届けます。

4. 社員のAIリテラシーを高めて組織的なAI活用を進めている事例:日清食品ホールディングス様

組織的なAI活用で成果を出している企業の成功要因は、IT部門やプロジェクトチームが主導する取り組みだけに留まりません。実際に業務でAIと向き合う社員一人ひとりのリテラシーの高さが、成功のポイントの一つとなっています。

先進的なAI活用で知られる日清食品ホールディングス様(以降、日清食品)の事例から、AIリテラシーの重要性と、組織的な活用につなげるためのアクションを紹介します。

4-1. AI活用推進において社員のAIリテラシーを底上げする重要性

組織的なAI活用を推進するうえでは、AIリテラシーの高い個人の存在が重要な鍵の一つとなります。日清食品の事例でも、リテラシーの高い個人の動きが周囲に波及し、組織のAI活用が促されたというケースが見られました。

例:一人のAI活用実践による成果が、部門全体のAI活用をけん引

日清食品の中でも特にAI活用が普及している内部監査部門では、利用率が100%に達しています。
内部監査業務は企画性が高く、AIに文書を読み込ませて論点整理を行うなど活用の余地が大きい領域です。AIリテラシーが高い一人の社員が、AIを使ってこれらの業務活用を積極的に進めたことが起点となり、具体的な成果を目にした周りのメンバーが、手法を踏襲して自らの業務にも取り入れたことで、部門全体でAI活用が浸透しました。

例:AIリテラシーの高い管理職によるチームのAI活用推進

AIリテラシーの高いある管理職は、メンバーがAIを活用して作成した調査アウトプットに対し、「AIにどう聞いたか」を問いかけます。そのうえで自ら実践し、より良いアウトプットを引き出すための聞き方(プロンプト)を具体的に共有し、フィードバックするというやり取りが見られました。

このように、AIを使いこなせる管理職が自ら実践し、チームメンバーに対して活用を促したり、具体的なノウハウを共有したりする動きが、AI活用推進につながっているのです。

日清食品は、社員のリテラシーを、組織の生産性向上や新たな価値創造に直結する重要な課題と捉えています。「個人レベルでのAI活用はもはや必須である」という考えのもと、更なる利用率の向上に向けて取り組んでいます。

4-2. 社員のAIリテラシーを上げ、組織的な活用につなげるためのアクション

日清食品では、社員のAIリテラシーを底上げし、組織的な活用につなげるために、以下の2つの具体的なアクションを展開しています。

利用ハードルを下げることによるAI利用促進

社内でAIを使える環境を整備しても、当初の利用率は日次で3~5%に留まっていました。その原因を「細かいプロンプトを一から考えることへのハードルの高さ」と特定し、質の高いプロンプトをテンプレートとして共有したところ、徐々に利用が進みました。社員がそのまま、あるいは一部を修正するだけで使える「真似る」ことから始められる仕組みが、利用率向上のきっかけとなっています。

現場での成功事例の共有と横展開

経営トップからのメッセージと並行して、現場の成功事例の積極的な共有も、日清食品が力を入れている取り組みの一つです。
ある部署でのおもしろい取り組みや、AI活用をけん引するキーパーソンを社内報で取り上げたり、デジタル教育プログラムの講師として登壇してもらったりするなど、現場でのリアルな活用事例を社内に広めています。これにより社員が刺激し合う環境が生まれ、AI活用の輪が組織全体へと広がっています。

こちらで紹介した事例は、「GLOBIS 学び放題(以降、グロービス学び放題)」の以下のコースで詳しく取り上げています。

【「読むより観たい」方へ。動画でわかりやすく解説をしています】

「グロービス学び放題」では、AIのマネジメント活用・組織活用について体系的に学べる『AI BUSINESS SHIFTシリーズ(全12回)』を提供しています。

そのうち第4回にて、日清食品の取り組みを詳しく視聴いただけます。

5. AIリテラシーを身に付けるために必要な取り組み

AI時代のビジネスパーソンには、AIとの協働に必要な心構えや基礎知識を身に付けたうえで、急速に進化するAI技術のトレンドやそれに伴う社会の変化にアンテナを張り、自らの能力をアップデートし続ける姿勢が求められます。

AIリテラシーを身に付けるためにビジネスパーソンが取り組むべき学習の内容を、
「AIに関する基礎知識の習得とマインドセット」「最新の潮流のアップデート」の2つのステップに分けて解説します。

5-1. AIに関する基礎知識の習得とマインドセット

AIリテラシー向上のためにまずすべきことは、AIを正しく理解し、向き合うための土台となる基礎知識の習得です。AIと協働する全てのビジネスパーソンが押さえておくべき学習項目と、目指すべきゴールをまとめました。

学習項目学習のゴール
AIと協働するためのマインドセットAIのアウトプットを鵜吞みにせず、最終的な意思決定は人間が行うという主体的な姿勢を確立する
生成AIの仕組み・特性大規模言語モデル(LLM)の仕組みを大まかに理解し、AIの得意・不得意や限界を把握する
AI活用に伴うリスクと倫理情報漏洩の危険性や生成コンテンツの著作権問題など、AIのビジネス利用で発生しうるリスクを理解し、順守すべき倫理観を身に付ける
基本的なプロンプト作成スキルAIから精度の高いアウトプットを引き出すための基本的な指示や質問の仕方を習得する
【具体的な学習方法】
主な学習方法としては、以下の手段が挙げられます。

⚫︎無料のオンライン講座(MOOCs)の受講
⚫︎AI系の学習コンテンツを提供しているeラーニングサービスの利用
⚫︎信頼できるYouTubeチャンネルの視聴
⚫︎ビジネスパーソン向けの入門書籍
⚫︎セミナーやワークショップへの参加

AI分野はまだ発展のさなかにあり、学習コンテンツの品質にはばらつきが見られます。企業が社員のAI学習を推進する際には、信頼できる発信元によって提供されている、体系化されたコンテンツを選ぶことが重要です。

AIについて学べる「グロービス学び放題」のおすすめ動画コース

「グロービス学び放題」では、AI時代に必要とされるマインドセットから、基本的な仕組み、活用方法、備えるべき倫理と責任など、AIについて体系的に学べるコンテンツを多数ご用意しています。

例:ラーニングパス「ビジネスパーソンのためのAI活用基礎」

AIを活用した価値創造の考え方から、AIの特性や仕組みを踏まえた実践的な活用方法、利用上のリスクまで、複数のAI関連コースを適切な順番で学習できるように設計されたプログラムです。

ビジネスパーソンのためのAI活用基礎

DX推進の手段としてのAIに関して、AIを活用した価値創造とは何か、何ができて何ができないのか、利用上の注意点やすでに起こっている人間社会への悪影響まで、網羅的に知識を深めることができます。

動画:8コース 視聴時間:5時間55分

ラーニングパスに含まれる動画コース例
⚫︎AI・データ時代のビジネス~顧客価値の創り方
⚫︎ビジネスパーソンのためのAI実践講座(AIの仕組み、活用方法)
⚫︎AI・データ時代の倫理と責任

こちらからすべての動画をフルでご視聴いただけます

例:「AI BUSINESS SHIFT」基礎編

「AI BUSINESS SHIFT」は、主にビジネスリーダーを対象とした、AIの組織活用やマネジメント活用を学べるシリーズです。基礎編はAIと協働するためのマインドセットから基本的な仕組み、リスクまでを学び、AIリテラシーを底上げする内容となっています。リーダー層だけでなく、AIを活用する全てのビジネスパーソンにおすすめです。

本記事でご紹介した動画は無料トライアルで全編ご視聴いただけます

AI活用に必要な知識レベルを測定できる「グロービス学び放題」のおすすめ機能

「グロービス学び放題」には、学習効果を理解度テストによって測定する「アセスメント機能」があります。経営大学院の各科目別、職種別、階層別、DX関連など、幅広い領域において、知識の定着度合いの可視化が可能です。

そのうちの一つとして、AIを自社のサービスや製品に組み込んだり、業務プロセスに活用して効率化を図ったりするために必要な基礎知識を測る「AIビジネスアセスメント」をご用意しています。現時点での社員のAIリテラシーの把握や、eラーニング学習による効果の測定にご活用いただけます。

AIビジネスアセスメントの問題および成績のイメージ

▶︎【GLOBIS 学び放題】AI活用スキルを測定!「AIビジネスアセスメント」リリースのお知らせ

5-2. 最新の潮流のアップデート

LLMモデルやAIツールは、日々猛スピードで進化しており、AIが処理できる領域の拡大や、企業における活用事例などの情報が日々更新されています。変化の激しい環境においては、基礎知識を習得した後も、こまめに最新の情報を収集し、知識やスキルをアップデートし続ける姿勢が求められます。

以下に情報収集の観点を整理しました。

学習項目内容
AI技術の最新トレンド⚫︎新しいLLMモデルのアップデート内容やモデル間の比較
⚫︎新たなAI技術のトレンド(AIエージェントなど)
ビジネス・社会実装の先進事例⚫︎AIを用いた課題解決や価値創造の事例
⚫︎AI技術を組み込んだ事業やサービスの情報
法規制やガイドラインの動向⚫︎AI活用に関するガイドラインの更新
⚫︎各国の法規制の動き
【具体的なアクション】
情報のアップデートを習慣化するための具体的なアクション例を挙げます。

⚫︎国内外の信頼できる情報源(専門ニュースサイトや省庁の発信など)を定期的にチェックする
⚫︎SNS等で専門家の一次情報を入手する
⚫︎AI活用の知見が豊富な企業の勉強会やセミナーに参加する

最新の情報は、ニュースサイトや企業のオウンドメディア、SNSなどあらゆる場所で日々発信されています。メンバー一人ひとりがアンテナを張り、有益な情報を組織内で活発に共有する文化を醸成することが大切です。

このような取り組みの積み重ねによって知見が深まり、組織全体のAIリテラシーを継続的に高めることにつながります。

6. 全社員のAIリテラシー向上を目指すなら「グロービス学び放題」

全社員のAIリテラシー向上を図るためには、前章でお伝えした通り「基礎知識の習得」と「最新トレンドのアップデート」に社員一人ひとりが取り組まなくてはなりません。

「グロービス学び放題」では、AI活用の土台となるマインドセットや基礎知識について学べるコンテンツに加え、最新の潮流を取り入れた学習コンテンツの企画・開発を続けています。更に、AIを単なる業務効率化ツールに留めず、応用レベルで活用するために必要な思考力の強化にも力を入れています。

本章では、AIリテラシーを身に付けるための学習ステップに合わせて「グロービス学び放題」のおすすめコースを紹介します。

⚫︎STEP1:AIの仕組みや得意不得意などの基礎知識を身に付ける
⚫︎STEP2:AIと協働するための思考力を鍛える
⚫︎STEP3:AI活用に伴うリスクを理解する

6-1. AIの特性や仕組み、ビジネスに与える影響などの基礎知識を身に付ける

AI活用の土台となるのは、AIの性質や能力を正しく理解し、日々の業務に適切に組み込む力です。AIの得意・不得意や限界を把握することで、効果的な「ツール」として使いこなせます。

AIの特性や仕組み、ビジネスに与える影響など、全体像をつかむのに適したコースを紹介します。

「AI BUSINESS SHIFT」第1回 基礎編:AIの基本と影響の全体像

AIがもたらす社会的インパクトをはじめとして、現在のAIが「得意なこと」と「苦手なこと」、AIが個人や組織に与える影響について学べるコースです。

コース内容⚫︎AIのもたらす社会的インパクト
⚫︎AIの定義・発展経緯と発展予想
⚫︎今、AIにできること
⚫︎AIの具体的な活用イメージ
⚫︎組織の観点でみる影響の全体像
こんな方におすすめ⚫︎AIの基礎知識や影響などAIに関するリテラシーを高めたい方
⚫︎AIのビジネスインパクトを理解しておきたい方
⚫︎AI導入を検討しており、まずは全体像と影響範囲をつかみたい方
⚫︎AIの業務活用におけるヒントが欲しい方
⚫︎AIの積極活用に向けて組織として備えたい方

【これだけは押さえておきたい】AIの基本用語(前編・後編)

AIの基礎知識や仕組み、リスク、実務活用について、よく使われる用語の意味を確認しながら学べるコースです。

コース内容⚫︎AIという技術の全体像
⚫︎AIのモデルや学習手法
⚫︎AIにかかわるリスク・倫理
⚫︎生成AIの使いこなし方
こんな方におすすめ⚫︎AIリテラシーを基礎から固めたい方
⚫︎AIの活用方法を模索している方
⚫︎AI関連の会話をする際に、最低限の共通言語を持っておきたい方

ビジネスパーソンのためのAI実践講座① ~AIの仕組みを知ろう~

AI(人工知能)とはどのような技術なのか、AIにはどのような種類があり、ビジネスに導入すると何ができるのかといった基礎知識を学ぶコースです。

コース内容⚫︎AIの定義と種類
⚫︎特化型AIのインプットとアウトプットの仕組み
⚫︎AIを活用するために必要な課題設定の枠組み
⚫︎AIの機械学習の手法
こんな方におすすめ⚫︎AIの仕組みを理解したい方
⚫︎AIを活用した問題解決の考え方を学びたい方

「AI WORK SHIFT」シリーズ

AIツールを業務に取り入れる具体的な方法を学べる実践重視のシリーズです。入門編では具体的な活用シーンの例、実践編では各種AIツールの基本操作、トレンド編ではポッドキャスト形式で日々進化するAI関連の情報を学ぶことができます。

コース内容⚫︎AIツール(ChatGPT、Claude、Perplexity AIなど)の活用シーン
⚫︎AIツールの具体的な操作方法やプロンプト例
⚫︎AIツールの最新動向
こんな方におすすめ⚫︎自身の業務におけるAI活用のイメージを持ちたい方
⚫︎AIツールの具体的な操作方法を知りたい方
⚫︎AIの最新トレンドを把握したい方

6-2. AIと協働するための思考力を身に付ける

AIを単なる「効率化のツール」に留めず「思考のパートナー」として協働するためには、人間側の「考えるべき問いを設定する力」や「AIのアウトプットや自身の思考を批判的に検証する力」が必要です。これらの力をもって対話を重ねることで、自分ひとりで思考するよりも深い洞察や新たな発想を引き出せます。

ここでは、AIの能力を最大限に引き出すために不可欠な思考力を鍛えるコースをご紹介します。

「クリティカル・シンキング」シリーズ

あらゆるビジネスの場面において必要となる、論理的な思考プロセスを学ぶコースです。「適切な課題を設定する力」「アウトプットを客観的・多角的に検証する力」といった、AIの能力を最大限に引き出すために必要な思考力の強化を目指します。

コース内容⚫︎イシュー(解くべき問い)の設定方法
⚫︎論点の構造化
⚫︎仮説思考の活用と検証プロセス
⚫︎思考のバイアスへの気づきと客観的判断
こんな方におすすめ⚫︎AIに的確な問いを投げかけ、より良いアウトプットを引き出したい方
⚫︎AIのアウトプットを鵜呑みにせず、批判的に検証する視点を身に付けたい方

6-3. AI活用に伴うリスクを理解する

AIの利用には、情報漏洩や著作権侵害、無意識なバイアスの助長など、組織に損害を与えかねないリスクも伴います。AIを活用する全社員が当事者意識を持ち、技術的な側面だけでなく、倫理的な観点からもAIを適切に扱うための知識を身に付けることが、企業の信頼を守ることにつながります。

「AI BUSINESS SHIFT」第2回 基礎編:AIリスクの先にある強い組織作り

生成AIの登場によって顕在化した新たなリスクを理解し、コンプライアンスやガバナンスを適切に機能させるために企業が実施すべきことについて学べるコースです。組織のリーダーが果たすべき役割が主なテーマですが、リスクの内容や、企業に求められる姿勢など、全社員が知っておくべき内容を解説しています。

コース内容⚫︎GRC(ガバナンス・リスク・コンプライアンス)とは
⚫︎AIガバナンス・コンプライアンスの概況
⚫︎AIを活用するうえでのリスクと対策
⚫︎現場リーダー、経営・組織として行うべきこと
⚫︎AIガバナンスの基本モデル
こんな方におすすめ⚫︎組織的にAIの活用を加速させたい方
⚫︎国内外の動向やAIのリスクと対策について理解したい方
⚫︎AIにかかわるコンプライアンス・ガバナンスを整備して競争力を高めたい方
⚫︎AIリスクに対して現場リーダーや経営層が実施すべきことを知りたい方

AI・データ時代の倫理と責任(前編・後編)

AIを利用するビジネスパーソンが、AIの現状とその課題を正しく理解し、課題解決に向けた国際社会や企業の取り組みについて学ぶコースです。

コース内容⚫︎AIを前提としたこれからの社会の在り方
⚫︎AIのもととなるデータ
⚫︎AIの公平性と信頼性
⚫︎国際社会や企業の取り組み
こんな方におすすめ⚫︎AI・データ時代の法的・倫理的課題について学びたい方
⚫︎自社のAI・データ活用について主体的な関与が求められるリーダーの方
⚫︎自社のAI・データ活用についてビジネス要件を企画する立場の方
⚫︎ビジネス部門を代表してデータサイエンティストや外部のAIコンサルと協働する立場の方

「AI BUSINESS SHIFT」シリーズは、組織でAI活用を推進するためにリーダーが身に付けるべきマインドやスキル、戦略の立て方を学べる「グロービス学び放題」内の動画コンテンツです。

全12回で、AIの基本的な理解から組織的なAI活用の設計、企業戦略への活かし方まで、全体像を学べる構成となっています。

本記事でご紹介した動画は無料トライアルで全編ご視聴いただけます

7. まとめ

生成AIの急速な進化により、ビジネス環境は大きく変化しています。今後の競争力を左右する要素として、全社員のAIリテラシー向上はあらゆる企業にとって重要な課題となるはずです。

求められるのは単なるツール操作能力だけではありません。主に以下3つの力が重要となります。

⚫︎基礎:AIの性質や能力を理解し、業務に活用する力
⚫︎応用:AIと協働し、思考や意思決定のレベルを高める力
⚫︎リスク管理:AI利用に伴うリスクを理解し、適切に扱う力

そして組織としてAI活用を推進していくうえで、各階層ごとに求められる役割とAIリテラシーの水準は異なります。

⚫︎経営層:AIがもたらす影響を事業戦略レベルで理解し、舵取りする力
⚫︎管理職・リーダー:現場のAI活用を設計・推進する力
⚫︎メンバー:担当業務でAIを効果的かつ安全に使いこなす力

AIリテラシーを効果的に身に付けるには、まずAIの仕組みやリスクといった基礎知識を体系的に習得し、そのうえで日々進化するトレンドを継続的にアップデートすることが重要です。

こうした学習を全社で効率的に進めるうえで、eラーニングは有効な手段です。日々進化する最新トレンドに合わせて更新される学習コンテンツと、体系化されたプログラムで全社員の知識レベルを引き上げます。

「社員のAIリテラシーを底上げしたいが、何から始めるべきか分からない」「社員のAI活用を促すための育成施策を検討したい」といった課題をお持ちの方は、ぜひグロービスにご相談ください。


監修者コメント

生成AIがもたらす変革の波は、一部の部署やエース人材の活躍だけでは乗りこなせません。組織の隅々までAIリテラシーが浸透して初めて、企業は真の競争優位性を手にすることができます。

本記事は、AIを単なる「ツール」に留めず、「思考のパートナー」として協働する能力こそが全社員必須の教養であると見事に体系化しています。加えて、階層別の役割も明確に示されており、全社的な育成プランを設計するうえでまさに羅針盤となるでしょう。この記事が、組織全体でAI活用の文化を育み、未来を創造する変革の起点となることを心から期待しています。


法人向けグロービス学び放題は初期費用無料。
最短6ヶ月、1ID「11,550円(税込)」から導入いただけます。

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執筆者プロフィール

加藤 真穂 Kato Maho

名古屋大学文学部卒業後、不動産系資産運用会社に入社し、秘書・法務業務を経験。
その後Webマーケターに転身し、株式会社ミツモアにてオウンドメディアのSEO業務に従事。キーワード調査、コンテンツの企画・制作やディレクション、ライターチームのマネジメントなどに携わる。
2025年にグロービスへ入社し、現在はBtoBマーケティング部門にて、Webコンテンツの企画・制作、Webサイトの分析・改善などを担う。


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